国家一般職とは?主な仕事内容や難易度、試験合格のポイントを解説
- 更新日:2024/06/24
国家一般職とは、国家公務員の職種の1つで、主に省庁内の事務処理などの定型的な業務に従事する職員です。国家一般職としての採用を希望する場合、採用の流れを押さえて入念な対策をする必要があります。この記事では、国家一般職の特徴やメリットを解説します。国家一般職に採用されるためのポイントも解説するため、ぜひ役立ててください。
国家一般職とは
国家一般職とは国家公務員の一種で、行政系と技術系の2つの採用区分があります。行政系は定型的な事務を担当する職種であるのに対し、行政系は専門性のある各分野に従事する職種です。行政系は、全国9地域で個別に試験が実施されています。
行政系の具体的な仕事内容は、採用先や配属される部署によっても異なる可能性があります。また、各地域の試験で合格した場合も、本府省へ採用されるパターンはゼロではありません。本府省への採用は関東甲信越地域が中心ですが、ほかの地域からの採用も可能です。
国家公務員とは
国家公務員とは、国の業務に携わる公務員のことです。各府省庁、裁判所、国会など国が運営する機関では、基本的に国家公務員が働いています。国が運営する機関はそれぞれ異なる役割を果たしているため、同じ国家公務員でもどの機関に所属するかによって、担当する分野や業務内容は大きく異なります。国家公務員は、国や国民の役に立ちたいと考えている人に向いている仕事です。
国家一般職の勤務内容
国家一般職の勤務時間は、原則として1日7時間45分です。基本的に、土日祝日は休みとなっています。また、通常の休みとは別に、年次休暇、病気休暇、特別休暇、介護休暇なども取得可能です。業務に関連する研修も多く実施されているため、国家公務員として必要な知識やスキルを、スムーズに身につけやすい環境となっています。
国家一般職と国家総合職の違いとは
国家一般職と国家総合職は、何が異なるのでしょうか。それぞれの違いについて解説します。
仕事の違い
国家総合職は、政策企画、法案作成、予算編成などを任されています。将来の幹部候補として捉えられており、早い段階から責任のある仕事に携わるケースが多いです。ただし、なかには関係する業界や政界へ転身する人も一定数います。一方、国家一般職は、決定された政策を実行する職種です。特定分野において専門業務を担当する場合もあります。
勤務先の違い
国家総合職は、内定先の府省庁で働きます。勤務先は基本的に東京の霞が関ですが、省庁の判断によっては地方へ出向になるケースもあります。出向の期間は2~3年程度です。また、国家一般職は、内定先の府省庁で継続的に働きます。基本的には採用された地域の省庁で働きますが、本府省に採用された場合の勤務地は東京です。
国家一般職になるメリットとは
国家一般職になるメリットをあげると、以下のとおりです。
- 全国転勤ではない
- スペシャリストを目指せる
- 給料が安定している
それぞれについて解説します。
全国転勤ではない
国家一般職には全国転勤はありません。以下の全国9つの地域に分けて採用試験が実施されており、基本的に勤務先は各地域内となります。
- 北海道地域
- 東北地域
- 関東甲信越地域
- 東海北陸地域
- 近畿地域
- 中国地域
- 四国地域
- 九州地域
- 沖縄地域
スペシャリストを目指せる
国家一般職は1つの分野のスペシャリストを目指せる職種です。自分が希望した官庁から内定を得て働けるうえに、基本的には官庁をまたいだ異動は発生しません。自分で選んだ分野の業務に長く従事できるため、仕事を通して専門性を高められます。仕事上の強みを作りたい人にも向いているでしょう。
給料が安定している
国家一般職の給料は俸給表で定められており、安定しています。公務員の給料は、民間企業の従業員の給料と均衡がとれるように配慮されています。また、経験年数に応じて給料が上がっていく仕組みになっており、将来まで安心です。
国家一般職になる手順とは
国家一般職になるには採用試験を受けて合格し、官庁訪問に参加する必要があります。採用されるにはどちらについても対策が不可欠です。採用試験と官庁訪問について、それぞれ解説します。
手順1:採用試験
採用試験の第1試験は、基礎能力試験、専門試験、一般論文試験です。試験区分が分かれているため、事前に確認しておきましょう。第2試験は一次試験の合格者のみ受けられます。第2次試験の方法は面接形式です。第2次試験にも合格すれば、採用試験に合格したとみなされます。
手順2:官庁訪問
国家一般職として採用されるには、採用試験に合格したうえで官庁訪問を行う必要があります。官庁訪問の内容はそれぞれ異なるため、ホームページや資料で確認してください。官庁訪問では仕事に対する知識を深めるだけでなく、自分自身をアピールすることが大切です。官庁訪問後、国家一般職としての内定の有無が決まります。
国家一般職の採用試験制度
ここでは、国家一般職の採用試験制度についてくわしく解説します。
試験概要
すでに触れたとおり、国家一般職の採用試験は第1次試験と第2次試験に分かれています。第1次試験の内容は、基礎能力試験、専門試験、一般論文試験です。基礎能力試験は多肢選択式となっており、解答時間は2時間20分です。知能分野で27問、知識分野で13問が出題されます。
専門試験も多肢選択式で、解答時間は3時間です。試験科目は全16科目あります。法律系科目、経済系科目、行政系科目が中心です。憲法、経済学、政治学など幅広い内容が出題されます。16科目でそれぞれ5題ずつ出題されていますが、8科目のみを選択して計40題に解答することになっています。
