• 更新日:2024/05/08

国家公務員とは、国の機関で働く公務員です。府省庁の職員から専門職まで、幅広い職種があります。この記事では、国家公務員に興味がある人に向けて、国家公務員について解説します。総合職・一般職・専門職それぞれの試験概要や、職種の特徴、給料・年収も解説しているので、参考にしてください。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • 国家公務員とは、政府の根幹を支える立法、司法、行政の3つの機関で、国の公務を担う公務員。
  • 立法職は国会の各機関で働く職員、司法職とは裁判所で働く職員、行政職とは、内閣府・財務省・厚生労働省・文部科学省といった府省庁等で働く職員。
  • 国家公務員になるには1次2次試験に合格した後、官庁訪問で志望府省の面接を受け、内々定を得ることが必要。
  • なるための難易度は高いが、平均年収は650万円と高く、国のために働くやりがいの多い仕事として人気。

国家公務員とは

国家公務員とは、日本に採用される公務員です。採用先は政府の根幹を支える立法、司法、行政の3つの機関で、国の公務を担います。ここでは、立法職・司法職・行政職の特徴について解説します。

立法職

立法職とは、国会の各機関で働く職員です。衆議院事務局、参議院事務局、衆議院法制局、参議院法制局、国立国会図書館に国家総合職・国家一般職などとして採用されます。事務局では選挙で選ばれた国会議員のために調べ物をしたり、会議のサポートをしたりします。国立国会図書館では、本の管理や貸出対応などを行います。

司法職

司法職とは、裁判所で働く職員です。裁判所事務官、裁判所書記官、家庭裁判所調査官などは特別職の国家公務員です。裁判官は司法試験に合格した人ですが、裁判官のサポートをするのが国家公務員の仕事です。裁判所にある事務局において、裁判に関する事務や人事、会計などを担当します。

行政職

行政職とは、内閣府・財務省・厚生労働省・文部科学省といった府省庁や、税関・労務局などの地方機関で働く職員です。総合職、一般職、専門職があり、それぞれの担当業務を行います。総合職は全国転勤、一般職は関東甲信越や近畿などの行政区分別の採用です。

地方公務員との違い

国家公務員は、中央官庁やその出先機関で勤務する公務員です。一方で地方公務員は県庁や市役所などに勤務するため、働く場所に違いがあります。 また国家公務員は国家の運営に携わり、地方公務員は、地域住民や地域に密着した行政サービスを担います。

国家公務員 地方公務員
本質 国に勤務する公務員。国民の幸福を目的とし、国の運営に関わる仕事に従事する。 地方自治体(都道府県や市町村など)に勤務する公務員。各都道府県や市区町村の運営従事を行う。
働く場所 中央官庁やその出先機関など 県庁や市役所など
仕事内容 国の公式行事や国民全体にかかわる政策の企画立案など 治安、消防、水道、交通、教育、文化事業など、広く地域の生活全般にかかわる仕事
職種例 財務省や厚生労働省などの省庁や、裁判所などの職員 都道府県庁や市役所の職員、消防官や警察官など
区分 国家総合職、国家一般職 地方上級、地方中級、地方初級

国家公務員の職種

国家公務員には、さまざまな職種があります。ここでは、主な職種の特徴や仕事内容について解説します。

1府12省庁の職員

1府は内閣府、12省庁は総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省、復興庁を指します。職員は、制作や法令の企画・立案、議会対応、予算案の作成といった行政に関する事務を行います。

相互に重複する部分はあるものの、各省庁によって優先事項が違うため、希望省庁を選ぶ際は、どの方向性で社会貢献したいかの見極めが必要です。


総合職と一般職の違い

総合職と一般職は、仕事内容が違います。総合職はキャリア官僚と呼ばれ、幹部候補として中央省庁で勤務し、制作の企画・立案といった責任ある極めて高度な内容を扱います。国をデザインするようなダイナミックな仕事ができます。

一般職は中央省庁と地方機関で働く場合があります。事務処理や特定分野の専門的業務を担当し、政策の実行を行い、企画・立案を支える立場として仕事をします。

国税専門官

国税庁や各地の税務局で、税金関連の調査や指導を行うスペシャリストです。研修や実務経験を積んで法律や会計などの知識を身につけると、「国税査察官」「国税調査官」「国税徴収官」という3つの専門職に就けます。

