• 更新日:2024/03/04

簿記2級は、さまざまな財務処理にも対応できるため、多くの企業から求められる資格です。しかし試験はやや難易度が高く、十分な勉強時間を確保する必要があります。

この記事では、簿記2級を独学で取得しようと考えている人に向けて、必要な勉強時間の目安や効果的な勉強方法を紹介します。独学での勉強の仕方に不安を感じている人は、参考にしてみてください。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • 合格に必要な勉強時間の目安は、経験者が250~350時間、初学者が350~500時間ほどと、状況により大きく差がある。
  • 簿記2級は難易度があがるため、学習スケジュールを立て、スキマ時間を活用し、学習時間を確保するなど、効率良い学習が鍵。
  • 簿記2級の試験対策には、適切なテキストと電卓選びが重要。テキストは自分に合うレベルで、丁寧な解説のものを選ぶ。

簿記2級について

経理のできる人材の証明となるのが簿記2級の技能です。企業規模だけでなくどんな業種からも必要とされるスキルのため、活躍のフィールドが広いのも特徴。サービス業やメーカー、販売会社はもちろん、医療関連分野や各種の個人事務所など、多くの業種で求められています。知名度・信頼度ともにバツグンで、時代に左右されない高いニーズがある資格です。会社内での評価アップも期待でき、就職・転職にも有利にはたらきます。さらに自営業の方や家計を見直したい主婦の方にも役立つスキルです。一度取得すれば更新の必要もなく、一生モノの資格になります。しかし試験はやや難易度が高く、十分な勉強時間を確保する必要があります。

簿記3級との違い

簿記3級は経理業務の入門資格であり、経理・会計に必要な「基礎知識を持っていること」の証明となる資格です。2級は試験の難易度が高くなりますが、その分実務に沿ったより深くて広い簿記の知識・スキルが身につき、3級と比べ取得によるメリットも格段にアップします。​

試験範囲は3級は「商業簿記」のみがですが、2級からは「工業簿記」が新たに追加されます。工業簿記の技能が身につけば、製造業における経理業務も可能になります。簿記3級を持っていなくても簿記2級の受験は可能ですが、試験では簿記3級の知識があることを前提に出題されます。簿記の学習は初めてという方は、まず3級からの学習がおすすめです。

最低限必要な勉強時間

日商簿記2級の合格に必要な勉強時間の目安は、簿記経験者なら250〜350時間、初学者なら350〜500時間ほどです。

まず、勉強時間の目安を、簿記経験者と初心者に分けて説明します。

簿記経験者が2級取得を目指す場合

簿記3級程度の知識がある人が、簿記2級合格を目指すために確保したい勉強時間の目安は以下の通りです。

独学の場合は、250時間~350時間が目安です。期間は4~6カ月程度になります。また、通学・通信講座なら150時間~250時間が目安です。同じ学習期間でも1日あたりの学習時間を減らすことが可能です。簿記に関する基本的な知識はもっているため、独学でも半年間の勉強時間を確保できれば合格を目指せます。

しかし、簿記3級にはなかった工業簿記が加わるため、学習範囲が増えます。通信講座などを活用すれば効率よく学習できるため、勉強時間を短縮できます。

簿記初心者が2級を目指す場合

簿記初心者の場合は、簿記経験者に比べて合格までの期間が長くなります。勉強時間の目安は350~500時間程度、期間は6~8カ月くらいです。

簿記初心者は一から簿記を学んでいく必要があり、また独学の場合は不明点が出てきても自分で調べて解決しなければなりません。スムーズに学習を進めるためには、初心者でも理解しやすいテキストを用意することも大切です。

また、勉強の進め方を間違えてしまうと、合格まで遠回りすることにもなります。事前に簿記2級試験の出題傾向を調べるなど、情報収集も大切です。

効率的な勉強が必須

簿記2級は難易度があがるため、効率良い勉強がカギに。学習スケジュールを立て、通勤や休憩中も上手く活用し、学習時間の確保を!

