保育士試験の受験資格と実務経験をやさしく解説!難易度や勉強法も紹介
保育士試験の受験資格や難易度などを解説します。必要な実務経験や勉強方法についてもご紹介。
保育士として働くためには「保育士資格」が必要です。一般的には専門学校などの保育士養成施設を卒業することで資格を取得することができますが、仕事などの都合で保育士養成施設に通うことができないという方もいることでしょう。
他にも、保育士養成施設の卒業だけでなく、保育士試験を受験し、合格することでも資格を取得できます。しかし、難易度や合格率、勉強方法など、気になることがたくさんあるのではないでしょうか。
そこで今回は、保育士試験の難易度、合格率、勉強方法についてご紹介します。
保育士試験の合格率は近年23%前後で推移しており、最新の2023年(令和5年)度の合格率は26.9%(受験者数66,625人、合格者数17,955人)でした。2022年(令和4年)度の合格率は29.9%(受験者数79,378人、合格者数23,758人)と、2020年(令和2年)度前期試験がコロナ感染症の影響で中止となったため、受験者数が例年より多くなっており、2023年も引き続き、その傾向が見られます。
過去10年分の受験者数、合格者数と合格率は以下の通りとなっています。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2023年 | 66,625 | 17,955 | 26.9% |
2022年 | 79,378 | 23,758 | 29.9% |
2021年 | 83,175 | 16,660 | 20.0% |
2020年 | 44,914 | 10,890 | 24.3% |
2019年 | 77,076 | 18,330 | 23.8% |
2018年 | 68,388 | 13,500 | 19.7% |
2017年 | 62,555 | 13,511 | 21.6% |
2016年 | 70,710 | 18,229 | 25.8% |
2015年 | 46,487 | 12,962 | 22.6% |
2014年 | 51,257 | 9,894 | 19.3% |
23%前後という合格率から見ても、保育士試験の難易度は高いと言えます。難易度が高い理由としては、合格ラインが「9科目全て」を6割以上得点する必要があるためです。1科目でも落としてしまうと合格できません。 しかし、合格した科目は3年間有効になるという制度があるため、この制度を利用して2~3年の長期計画で受験することもできます。
保育士試験の筆記試験は全部で9科目あります。明確な勉強時間は公式に発表されていませんが、厚生労働省が通知する短大での講義における各科目の必要単位数から大体の目安時間を算定してみました。筆記試験の合計の勉強時間は、100時間程度必要と言えます。
科目名 | 種類 | 勉強時間(目安) |
---|---|---|
保育原理 | 必須 | 16時間 |
教育原理及び社会的養護 | 必須 | 10時間 |
子ども家庭福祉 | 必須 | 8時間 |
社会福祉 | 必須 | 4時間 |
保育の心理学 | 必須 | 10時間 |
子どもの保健 | 必須 | 6時間 |
子どもの食と栄養 | 必須 | 4時間 |
保育実習理論 | 必須 | 44時間 |
保育士試験の受験回数を見てみると、一発で合格する方よりも2回受験して合格する方の方が32.9%と最も割合が高いです。科目数が多く、実技試験もあることが、1回で合格することを難しくさせていると言えます。
筆記試験で一度合格した科目は3年間有効なため、一発合格を目指す方よりも、2~3回受験して合格までの余裕を持たせるという考えの人が多いでしょう。
保育士試験に合格し保育士となった人の最終学歴をみると、半数以上の人が4年制大学を卒業した人でした。福祉大学や福祉科など、保育と関わりのある大学を卒業した人がそのまま保育士試験を受けるというケースが多いのでしょう。
受験資格では、短期大学や4年制大学を卒業した方は学科や学部に関係なく受験できるので、保育関係以外の学部を卒業した人でも独学などで勉強して保育士試験に臨むというケースもあると考えられます。
最終卒業学校 | 割合 |
---|---|
中学校 | 0.1% |
高等学校 | 14.5% |
短期大学 | 15.6% |
4年制大学 | 54.1% |
大学院 | 4.7% |
