• 更新日:2023/07/10

ファイナンシャルプランナー(FP)とはお金の専門家のことです。ファイナンシャルプランナーになるために、FP試験を受けようと思っている人も多いでしょう。

この記事では、ファイナンシャルプランナーについての説明と、FP1級の特徴などをわかりやすく解説します。FP1級の学習方法や資格取得のメリットも解説するため、ぜひ参考にしてください。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • FP1級の受検資格は、「学科」と「実技」によって異なる。
  • FP1級はFP資格の中でも最高峰の資格で、勉強時間は450~600時間程度が目安。
  • 難易度が高い理由は、「役立つ教材が少ない」「出題範囲が広い」など。

FP1級の概要

ファイナンシャルプランナーとしての知識やスキルを示すものとしてFP試験があります。ここでは、FP1級の概要について詳しく解説します。

受検資格

FP1級の受検資格は、「学科」と「実技」によって異なります。まず、学科試験を受けるための受検資格は以下のいずれかを満たすことです。

  • 2級技能検定合格者で、FP業務に関し1年以上の実務経験を有する者
  • FP業務に関し5年以上の実務経験を有する者
  • 厚生労働省認定金融渉外技能審査2級の合格者で、1年以上の実務経験を有する者

実技試験の受検資格は以下です。

  • 1級学科試験の合格者
  • 「FP養成コース」修了者でFP業務に関し1年以上の実務経験を有する者
  • 日本FP協会のCFP認定者
  • 日本FP協会のCFP資格審査試験の合格者

FPにおける実務経験とは、たとえば銀行や保険会社、証券会社やクレジット会社などの金融機関勤務経験を指します。

日程

FP1級の試験は年に3回あり、きんざいと日本FP協会の2つの実施機関によって試験日程は異なります。学科試験はきんざいのみ、実技試験はきんざいと日本FP協会どちらの機関でも試験が実施されており、各日程は以下のとおりです。

実技試験 学科試験
きんざい 年3回(6月・9、10月・翌2月) 年3回(5月・9月・翌1月)
日本FP協会 年1回(9月)

各機関の学科試験の特徴については後述するため、そちらを参考にしてください。

試験範囲

学科試験はきんざいのみで実施されており、全部で6科目から出題されます。具体的な出題科目は以下のとおりです。

  • ライフプランニングと資金計画
  • リスク管理
  • 金融資産運用
  • タックスプランニング
  • 不動産
  • 相続・事業承継

実技試験はきんざいと日本FP協会どちらの機関でも実施されています。各機関によって出題範囲が異なるため注意しましょう。

きんざい 資産相談業務(口頭試問方式)
日本FP協会 資産設計提案業務(記述式による筆記試験)

合格基準

以下のように、合格基準の点数はきんざいと日本FP協会で異なりますが、どちらも6割正解すれば合格できます。

実技試験 学科試験
きんざい 120点以上(200点満点) 120点以上(200点満点)
日本日本FP協会 60点以上(100点満点)

FP1級を取得するメリット

FP1級を取得することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、FP1級取得のメリットを解説します。

転職に役立つ

金融業界や保険業界では、資格が評価対象の1つとなります。また、金融業界や不動産業界でもFP1級取得者は少なく、転職に有利に働きます。特に金融業界の場合、FP1級は高い評価が得られるケースが多いため、金融業界への転職を考えている人におすすめです。

様々な業界で活かせる

FP1級は金融業界や保険業界だけでなく、様々な業界で重宝される資格です。たとえば、コンサルティング業界や不動産業界はもちろん、税理士などのお金に関わる業界でも役立つため、選択肢の幅が広がります。

資格手当や昇給・昇進に繋がる

金融業界の場合は、FP資格の取得を推進している企業も多くあり、資格取得によって待遇の向上が見込めます。資格手当の相場は1~2万円程度となっており、収入アップに繋がります。特に、FP1級は資格手当が高い傾向にあるため、収入を増やしたい人にもよいでしょう。

