簿記とは?検定の種類や試験内容を初心者向けにわかりやすく解説
初心者に向けて簿記検定の概要や各級ごとの特徴、勉強方法について解説しています。初心者がやってはいけない注意点にも触れています。
経理の仕事で役立つ資格といえば、まず簿記が挙げられます。お金を扱う仕事をする際にも幅広く活用できるため、資格取得を考えている人も多いのではないでしょうか。
初歩から簿記を学ぶなら、まずは日商簿記3級の取得を目指しましょう。試験に合格するためには、資格の概要を知って、受験対策を立てることが大切です。この記事では、簿記3級の取得を目指す人のために、資格の概要や試験の合格率、勉強の進め方などを詳しく説明します。
簿記とは、企業の事業資金の流れを記録し、財政状況を明らかにするために必要な技術です。経理関連書類を理解し、青色申告などの書類も作成できるようになります。
簿記は、ビジネス関連の資格のなかでも登竜門的な資格とされ、認知度が高く、毎回4万人前後が受験するほど人気があります。どんな資格なのか、以下のページでさらに詳しく確認しましょう。
日商簿記3級の合格率は概ね40~50%ですが、回によって変動します。また、この合格率は実受験者に対する合格者の割合です。日商簿記3級の試験においては、受験の申し込みをしても、実際には受験しない人が毎年一定数存在するからです。約10人に2人が受験の申し込みをしたにもかかわらず、受験しないのが現状です。
合格率が約40~50%では難しいのでは、と感じた人もいるかもしれません。しかし、受験者のなかには、学校や仕事の関係でなんとなく試験を受けたり、十分な試験対策をせずに試験に挑んだりする人もいます。このような受験者が全体の合格率を下げている側面もあるため、さほど心配する必要はありません。
日商簿記3級試験(統一試験)では、第166回(2024年2月25日)〜第157回(2021年2月28日)までの10回の平均合格率は36.9%です。第158回は28.9%、第159回27.1%と低いですが、合格率は例年、約40〜50%前後となっています。
日商簿記3級試験では2020年12月からネット試験が始まり、合格率も公表されています。簿記3級ネット試験の合格率は平均40.1%となっており、統一試験の合格率よりはやや低いものの、大きな差はありません。統一試験は回によって難易度が違うことがありますが、統一試験の場合は、開始以降、合格率が安定しています。
以下の表は、過去10回分の簿記3級試験(統一試験)と2024年3月以前の簿記3級試験(ネット試験)の合格率です。統一試験の合格率は「合格者数÷実受験者数」によって算出されています。申し込んでも受験しなかった人は除外されているので、より正確な数値といえるでしょう。
回(実施年月日) | 受験者数(人) | 実受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|---|
166(2024.2.25) | 28,565 | 23,977 | 8,706 | 36.3 |
165(2023.11.19) | 30,387 | 25,727 | 8,653 | 33.6 |
164(2023.6.11) | 31,818 | 26,757 | 9,107 | 34.0 |
163(2023.2.26) | 37,493 | 31,556 | 11,516 | 36.5 |
162(2022.11.20) | 39,055 | 32,422 | 9,786 | 30.2 |
161(2022.6.12) | 43,723 | 36,654 | 16,770 | 45.8 |
160(2022.2.27) | 52,649 | 44,218 | 22,512 | 50.9 |
159(2021.11.21) | 58,025 | 49,095 | 13,296 | 27.1 |
158(2021.6.13) | 58,070 | 49,313 | 14,252 | 28.9 |
157(2021.2.28) | 70,748 | 59,747 | 40,129 | 67.2 |
期間 | 受験者数 | 合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|
2023年4月~2024年3月 | 238,155 | 88,264 | 37.1 |
2022年4月~2023年3月 | 207,423 | 85,378 | 41.2 |
2021年4月~2022年3月 | 206,149 | 84,504 | 41.0 |
2020年12月~2021年3月 | 58,700 | 24,043 | 41.0 |
