外部研修とは何か?
外部研修は外部の企業や専門家に依頼し、社員向けの講座や研修を実施する形態を指します。社内研修とは異なり、専門分野に特化した講師がビジネスマナーやマネジメント、プログラミングなどの研修を指導してくれます。 そのため社内研修のように属人的な経験やノウハウを学ぶのではなく、専門的かつ体系的にまとめられた内容を学べる点が特徴です。また特定の領域をパッケージ化し、一貫性のある研修を行っているサービスもあります。1箇所に集まる集合研修、誰でも参加できる公開講座など、外部研修にはさまざまな形があります。
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リモートワークの普及に合わせて研修の形式が変化
従来の研修では、オフィス内の講堂や企業の用意した施設内、研修施設などに参加者が集まり、その場で講師からの指導を受ける形式が一般的でした。しかし新型コロナ流行時からリモートワークが全国でも普及し、特定の場所に集まらなくても研修が実施できるようになりました。また社内研修で感染拡大するリスクを取るよりも、社外研修でeラーニングなどを利用した方が、安全に研修を実施できるという理由もあります。eラーニングなら社員が好きな時に動画を視聴し、自分のペースで学習できる点も研修形式の変化を後押ししました。
外部研修と社内研修との違いは?
・カスタマイズの度合い
社外研修は社内のニーズや分解にあわせてカスタマイズされることが一般的ですが、外部研修の場合は、複数の企業、団体の従業員が参加するため、特定の組織に向けたカスタマイズではなく、一般的に共通するカリキュラムになることが多いです。
・コスト
社内研修は通常、組織の予算内で管理され。コストが比較的低いことが多いです。それに対し、外部研修は受講料、会場までの交通費など、一人ずつコストがかかります。研修で使用する場所や資料も主催側から提供されるため、受講料はその費用を含んだ価格になり、社内研修に比べ高くなるケースが多いです。
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外部研修のメリットとは
外部研修のメリットは以下の点です。
・社内では得られない知識・スキルが学べる
・最新の内容が学べる
・効率的な人材教育ができる
・研修担当者の負担が軽減される
外部研修では常に最新情報がアップデートされており、社内研修に比べて新しい知識を幅広く学べます。 社内研修では知ることのできない知識やスキルを社員が学び、業務に取り込んでいくこともできます。また社内研修とは違い、人材教育のノウハウを持つプロが講師をするため、効率的な人材育成も可能です。そして研修プログラムは外部に委託できるため、研修担当者が計画を立てる必要もありません。
外部研修のデメリットとは
外部研修には理解しておくべきデメリットもあります。
・決定したスケジュールと内容の調整が難しい
・思うような効果が得られないことがある
・コストがかかる
外部研修はスケジュールと内容が委託先に左右されるため、研修担当者側で調整することは難しくなります。委託する企業を選ぶ際は、日程変更にも柔軟に対応してくれる企業を選ぶとよいでしょう。また自社に最適な研修内容を選ばないと、期待した効果が得られないこともあります。事前に研修内容を確認したうえで、自社の目的に合ったプログラムかどうかを考慮すべきです。
最後にコストの問題です。
社内研修はほぼすべてが社内の人員で完結するため、それ以上のコストはかかりません。
しかし外部研修では業者次第で多額のコストが発生するため、その点を理解したうえで依頼することが大切です。
外部研修の費用相場
外部研修ではどのくらいの費用が発生するのか、eラーニングと公開研修の2種類の費用相場をご紹介します。
eラーニング
eラーニングでは、オンラインでいつでも社員が学べる仕組みになっており、企業には学習管理システムの導入も必要です。社員一人ひとりにIDも割り振られるため、ID毎のコストが発生する点も知っておくべきです。そのうえで、eラーニングの費用相場は以下のようになります。
ID :5,000~20,000円/1D
初期費用:100,000~200,000円
合計 :250,000~400,000円
初期費用はどのようなシステムを導入するかによって、大きく異なるため注意しましょう。また受講人数が増えると、単価が安くなることもあります。初期費用と維持コスト、学習効率とのバランスを考慮して、eラーニングの導入を検討してください。
公開研修
公開研修は数時間だけのものから2~3日続けて行うものまで、テーマや内容によって手法が異なります。
また外部の会場を借りて開催する場合は、会場の費用や機材貸出の費用も発生する点に留意すべきです。
そのうえで、公開研修の費用相場は次のようになります。
1人当たりの費用:10,000~30,000円
その他諸費用 :50,000~100,000円
合計 :100,000~300,000円
公開研修は人数が多く、会場が広くなるほど多額のコストが発生します。
研修に使用できる予算も考慮して、参加条件を限定するか、社内研修という形で行うのもよいでしょう。 結果的にeラーニングの方が低コストになることもありますから、費用面はしっかりと計算して実施することが重要です。
おすすめの研修内容を階層別に紹介
社員の研修を行う場合、社員の役職・立場を意識して行うと、より効果的な研修になります。新入社員・中堅社員・管理職の3つの階層に分けて、おすすめの研修内容をご紹介します。
新入社員の場合
新入社員は社会人としての成長、基本的なビジネスの心構えを学べる内容にすべきです。
