保育士試験の受験資格と実務経験をやさしく解説!難易度や勉強法も紹介
保育士試験の受験資格や難易度などを解説します。必要な実務経験や勉強方法についてもご紹介。
保育士資格を取得するためには、まず保育士試験に合格しなくてはなりません。保育士試験は難関なので、事前に試験の内容を正しく把握して十分な対策をすることが大切です。
この記事では、保育士試験の合格率・難易度から筆記試験と実技試験の内容まで詳しく解説します。ぜひ、試験対策に役立ててください。
保育士試験は、国家資格である保育士資格を取得するための試験です。保育士は専門知識や技術をもちいて、子どもに対する保育をおこないます。保育士を養成する学校を卒業していない場合でも、保育士試験に合格すれば資格を取得することが可能です。
保育士試験は、筆記試験9科目と実技試験2分野(3分野のうち2分野を選ぶ選択制)で構成されています。保育士試験に申し込む受験申請の時点で、実技試験の分野を決めます。「保育実習」の科目については、筆記と実技の両方の試験がおこなわれます。
筆記試験はマークシート方式で、100点満点中60点以上の得点で合格です。ただし、教育原理及び社会的養護はそれぞれ50点満点とされ、30点以上の得点で合格となります。筆記試験の全科目に合格できないと、実技試験には進めません。
筆記試験で合格した科目は、合格した年を含めて3年間有効なので、全科目に合格できなかった場合は、期限内に不合格科目のみを再受験することになります。
保育士試験は毎年2回おこなわれ、前期と後期の日程があります。筆記試験は連続する2日間、実技試験は1日です。令和6年の場合、前期の筆記試験は4月20、21日、実技試験は6月30日におこなわれました。また、後期の筆記試験は10月19、20日、実技試験は12月8日です。
ただし、自然災害等の発生により試験を開催できなかったときは、再試験はおこなわれないことになっています。保育士試験を受験する際は、最新の情報をよく確認しましょう。
保育試験の合格率は近年23%前後といわれています。 過去2年分の受験者数、合格者数と合格率は以下の通りとなっています。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
令和5年度 | 66,625人 | 17,955人 | 26.9% |
令和4年度 | 79,378人 | 23,758人 | 29.9% |
合格率が低い理由は、合格ラインが「9科目全て」を6割以上得点する必要があるためです。1科目でも落としてしまうと合格できません。 しかし、合格した科目は3年間有効になるという制度があるため、この制度を利用して2~3年の長期計画で受験することもできます。
筆記試験は8教科9科目あり、内容は広範囲にわたります。
科目の詳細は以下のとおりです。
筆記試験はマークシート方式で実施され、合格基準点は各科目100点満点中60点以上となります。ただし、「教育原理」と「社会的養護」は2科目で1セット扱いになり、それぞれ50点満点中30点以上の得点が必要です。
たとえば、教育原理で40点を取り、社会的養護が20点だった場合、教育原理のみ合格とはなりません。どちらも不合格となります。受験生の多くは、教育原理と社会的養護で苦戦するといわれています。
筆記試験で全科目に合格すると、実技試験の受験が可能です。実技試験は3分野中2分野を選択して受験します。そのため、試験の内容を把握して、得意な科目を選択することが合格へのカギになります。
以下、実技試験の具体的な試験内容について解説します。
音楽に関する技術は、歌と伴奏の試験です。指定された課題曲を、楽器で伴奏をしながら歌います。音楽で試験官に見られるポイントは、「保育士として必要な歌や伴奏の技術があるか」「総合的に豊かな表現ができるか」といった点です。 試験では、ピアノ、ギター、アコーディオンが使用できます。普段から使っている楽器を持ち込むことも可能です。
造形に関する技術は、絵画作成の試験です。試験当日に問題文と条件を指定されるので、それをもとに絵で表現します。「保育の状況をイメージした造形(情景・人物の描写や色使いなど)が豊かであるかどうか」が、試験で見られるポイントです。 試験で使用できる道具は、鉛筆またはシャープペンシル、色鉛筆、消しゴム、腕時計です。
言語に関する技術は、素話の試験です。指定された課題を選び、15人程度の3歳児が目の前にいることを想定して、素話を行います。3歳の子どもが話の世界を楽しめるように、3分間にまとめなくてはなりません。試験では、声の出し方や表現力などがチェックされます。子どもがしっかり聞き取れるように、話すスピードにも注意が必要です。
保育士試験の受験資格は、最終学歴ごとに細かく定められています。そのうち1つでも条件を満たしていれば、保育士試験の受験が可能となります。以下で、受験資格の条件を詳しく見ていきましょう。
大学卒や短大卒の場合、保育士と関係がない学部や学科の出身でも受験資格があります。専門学校卒の場合は、別途条件があるため注意が必要です。その条件とは、学校教育法に基づく専修学校の専門課程(修業年限2年以上のものに限る)を卒業していることです。
高卒の場合は、卒業した年度によって受験資格の有無を判断します。平成3年3月31日以前に高校を卒業している場合、または平成8年3月31日以前に高校の保育科を卒業している場合は、保育士試験の受験資格があると認められます。
平成3年4月1日以降に高校を卒業している場合は、児童福祉法第7条に定められている児童福祉施設での、2年以上かつ2,880時間以上の実務経験が必要になります。
中卒の場合、保育士試験を受験するには、児童福祉法第7条に定められている児童福祉施設での、5年以上かつ7,200時間以上の実務経験が必要になります。中卒から保育士を目指すなら児童福祉施設で勤務した実績が必要ですが、高卒認定を取得して保育士の養成学校に通うという方法もあります。
