宅建があると年収はいくらに?宅建を取得するメリットを徹底解説
企業規模別・年齢別・男女別・地域別などの年収を紹介し、資格取得をするメリットなどを解説します。
就職や転職に有利な資格「宅建」。
宅建とは一体どんな資格で、宅建士はどんな仕事をする職業なのでしょうか?また、宅建資格を得るとどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、宅建の概要を仕事内容から試験概要までご紹介します。
宅地建物取引士とは、宅地建物取引業法に基づき定められている国家資格者のことです。宅地建物取引業者が行う、宅地又は建物の土地の売買、賃貸物件のあっせんの取引に対して、購入者等の利益の保護及び円滑な宅地又は建物の流通に資するよう、公正かつ誠実に法に定める事務を行う、不動産取引の専門家です。
宅建士とは、「宅地建物取引業者」で働く従業員をイメージされると良いでしょう。宅地建物取引業者とはいわゆる不動産会社のことで、土地や建物の売買、賃貸物件のあっせんなどを行っています。
不動産取引はとても高額です。お客様の多くは不動産に関する専門知識や売買経験がほとんどないため、不当な契約を結んでしまうと思わぬ損害を被ることがあります。そのようなことがないよう、お客様が知っておくべき事項(重要事項)を説明するのが宅建士の仕事。
そして、重要事項の説明をお客様にできるのは宅建士だけです。宅建とは、不動産取引の専門家を示す資格、といえるでしょう。
また、宅建業者には、従業員5名につき1名以上の宅建士の設置が義務付けられており、宅建士の需要は非常に高いといえます。
宅建資格を得て宅建士の仕事をするためには、まず宅建試験に合格し、合格後は試験開催地の都道府県知事に対して登録手続きを行い、取引士証の交付を受けることが必要です。しかし宅建試験の合格率は低く、例年15~17%台となっています。難易度が高いため、合格するためには専門的な勉強が必要です。独学で受験する方もいますが、専門的な勉強が必要であることから、専門学校や通信講座を利用する人が多い傾向にあります。
宅地建物取引業者が宅地建物の取引の際に行わなければならない3つの業務があり、これらはいずれも宅地建物取引士でなければできない「独占業務」として法律で決められています。ここでは、宅地建物取引士の独占業務について詳細を解説していきます。
不動産を取得しようとする人(買主)、借りようとする人(借主)などに「所有者は誰か」「不動産はどのくらいの広さなのか」「登記のこと」「手付金やキャンセルした際の取り決め」など、物件や取引条件に関するさまざまな情報を、契約する「前」に説明します。
これが「重要事項の説明」です。この説明事項が記載された書面を重要事項説明書といい、不動産取引においてトラブルが発生することを防ぐため、必ず宅建士が説明することになっています。
重要事項の説明の内容はきわめて広範囲にわたるため、口頭の説明のみで理解することは簡単ではありません。
そこで、説明内容を記載した書面(重要事項説明書/35条書面)を作成・交付。この書面には、「記載の内容に責任を持つ」という意味で、宅地建物取引士が名前を書きます。この記名をもって、重要事項を説明したという事実の証明になります。
不動産取引における重要書類に記名ができるのも、宅建士のみに許された仕事です。
実際に行った取引について、契約に関わる重要な部分が書かれた書面を「37条書面」と言います。
重要事項の説明が終わり、不動産の取引が成立したら、契約書を作成することになります。契約に関するトラブルを防ぐためにも、きわめて重要な書面です。
この契約書が不動産取引をしたことの証明となりますが、契約書への記名も宅建士のみができる仕事です。契約書の内容をしっかり確認し、問題なく不動産取引を行うためには、宅建士の専門知識が必要なのです。
宅建の資格を取得すると、資格手当や昇進昇級などでの収入アップの可能性、マイホームの購入時などに役立つといったメリットのほか、仕事の活躍の場が広がるため、不動産会社への就職や転職、さらには独立開業という道も開けます。
例えば、以下のようにお考えの方におすすめです。
不動産会社勤務の場合、宅建の資格があればキャリアアップがより現実的になります。支店長などの役職に就ける可能性が上がり、不動産の売買・賃貸に限らず仕入れや保険会社・金融機関との交渉といった仕事で役立ちます。また、不動産取引法務のプロとして活躍する機会もあります。資格手当がつくなど、給与面での待遇が上がるケースもあるでしょう。
宅建士の需要は不動産業界だけにとどまらず、他業界にも広がっています。例えば建築会社では、自社で建築した物件を販売する際に宅建の資格が必要になります。金融機関では、不動産の担保価値を評価して融資することが多く、特に都市銀行のほとんどがグループ会社に不動産販売会社を持っているので、宅建の資格が重視されます。不動産管理会社では、不動産分譲の仲介を行い、さらに管理もする会社が増えており、やはり宅建の資格が必須です。
このように、不動産に関連する業界であれば資格を有効活用できるため、仕事の内容も幅広くなり、転職してもやりがいのある職に就きやすくなります。
不動産の売買や賃貸借の仲介を行う会社では従業員5名につき1名以上の宅建士を設置することが義務付けられています。そのため、不動産会社においては宅建資格保有者が欠かせない存在です。