簿記2級は、簿記3級にはない工業簿記が科目に加わります。工業簿記とは、製造業に関する簿記を指します。そのため、モノづくりの取引に関する専門用語などの知識がないと、テキストを読んでもイメージがわきづらく、合格のハードルがより高くなると考えられます。

そのため、勉強方法にも工夫が必要です。「3級は独学で合格したけど、2級は落ちてしまった…」「きちんと理解しないまま進めてしまった…」など、独学で失敗してしまったケースも少なくありません。特に、隙間時間で勉強する必要がある社会人は量よりも質が大切です。通信講座のテキストなどを積極的に使用するのが効果的でしょう。通信講座のテキストであれば、試験で必要な知識を効率よく学べるため、勉強時間の短縮につながります。

また、効率よく勉強するためには、学習スケジュールを立てることも大切です。たとえば、通勤時間や休憩時間は資格試験の勉強に費やすと決めるなど、決まった勉強時間を確保しましょう。

しかし、簿記2級は難易度が高くなる分、実務に沿ったより深くて広い簿記の知識・スキルが身につき、取得によるメリットも格段にアップします。

効率的な勉強の準備に必要なもの

簿記2級の勉強の効率アップには、適切なテキストと電卓選びが重要!テキストは自分のレベルに合っていて、解説が丁寧なものを。

効率的に勉強するためには、勉強への事前準備が大切です。準備をしっかりしておくことで、スムーズな勉強につながります。ここでは、どのような準備が必要なのか説明していきます。

テキスト選び

勉強を始める準備として、まずはテキスト選びが重要です。テキスト選びのポイントは、現在の自分のレベルに合っていることと、丁寧な解説があるかどうかです。自分のレベルに合わない難解なテキストを選んでしまうと、簿記に対して苦手意識が生まれてしまい、勉強の効率も落ちます。特に簿記初心者は、理解しやすいテキストを選びましょう。

また、何冊もテキストを買い込まないようにしましょう。複数のテキストに手をつけてしまうと、どれも中途半端になってしまいがちです。自分のレベルに合っているものを厳選して選びましょう。

電卓に慣れる

簿記2級の試験では計算問題が出題されるため、早めに電卓を用意しましょう。電卓は小さいものより大きめのものを使用すると、入力ミスを防げます。また、普段から使用することを考慮して耐久性の高いものを選びましょう。

簿記2級の試験は時間との勝負でもあり、電卓に慣れておくことで、計算問題も素早く解くことができます。

効果的な勉強方法

簿記2級の効果的な勉強方法は、テキストを何度も読み、過去問を中心に取り組むこと。ミスの傾向を把握することで、的を絞って効率アップ!

次に、簿記2級の効果的な勉強方法を紹介します。

素早く何回もテキストを読む

厳選したテキストを何回も読み込んで記憶を定着させましょう。特に社会人の方はまとまった時間がなかなか取れないことも多いため、隙間時間を活用して素早く読むことを意識することが大切です。復習のために数回繰り返し読み、理解をさらに深めていきましょう。複数のテキストに手を出さず、1冊のテキストを完璧に理解することが効率のよい学習につながります。

過去問を中心に解く

テキストの内容を理解できても、問題が解けるようになったわけではありません。実践力を身につけるために、過去問を中心に解いてみましょう。その際本番を想定して時間を計り、どのような時間配分で問題を解けばよいのか確認しておくことも大切です。

簿記2級の試験では、以前出題された問題と類似した問題が出されることがあります。過去問に慣れておけば、本試験の問題も解きやすくなるでしょう。

ミスの傾向を見つける

過去問を解いていくなかで自分が犯しやすいミスの傾向を知ることが重要です。ミスの傾向を把握することで、知識が足りない箇所に的を絞って勉強し直すことができます。

たとえば、計算問題で間違っている箇所が多いなら、そういった問題を中心に復習します。正解できなかった箇所はメモをしておき、集中的に勉強しましょう。

合格への戦略を立てる

簿記2級の合格には戦略が不可欠です。工業簿記を得点源に40点を目指し、出題パターンを覚え、追加論点を狙って、確実に点数を稼ぐ!