専修学校 | 7.9% |
その他 | 2.2% |
無回答 | 0.8% |
保育士試験では筆記試験と実技試験が行われ、それぞれに合格することで保育士の資格を取得できます。
筆記試験はマークシート方式で、問われる科目は全部で9科目。合格ラインは各科目100点満点のうち6割以上です。一度合格した科目は3年間有効のため、1回の受験で全て合格できなくても大丈夫。また、幼稚園免許所有者であれば、免除申請をすることで、一部科目が免除されます。
実技試験では、言語・音楽・造形(絵画制作)のうち2科目を選択して試験を行います。合格ラインは選択した2科目それぞれ50点満点のうち6割以上です。
2024年は前期試験が、筆記試験:令和6年4月20日(土)、21日(日)、実技試験:令和6年6月30日(日)に、 後期試験が、筆記試験:令和6年10月19日(土)、20日(日)、実技試験:令和6年12月8日(日)に実施されます。
保育士試験に合格するためには、どのように勉強したら効率が良いのでしょうか?それぞれのメリットを確認してみましょう。
専門学校の場合は、2~3年かけて必要な課程を修了し、卒業することで保育士の資格を得ることができます。保育士試験の受験が不要という点が大きなメリットです。ただし、保育士試験を受験し、合格しなければ資格を取得できない専門学校もあるため注意が必要です。
また、専門学校は仕事をしている方や主婦の方にとっては時間の都合をつけるのが難しい、四年制大学より安いとはいえ、通信教育や独学に比べると費用がかかるなどのデメリットがあります。
通信教育の場合、テキストは通信教育で制作されたオリジナルのものが届き、添削指導が受けられる他、疑問点も質問できます。また、急な法改正にも迅速に対応してくれるものもあります。法改正の情報を見逃すことがない点は、通信教育の強みの1つといえるでしょう。
実技試験対策だけのコースを設けている通信教育もあるため、筆記試験は独学で対策し、実技のみ通信講座を受けるという選択肢もあります。
現在は保育士試験のためにさまざまなテキストや参考書が発売されているため、独学でも勉強することは可能です。全国保育士養成協議会のホームページでは過去の保育士試験を公開しているため、これを参考に勉強することもできるでしょう。
しかし、独学の場合は、多くの参考書の中から自分に合ったものを選別するための時間と工夫が必要です。また、法改正など試験に関する情報を自分で収集しなくてはなりません。
保育士試験は、2016年より全国で年に2回実施されるようになり、試験に挑戦できる機会は増えました。しかし、依然合格率は低いままです。保育士試験の対策には専門学校・通信教育・独学などさまざまな方法があるため、自分の環境を考慮した最適な勉強方法を選ぶようにしてください。時間も費用もかけて良いなら専門学校、時間をかけても良いが費用はかけたくないなら独学、費用を多少かけて最短での合格を目指すなら通信教育が適しています。
自分のライフスタイルに合った勉強方法を選択し、合格に向けた1歩を踏み出しましょう。
1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。
保育士の平均年収は382万円となっています。保育士の平均年収は10年間で50万以上上昇しており、今後も給料が上がる可能性は十分にあるといえるでしょう。
社会人や主婦でも、保育士になるのは不可能ではありません。保育士になるには複数のルートがあり、勉強して資格を取得することで保育士を目指せます。忙しい社会人や主婦の多くは通学するのが困難ですが、通信教育を活用した勉強や独学なら資格取得が可能です。
保育士試験合格に向けて養成学校へ通学する場合、専門学校で200万円以上、短期大学で250万円以上、4年制大学は400万円以上の学費が必要です。それに対して通信講座の受講費用は、およそ5~10万円程度で済みます。独学で勉強する場合は、教材費として5,000円から1万円程度です。
子どもたちの成長を見守る保育士は、楽しくてやりがいのあふれる仕事。「保育のプロ」として、生涯役立つ国家資格です。
子どもが好きな方には天職ともいえる仕事で、出産や子育ての経験も活かせます。共働き世帯の増加や待機児童の増加により社会的ニーズも高く、保育所をはじめとした児童福祉施設など、活躍の場も多彩です。
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