「国税査察官」は脱税の疑いのある人に対して、適正な税の申告に関する調査・指導をする専門家、「国税調査官」は適正な納税申告が行われているかを調査する専門家、「国税徴収官」は対応された税金の督促や滞納処分、徴収を行う専門家です。

財務専門官

財務専門官とは、財政・金融の専門家として国有財産の管理運営を行う仕事です。財務省の出先期間である財務局に勤務し、財務省や金融庁の指示・委任を受けながら、国家予算の執行調査、金融機関の検査・監督、証券取引の監視、多重債務者の相談などの多様な業務を扱います。

地域経済の情勢を調査・分析する業務もあるため、各地域に足を運び、住民から信頼を得ようとする姿勢も求められます。

裁判所職員

裁判所職員は、裁判官が行う裁判以外のすべての仕事を担います。全国の裁判所や事務局に勤務し、裁判所や裁判が円滑に運用されるための手続き事務やサポートを行います。

裁判所職員には、「裁判所事務官」と「裁判所書記官」の仕事がありますが、最初は「裁判所事務官」としてキャリアを積む必要があります。その後、書記官試験に合格し研修を受けることで「裁判所書記官」になることが可能です。

労働基準監督官

労働基準監督官は、労働基準関連法令にもとづき、労働条件の確保や改善を図る厚生労働省の職員です。労働者と事業者の紛争を仲裁したり、労働災害の調査や予防に携わったりします。

さまざまな企業の問題解決のためには、労働法や刑法といった法律知識とともに、土木・建築などの科学知識などの幅広い知識と、双方の立場に配慮したバランス感覚が求められます。立場の弱い労働者の権利を守ることが使命であるため、責任を伴う職種です。

外務省専門職員

外務省専門職員とは、言語と地域のスペシャリストです。総合職で外務省に採用された職員は担当エリア内の各国を歴任しながら、大使や局長を目指します。一方、外務省専門職員はノンキャリアの外務省職員として、特定の言語と地域のスペシャリストを目指します。

外交官として相手国との交渉、情報収集、通訳を担当し、特定の国に精通できるようになるのが目標です。3〜4年ほどの間隔で本省と在外公館に繰り返し勤務します。

皇宮護衛官

皇宮護衛官とは、皇族の護衛と皇居の警備を行うスペシャリストです。警察庁の付属機関である皇宮警察学校に所属し、事件の調査や犯罪者を逮捕する権限を持っています。高い教養と正しい振る舞いが求められるため、刑法や行政法、武道だけでなく、語学、書道も身につけなければなりません。

皇宮護衛官は皇居以外に、東京都の赤坂御用地や、奈良県の正倉院など、さまざまな配属先があります。

食品衛生監視員

食品衛生監視員とは、厚生労働省の管轄になる全国の保健所や検疫所に勤務し、食の安全・安心を守る職種です。輸入食品の病害虫検査、国内の食品関係事業の監視・指導、飲食店の食中毒調査などを行っています。食品衛生監視員を目指すには、受験資格で大学で薬学、畜産学、水産学、農芸化学の課程を修めて卒業した人といった条件が定められているため、事前に該当するかを確認しましょう。

法務省専門職員(人間科学)

法務省専門職員は、犯罪を犯した人に対する更生の援助や教育を行う国家公務員です。平成24年(2012年)に旧試験制度を統合し、新設された採用試験です。
法務省専門職員には「矯正心理専門職」「法務教官」「保護観察官」の3つの職業区分があり、それぞれ役割が定められています。法務省専門職員に含まれる3つの職種について解説します。


矯正心理専門職

矯正心理専門職とは、更生プログラムを考える法務省専門職員で、非行や犯罪の原因分析を実施し、社会復帰につながる手段を見つけ出すのが主な仕事です。なぜ犯罪に手を染めたのか、何が原因となって行動につながったのかを分析し、そこから社会復帰の手がかりとなるヒントを導き出します。

