公務員になるには|公務員試験の要件・公務員になるまでの流れ・公務員の種類の選び方
進路の一つや転職先として公務員を検討している人に向け、公務員になる方法、公務員になるまでの流れ、求められる人物像などについて解説しています。
公務員になりたいと考えたとき、気になることのひとつが給料なのではないでしょうか。公務員の給料は高いと言われることも多く、実際にどのくらいなのか知りたい人も多いかもしれません。
今回は、公務員になることを検討している人に向けて、公務員の給料について、職種別や年齢別などの特徴を説明します。
公務員の平均年収は約650万円※となっており、国家公務員の年収は約677万円、地方公務員の年収は約630万円となっています。民間企業の平均年収は約443万円ですので、公務員の年収は高いと言えます。
※公務員の平均年収は、国家公務員と地方公務員の平均から算出
人事院の「令和4年国家公務員給与等実態調査の結果」によれば、国家公務員の平均年収は約677万円です。平均年収は、夏・冬のボーナス(年間4.4か月分)の支給額を加えて算出されています。平均給与月額は41万3,604円となっており、俸給に地域手当や広域異動手当、俸給の特別調整額、本府省業務調整手当などの諸手当が含まれています。
「令和3年度地方公務員給与の実態」によれば、地方公務員の平均年収は約630万円で、給与月額合計は402,948円、平均基本給月額は316,040円でした。平均年収は、夏・冬のボーナスの支給額を加えて算出されています。夏・冬のボーナスは東京都の場合で全職種平均が約181万8,400円、一般職員の平均が約173万5,300円、一般職員のうち一般行政職の平均が178万3,100円となっています。
ニュースなどでも公務員の年収は高いと聞きますが、実際にはどの程度でしょうか。
国税庁の「令和3年分民間給与実態統計調査」によると、民間企業の平均年収は約443万円です。また、一般的には年収600万円を超えると給料は高いといわれています。そのため、平均年収で見れば公務員の給料は民間企業より高く、安定しているのが特徴です。ただし、あくまで平均年収なので、すべての公務員の年収が600万円を超えているわけではない点に注意しましょう。
また、公務員の給料は、勤続年数や職種などでも異なり、若いうちは比較的低いケースも多いです。
公務員の給料が若いうちは比較的低いことについて例を挙げれば、大卒新規採用の国家公務員の年収は300万円程度となっているようです。エリートとされる国家公務員であっても、大卒新規採用時点では、大手民間企業の同世代より低いかもしれません。
もちろん比較対象となる民間企業によっても給料の金額は異なります。とはいえ、なぜ国家公務員であっても若いうちは年収が低いのか、その理由を以下の項目で見ていきましょう。
国家公務員と地方公務員とでは給料体系が異なります。国家公務員は、「俸給表」をもとに決められた給料とボーナスが支払われる仕組みです。一方、地方公務員は俸給表ではなく、各自治体で定められた「給料表」によって給料が決まります。ただし、年齢・勤続年数とともに給料が上がっていくのは同じです。
俸給とは国家公務員の基本給を指しますが、客観的に見た職務の難しさなど、仕事内容に応じた給料になるため、職種によっても給料が異なります。給料は年齢・勤続年数とともに確実に上がっていくため、若いうちは年収が低くなっています。また、俸給は能力に関係なく一律ですが、ボーナスは勤務実績によって決まるのが一般的です。
また、公務員の年収は、国全体の平均値をオーバーし過ぎたり、または不足したりしないように設定されています。オーバーし過ぎていると、国民からの不満が発生しやすくなるためです。一方、不足していると公務員のなり手がいなくなって、人員不足に陥ってしまいます。このように、公務員の給料は、若いうちはそれほど高くはありませんが、所属しているだけで年々上がっていくのが特徴です。
「税務職俸給表」によれば、税金関係機関に所属する職員の月収は42万9738 円となっており、国家公務員給料の平均を2万円ほど超えています。専門知識が必要な職種なので高めの設定となっているのです。
「行政職俸給表(一)」によれば、大卒の場合の一般行政職は、月収40万5049円となっており、国家公務員給料の平均をわずかに下回っています。このように、仕事内容によって給料が変動するのが国家公務員の俸給です。
公務員の給料は年齢や勤続年数が上がると徐々に増えていくのが特徴です。国全体の平均値を上回らないように調整されていますが、実際にはどの程度の金額なのでしょうか。
