FP3級の実技試験とは?試験内容や合格難易度、対策方法を解説
FP技能検定の試験内容について、詳しく解説します。
FP(ファイナンシャルプランナー)3級は、FPとして働きたい人が最初に取得するのに最適な資格です。
この記事では、FP(ファイナンシャルプランナー)3級の難易度や合格率をはじめ、メリットや勉強方法などについて解説します。FP3級合格を目指す人は、ぜひ参考にしてください。
FP(ファイナンシャルプランナー)3級とは、正確には国家資格である「3級FP技能士」を指し、FPを目指すにあたっての入門資格となります。
ここではFP(ファイナンシャルプランナー)3級試験の概要について解説します。試験範囲や受検資格や受検地、受検手数料など参考にしてください。
FP(ファイナンシャルプランナー)3級は「日本FP協会」と「金融財政事情研究会(きんざい)」の2団体が実施しています。そのため、受検の申し込みをする際、どちらかの団体で受検するか選択する必要があります。ここでは項目ごとに2団体の試験概要を把握しましょう。大きく違うのは実技試験の科目のみとなります。合格率にも大きく違いがありますが、後ほどのこの理由を解説いたします。
FP協会 | きんざい | |
---|---|---|
試験範囲(学科) | ・ライフプランニングと資金計画 | 同左 |
・リスク管理 | ||
・金融資産運用 | ||
・タックスプランニング | ||
・不動産 | ||
・相続、事業承継 | ||
試験範囲(実技) | ・資産設計提案業務 | ・個人資産相談業務 |
・保険顧客資産相談業務 | ||
※どちらか1つを選択 | ||
合格点(学科) | 60点満点中36点以上 | 同左 |
合格点(実技) | 100点満点中60点以上 | 50点満点中30点以上 |
出題形式(学科) | 多肢選択方式(60問) | 同左 |
出題形式(実技) | 多肢選択方式(20問) | 多肢選択方式(15問) |
試験時間 | 学科:90分 | 学科:90分 |
実技:60分 | 実技:60分 | |
受験料※非課税 | 学科と実技:8,000円 | 同左 |
学科:4,000円 | ||
実技:4,000円 | ||
合格率(学科) | 約70~80% | 約50~70% |
合格率(実技) | 約80~90% | 約40~60% |
試験日程 | 随時(テストセンターにより異なります) | 同左 |
受検資格 | 特になし | 同左 |
※FP業務に従事している者または従事しようとしている者 | ||
受検地 | 全国のテストセンターから選択 | 同左 |
主催元 | 特定非営利活動法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会 | 一般社団法人 金融財政事情研究会 |
FP(ファイナンシャルプランナー)3級の受検資格は、「FP業務に従事している者または従事しようとしている者」と定められています。ただし、申し込みの際に特別な書類を添付する必要はないため、実際には誰でも受検可能です。金融、保険、不動産などの業界に関わる人だけでなく、学生や主婦も受検しています。
受検手数料は、学科試験と実技試験のそれぞれで4,000円かかります。受検地は、申込の際に全国のテストセンターの中から指定できます。テストセンターによって受検可能な時間が異なります。また、年末年始等テストセンターの休止期間がありますのでご注意ください。
FP(ファイナンシャルプランナー)3級では、学科試験・実技試験ともに以下の6分野から出題されます。
「日本FP協会」でも「きんざい」でも、学科試験は多肢選択方式で行われ、3択問題が30問出題されます。60点満点中36点以上取ることができれば合格です。
ライフプランニングと資金計画 |
・論理、関連法規、手法 |
---|---|
リスク管理 |
・リスクマネジメント |
金融資産運用 |
・マーケット環境 |
タックスプランニング |
・税制と所得税のしくみ |
不動産 |
・見方、取引、法令上の規制 |
相続・事業承継 |
・贈与に関わる法律と税 |
日本FP協会 | きんざい |
---|---|
資産設計提案業務 | 個人資産相談業務 |
保険顧客資産相談業務 |
FP3級の実技試験では試験実施団体によって違いがあります。日本FP協会の実技試験では、「資産設計提案業務」に関する問題が20問出題されます。100点満点中60点以上の得点で合格です。一方、きんざいの実技試験では、「個人資産相談業務」または「保険顧客資産相談業務」のうち、受検者が選択したほうの問題が5題15問出題されます。50点満点中30点以上の得点で合格です。
どちらの団体が実施する試験でも、合格すれば同じように「FP3級技能士」の国家資格を取得できます。
FP(ファイナンシャルプランナー)3級の合格率が約70〜80%であることから、FP3級の難易度は国家資格の中でも易しい方であると言えます。ただし、誰でも受かるわけではありません。学科試験だけでなく実技試験もあるためきちんとした対策が必要です。
