FP(ファイナンシャルプランナー)2級の難易度と合格率は?他資格との違いを解説!
日本FP協会、きんざい、それぞれが実施するFP2級実技試験の合格率の推移について紹介します。合格率の差についても解説しているので参考にしてください。
FP2級では分野別に5種類の実技試験が実施されています。合格を目指す上でどの実技試験を選べばよいか、効果的な試験対策も含めて解説します。FP2級取得を目指す方は、ぜひ参考にしてください。
FP2級について詳しく知りたい方は下記をご確認ください。
FP2級の実技試験はどのような内容なのか、試験の概要を解説します。
FP2級の実技試験は、指定試験機関の「特定非営利活動法人 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(以下日本FP協会)」と「一般社団法人 金融財政事情研究会」(以下きんざい)の2団体で実施されており、合計5種類の試験が設けられています。
どちらの団体が実施する試験でも、合格すれば同じように「FP2級技能士」の国家資格を取得できます。受検者は好きな方の試験を選んで受検できます。いずれも試験時間は90分です。
日本FP協会 | きんざい |
---|---|
資産設計提案業務 | 個人資産相談業務 |
中小事業主資産相談業務 | |
生保顧客資産相談業務 | |
損保顧客資産相談業務 |
試験月 | 問題数 | 合格点 | |
---|---|---|---|
資産設計提案業務 | 5月・9月・翌1月 | 40問(10題) | 60点以上/100点 |
個人資産相談業務 | 5月・9月・翌1月 | 15問(5題) | 30点以上/50点 |
中小事業主資産相談業務 | 9月・翌1月 | 15問(5題) | 30点以上/50点 |
生保顧客資産相談業務 | 5月・9月・翌1月 | 15問(5題) | 30点以上/50点 |
生保顧客資産相談業務 | 9月 | 15問(5題) | 30点以上/50点 |
日本FP協会が実施している実技試験は、「資産設計提案業務」の1種類のみで、試験範囲が幅広く総合的な知識が求められます。実施されるのは5月、9月、翌1月の年3回で、設例は10題、問題数は40問です。100点満点中60点以上を獲得すれば合格できます。
きんざいが実施している実技試験は「個人資産相談業務」「生保顧客資産相談業務」「中小事業主資産相談業務」「損保顧客資産相談業務」の4種類です。
このうち、「個人資産相談業務」と「生保顧客資産相談業務」は5月、9月、翌1月の年3回、「中小事業主資産相談業務」は9月、翌1月の年2回、「損保顧客資産相談業務」は9月の年1回という頻度で実施されています。
それぞれ設例は5題で、問題数は15問です。50点満点で30点以上をマークすれば合格できます。
先述のとおりFP2級には5種類の実技試験があり、日本FP協会では1種類、きんざいでは4種類の試験が実施されています。どれを受検するかは、現在の職種あるいは将来的に働きたい職種に合わせて選ぶとよいでしょう。それぞれの試験について解説します。
「資産設計提案業務」は日本FP協会で実施している唯一の実技試験です。試験範囲にはライフプランニングと資金計画、リスク管理、金融資産運用、タックスプランニング、不動産および相続・事業承継のすべてが含まれます。
関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング |
ファイナンシャル・プランニングのプロセス |
顧客のファイナンス状況の分析と評価 |
プランの検討・作成と提示 |
学科試験と共通する内容のため勉強しやすいのがメリットで、特定の専門分野を深く身につけるというよりは、さまざまな分野の知識が問われるイメージです。まだ就きたい職種が決まっていない、またはお金に関わる幅広い知識を得たい場合は、この実技試験がおすすめです。
きんざいが実施している4種類の実技試験のうちの1つ目が「個人資産相談業務」です。試験範囲には金融資産運用、不動産、ライフプランニングと資金計画、タックスプランニング、相続・事業承継が含まれます。日本FP協会が実施する「資産設計提案業務」と同様、基本的に学科試験と同じ試験範囲のため、勉強を進めやすいのがメリットです。
関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング |
個人顧客のニーズ及び問題点の把握 |
問題の解決策の検討・分析 |
顧客の立場に立った相談 |
幅広い分野に関する知識が問われる一方、特定の分野を深く掘り下げた問題はあまり出題されません。まだ就きたい職種が決まっていない、あるいはお金に関する幅広い知識を得たい場合は、この実技試験がおすすめです。
きんざいが実施している2つ目の実技試験が「中小事業主資産相談業務」です。中小企業が所有している金融資産や不動産の運用、事業経営、税務などに関連する相談業務や、中小企業の経営者に対する資金計画の提案業務など、実務に関わる内容が問われる試験です。
関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング |
中小事業主のニーズ及び問題点の把握 |
問題の解決策の検討・分析 |
顧客の立場に立った相談 |
中小事業主向けのファイナンシャルプランニング業務を専門としたい人におすすめです。将来的にFP1級取得を目指す場合は、この実技試験の受検がそのまま試験対策にもなるため、二重のメリットがあります。
きんざいが実施している3つ目の実技試験が「生保顧客資産相談業務」です。リスク管理の生命保険と医療保険を中心に出題され、この2つの分野だけで配点全体の約40%を占めます。ほかにライフプランニングと資金計画や相続・事業承継、タックスプランニングなども出題範囲に含まれます。
関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング |
生保顧客のニーズ及び問題点の把握 |