ここからは、それぞれの年代別に大まかな推定年収を見ていきましょう。
いわゆる大手民間企業などより、年収は少なく感じることもあるかもしれません。責任ある仕事を任される機会もそれほど多くないこともあります。最初のうちは、書類のコピーや会議室のセッティングなどの雑用を頼まれることも少なくありません。
公務員の平均年収に近付くのが30代です。およそ500~600万円くらいの収入が得られます。仕事上の責任が増してきたり、役職が上がったりして、よりやりがいや充実感を得られる時期です。
一方で、結婚や出産など、さまざまなライフイベントを迎える人も多くなります。500~600万円くらいの収入があれば、家族が増えても安定した生活を送ることが可能と考えられます。
40代ともなれば、生活にあまり不自由しない給料がもらえるようになります。この年代になると、職種や出世などによる収入の差も生じます。とはいえ、出世をした人で700~800万円、それ以外の人でも650~700万円はもらえるので、比較的余裕のある金額でしょう。
部下を持ち、重要な仕事を任せられる機会も多く、責任を負う立場にもなります。その分の対価として、収入が増えてくるのです。
20代と比べると年収も倍以上になるケースもあります。定年近くになり、人によっては組織のトップに立つこともあるでしょう。そのため、内部的・外部的に責任ある立場になるケースも少なくありません。
ただし、国全体の平均値をオーバーしないよう、重大な責務を任される立場にあっても、1,000万円には届かないことが多いのが実情です。
公務員は、大きく分類して国家公務員と地方公務員の2つに分かれます。一般的には国家公務員のほうが地方公務員より年収が高いといわれていますが、実際に差はあるのでしょうか。
ここからは、それぞれの具体的なケースを参考にしながら、種類別の給料を見ていきましょう。
国家公務員の活躍の場は、主に国の官庁です。つまり国土交通省や厚生労働省などの各省庁や、その出先機関が職場となります。そのため、仕事内容としては、行政事務などがメインです。
国家公務員の場合、40歳時点での平均年収はボーナス155万円を含めた約692万円とされています。これは、公務員の平均年収額を超える金額です。ただし、この額はすべての国家公務員の平均額となるため、平均額を上回る人もいれば下回る人もいます。
国家公務員の最高位ともいえる事務次官は、各省庁で1名選出されます。その給料は、令和3年度の国家公務員のモデル給料例において2,317万5,000円となっています。月給換算では141万円となっており、責任が重大な分、その報酬も高額です。狭き門とはなりますが、最高位峰ともなるとかなりの高収入が得られるようになります。
続いて、地方公務員の給料について具体的な例を参考にしながら見ていきましょう。地方公務員の場合は、勤務先によって異なることが多いですが、ここでは市役所職員と都道府県庁職員のケースについて解説します。
市役所職員はその名の通り、市役所が勤務地となります。また、その地域の人口が5万人以下の場合は市ではなく町村となりますが、それぞれの役場に勤務するのも地方公務員です。役所の職員の場合、高齢者福祉や児童福祉に関する相談窓口、戸籍登録などの対応が主な仕事になります。
年収に関しては、政令指定都市の職員かどうかでも変動します。政令指定都市での勤務の場合、年収例としては約703万円で、うちボーナスが約156万円です。政令都市以外では年収629万円ほどで、そのうちボーナスは約144万円になっています。また、町村役場ではさらに若干下がり、年収約570万円、そのうちボーナスは約134万円です。
各都道府県に設置された都道府県庁に勤務する都道府県庁職員は、国と市区町村の間に立って連絡調整を行ったり、民間企業の対応をしたりします。より具体的に仕事内容を見ると、飲食店の営業許可や立入検査、そのほか病院や薬局の開設許可などを行うなど、都道府県民の生活に欠かせない業務を行います。このほか、警察事務・学校事務などの職種もあります。
都道府県庁職員の場合、40歳の平均年収は約654万円で、そのうちボーナスは約149万円です。国家公務員や政令指定都市に勤務する地方公務員に比べるとやや下回っています。とはいえ、公務員の平均年収を20万円近く上回っており、民間企業と比較しても十分な金額といえます。
国家公務員は地方公務員よりも年収が高いといわれる理由として、担当する仕事のスケールが大きく激務になりやすいため、時間外手当が多いことなどが一因として挙げられます。
