• 更新日:2023/12/28

薬を扱う資格には薬剤師のほか、登録販売者や調剤薬局事務といったものがあります。それぞれの資格の違いや資格取得の難易度、会社で働きながら資格取得を目指せるのかも知りたい人も多いのではないでしょうか。この記事では、それぞれの難易度や資格の特徴、平均給与額、適正などを解説します。資格の取得を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • 登録販売者と調剤薬局事務の業務内容はまったく異なり、調剤薬局事務の仕事はあくまで事務作業で、直接医薬品に関わることはできない。
  • 登録販売者と薬剤師の大きな違いは、医薬品の扱える範囲。登録販売者が扱えるには第二類・第三類医薬品、薬剤師は、処方箋が必要な第一類医薬品も扱うことができる。
  • 薬剤師は給料が高いが、大学の薬学部を卒業する必要があり、難易度が高い。需要が高まる登録販売者は未経験からも目指すことができ、薬剤師に比べると難易度が低い。

登録販売者とは?

登録販売者は薬剤師などと同じく、ある一定の医薬品を扱えるようになる資格です。一般用医薬品を扱うドラッグストアやコンビニなどに配置が義務付けられており、幅広い就職先を選ぶことができます。扱える医薬品の種類や仕事内容には条件がありますので、それぞれを詳しく見ていきましょう。

資格の特徴

登録販売者とは、2006年に改正、2009年6月に施行された薬事法によって新設された資格です。当初は実務経験が受験資格として設けられていましたが、2013年の改正により撤廃され、以降は誰でも受験することが可能になりました。そのかわり、試験に合格しただけではまだ「研修中」の扱いであり、合格の前後5年間に2年分の実務経験を積む必要があります。

登録販売者の仕事内容

登録販売者が扱えるのは、処方箋が不要の「一般用医薬品」のうち、第二類・第三類と呼ばれている薬品です。クリニックやドラッグストア、医薬品を扱うコンビニエンスストアやホームセンターなどで活躍できます。薬の購入者に注意事項を説明する、症状などを聞いて適した薬を選ぶなど、医薬品のプロとして最善の提案をする役目もあります。

登録販売者の平均給与額

登録販売者の年収は、勤務先の業種や資格手当、地域差もありますが、正社員の場合で平均300万円~400万円ほどが相場です。勤続年数によっても変わりますので、長く勤務して昇給したり、店舗管理者などの役職につくなどすれば、それ以上の年収を目指すことも可能です。

パートやアルバイトの時給では、資格手当を含めて平均900〜1200円です。地域によっても差があり、こちらは求人サイトの東京のデータを元にした数値です。

  • 参考:ユーキャン仕事オンライン 資格や経験を活かせる求人情報満載!(https://shigoto.u-can.co.jp/?_ga=2.181353319.1156728730.1603671051-341664364.1582185080)

薬剤師とは?

薬剤師とは、医薬品全般に幅広い知識をもつ国家試験に合格している薬に関する専門家です。試験自体にも受験資格が定められており、合格すれば登録販売者では扱えない第一類医薬品や、医療用医薬品、処方箋による医薬品の調剤、要指導医薬品も扱うことができます。仕事の内容や勤務先も幅広いので、それぞれを詳しく解説します。

資格の特徴

薬剤師を目指すためには、まず大学の薬学部を卒業し、さらに資格試験に合格する必要があります。薬学部は6年制であり、4年制では国家試験の受験資格は得られません。薬学部では直接的な薬の知識だけではなく、倫理や物理、化学、法規など、幅広い分野の知識を学びます。

薬剤師になるための専門学校や通信教育は一切存在しないため、社会人を続けながら取得を目指すのは難しくなります。

薬剤師の仕事内容

薬剤師になると、「第一類医薬品」も扱えるようになります。処方箋が必要な薬の調剤、患者への指導・説明、開発や衛生管理といった幅広い業務が可能です。

薬剤師の勤務先としては病院やクリニック、調剤薬局などがありますが、実はそれだけではありません。製薬会社や学校、保健所などの行政機関、自衛隊などで勤務できます。患者に対する服薬指導もあり、飲み合わせなどの説明も行います。