法務教官

法務教官は、非行を犯した少年や、刑事施設に収容されている受刑者などに対して矯正教育を実施します。面接や行動観察を通して、非行少年が抱える問題の発見や解決を目指します。ただ決められた教育を施すのではなく、相手に合わせたプログラムを組み立て、更生につながるサポートを実施します。

保護観察官

保護観察官は、受刑者や非行少年の出所後の生活を支援する法務省専門職員です。生活のサポートや、再犯防止に必要な対策を担当します。なかには、自暴自棄や、犯罪に対するリスク軽視から、再犯につながるケースもあります。保護観察官はそういった事態を防ぐために、生活を支援する職務を担います。

防衛省専門職員

防衛省専門職員は、防衛省・自衛隊で、事務官、技官、教官等などに任命される国家公務員です。
本省内部部局などの中央機関で、防衛政策の企画・立案等や、全国各地の部隊・機関の防衛行政に関する次のような職務を担います。


防衛省専門職員の主な職務

  • 諸外国との交渉
  • 国際会議の通訳
  • 自衛官への語学教育
  • 海外資料の収集・分析
  • 国際関係、地域情勢(政治・経済・外交・文化・民族問題・最新技術など)、軍事情勢などの収集・分析等

防衛省専門職員の採用試験

採用試験では、「英語」「ロシア語」「中国語」「朝鮮語」「フランス語」「アラビア語」「ペルシャ語」「インドネシア語」の試験区分に分かれます。年度によって採用されない区分があります。

国立国会図書館

国立国会図書館は、国会と同じ立法府に属する唯一の国立の図書館であり、国立国会図書館職員の職員は、国立国会図書館(東京本館)、上野の国際子ども図書館、京都の関西館に勤務する国家公務員です。

国会の諸活動を補佐する役割を担い、業務内容は、主に「調査業務」「司書業務」「一般事務」の3つにわけられます。

  • 調査業務…国会議員が法律を作る際のサポートとして、立法案の分析・評価、政治・経済・社会の調査・資料提供など
  • 司書業務…膨大な資料や書籍の整理、保管、データベース化など
  • 一般事務…図書館の運営を維持するための総務、人事、連絡調整など

衆議院/参議院事務局

衆議院事務局職員・参議院事務局職員は、国政の最前線である国権の最高機関(国会)で、各議会や各委員会などの国会審議を円滑に運営するために、衆議院・参議院事務局の局員として裏方で支える国家公務員です。

仕事の内容は主に、会議のための資料作成や議事手続きの事務などの会議運営のサポート、政策立案の支援として議員の依頼や議案の審査のための調査・分析業務、会議の速記や議事録の管理をする記録業務、議長や役員・議員の活動を補佐する総務的な業務などがあります。

国家公務員の給料・年収

国家公務員を目指すなら、給料・年収も気になるところです。平均年収や職種別・年齢別の給料、ボーナスなどについて解説します。

平均年収は650万円

人事院給与局の2020年国家公務員給与実態調査報告書によると、国家公務員の平均基本給(俸給)は337,788円で、各所手当を加えた平均給料は月額416,203円です。2021年版国家公務員の給与によると、一般職の場合のボーナスは、年間4.45月分が年2回に分けて支給されています。平均給料の月額とボーナスから平均年収を計算すると、以下のとおりです。

平均年収=(416,203円×12か月)+(337,788円×4.45月分)=649.8万円

ただし、上記は単純計算したもので、役職や勤務年数により差が出ます。



給料の仕組み

国家公務員の給料は、法律で俸給表に定められています。勤続年数や役職によって、俸給が上がる年功序列制度が採用されています。俸給表をベースに、住居手当、通勤手当、地域手当などが加算される仕組みです。勤続年数が増えて役職がつくほど確実に収入が増え、安定した年収が得られることは、国家公務員の魅力です。

職種別の給料

職種別の給料にも差があります。人事院給与局の2020年国家公務員給与実態調査報告書によると、職種別の平均基本給は以下のとおりです。

俸給表 職種 俸給(平均基本給)
行政職俸給表(一) 一般行政事務職など 327,564円
行政職俸給表(二) 技能・労務職員 287,283円
専門行政職俸給表 航空管制官、特許庁の審査官など 351,085円
税務職俸給表 税務署職員など 435,038円
公安職俸給表(一) 皇居護衛艦、刑務官など 319,832円
公安職俸給表(二) 海上保安官など 340,023円
指定職俸給表 事務次官、局長など 855,171円