3級の試験はファイナンシャルプランナー(FP)に関する基礎知識が出題されるため、短時間の勉強でも合格できる可能性があります。出題傾向も毎年あまり変わらないので、対策しやすいといえるでしょう。学科試験と実技試験はいずれもマークシート式で、実技試験が100点満点中、60点以上を取れば合格です。絶対評価なので、受検する時期によって合格ラインが変化することはありません。
3級に合格するには学科試験と実技試験の両方の得点率が60%を超えている必要があります。資格試験によっては、受検者のうち得点が上位の数%だけが合格になる相対評価を行っている場合もあります。ファイナンシャルプランナー(FP)3級の資格試験は絶対評価です。きちんと勉強して対策を取れば、自分のペースで合格できます。
ここでは、FP(ファイナンシャルプランナー)3級の合格率について解説します。
日本FP協会が実施するFP(ファイナンシャルプランナー)3級の合格率は、学科試験は約70~90%、実技試験は約80~90%の間で推移しており、それぞれ高い水準で推移しています。
【日本FP協会 FP3級合格率】
試験年月 | 学科試験 | 実技試験 |
---|---|---|
2023年1月 | 85.25% | 88.34% |
2022年9月 | 80.78% | 84.44% |
2022年5月 | 83.37% | 90.33% |
2022年1月 | 87.01% | 90.75% |
2021年9月 | 84.69% | 80.50% |
2021年5月 | 83.25% | 76.65% |
2021年1月 | 87.92% | 86.53% |
2020年9月 | 89.64% | 88.04% |
2020年5月 | 中止 | 中止 |
2020年1月 | 85.34% | 79.45% |
2019年9月 | 78.09% | 79.48% |
2019年5月 | 69.07% | 86.42% |
2019年1月 | 74.09% | 83.38% |
きんざいが実施するFP(ファイナンシャルプランナー)3級試験の合格率です。学科試験は約40~70%、実技試験は約40~60%の間で推移しています。
【きんざい FP3級合格率】
試験年月 | 学科試験 | 実技試験 <個人> |
実技試験 <保険> |
---|---|---|---|
2023年1月 | 56.00% | 67.56% | 40.05% |
2022年9月 | 43.41% | 58.23% | 43.28% |
2022年5月 | 49.03% | 62.24% | 45.64% |
2022年1月 | 62.52% | 53.14% | 39.53% |
2021年9月 | 53.31% | 43.25% | 48.68% |
2021年5月 | 47.81% | 59.63% | 47.76% |
2021年1月 | 63.75% | 58.63% | 56.01% |
2020年9月 | 69.28% | 35.28% | 56.20% |
2020年5月 | 中止 | 中止 | 中止 |
2020年1月 | 65.43% | 50.22% | 48.19% |
2019年9月 | 62.77% | 45.44% | 43.31% |
2019年5月 | 42.76% | 54.35% | 44.85% |
2019年1月 | 51.91% | 56.21% | 39.32% |
学科試験は、日本FP協会ときんざいとで全く同じ問題や合格基準が用いられ、難易度に差はありません。合格率の差の背景に、日本FP協会の受験者レベルの高さが考えられます。きんざいは金融機関の団体申込が多く、試験対策不足の可能性も。
実技試験は、日本FP協会の方が少し易しいといわれています。
FP(ファイナンシャルプランナー)3級のFP3級の合格者は、仕事でのキャリアアップだけでなく、日々の生活にも活かせることで、幅広い業種、年齢の方々が毎年受検、合格しています。
金融、保険、不動産などの業界に関わる人には、キャリアアップや独立・開業の手段のために、教育関連のメディアや塾などの教育機関に関わる人には、子どもの教育費やキャリアプランなどに対してライフプランや資産運用に関連した知識の活用のために取得されています。
入社後にFP資格の取得を推奨する企業も多いため、学生の就職の際の大きな武器として取得されるケースも多く、住宅ローンや保険、家計など自分や家族の生活に役立てることを目的として取得する主婦の方などのも受検も増えています。
日本FP協会ときんざいともに、合格者の詳細データを公開していませんが、日本FP協会では、FP1級、FP2級と同等水準の民間資格、CFP®・AFP認定者のデータを紹介しています。
こちらのデータを見ると、実に様々な年代や業種の方が合格していることが分かります。
FP3級はCFP®・AFPよりも難易度が易しいため、より幅広い属性の方が合格していると考えられます。