簿記試験2級に合格するには、合格への戦略を立てることが大切です。

工業簿記を得点源にする

簿記2級の試験は、商業簿記3問、工業簿記2問の計5問で構成されています。配点は各問20点ずつです。確実に合格を狙うには、工業簿記で40点を目指したいところです。

工業簿記では、数種類ある原価計算からの出題が多く、またCVP分析に関する問題が出ています。計算はさほど難しくなく、算数の基礎力があれば解けます。そのため確実に点数を稼げる工業簿記を中心に勉強を進めることが、合格へのカギです。

出題パターンを覚える

過去問を解いて、どのようなパターンで問題が出題されるかも把握しておきましょう。先ほども少し説明したように、簿記2級の試験では過去問の類似問題が出題される傾向があるため、出題パターンを知っておくと効率よく学習を進められます。

しかし、過去問を覚えれば合格できるというわけではありません。どのような問題が出題されても対応できるように、基礎的な力は確実に身につけておきましょう。

追加論点を狙う

簿記2級試験は、平成28年度から30年度にかけて出題区分の大幅な改定が行われています。改定後は新しい論点が追加され、学習範囲が増えました。たとえば、追加論点として「税効果会計」「連結会計」「製造業会計」が加わっています。

合格のための戦略として、こういった追加論点を狙っていくことも必要です。なぜなら、追加論点は試験で出題されやすい傾向があるからです。確実に点数を稼ぐためにも、追加論点に注目して学習を進めましょう。

まとめ

簿記2級の勉強は、やみくもにただ量をこなせば良いというわけではありません。しっかりと事前に戦略を立てて、効率的に勉強することが大切です。独学でも簿記2級試験の合格を目指せますが、より確実さを重視するなら通信講座を積極的に活用するとよいでしょう。

ユーキャンの簿記2級講座では、出題傾向を徹底的に分析したテキストで効率よく学習を進められます。サポートも充実しており、動画で学べるデジタル学習サイトが好評です。工業簿記が苦手な人でも理解しやすいので、簿記2級の取得を考えているなら、ぜひ受講を検討してみてはいかがでしょうか。

生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

よくある質問

簿記2級が転職に有利な理由とは?

簿記2級は「経理の知識を一通り身につけ、企業の経営状況を正確に算出できる人材」として企業から評価され、求められており、転職に有利です。簿記2級を取得していれば、たとえ実務経験がなくても、即戦力の人材として評価される傾向もあります。

簿記2級の過去問の入手方法は?

過去問題集を購入する場合、出題区分改定後、最新の過去問を選ぶことが大切です。学習効率が上がるので、試験の出題頻度が掲載されているといいでしょう。

簿記2級の資格が活かせる職種は?

簿記2級の資格が活かせる職種には、企業の経理・財務部門、会計事務所・税理士事務所、証券会社や銀行の金融部門、コンサルタント部門、営業部門などが挙げられます。簿記2級は「経理の知識を一通り身につけ、企業の経営状況を正確に算出できる人材」として企業から評価されます。

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簿記3級や経理初心者からのステップアップに!

経理の仕事には、会計処理や帳簿作成、決算処理があり、経理のできる人材の証明となるのが簿記2級の技能です。企業規模や業種を問わず、経理は必要不可欠。そのため、簿記2級の資格保有者は企業から求められ、重宝されます。
簿記2級は知名度・信頼度ともにバツグンで、時代に左右されない高いニーズがある資格。会社内での評価アップが期待でき、就職・転職にも有利にはたらきます。自営業の方や家計を見直したい主婦の方にも役立つスキルです。
ユーキャンの「簿記2級講座」では、わかりやすい教材・テキストをご用意。ここ数年で段階的に行われてきた試験範囲の最終変更に対応しています。ストーリー漫画や図解、イラストなどが理解を助けるので学習もスムーズに。つまづきやすいポイントも丁寧に解説しています。なおペーパー試験を受験する場合、記述対策が合格のポイントになります。解答の様子を撮影した動画で、理解がよりスムーズになります。
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