また、各省の大臣や国会議員など、いわゆる特別職といわれる人の給料が高いことも理由の一つです。たとえば、国家公務員には内閣総理大臣も含まれます。そのため、地方公務員のトップと比較した場合、大きな差が生じるのです。
しかし、一般的な公務員同士を比較すれば、大きな差はありません。行政職の公務員で比較した場合には、国家公務員のほうが地方公務員よりも数十万円ほど給料が高いくらいにとどまっています。
公務員は職種によっても給料に差が生じます。特別な資格が必要な職種や危険を伴う職種で高くなる傾向があります。具体的にどのような職種で給料が高く設定されているのか、職種別給料ランキングを見ていきましょう。
ここでは、地方公務員の職種別給料ランキングを紹介していきます。
俸給表を元に見ていくと、1位は医師の平均年収1,580万円となっています。ここでいう医師とは、公立病院に勤務する地方公務員のことです。難関の試験に合格していることに加え、責任の重さから鑑みても、妥当といえる給料でしょう。ボーナス平均額は251万円となっています。
続く第2位が高校教師で、約710万円です。やはり国の未来を担う子どもの成長に携わる仕事内容と、難関の教員試験を突破していることが高給の理由といえます。
第3位は警察官で、約710万円です。命を張って社会の安全を守る立場にあるため、給料が高めの設定となっています。
職種のほか、自治体によっても給料は変わるので、金額を重視する場合はそれぞれの自治体の給料がどのくらいなのか知っておく必要があります。隣同士の自治体でも異なるので、自分の希望する自治体の給料は事前に調べておきましょう。
ここからは、地方公務員の市区町村別の給料ランキングを見ていきましょう。
2021年に総務省が発表した地方公務員の年収データでは、例外はありますが、都市部が上位を独占し、過疎化が進むようないわゆる地方都市が下位に偏るという傾向になりました。さらに上位の多くは、東京を中心とする関東圏となっています。
4位以下は次のようになっています。
4位:愛知県名古屋市(733万円)
5位:兵庫県神戸市(729万円)
6位:神奈川県厚木市(728万円)
7位:埼玉県さいたま市(725万円)
8位:東京都武蔵野市(722万円)
9位:愛知県豊田市(719万円)
10位:東京都国分寺市(718万円)
公務員には、民間企業でいうボーナスに相当するものとして、期末・勤勉手当があり、令和4年の国家公務員の平均ボーナス支給額は年間で月給の4.4か月分にあたる約131万円(内訳:令和4年6月584,800円、令和4年12月652,100円)でした。
期末・勤勉手当のうち勤勉手当は、職員の勤務成績に応じて支給されています。
国家公務員の賞与の額は、内閣官房内閣人事局が人事院勧告として給与の方針を示し、それにもとづき法律で定められます。人事院勧告としては、民間企業との給与格差が生じないように、民間の支給実績と公務員の年間の支給月数を比較しながら、給与の方針を決定します。 しかしながら、民間企業のボーナスが、景気変動や企業業績・個人成績の影響により変動が大きいのに対し、公務員のボーナスの変動はそこまで大きくなく安定しているといえます。
国家公務員のボーナス(手当)支給日も、法律で以下の通り、定められています。
・対象:基準日(夏6月1日、冬12月1日)に在職する職員
・支給日:夏6月30日、冬12月10日
公務員の毎月の給与は基本給+諸手当で構成されています。諸手当には扶養手当、地域手当、通勤手当、特殊勤務手当、管理職手当、時間外手当などがあります。
民間企業の場合も諸手当としては、時間外勤務手当(残業代)、通勤手当、扶養手当などがありますが、企業によっては出ない手当もあります。一方、公務員の諸手当は種類が多く手厚いことが知られています。
生活補助給的手当 | 扶養手当、住居手当、通勤手当、単身赴任手当 |
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地域給的手当 | 地域手当、広域移動手当、特地勤務手当、寒冷地手当 |
職務の特殊性に基づく手当 | 俸給の特別調整額、管理職員特別勤務手当、特殊勤務手当 |
時間外勤務等に対して支給する手当 | 超過勤務手当、休日給、夜勤手当、宿日直手当 |
賞与等に相当する手当 | 期末手当、勤勉手当 |
その他 | 本府省業務調整手当、初任給調整手当、専門スタッフ職調整手当、研究員調整手当 |