大手の住宅メーカーは、自社で建築した物件販売まで行うことがあり、販売の際に宅建士が必要とされます。
金融機関では、不動産の担保価値を評価して融資することが多く、土地家屋などに関する宅建士の知識が必要となります。特に都市銀行のほとんどがグループ会社に不動産販売会社を持っているので、宅建の資格が重視されます。
不動産管理会社では、不動産分譲の仲介を行い、さらに管理もする会社が増えており、やはり宅建の資格が必須です。
宅建士(宅地建物取引士)として働くには、宅建士試験に合格するだけでは宅建士の業務を行うことはできません。合格通知を受け取った後に登録し、宅地建物取引士証(宅建士証)の交付を受けることで、正式に宅建士としての資格を取得したことになります。宅建士試験合格後の登録、取引証交付の流れは以下の通りです。
宅建本試験合格
実務経験
2年未満
実務講習の受講
必要
実務経験
2年以上
実務講習の受講
不要
宅地建物取引士
登録
宅地建物取引士証
交付
登録には宅地建物取引の実務経験が2年以上なくてはなりません。実務経験が2年に満たない場合には、宅建士の登録実務講習を受講することで登録できるようになります。登録実務講習では教材による講座と演習会場での2日間のスクーリングに参加します。
宅建士になるにはもちろん宅建試験に合格する必要があります。宅建試験の概要を解説します。
受験資格 | 年齢、学歴等の制約はなく、どなたでも受験できます。 (試験合格後、登録を受ける際に一定の要件を満たす必要あり) |
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試験日 | 毎年1回、10月の第三日曜日 |
試験地 | 在住の都道府県 |
出題形式 | 択一式/50問/四肢択一(マークシート方式) |
試験科目 | ・権利関係(14問) ・宅建業法(20問) ・法令上の制限(8問) ・税・その他(8問) |
受験手数料 | 8,200円 |
合格率 | 約15~17% |
合格ライン | 約7割(50点満点中35点前後の)<br>※毎年、変動。 |
出題科目は「宅建業法」「権利関係(民法など)」「法令上の制限」「税・その他」の大きく4科目に分かれています。過去問や問題集を活用ししっかりと対策をしましょう。ここでは例題と解説を一部ご紹介いたします。
【問】 AとBとの間で、Aが所有する甲土地の売買契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 Aが自己の真意でないことを知りながら甲土地をBに売却する旨の意思表示を行っていた場合、Bもその旨を知っていたときは、本件契約は無効となる。
2 AがCの詐欺によって本件契約を締結した場合、BがCの詐欺について過失により知らなかったときは、Aは本件契約に関する意思表示を取り消すことができる。
3 本件契約が仮装譲渡であり、その後DがBから甲土地を買い受けた場合、Dが仮装譲渡の事実について過失により知らなかったときは、Aは、Dに対して虚偽表示による無効を対抗することができない。
4 Aが自己の錯誤を理由に本件契約を取り消した場合、その取消し前にAの錯誤について過失により知らないEがBから甲土地を買い受けたときは、Aは、Eに対して錯誤による取消しを対抗することができない。
【答】 4
4 が誤り。錯誤を理由とする取消しは、善意無過失の第三者に対抗することができません。
したがって、A の錯誤について過失のあるE に対しては、A は錯誤による取消しを対抗することができます。
【問】 建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。
2 規約の保管場所は、各区分所有者に通知するとともに、建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。
3 共用部分の管理に要した各区分所有者の費用の負担については、規約に別段の定めがない限り、共用部分の持分に応じて決まる。
4 共用部分の保存行為は、規約に別段の定めがない限り、集会の決議を経ずに各区分所有者が単独ですることができる。
【答】 2
2 が誤り。規約の保管場所は、建物内の見やすい場所に掲示しなければなりません。しかし、各区分所有者に保管場所を通知することまでは必要ありません。
【問】 地価公示法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 土地鑑定委員会は、公示区域内の標準地について、毎年2回、2人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求め、その結果を審査し、必要な調整を行って、一定の基準日における当該標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定し、これを公示するものとされている。
2 都市及びその周辺の地域等において、土地の取引を行う者は、取引の対象土地から最も近傍の標準地について公示された価格を指標として取引を行うよう努めなければならない。
3 土地鑑定委員会は、地上権が存する土地については標準地として選定することができない。
4 正常な価格とは、土地について、自由な取引が行われるとした場合におけるその取引において通常成立すると認められる価格をいい、この「取引」には住宅地とするための森林の取引も含まれる。