年齢別属性
年代 | 割合 |
---|---|
10~20歳代 | 8% |
30歳代 | 15% |
40歳代 | 27% |
50歳代 | 33% |
60歳代以上 | 17% |
業種別属性
業種 | 割合 |
---|---|
生保・損保 | 22% |
証券 | 20% |
事業会社 | 13% |
銀行・金融 | 12% |
FP事務所・士業事務所 | 7% |
不動産・住宅 | 6% |
協同組合 | 4% |
官公庁・自治体・団体 | 4% |
学生・主婦・主夫・その他 | 12% |
ここでは、FP(ファイナンシャルプランナー)3級を取得するメリットについて解説します。
FP(ファイナンシャルプランナー)3級の勉強では、個人の資産を管理するために必要な基礎知識を学べます。勉強した内容は、自分や家族の生活に役立てることができます。一般的に、実務にスキルを活かせるのは2級以上となります。
3級を取得するだけでは就職や転職において有利になるとはいえませんが、未経験から金融、保険、不動産などの業界を目指す際に、アピールポイントになる場合もあります。
FP(ファイナンシャルプランナー)2級の試験を受けるには、受検資格を満たしている必要があります。2級の受検資格は4種類ありますが、その中でも最も満たしやすいのは3級に合格することです。FP(ファイナンシャルプランナー)の資格は2級以上なら履歴書に記載できるため、3級を取得したうえで2級の取得を目指すのもおすすめです。
実際に勉強をはじめるにあたり、何が必要になるのでしょう。ここでは、FP(ファイナンシャルプランナー)3級試験の勉強に必要なことについて解説します。
日本FP協会の試験ときんざいの試験の大きな違いは、実技試験の科目です。日本FP協会では「資産設計提案業務」について、きんざいでは「個人資産相談業務」または「保険顧客資産相談業務」について出題されます。日本FP協会の試験のほうが合格率は高い傾向にありますが、自分が得意な科目や業務に関係する方を選ぶといいでしょう。
FP(ファイナンシャルプランナー)3級の試験は、計画的に勉強すれば独学でも合格を目指せます。ただし、独学では法改正に対応しにくかったり、モチベーションを維持できずに挫折したりことがあるため、スケジュール管理が重要になります。試験の3カ月前には勉強を始め、1カ月前には過去問題に挑戦できるようにしましょう。
効率良く資格を取得するにはコツがあります。ここでは、FP(ファイナンシャルプランナー)3級に合格するためのコツを2つ紹介します。
実際に受検する際は、学科試験と実技試験の両方を同時に受検するのがおすすめです。学科試験と実技試験は出題範囲がほとんど同じであり、学科試験のための勉強で身につけた知識をそのまま実技試験にも活かせます。また、法改正は短いスパンで行われる傾向にあります。学科試験と実技試験を同時に受ければ、法改正された内容を改めて勉強しなおす必要もありません。
AFP認定研修の認定スクールで勉強すれば、3級を取得しなくても2級の受検が可能です。ユーキャンのFP(ファイナンシャルプランナー)通信講座もこれに該当するため、3級に合格しなくても2級の試験に挑戦できます。スムーズに2級を取得できれば、スキルアップのための1級の取得も効率的に目指せます。
FP(ファイナンシャルプランナー)として身につけた知識はキャリアだけでなく、私生活でも役に立ちます。
FP(ファイナンシャルプランナー)は6分野について学習しますが、例えば金融資産運用の分野では幅広い金融商品について知れるため、資産運用を始める際に役立ちます。
また、FP(ファイナンシャルプランナー)の主な仕事の一つに顧客のライフプランニングがあり、その知識を身につけると自身のライフプランを作成することもできます。子どもの教育資金としていくら必要なのか、住宅ローンを繰り上げ返済した方がいいのかなど、家族の適切なライフプランを立てることにも役立ちます。
FP(ファイナンシャルプランナー)の資格試験には、どの程度の難しさがあるのでしょう。ここでは、他の資格の難易度と比較します。
資格 | 平均合格率 |
---|---|
FP(ファイナンシャルプランナー)3級 | 70% |
日商簿記3級 | 40% |
宅地建物取引士 | 15% |
行政書士 | 11% |
FP(ファイナンシャルプランナー)3級は他の試験に比べて難易度が低く、基本的に誰でも受検可能です。ただし、実務で役立つのは2級以上となります。FP(ファイナンシャルプランナー)を目指すのであれば、3級だけでなく2級以上の資格取得にもチャレンジしてみてください。
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1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
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