公務員は、国家公務員、地方公務員共に福利厚生の実施が法律により定められています。また、手当や退職金が充実していたり、「働き方改革」の実現に対して民間企業のお手本とならなければいけない立場のため、仕事もプライベートも充実させるための制度や環境が整っているなど、手厚い福利厚生が用意されています。
特にどのような点が充実しているのか、具体例を見ていきましょう。
公務員の休暇制度は、一般企業の休暇制度よりも充実していると言えます。そもそもですが、土日祝日は基本的に休みになるので、年末年始、ゴールデンウィークなども含め、カレンダー通りの休日となります。
4月採用の1年目は15日間ですが、その後は1年間に20日間の有給休暇が付与され、最大40日間の繰り越しも可能となっています。
特別休暇の種類も豊富です。夏季休暇、結婚休暇、産前休暇、産後休暇、妻の出産、母性保護のための休暇、子の看護休暇、保育時間、男性の育児参加、短期介護休暇、忌引休暇、父母の追悼、ボランティア休暇、骨髄等ドナー、官公署出頭、公民権行使、現住居の滅失等、出勤困難、退勤途上、メモリアル休暇などが挙げられ、幅広いラインナップが用意されています。
民間企業では、労働基準法による産前産後休暇や育児介護休業法による育児休暇など、社員から申請があった場合には原則として必ず取らせなければならない法定休暇はありますが、それ以外の法定外休暇に関しては、各企業が独自に設定している休暇になるので、必ずあるとは限りません。
令和3年の退職金に関する調査では、退職一時金と企業年金(使用者拠出分)を合わせた退職給付額での国家公務員と民間企業を比較した結果、民間企業は2,405.5万円、国家公務員は2,407万円となっており、国家公務員の方が1.5万円多い結果となりました。
また、公務員の場合、自治体が実施する福利厚生以外にも、共済組合や互助会からもさまざまなサービスを受けることができ、さらに手厚い福利厚生が用意されています。
共済組合は、国家公務員の年金や福祉事業(医療、宿泊施設の運営や住宅、介護、葬祭、結婚等の各種情報提供サービス)に関する業務を行っており、ライフイベントごとに多様な情報やサービスの提供を受けることができます。
自治体には、職員の福利厚生の上乗せをするための職員互助会という組織があり、ほとんどの公務員が加入します。会員は、毎月給与に応じた会費を支払うことで、さまざまな福利厚生サービスを受けることができます。 具体的な内容は自治体によって異なりますが、給付事業、貸付事業、福利厚生サービス事業などが挙げられます。
給付事業は、結婚祝金、出産祝金、就学祝金、卒業祝金などの各種祝金や、病気見舞金、弔慰金などを受け取ることができます。貸付事業は、災害、傷病、葬祭、結婚等のイベントの際にお金を借りることができます。福利厚生サービス事業では、旅行や宿泊、健康、エンターテインメント、ショッピング、育児・介護、テーマパークやレジャーなどの施設が安く利用できるサービスを提供する場合などがあります。
このように、公務員の福利厚生は休暇や退職金、共済組合や互助会からのサービスなど、様々な面から見て、手厚く充実していると言えるでしょう。
国家公務員になるには、主に人事院が実施している国家公務員試験を受験しなければなりません。一方、地方公務員になるには、各自治体の公務員試験を受ける必要があります。
基本的には、一次試験が筆記で二次試験が面接です。筆記は、高校で学ぶような地理や生物の問題が出題される教養試験と、大学で学ぶような法律学などの専門知識が問われる専門試験の2種類があります。ただし、市役所や町村役場の試験では、教養試験のみの場合も増えています。
また、面接の配点が高くなってきている傾向があるので、二次の面接はしっかりした対策が必要です。地域によっては集団討論やプレゼンが課題となっているところもあります。
公務員は民間企業と比較しても、給料が高く、諸手当や退職金などの福利厚生も手厚くなっています。また、ワークライフバランスの見直しも率先して行われており、休暇制度などが充実していることもメリットです。そのため、公務員は安定した職業といえます。就きたい公務員の試験に受かれば、内定も見えてくるので、まずは試験の合格を目指しましょう。
ただし、注意点を挙げるとすれば、職種や部署によっては激務になることもあります。また、収入を増やしたくても一部を除き副業禁止という点には注意が必要です。
公務員の給料は、民間企業と比較しても高く、また福利厚生も手厚いなど、さまざまなメリットがあります。ただし、まずは公務員試験に合格する必要があるので、しっかりと対策を練ることが重要です。
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