一般論文試験は記述式で、解答時間は1時間です。行政課題について問われるため、自分がもつ知識を使って論述します。地方分権、市区町村合併、少子化対策などの社会問題が題材になる場合が多いです。
第2次試験の人物試験では、個別面接が実施されます。事前に配布された面接カードに記載した内容をもとに質疑応答が行われます。面接官は3人です。国家一般職の採用試験においても人物重視の傾向があるため、人物試験で自分の強みを十分にアピールする必要があります。
難易度(倍率)
全国の国家一般職の採用試験について、直近3年の受験者数(第1次試験)、合格者数(最終)、倍率をまとめると、以下のとおりです。
2021 | 2022 | 2023 | |
---|---|---|---|
受験者数(第1次試験) | 17,572人 | 17,618人 | 16,318人 |
合格者数(最終) | 7,026人 | 6,099人 | 6,476人 |
倍率 | 2.5倍 | 2.9倍 | 2.5倍 |
※参考:
国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)実施状況2021年度|人事院
国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)実施状況2022年度|人事院
国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)実施状況2023年度|人事院
2023年度の試験日程
2023年度の国家一般職の試験日程は以下のとおりでした。
日程 | |
---|---|
申込受付期間 | 2023年3月1日(水)~3月20日(月) |
第1次試験日 | 2023年6月11日(日) |
第1次試験合格者発表日 | 2023年7月5日(水) |
第2次試験日 | 2023年7月12日(水)~7月28日(金) |
最終合格者発表日 | 2023年8月15日(火) |
年度によって日程が変わる可能性があるため、最新の情報を確認しましょう。
国家一般職の試験に合格するポイントとは
国家一般職の試験に合格するポイントをまとめると、以下のとおりです。
- 早めに試験対策を開始する
- 独学・通学を使い分ける
- 過去問を研究する
- できるだけ省庁主催の説明会などに参加する
- 面接対策を怠らない
それぞれのポイントについて解説します。
早めに試験対策を開始する
国家一般職の採用試験に合格するには、早めの対策が必要です。遅くとも1年前には対策を始めましょう。採用試験では幅広いジャンルからさまざまな問題が出題されるため、それぞれについて知識を身につける必要があります。
独学・通学を使い分ける
国家一般職の採用試験の対策方法は、独学または専門学校への通学があります。独学は費用を抑えらますが、モチベーションの維持や面接対策などに課題があります。一方、通学はコストがかかるものの、プロから適切なアドバイスを受けることが可能です。また、最新の情報に基づいて入念な面接対策ができます。
過去問を研究する
過去問を研究すれば、採用試験の出題傾向を踏まえた勉強がしやすくなります。また、過去問をまんべんなく解いてみると苦手な分野も明らかになるため、合格に向けた学習計画が立てやすくなります。
できるだけ省庁主催の説明会などに参加する
各省庁は説明会を開催しており、参加すると仕事内容や魅力を知る機会になります。職員の話を聞けば、求められている人物像に対する理解も深まります。官庁訪問の対策にもつながるため、積極的に参加しましょう。
面接対策を怠らない
国家一般職になるには知識が問われる第1次試験だけでなく、第2次試験の面接や官庁訪問でも評価される必要があります。官庁訪問はコミュニケーション能力やストレス耐性などもチェックされるため、対策が必要です。自分自身をアピールできるよう対策に力を入れましょう。
まとめ
国家一般職は、国益を見据え、国民のために働き、国民生活や企業活動を支える環境を整備していく役割を担う仕事です。1つの分野に長く携われるため、スペシャリストを目指せます。試験は第1次試験と第2次試験に分かれており、官庁訪問もあります。内定を受けるには、それぞれについて入念な対策が必要です。
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よくある質問
- 国家公務員試験の難易度は?
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一概には言い切れないが、国家公務員試験の難易度は高いと言えます。国家公務員の倍率をみると、国家総合職の倍率は10.8倍と高く、国家一般職(行政職)では3.8倍と比較的低いことが分かります。 また、同じ国家一般職でも行政職以外は2.1倍とさらに低い倍率となっています。
- 国家公務員試験は併願できる?
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日程が重ならなければ国家公務員試験を併願が可能です。。たとえば、国家総合職と裁判所事務官一般職(大卒程度)の併願などが考えられます。国家公務員の試験は、たとえ職種が違っていても出題傾向が似ていることが特徴です。また、国家公務員一般職と地方上級公務員試験を併願する人もいます。
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