職種により大きな差が出ることがわかります。もっとも平均基本給が高い職種は、指定職俸給表に該当する事務次官や局長などです。


年齢別の給料

国家公務員は、勤続年数によって収入が上がる年功序列制度を採用しています。人事院給与局の2020年国家公務員給与実態調査報告書の、行政職俸給表(一)の大学卒の年齢層別の平均基本給を表にまとめました。

年齢階層 大学卒
20歳未満 213,015円
20歳以上24歳未満 218,659円
24歳以上28歳未満 244,531円
28歳以上32歳未満 287,193円
32歳以上36歳未満 342,172円
36歳以上40歳未満 391,381円
40歳以上44歳未満 426,525円
44歳以上48歳未満 465,705円
48歳以上52歳未満 506,158円
52歳以上56歳未満 527,778円
56歳以上60歳未満 528,616円
60歳以上 509,060円

20代のうちは民間企業に比べると少ない場合もありますが、30代になると国家公務員の平均収入に届くくらいの給料を得られます。40代では生活に不自由しない給料が得られますが、職種や出世などによる差が出る時期です。50代は組織のトップに立ち、責任のある立場になるケースもあるため、20代に比べると2倍以上の給料を得られます。


手当

国家公務員は、業務内容や役職に応じて支払われる手当が豊富です。生活補助としては扶養親族のある職員に支給される「扶養手当」、借家に住む職員に支給される「住居手当」、「通勤手当」「単身赴任手当」があります。

地域を考慮した手当としては、民間賃金の高い地域に勤務する場合に支給される「地域手当」、寒冷地に在勤する職員に支給される「寒冷地手当」などがあります。そのほか職務の特殊性や、時間外勤務に対する手当も充実しています。

ボーナス

国家一般職の場合、2021年4月1日現在のボーナスは年間4.45月分で、6月と12月に年間2回に分けて支給されます。ボーナスは、民間企業と給料の格差が生じないように設定されています。期末手当2.55月分と勤勉手当1.9月分に分かれており、勤勉手当は人事評価の結果に基づき支給されます。


退職金

国家公務員の退職金は、国家公務員退職手当法にもとづいて支給されます。職員が長期間継続勤務した勤続報償の要素が強いものとして理解されています。退職手当は、以下のように計算されます。

退職手当=基本額(退職日の俸給月額×退職理由別・勤続期間別支給割合)+調整額

国家公務員になるには

国家公務員になるための手段・流れについて、総合職・一般職・専門職・経験者に分けて解説します。

総合職

総合職になるには、院卒者試験または大卒程度試験の2つの試験があります。大卒程度試験の場合は、第1次試験で基礎能力試験・専門試験、第2次試験で専門試験・政策論文・人物試験、英語試験を受験します。

一般職

一般職になるには、大卒程度試験、高卒者試験、40歳未満の社会人試験の3つの試験があります。大卒程度試験の場合、第1次試験で基礎能力試験・専門試験・一般論文試験、第2次試験で人物試験が行われます。

専門職

専門職になるには、特定の行政分野に関わる専門知識を有するのかを問われます。受験資格は各採用試験によって異なり、試験の種類は大卒程度試験と高卒程度試験があります。

経験者

経験者採用試験は、民間で実務経験のある人を対象にした試験です。係長級(事務)は大学等を卒業した日・大学院課程を終了した日から起算して2年経過した人、そのほかは大学卒業後5年以上、または高校卒業後9年以上の年数が経過している人が対象になります。

国家公務員試験の概要

国家公務員試験の受験資格・科目・日程などの概要について、総合職試験・一般職試験・官庁訪問・専門職に分けて解説します。

国家総合職試験(大卒の場合)

国家総合職試験は、政策の企画と立案、または調査と研究に関する事務をその職務とする係員の採用試験が行われます。院卒者試験と大卒程度試験がありますが、ここでは大卒の場合について解説します。