【答】 4
4 が正しい。正常な価格とは、土地について、自由な取引が行われるとした場合におけるその取引において通常成立すると認められる価格をいいます。そして、この取引には、農地、採草放牧地または森林の取引は原則として含まれませんが、それらを農地、採草放牧地および森林以外のものとするための取引は含まれます。
6月
試験日の確定
7月
受験申込み
9月
受験票の送付
10月
本試験
12月
合格発表
宅建の受験申し込み申請は、毎年7月初旬頃に受付を始めます。 必ず公式ホームページをチェックし、受験する年の申込受付期間を確認してください。
詳細に関しては、必ず事前に公式ホームページを確認してください。
宅建試験の合格率は約15~17%です。試験は50点満点で、35点前後、約70%以上の正答率が合格ラインとなります。
合格率は高くなく、簡単な試験ではありません。しかし、司法書士などの他の国家資格と比較すると、宅建士試験の難易度はそこまで高くありません。国家資格の中では、比較的合格できる可能性が高いと言えるでしょう。
難易度が低くはない宅建試験。独学では難しそうと思われがちですが、決して不可能ではありません。ただし、独学で宅建試験合格を目指す場合は学習方法も工夫しなければなりません。通信講座や資格スクールへの通学といった選択肢もあるため、自身に合った勉強方法を検討しましょう。
宅建士資格を取得し活躍中の方の声をご紹介いたします。「仕事の範囲が広まった」「転職に有利」といったメリットを活かして活躍中の方が多くいらっしゃるため参考にしてください。
資格取得前までは契約書の作成までが仕事でしたが、説明や交付もできるようになりました。今までは重要事項の説明も他の宅建士資格取得者がやっているのを聞いているだけでしたが、自分が関わるとなると重みが全然違うというか、お客様にとっては大きな買い物なのですごく責任があるなぁというのはますます感じるようになりましたね。
マイホームを買う時、土地選びの際に宅建士の知識が活かせました。実際に私、角地を選んだんですけど、角地は建ぺい率が10%プラスになるので、そういう話を業者にしたりとか、第一種低層住居専用地域だと小さいお店は建つけども、大きいビルは建たないから静かな景観だなとか、そういうところの環境を想像する上でも役立ちましたね。
宅建士を受ける時は全然転職を考えていなかったんですけれども、もっと大きな不動産会社で働きたいという気持ちもあったんです。探し始めたら地元では有数の不動産会社の募集を見つけ、ダメ元で履歴書を送ってみたら、40人応募があった中で採用され、やはり資格の効果は大きいな、と実感しました
宅建の資格は合格率の低い国家資格。取得するためにはそれなりの努力が必要です。しかし、宅建資格を取得することで、不動産関連業界だけでなく、他業界でも活躍することが可能となります。1つの仕事にとどまらず、また、複数の業界で通用するということは、今後長く働く上で強い武器になります。宅建の資格取得を検討されている方は、ぜひチャレンジしてみてください。
1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。
宅建士と相性の良い資格には、次のような例が挙げられます。
ファイナンシャルプランナー(FP)
管理業務主任者
マンション管理士
不動産鑑定士
福祉住環境コーディネーター
土地家屋調査士
測量士補
司法書士
行政書士
これらの資格とのダブルライセンスでは、宅建士との相乗効果が得られたり、試験内容が重なる資格であったり、独立・開業や就職・転職に有利になるなどのさまざまなメリットがあります。
宅建試験の合格に必要な勉強時間は200~300時間が目安といわれています。
全体の勉強時間として300時間を目標にする場合、1日2時間なら150日となり、約5ヵ月かかります。最短でも3ヵ月から5ヵ月ほどの期間が必要です。
初学者の方などが長期的な学習計画を立てるのであれば1年間程度でスケジュールを組みましょう。
不動産の専門家として独立開業するには、宅建士と宅地建物取引業免許の取得が必要です。宅建士で独立開業する際は、会社設立費や事務所初期費など300~400万円ほどが必要といわれています。
不動産業での独立には、自由度が高い、在庫を抱える必要がない、高収入が目指せるといったメリットがあります。独立開業で成功した人の中には年収1000万円以上になる方も。
ただし、資金が不十分だと失敗のリスクも高まるため、確かな計画性が不可欠です。
「宅建士」とは「宅地建物取引士」の略称です。 公正な不動産取引をサポートする不動産取引の専門家を指す国家資格で、毎年約20万人が受験するといわれる人気の資格です。人気の理由は、幅広い業界で生かせることや、不動産業界の就職・転職やキャリアアップ、昇給などに有効なこと、一生涯有効なライセンスであることなどが挙げられます。
不動産関連の仕事に直結するエキスパート資格である宅建。不動産売買や賃貸の仲介に不可欠な国家資格です。宅建資格取得によって、物件の取引条件や手付け金、登記、不動産に関する条件など重要事項の説明や、重要事項説明書への記名、契約後のトラブル防止となる37条書面の記入など、不動産関連の職種での重要な手続きに携わることができます。
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