薬剤師の平均給与額

薬剤師は専門性が高く、平均年収も高めなのが特徴です。厚生労働省が行った調査では、一般病院などで勤務する薬剤師の平均年収は565万円となっています。

ただし、薬剤師は勤務する地域や業態により、年収に大きく差が生じるものです。地方では人材が不足しているため、都心よりも給与が高い傾向にあります。また、製薬会社などの一般企業では、年収700万円~1,000万円というケースもあります。

調剤薬局事務

調剤薬局事務は受験資格はなく未経験でも目指せますが、使える資格はいくつかあります。例えば「調剤事務管理士」「調剤報酬請求事務専門士」「医療保険調剤報酬事務士」「調剤事務実務士」などです。これらはすべて「民間資格」なので、国家資格に比べて比較的取りやすいものが多いのが特徴です。

調剤薬局事務は主に事務作業を行い、直接医薬品に関わることはできません。仕事内容などの詳細を、以下で詳しく解説します。

資格の特徴

いくつかある調剤薬局事務の資格のうち調剤薬局事務管理士は、資格試験が年6回開催されており、奇数月の第4土曜日に行われます。受験資格は不問で、経験や年齢に関係なく取得を目指すことができます。試験は学科試験と実技試験で構成されており、在宅での受験も可能です。合格率も約50%と取得しやすい資格です。

調剤薬局事務の仕事内容

主に処方箋の入力やお薬手帳の発行、会計業務、月に一度の請求業務など、事務作業や受付業務を行います。就職先としては、調剤薬局や処方箋の取り扱いがあるドラッグストアなどです。直接医薬品の説明などはできないので、窓口業務、受付業務がメインの仕事となります。受け取った処方箋の処理や、保険証の確認、お薬手帳にシールを貼るなどの対応をします。

調剤薬局事務の平均給与額

調剤薬局事務の平均年収は、正社員の場合約300万円程度です。必須の資格がなく未経験でも可能であり、比較的新しい業種でもあることから、給与額は高くないのが現状です。しかし、年齢や勤続年数により給与は上がる傾向にあり、残業の有無や地域によっても差が生じます。パートやアルバイトであれば、平均時給は1,000円前後です。地域によっても差があり、こちらは求人サイトの東京のデータを元にした数値です。

  • 参考:ユーキャン仕事オンライン 資格や経験を活かせる求人情報満載!(https://shigoto.u-can.co.jp/?_ga=2.173339619.1156728730.1603671051-341664364.1582185080)

登録販売者と薬剤師の違いは?

登録販売者と薬剤師の大きな違いは、医薬品の扱える範囲です。登録販売者は、ドラッグストアやコンビニエンスストアなどでも扱える第二類・第三類医薬品といった「一般用」の市販薬を管理・販売します。勤務場所の選択肢も多く、自立して店舗を持つことも可能です。

一方の薬剤師は、登録販売者より広い知識をもち、処方箋が必要である第一類医薬品も扱うことができます。薬剤師は専門性もより高いため、調剤薬局や学校、行政機関や製薬会社などへの就職も可能です。

登録販売者と調剤薬局事務の違いは?

登録販売者と調剤薬局事務の業務内容はまったく異なります。登録販売者は第二類までの薬を扱い、説明などができるのに対し、調剤薬局事務は直接医薬品に関わることはできません。調剤薬局事務の仕事はあくまで事務作業であり、受付業務や請求業務のみを行います。

登録販売者と調剤薬局事務の資格はどちらが有利?

安定した正社員としてしっかり働くのであれば、「登録販売者」がおすすめです。要件である実務経験さえ積めば、将来独立したいときにも有利です。初めて資格を取得するのであれば、「調剤薬局事務」がおすすめです。登録販売者に比べて難易度も低く、在宅での受験も可能なため、比較的取得しやすいといえるでしょう。

自分に向いているのは?