独立に活かせる

FP資格を取得することで、独立に有利に働きます。独立した場合、一般的には金融商品の代理販売や顧客相談業務などを行います。FP1級を取得することでファイナンシャルプランニングの実力を示せるため、独立後も役立つでしょう。

資産運用の知識が身につく

資産運用の知識が身につく FP資格を取得する際には、税金や保険だけではなく株式投資や投資信託の知識が必要になります。基礎的な資産運用の知識が身につくため、将来独立したい、目標のために資産運用をしたいといった場合にも役立ちます

FP1級の合格難易度

FP資格は、資格取得ランキングで上位にランクインしており人気の高い資格です。FP2級までであれば、行政書士や宅建士などと比較すると資格取得がしやすいといわれていますが、FP1級はFP資格の中でも最高峰の資格であり、他の資格と比べた場合でも非常に難易度が高くなっています。

合格するために必要な学習時間は、一般的に450~600時間程度が目安です。多くの学習時間が必要となるため、できるだけ早めに学習を始めるなど計画的にスケジュールを立てるとよいでしょう。前述したように、学科・実技試験ともに6割が合格ラインです。

FP1級の合格率

FP1級の合格率は、学科試験と実技試験で合格率は大きく異なっています。FP1級の場合、学科試験の合格者が実技試験を受検するという形になるため、実技試験のほうが合格率は高い傾向にあるようです。

学科試験と実技試験の双方を合わせた総合的な合格率としては、7~18%程度となっています。ここでは、学科試験(きんざい)と実技試験(日本FP協会・きんざい)、それぞれの過去3年分の合格率を表にして紹介します。

  • FP1級の学科試験の合格率(きんざい)
試験日 合格率
2022年1月 6.67%
2021年9月 13.03%
2021年5月 20.05%
2021年1月 9.95%
2020年9月 15.01%
2020年1月 11.81%

※2020年5月は中止

  • FP1級の実技試験の合格率(きんざい)
試験日 合格率
2022年2月 85.88%
2021年9月・10月 85.16%
2021年6月 85.27%
2021年2月 88.49%
2020年9月・10月 86.34%
2020年2月 84.92%
2019年10月 83.10%
2019年6月 85.69%
2019年2月 86.46%
  • FP1級の実技試験の合格率(日本FP協会)
試験日 合格率
2021年9月 93.8%
2020年9月 97.7%
2019年9月 93.0%

FP1級の合格難易度が高い理由

FP1級は非常に難易度の高い資格です。なぜ、FP1級の合格難易度が高いのでしょうか。以下ではその理由を解説します。

役立つ教材が少ない

FP1級は教材の選択肢が少ないという特徴があります。3級や2級と比較した場合、教材の選択肢は半分以下となっており、参考にできる教材が少なく効果的な試験対策が難しくなっています。また、1つのテキストだけでは試験範囲を網羅しきれないため、効率的な学習が難しいです。

新しい問題が多い傾向にある

FP1級の試験問題は、新しい問題が多く出題されます。特に、基礎編は毎年新しい問題が多く出題されるため、試験内容の傾向がつかみにくいです。応用編は出題傾向が決まっているため、比較的学習しやすくなっています。

出題対象の範囲が広い

1級の学科、2級と3級の場合、試験日から数ヵ月前の法令基準日時点で施行されている法改正が出題されます。しかし、1級の実技(きんざい)の場合は試験日現在施行の法令等に基づいて出題されます。市販のテキストでは対応できない部分もあるため、自ら改正の有無を確認する必要があります。

独学メインの勉強になる

FP1級は前述したとおり、参考テキストや講座が少なく、独学での学習がメインとなります。FP1級取得を目指す人は独立・開業を目指す、スキルアップによる収入アップなど目標を持ち、モチベーションを保つことが重要です。

FP1級合格に向けた学習方法

FP1級合格を目指す場合には、効率的な学習を心がけましょう。ここでは、FP1級合格のための学習方法を解説します。

専門用語に慣れる

FP1級は専門的な問題が多く出題されるため、まずは専門用語に慣れることが重要です。日ごろから新聞を読む、図書館を利用して専門書を読むなど、継続的に専門用語に触れて学習しましょう。