受験資格

受験資格は、試験を実施する年度の4月1日現在における年齢が21歳以上30歳未満の者です。教養区分を受ける場合は、令和5年の試験から19歳以上30歳未満の者が受験可能になります。

日本国籍を有しない者、国家公務員法第38条の規定により国家公務員となることができない者、平成11年改正前の民法の規定による準禁治産の宣告を受けている者のいずれかに該当する場合は、受験ができません。


試験日程

国家総合職試験は、春試験と秋試験の2種類があります。受付期間は令和4年度の春試験の場合は、令和4年3月18日〜4月4日でした。第1次試験は4月第4日曜日の4月24日に実施され、1次試験の合格発表は5月上旬の5月6日に行われました。

2次試験は5月下旬〜6月上旬で、5月22日に筆記試験、5月24日〜6月10日に人物試験が実施されました。最終合格発表は6月下旬の6月20日で、その後、官庁訪問を行います。


試験区分

受験では、数多くの試験区分から1つ選択することになります。採用されても入省後の業務に大きな違いはないものの、試験科目と採用者数が異なります。大卒程度の試験区分は、政治・国際、法律、経済、人間科学、デジタル、工学、数理科学・物理・地球科学、化学・生物・薬学、農業科学・水産、農業農村工学、森林・自然環境、教養の12区分です。教養は秋に試験を実施します。


試験種目

大卒程度試験の試験種目は、第1次試験と第2次試験で異なります。第1次試験の試験種目と内容は以下のとおりです。

試験種目 内容
基礎能力試験(多肢選択式) 必要な基礎的能力についての筆記試験
専門試験(多肢選択式) 各試験の区分に応じた専門的知識についての筆記試験

第2次試験の試験種目と内容は以下のとおりです。
試験種目 内容
専門試験(記述式) 各試験の区分に応じた専門的知識についての筆記試験
政策論文試験 制作の企画立案に必要な能力、総合的な判断力、思考力についての筆記試験
人物試験 人柄、大人能力などについての個別面接

英語試験は、外部英語試験を活用し、スコアに応じて総得点に15点、または25点が加算される仕組みです。内容は以下のとおりです。
加算点数 TOEFL(iBT) TOEIC(L&R) IELTS 英検
15点加算 65以上 630以上 5.5以上 -
25点加算 80以上 730以上 6.5以上 準1級以上


国家一般職試験(大卒の場合)

国家一般職試験は、政策の実行やフィードバックなどに関する定型的な事務をその職務とする係員の採用試験です。一般職試験は大卒程度試験、高卒者試験、社会人試験(係長級)がありますが、ここでは大卒程度試験について解説します。


受験資格

受験資格は、試験実施年度の4月1日現在の年齢が21歳以上30歳未満の者です。21歳未満のもので大学卒業・卒業見込み、短大または高専を卒業・卒業見込みで、人事院が同等の資格があると認めた者は受験ができます。日本国籍を有しない、国家公務員法により国家公務員になれない者、平成11年改正前の民法の規定による準禁治産の宣告を受けている者は受験ができません。


試験日程

申込みは3月下旬〜4月上旬に始まり、令和4年度の場合は3月18日〜4月4日が受付期間です。第1次試験は、6月第2週の6月12日に行われます。第1次試験合格者発表は、7月上旬の7月6日です。

第2次試験は人物試験が7月中旬〜下旬に行われます。土日祝日を除く7月13日〜29日に設定されますが、合格通知書で指定される日時からの変更は、原則して認められません。最終合格者発表は、8月中旬の8月16日です。


試験区分

試験区分は、大きく「行政」区分と「技術系」区分に分けられます。「行政」区分は、北海道地域、東北地域、関東甲信越地域、東海北陸地域、近畿地域、中国地域、四国地域、九州地域、沖縄地域がありますが、行政関東甲信越地域からの採用が中心となるため、採用予定数が多く設定されています。

「技術系」区分は、デジタル・電気・電子、機械、土木、建設、物理、化学、農学、農業農村工学、林学があります。


試験種目

一般職の大卒程度試験の試験種目は、第1次試験と第2次試験で異なります。行政区分の第1次試験の試験種目と内容は以下のとおりです。

試験種目 内容
基礎能力試験(多肢選択式) 必要な基礎的能力についての筆記試験
専門試験(多肢選択式) 各試験の区分に応じた専門的知識についての筆記試験
一般論文試験 文章による表現力、課題の理解力などについて短い論文による筆記試験