登録販売者は、お客さんの相談や提案をするため、人の話をよく聞き、改善策を打ち出せる責任感のある人が向いています。勤務先としての選択肢が多いのが特徴で、ドラッグストアやコンビニエンスストアで働けます。

薬剤師は第一類医薬品や要指導医薬品の管理、調剤を行うため、人の命に直接かかわります。そのため、注意力がある人、冷静な判断力に自信のある人が向いているでしょう。勤務先としては病院や薬局、大手企業や行政機関などです。調剤薬局事務は資格としても取得しやすいため、未経験の人にも向いています。休日が安定しているのも魅力です。

資格を取るにはどうしたらいいか

ここからは、実際にそれぞれの資格を取得するためにはどうしたらいいのか、試験内容や難易度などを簡単に解説します。

登録販売者

登録販売者の資格は、各ブロックで年に1度行われる資格試験に合格したのち、都道府県で登録をして認定されます。なお、試験は都道府県ごとに実施され、複数都道府県でかけもち受験も可能となっています。登録販売者試験の合格率は、令和2年度の都道府県別では、31.8%~58.1%です。

試験は「医薬品に共通する特性と基本的な知識」「人体の働きと医薬品」「主な医薬品とその作用」「薬事関係法規・制度」「医薬品の適正使用・安全対策」から出題されます。試験については厚生労働省が発表している手引きもよく確認してください。

  • 参考:これまでの登録販売者試験実施状況等について|厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000696827.pdf)

薬剤師

薬剤師 令和3年に開催された薬剤師国家試験では、14,031人の受験者に対し、合格者は9,634人であり、68.66%の合格率となっています。試験科目として、「必須問題試験」「一般問題試験」「薬学実践問題試験」それぞれに7項目が設定され、非常に幅広い出題内容となっています。

合格率は平均して60%~80%と高めではありますが、そもそもの受験資格である「6年制薬学部の卒業」が難しい条件です。薬学部の卒業には6年必要です。社会人から資格を目指すことは可能ですが、一度仕事を辞めて大学へ入る必要があるため、時間や費用を要します。

  • 参考:薬剤師国家試験|厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/yakuzaishi/)

調剤事務管理士

調剤薬局事務に使えるもっとも一般的な資格として、「調剤事務管理士」の資格について難易度や出題内容、必要な勉強時間などを解説します。合格率は50%ほどと比較的難易度も低く、勉強時間も3ヵ月ほどと短めです。出題内容は、「実技試験」の2項目から3問、「学科試験」からは3科目から択一式10問で構成されています。

資格試験のなかでも易しい部類に入りますが、もし独学での取得が不安な人は、スクールや通信教育などを利用するとよいでしょう。

まとめ

業務内容がまったく違う3つの資格の難易度やメリットの違いを紹介しました。自身に合った資格や学習方法を検討する際の参考にしてください。

登録販売者を目指すなら、ユーキャンの「登録販売者合格指導講座」の受講がおすすめです。わからないところなど講師陣への質問もできます。受講者のペースに合わせた添削指導で、自分では気付かなかった弱点を見つけることもできます。標準学習期間を過ぎても、受講開始から12ヵ月までしっかり指導してくれるので安心です。

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生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

よくある質問

登録販売者になるには?

登録販売者になるには、まずは試験に合格する必要がある。試験合格後は販売従事登録が必要で、さらに登録販売者として一人で売り場に立てるようになるには、過去5年以内に2年以上の実務経験が必要です。

登録販売者の給料はどれくらい?

登録販売者の平均年収は正社員で働く場合、300万円~400万円が目安です。パートで働く場合、資格手当を含めて平均時給900〜1200円ほどです。ニーズが高く、働き方や働く場所も選びやすいなど給料以外のメリットも多い資格です。

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登録販売者とは、ドラッグストアや薬局などで一般用医薬品の販売ができる医薬品販売の専門資格です。資格保有者がいれば、一般用医薬品の多数を占める第二類・第三類医薬品の販売が可能になるため、企業にとって大きな戦力に。国による医療費抑制の施策によりセルフメディケーションが推進されるなか、地域医療のサポート役として、ニーズも高く、医療関係の事務職のほか、小売業やドラッグストア、薬局などへの就職・転職を考えている方に人気の資格です。
登録販売者の仕事内容は医薬品の販売のほかにも、お客様への情報提供やご相談に対する対応・アドバイスも重要な仕事の1つ。購入者の視点に立って、医薬品の適切な選択を行えるように手助けすることも求められます。
登録販売者になるには、例年8~12月頃に行われる各都道府県で実施される登録販売者試験に合格する必要があります。全国どこで受験してもOK、受験資格もありませんので、どなたでもチャレンジできます。