日商簿記3級の合格点は100点満点中70点なので、7割以上の正解を目指す必要があります。7割以上の正解といっても、日商簿記3級の試験は基本的な知識を問われる問題が多く、計算問題は電卓が使用できます。そのため、時間配分が適切ならば十分に7割の正解を目指せるでしょう。
日商簿記3級の合格率は40~50%と高く、難易度は比較的低いといえます。簿記3級の受検者は簿記検定を初めて受ける人が多く、その中で2人に1人は受かる傾向にあります。しっかりスケジュールを立て、きちんと勉強をすれば合格を目指せます。
簿記3級の難易度は比較的易しく、2人に1人は受かる傾向にありますが、言い換えれば2人に1人は不合格になっています。ここでは難しいと言われるポイントを解説します。
会計や経理の仕事にこれまで携わったことがない方がいきなり簿記3級の勉強を始めると、これまで馴染みのない用語が複数出てきます。例えば、「勘定科目」「貸借対照表」「損益計算書」「仕訳」など、聞いたことがあったとしても、実際どういうものなのかイメージがつきづらい方も多いでしょう。
いずれも簿記を理解するうえで必要不可欠な用語ですのでしっかり理解する必要があります。
仕訳とは「取引が生じたら、その取引内容を勘定科目を使って金額とともに、左と右に仕分けて記入する」ことをいいます。その際、難しいのは左と右どちらに分けるかという仕訳のルールを覚えることです。例えば「資産が増えたときは左側(貸方)に記入」といった決まったルールを覚える必要があります。
さらに、仕訳を行うには勘定科目を暗記する必要があります。勘定科目とはお金や取引内容のを表すラベルのことで、「資産」「負債」「純資産」「収益」「費用」に大きく分類されます。さらに、「資産」には「現金預金」「貸付金」「備品」「土地」「商品」など多数の科目があり、それぞれの名称と意味を理解する必要があります。
日商簿記3級に合格するためには、概ね100時間の勉強時間が必要です。1日約3〜4時間勉強すれば1カ月程度で合格を目指せます。実際には、1日約2〜3時間を勉強に充て、3カ月かけて学習を進める人や1日30~60分を勉強に充てて、4~5カ月かけて試験に臨む人が多いようです。しかし、毎日決まった時間を確保することが難しいと感じる人もいるでしょう。
その場合は、休日に集中して勉強したり、仕事の休憩時間や通勤時間などの空いた時間で勉強をしたりするなど工夫しましょう。
簿記3級の取得は、社会人が経済に関する一般常識を得たり、仕事のスキルアップ、就職・転職が有利になるなど、さまざまなシーンで役立ちます。では、簿記3級の資格を取ることで、具体的にどのようなメリットがあるのか、以下のページから確認してみましょう。
簿記3級を取得する過程で身につけた知識は、主に企業の経理部門や税理士事務所、会計事務所などの職場でダイレクトに活かせます。
企業の経理部員は、企業の経営状況を把握する専門職です。会社の活動を数字で表すため、帳簿記入を行ったり、決算書を作成したりします。仕事内容は幅広く、領収書の整理、請求書作成、給与台帳の作成から、現金預金や手形などの管理、買掛金管理や売掛金管理、伝票作成やデータ入力、固定資産や減価償却の管理、決算書の作成、税務会計、法人税等の納付などを行います。
会社の規模によっても、ひとりの経理担当者が担当する仕事の内容は変わってきますが、業務改善の提案を行う場合もあり、簿記の知識が重要になる仕事です。
企業規模によって大きく変わってきますが、経理の年収は所属する平均約396万円というデータがあります。月給で換算すると33万円、初任給は21万円程度となるようです。また、経理の仕事は専門度が高い仕事も多く、企業規模と同時に個人によっても、給与に差が生じる場合が多いです。給与をアップさせるためには、簿記資格を取得することも有効です。
会計事務所ではクライアントに代わり、記帳代行(クライアントの帳簿作成を代行する業務)や決算業務(日々の記帳代行で作成する会計帳簿をもとに、貸借対照表や損益計算書を作成する業務)、税務申告(決算書をもとに税務申告書を作成する業務)などを行います。
会計事務所で働くには税理士や公認会計士の資格が必要だと思われがちですが、実際にはそうした難関資格を目指し勉強中の方や事務職の方が多く働いています。もちろん、会計事務所の事務員として働く場合も、簿記の知識は必要不可欠です。日常的な業務の中で公認会計士や税理士とやり取りするため、実践的なスキルが求められます。
会計事務所の仕事の平均年収は約469万円というデータがあります。月給で換算すると39万円、初任給は20万円程度となります。ただし、こちらの数値は税理士や公認会計士といった難関資格の有資格者が含まれた数値となるため、注意が必要です。キャリアアップや給与アップを目指すのであれば、比較的合格が目指しやすい簿記3級から検討することがおすすめです。