基礎編:学科試験対策

FP試験の内容を全体的に理解するために、FP技能検定教本1級を1冊通して読みましょう。教本を読み込んだら、1級FP技能士(学科)精選問題解説集の基礎問題を解いていきます。FP試験6科目それぞれに分けられているテキストを活用することで、すべての科目を網羅できます。

基礎編:選択問題への対策

FP1級の基礎問題は4肢択一形式ですが、選択は非常に難しくなっています。問題をしっかり理解できていないと、答えを2択や3択に絞り込むこともできないため、問題への理解を深めることが重要です。

基礎編:説明学習法

説明学習法を活用することもおすすめです。説明学習法とは、問題を解きながらその解き方や説明などを口に出して、理解を深める方法です。説明することでより理解しやすくなるため、1つずつじっくりと解き、理解を深めていきましょう。

応用編:学科試験対策

応用編の場合には、出題内容の傾向がある程度決まっているため、比較的対策を取りやすいでしょう。応用編を攻略するには、基礎知識の習得が欠かせません。基礎的な知識を身につけた上で、問題集の応用問題を繰り返し解くことが重要です。

実技試験への対策

実技試験は、一般社団法人金融財政事情研究会(きんざい)とNPO法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(日本FP協会)が行っており、内容が異なります。きんざいは面接形式のため口述の練習が必要です。日本FP協会は筆記試験のため、全体的な学習をしましょう。

主催ごとに異なる実技試験

きんざいとFP協会、それぞれの実技試験の内容を詳しく解説します。

きんざいのFP1級実技試験

きんざいの実技試験は、面接形式で行われます。具体的には、設例に基づいてファイナンシャルプランニングを行うという、ロールプレイングのような内容です。出題パターンは毎年似た傾向のため、過去問題を参考にするとよいでしょう。

日本FP協会のFP1級実技試験

日本FP協会の実技試験は筆記形式です。基本的には、計算問題や語句の穴埋め問題といった内容が多くを占めています。試験範囲は、きんざいの学科試験と日本FP協会実施のCFP6課目がすべて対象となるため、幅広い学習が必要です。

CFPやFP2級との違いは?

FP1級とCFP、FP2級にはどのような違いがあるのでしょうか。以下では、それぞれとの違いについて解説します。

CFPとの違い

FP1級とCFPはどちらも同等の難易度となっており、スキルとしても同程度だといえます。しかし、FP1級は厚生労働省が認定している国家資格の1つです。一方、CFPは日本FP協会が主催している民間資格となっています。

FP2級との違い

FP1級の試験は、学科試験の応用編が記述式となっています。一方、2級の学科試験はすべてマークシート式です。なお、2級は教材が多くありますが、1級の場合には適切な教材が少なく、学習しにくいという特徴があります。

まとめ

FP1級は、FP試験の中でも非常に難易度が高く、教材も少ないため学ぶことが難しい試験です。独学メインの学習となりがちなため、モチベーションを高く保ち、効率的な学習方法を見つけて合格を目指しましょう。また、受検資格を満たすにはFP2級に合格し実務経験を積むことがおすすめです。FP2級資格の取得がまだの方はまずはFP2級から挑戦しましょう。

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生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

よくある質問

FPは独学で合格できる?

独学での合格は可能ですが、教材選びに手間がかかる、法改正情報の収集に時間がかかる、受検資格の要件を満たすのが難しいといったデメリットがあります。手堅く合格を目指すなら通信講座がおすすめです。

FP2級と3級の違いは?

FP2級は、3級の出題範囲に加えて、法人のファイナンシャル・プランニングが追加されています。3級は個人資産に関連する相談業務に必要な技能を身につけるのに対し、2級はさらに中小企業の資産相談業務の内容が加わるため、より専門的な知識が必要です。

FPの年収は?

FPの年収は、1,000万円を超える人もいれば、一般的な会社員と同程度の人もいるなど、働き方によって大きく異なります。

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