問題の解決策の検討・分析 |
顧客の立場に立った相談 |
生命保険に関するファイナンシャルプランニングに対する専門性を深めていきたい場合におすすめです。実際に保険業界で働いている方、あるいは将来的に保険関連の職種に就きたい方向けの実技試験です。
きんざいが実施している4つ目の実技試験が「損保顧客資産相談業務」です。「生保顧客資産相談業務」では生命保険関連の実務知識が問われるのに対し、こちらは損害保険の実務に関する知識が問われます。
関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング |
損保顧客のニーズ及び問題点の把握 |
問題の解決策の検討・分析 |
顧客の立場に立った相談 |
試験範囲はリスク管理の自動車保険、火災保険、地震保険、損害保険の4つを中心に出題されます。損害保険に関するファイナンシャルプランニングを専門にしたい場合におすすめです。保険業界で働いている方、あるいは保険に関する職種に就きたい方向けの実技試験です。
5種類ある実技試験の中からどれを選んで受検すればいいのか、選択の際に押さえるべきポイントをご紹介します。
合格率でみると、「損保」(きんざい)、「資産」(FP協会)、「中小」(きんざい)、「生保」(きんざい)、「個人」(きんざい)の順に高い傾向にあります。
試験年月 | 資産 (FP協会) |
中小 (きんざい) |
生保 (きんざい) |
個人 (きんざい) |
損保 (きんざい) |
---|---|---|---|---|---|
2022年9月 | 56.55% | 41.54% | 39.80% | 32.54% | 72.92% |
2022年5月 | 62.11% | 31.44% | ― | 34.32% | ― |
2022年1月 | 56.33% | 36.69% | 57.84% | 50.94% | - |
受検者の割合でみると、「資産」(FP協会)、「生保」(きんざい)、「個人」(きんざい)の3つが全体の約95%を占めます。自分の仕事と直接関係がない限りは、この3種類のうちから1つを選んで受検するのが無難です。
オールラウンドに知識を身に付けたいなら「個人」(きんざい)か「資産」(FP協会)、将来的にFP1級取得を目指すなら「個人」(きんざい)、AFP資格やCFP(R)資格を狙うなら「資産」(FP協会)の受検がおすすめです。
もしどの実技試験を受けたらいいか決めかねている場合は日本FP協会の「資産設計提案業務」がおすすめです。
おすすめする理由は以下の通りです。
1.学科試験と同じ出題範囲のため、対策しやすい
2.幅広い分野に関する知識が問われるため、資格取得後に活かしやすい
3.合格率が高い
4.対策用の講座やテキストが豊富
FP2級の実技試験に向けた準備を効率的に進めるには、具体的な試験対策を立てる必要があります。FP2級の実技試験の出題範囲はFP3級の実技試験に近いとはいえ、解答方式は記述式のため、各分野に対するより深い理解が問われるからです。
FP2級の実技試験は5種類あるため、本格的な準備を始めるためにも、まずは自分が興味のある分野、あるいは得意な分野はどれかを定める必要があります。FP3級よりもより専門的かつ幅広い知識が問われるため、分野の絞り込みは早めに行いましょう。
どの分野が自分に適しているかの見極めが難しい場合は、各分野の過去問を1回ずつ解いてみるのも1つの手です。その中から解きやすかった分野を選ぶと、受検勉強も進めやすいでしょう。
受検勉強には、テキストと問題集の活用が効果的です。FP2級では、各実技試験で参考書と問題集が出版されています。自分が受検したい分野が定まったら、早めに参考書を入手して読み込みを開始し、知識を増やして理解を深めていくことが重要でしょう。
参考書の読み込み後は問題集を解き、計算の仕方などに慣れていく必要もあります。間違えた問題を正答できるまで重点的に反復しましょう。
過去問を繰り返し解くのも重要です。過去問を通じて、よく出る問題などの出題傾向、そして試験の全体像を把握できます。実技試験では過去の問題が再度出題されることもあるため、少しでも正答率を上げるために過去問を用いた演習は不可欠です。一回きりではなく繰り返し解けばより試験にも慣れ、解答のスピードも向上します。
FP2級には5種類の実技試験があります。難易度に差はないものの、合格率にはばらつきがみられます。合格するにはテキストや問題集、過去問などを活用して効率的に勉強を進める必要があります。どれを選ぶか迷った場合は日本FP協会の「資産設計提案業務」がおすすめです。
ユーキャンの「ファイナンシャルプランナー(FP)講座」は、日本FP協会の「資産設計提案業務」に対応。受講することでFP2級の受検資格を満たすこともでき、6ヵ月で無理なく合格が目指せる内容です。
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1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。
独学での合格は可能ですが、試験勉強慣れしていないと難しい場合もあります。自分にあった実技試験を選ぶことも重要です。
個人の方がファイナンシャル・プランナー資格試験を受検するには、「受検申請」という手続きを行います。受検申請は、書面の受検申請書を郵送する方法と、インターネットで手続きをする方法の2種類があります。
FPの年収は、1,000万円を超える人もいれば、一般的な会社員と同程度の人もいるなど、働き方によって大きく異なります。
ファイナンシャルプランナー(FP)は税金、保険、年金などの幅広い知識と視野を持ち、ライフプランの設計を行うお金の専門家。 有資格者は、金融・保険・不動産など、さまざまな業界で求められるため、就・転職が有利に!独立・開業も可能なほか、身につけた知識は日常生活でも役立ちます。
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