行政区分以外の区分では、第1次試験種目と内容は以下のとおりです。
試験種目 内容
基礎能力試験(多肢選択式) 必要な基礎的能力についての筆記試験
専門試験(多肢選択式) 各試験の区分に応じた専門的知識についての筆記試験
専門試験(記述式) 各区分の必要な専門知識についての筆記試験

第2次試験は、行政区分・行政区分以外の区分のどちらも人物試験が行われます。人柄や対人能力などについて、個別面接が行われます。


官庁訪問

総合職、一般職ともに第2次試験に合格しても、採用されるわけではありません。官庁訪問で志望府省の面接を受け、内々定を得ることが必要です。官庁訪問では、知識を深める説明会が行われたり、採用に向けた面接が行われたりします。近年ではオンラインによる官庁訪問も実施されています。総合職と一般職それぞれの官庁訪問の特徴について解説します。


総合職の場合

2週間にわたって第1〜5クールまでスケジュールが組まれています。官庁訪問は事前の予約が必要で、ルールにもとづいて1日1省庁の予約に限られます。官庁訪問当日は業務説明を受けたり、先輩から経験談を聞いたり、複数回にわたる面接が行われたりします。

スタート時には3省庁訪問できるスケジュールが組めますが、クールが進むにつれて、特定の省庁に絞り込む形になります。第5クールの午後に、内々定の通知を受けます。


一般職の場合

一般職の場合は、第1次試験合格発表後に官庁訪問が始まります。第2次試験の最終合格発表がないまま、最終合格者の選定と官庁訪問が同時並行で進むため、第2次試験の人物試験の対策をしながら、官庁訪問の対策をしなければなりません。

総合職のようにクール制はなく、任意の官庁に事前に予約をして訪問します。各官庁によって時間や流れは異なるものの、業務説明や経験談を聞いたり、職場の雰囲気をつかんだり、1日に複数回の面接が行われたりします。

専門職

専門職とは、国税専門官、財務専門官、労働基準監督官などのことです。総合職や一般職と別日程で試験が行われるため、併願が可能です。万が一、第1志望が不合格になった場合も、併願受験していれば合格のチャンスが増えます。

専門職の試験は、例年一般職試験の1週間前に試験が行われ、試験内容も似ています。第1次試験では筆記試験、第2次試験では人物試験が行われます。

まとめ

国家公務員は、国の機関で働く公務員です。さまざまな職種があり、専門知識を身につけたスペシャリストとして、活躍できます。国家公務員になるには、まずは試験への合格が必要です。

ユーキャンは、働きながら公務員を目指す人に最適です。忙しい毎日のなかで試験対策を進めるには、効率のいい学習が必要です。「必要な知識だけ吸収できる」工夫が満載で、試験突破力を着実に身につけられます。

国家一般職・地方上級コースは、公務員の中でも「都道府県・政令指定都市職員」「国家公務員」を目指す人におすすめです。第1次試験で課される「教養試験(基礎能力試験)」と「専門試験」に対応し、筆記試験から面接までの膨大な試験範囲から出題されやすいところに的を絞っています。ユーキャンのカリキュラムならムリなく合格を目指せます。

生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
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よくある質問

国家公務員試験の難易度は?

一概には言い切れないが、国家公務員試験の難易度は高いと言えます。国家公務員の倍率をみると、国家総合職の倍率は10.8倍と高く、国家一般職(行政職)では3.8倍と比較的低いことが分かります。 また、同じ国家一般職でも行政職以外は2.1倍とさらに低い倍率となっています。

国家公務員試験は併願できる?

日程が重ならなければ国家公務員試験を併願が可能です。。たとえば、国家総合職と裁判所事務官一般職(大卒程度)の併願などが考えられます。国家公務員の試験は、たとえ職種が違っていても出題傾向が似ていることが特徴です。また、国家公務員一般職と地方上級公務員試験を併願する人もいます。

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