大学や短大に在学中の人や中退した人も、保育士試験を受験できる可能性があります。大学なら、在学中、中退ともに、2年以上の在籍と62単位以上を修得済みであることが条件です。短大は在学中かつ「年度内に卒業すること」が条件となります。中退した人は、基本的には受験資格はありません。
さらに、専門学校についても、学校教育法に基づいた専修学校の専門課程(修業年限2年以上のものに限る)に在籍している場合、保育士試験の受験が可能です。中退した人は、基本的には受験資格はありません。
保育士試験の合格に必要な学習期間は、一般的に、100~180時間程度と言われています。1日の勉強時間が1時間の場合、学習期間は3ヵ月~6ヵ月程度が目安になります。
これはあくまで目安であり、勉強に集中できる状況か、科目の得意不得意などによっても学習期間には個人差が生じるため、なるべく学習スケジュールには余裕を持つと良いでしょう。
期間が短か過ぎると勉強が過密になり、タイトなスケジュールで継続が困難になります。一方、勉強期間が長過ぎると、モチベーションの維持が難しくなります。
保育士試験の合格を目指す上で、勉強の継続は欠かせません。
数ヵ月間、着実に学習を続けていくには、スケジュールの管理やモチベーションの維持がポイントになり、ライフスタイルに合わせて無理のないスケジュールで取り組むことが大切です。
学習スタート時からいきなり全力で取り組むより、まずは毎日の勉強時間の確保や習慣づけが、勉強を継続するコツです。
働きながら保育士資格の取得を目指す場合、1日の勉強時間が限られるため、無理のないスケジュールの設定が大切です。学習期間は長めに6ヵ月ほど確保すると良いでしょう。
保育士試験は例年4月と10月に実施されます。
着実に合格を目指すのにぴったりな学習の開始時期は、10月試験なら 4月頃、 4月試験なら前年の10月頃です。
このスケジュール設定であれば、1日の勉強時間は1時間程度でも間に合いますので、仕事と勉強の両立が可能となるでしょう。
最短3ヵ月で保育士試験の合格を目指す場合、1日に必要な勉強時間は3~4時間が目安です。
1日3~4時間ほどの勉強時間の確保が可能であれば、目指す試験が4月試験なら1月頃、10月試験なら7月頃が、ぴったりな学習のスタート時期です。
この場合、トータルの勉強期間の想定は約90~120時間と短めなため、スケジュールに沿って着々と試験対策を進めていく必要があります。
保育士試験の筆記試験対策を始める際は、最初にテキストを一通り読みましょう。いきなり練習問題を解くのではなく、まずは基本的な知識を頭に入れることが大切です。自分に合ったテキストを1冊用意し、しっかり読み込んでください。
ある程度勉強が進んで練習問題にも慣れてきたら、過去問題にチャレンジしてみると効果的です。過去問題は公式サイトで公開されているほか、過去問題集としてまとめられたものも販売されています。
保育士試験の内容は年度によって改訂されることもあるため、注意が必要です。たとえば、 令和2年以降の試験では一部の科目の名称が変更になると発表されています。最新情報を常にチェックし、新しい試験内容に対応できるようにしましょう。
実技試験の分野は、自分の得意なものを選ぶことがポイントです。たとえば、歌やピアノが得意なら「音楽に関する技術」、絵画が得意なら「造形に関する技術」、読み聞かせに自信があるなら「言語に関する技術」を選ぶといいでしょう。無理に不得意なものを選択する必要はないので、自分の強みを活かせる科目を選んでください。
実技試験で大切なのは芸術的な表現ではなく、子どもの興味や共感を集めることです。実技試験は人前でおこないますが、発表会やコンクールとは異なります。子どもを楽しませられる内容を意識することが大切です。
人前で実技を披露するのが苦手な場合は、家族や友人の協力を得て練習するといいでしょう。ぶっつけ本番でなければ、緊張も少しは和らげることができます。試験当日も服装は自由なので、練習するときも普段着で問題ありません。
保育士試験の合格率は23%前後で、難易度は高いといえます。
難易度が高い理由には、9科目全てを6割以上得点する必要がある合格ラインや実技試験があげられます。
このため、初めての方が独学で保育士試験を目指す場合、一発での合格は難しい状況が散見されます。
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保育士試験は科目数が多く、実技試験もあることが、1回で合格することを難しくさせていると言えます。
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1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。
社会人や主婦でも、保育士になるのは不可能ではありません。保育士になるには複数のルートがあり、勉強して資格を取得することで保育士を目指せます。忙しい社会人や主婦の多くは通学するのが困難ですが、通信教育を活用した勉強や独学なら資格取得が可能です。
保育士の平均年収は382万円となっています。保育士の平均年収は10年間で50万以上上昇しており、今後も給料が上がる可能性は十分にあるといえるでしょう。
保育士試験合格に向けて養成学校へ通学する場合、専門学校で200万円以上、短期大学で250万円以上、4年制大学は400万円以上の学費が必要です。それに対して通信講座の受講費用は、およそ5~10万円程度で済みます。独学で勉強する場合は、教材費として5,000円から1万円程度です。
子どもたちの成長を見守る保育士は、楽しくてやりがいのあふれる仕事。「保育のプロ」として、生涯役立つ国家資格です。
子どもが好きな方には天職ともいえる仕事で、出産や子育ての経験も活かせます。共働き世帯の増加や待機児童の増加により社会的ニーズも高く、保育所をはじめとした児童福祉施設など、活躍の場も多彩です。
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