税理士補助とは、その名の通り税理士の業務を補助する仕事です。税理士の独占業務である税務代理、税務書類の作成、税務相談は税理士しか行えませんが、税理士の監督下で、税務署に提出する書類の作成やチェック、会計・税務ソフトを使用しての記帳代行や資料作りなど、補助的な作業を行うことはできます。税理士の業務負担を減らすためのサポート業務を行います。業務をサポートするにあたり、簿記の知識が必要となってきます。
税理士補助の給与に関するデータはありませんが、事業会社の事務職と同程度か少し上回るくらいといわれています。給与アップや、就職・転職を考えている場合は簿記資格があることで有利に働く場合があるでしょう。
日商簿記3級の試験に合格するためには、正しい勉強方法を把握することが大事です。どのように勉強すればよいのか、”5つのステップ” をご紹介します。
まずは、「そもそも簿記とは何なのか」という基本知識を身につけましょう。たとえば、「仕訳」「複式簿記」の意味を理解します。このステップでは、あまり多くの時間を割かず、概要の理解にフォーカスして効率よく学びましょう。
日商簿記3級試験の受験資格や受験料、申込方法などを紹介します。
受験資格 | とくにありません。どなたでも受験できます。 |
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実施団体 | 日本商工会議所 |
試験科目 | 商業簿記 |
試験時期 | 統一試験(ペーパー試験):年3回(6、11、翌年2月の日曜日) ネット試験:随時(テストセンターの定める日時) ※ネット試験は、統一試験(ペーパー形式)の前後に約10日の休止期間が設けられています。詳しくは、試験実施団体の日本商工会議所でご確認ください。 日本商工会議所検定試験ホームページはこちら |
試験時間 | 60分 |
合格基準 | 70点以上 |
受験料 | 3,300円(税込) |
その他 | 統一試験(ペーパー試験)の実施の有無は各地の商工会議所によって異なります。 中学生以上の方は、原則として氏名、生年月日、顔写真のいずれも確認できる身分証明書が必要です。詳しくは、試験実施団体の日本商工会議所でご確認ください。 日本商工会議所検定試験ホームページはこちら |
日商簿記3級の難易度は比較的やさしく、独学でも合格は目指せます。しかし、通信講座を受講したほうがより短期間で効率的な学習が可能です。また、簿記初心者でどういった対策をすればよいのかわからない人でも、通信講座であれば安心して勉強を進められます。特に、試験がはじめての人は積極的に通信講座を活用するとよいでしょう。
日商簿記3級の難易度は低めなので、独学でも合格は可能です。今回紹介した勉強のステップを意識して、簿記の理解を深めながら勉強を進めましょう。通信講座やスクールなどを利用するとより短期間で合格を目指すことができるでしょう。
通信講座を活用したい人は、ユーキャンの簿記3級講座がおすすめです。
ユーキャンの簿記3級講座では、初心者でも3カ月で簿記の知識を身につけられます。豊富な演習問題が用意されているため、試験合格に必要な実践力を養うことも可能です。日商簿記3級試験合格を目指す人は、ぜひユーキャンの簿記3級講座をご活用ください。
1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。
簿記検定には、日商簿記・全経簿記・全商簿記の3種類があります。日商簿記は、最も知名度が高く、社会人が取得することも多いため、就活にも有利です。
日本商工会議所は、難易度に差はないと発表していますが、最新の合格率はネット試験の方が高い傾向です。統一試験は試験回によって合格率・難易度に差が出ることもあるので、過去の試験傾向を確認しておくとよいでしょう。
簿記3級は、しっかり学習計画を立てれば、独学でも合格を目指せる資格です。簿記の中では比較的難易度が低い入門的な資格ですが、独学では勉強をやり遂げる強い意志が求められます。また、勉強時間の確保と最適なテキスト選びも重要なポイントです。
簿記とは、帳簿をつけるために必要な技能のこと。実務で役立つ経理、会計の基礎知識が習得できるので、会計や財務の知識を得ようというときの、はじめの一歩にぴったりの資格。将来的に、簿記2級へとステップアップも見込めるため、経理・会計のスペシャリストへの第一歩になる資格です。
簿記の有資格者はニーズが安定しているので、職・転職が有利に!資格は生涯有効なので、出産・子育て後の再就職にも役立ちます。
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