新入社員向けに研修を行う場合は、以下の内容を行うのがよいでしょう。
・ビジネスマナー研修
・コミュニケーション研修
・ロジカルシンキング研修
・タイムマネジメント研修
・ビジネス法務研修
・その他業務に必要な研修
ビジネスマナーは、社内・社外を問わず必須のスキルであり、社会人として最低限身に付けておくべきものです。社内の人間関係を円滑にする意味でも、ビジネスマナーは最初に行う必要があります。また人間関係やチーム内での連携を活性化するために、コミュニケーション研修も開催すべきです。業務連絡や報告で簡潔にわかりやすい説明をするために、ロジカルシンキングも研修内容に盛り込みましょう。他にも、新入社員は業務における時間配分がわからず、一つひとつの業務に余計な時間をかける傾向があります。限られた時間を有効活用するために、タイムマネジメント研修も受講してもらうべきです。そして、業務遂行に必要な知識・スキルを身に付ける研修も重要です。新入社員は学ぶべきことは多いですが、いずれの内容も長く働いてもらうために必要であり、優先して研修を実施してください。
中堅社員の場合
中堅社員の場合、社内で一定の経験を積み、ビジネスマンとして必要な知識とスキルも身に付けています。 中堅社員からは後輩や新人の上に立ち、チームや部署を引っ張っていく立場になります。また中堅社員が若手の教育担当になることもあり、それまでとは違ったスキルが必要です。中堅社員向けの研修を行う場合は、以下の内容を組み込むのがよいでしょう。
・OJT指導者研修
・リーダーシップ研修
・クリティカルシンキング研修
・フォロワーシップ研修
・ファシリテーション研修
・モチベーション研修
中堅社員は将来的に管理職へキャリアアップすることも考慮し、指導者としてのスキルやリーダーシップについて学んでもらうことをおすすめします。また会議におけるファシリテーターの役割を理解し、社内で活発な議論を促すスキルを磨くことも重要です。そして中堅社員は仕事が習慣化し、モチベーションが低下しやすい傾向もあります。仕事に対するモチベーションを維持し、業務効率を高めるためにモチベーション研修を受講してもらうのも施策になるでしょう。
管理職の場合
管理職は現場で直接働くことよりも、部下に対して指示を出し、上手くチームを運営することが重要な立場です。また部下との関わり方にも注意しなければ、ハラスメントと受け取られるリスクもあります。それらの点を考慮すると、次の研修が必要になるでしょう。
・マネジメント研修
・コーチング研修
・ハラスメント研修
・チームビルディング研修
・新任・上級管理職研修
管理職にも新任の方や中級・上級管理職などさまざまな立場があります。管理職に共通して必要なスキルがマネジメントスキル、コーチングスキル、ハラスメントへの知識などです。
それらを必須レベルの研修として組み込み、現場レベルで働く管理職にはチームビルディング研修も受講してもらいましょう。加えて、管理職の階層に応じて管理職向けの研修を受けてもらうことが大切です。
現場レベルの管理職と組織を統括する管理職では、求められる役割も異なります。
研修を通して管理職に必要なことを学んでもらい、自社で活躍できる管理職を育成してください。
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外部研修を成功させる鍵
外部研修は専門の会社に委託すれば終わりではありません。外部に委託する前に、研修担当者はその会社の実績や講座の内容はもちろん、社内で外部研修に対する認識を統一しておく必要があります。
外部研修を成功させる鍵として、以下の2点が重要です。
・研修の目的を明確にし、社員に共有する
・講師の質によって研修の結果が左右される
研修の目的を明確にし、社員に共有する
まずやるべきこととして、なぜ外部研修を行うのか目的を明確化したうえで、社員にも共有することです。外部研修を実施することだけ伝えても、対象となる社員はその意図がわからず、研修へのモチベーションを維持できません。 社員が研修に対して目的意識を持つことで、学ぶ意欲が高まり、スキルアップにつながりやすくなります。 会社としての判断だけで決めるのではなく、参加する社員の意思を大事にすることが成功の鍵です。
講師の質によって研修の結果が左右される
外部研修は専門家に研修を委託するものですが、委託する会社の講師によって研修の効果は大きく変わります。自社が課題に感じているポイントを把握したら、その解決につながる講師を選ぶ必要があります。
例えば自社と同じ業界で長年経験を積んでいるか、講師としてどんな実績があるか、実際に課題解決へとつながった事例などを確認しましょう。
事前確認なしで委託してしまうと、講師の質が低い会社に当たってしまい、コストに見合う効果を得られない可能性が高いです。担当者と交渉したうえで、自社の課題とニーズを理解し、講師の人選もしっかりと行ってくれる会社を選択してください。
人材教育はお任せください
インターネットで検索すれば、外部研修を行っている会社は非常にたくさんあります。しかしその中には経験豊富と謳っていても、実際には実績の少ない会社も少なくありません。実績の少ない会社による外部研修は、知識量もノウハウも少ないため、人材教育で思うような成果を上げるのが難しいです。だからこそ、公開研修やeラーニングなどさまざまな形式の講座を用意し、多くの人材教育に携わってきたユーキャンにお任せください。
弊社の学びを活用し、社員にとって働き甲斐のある組織作りに生かしてください。
まとめ
今回は外部研修について、社内研修との違いやメリット・デメリット、成功させるための重要なポイントに分けて解説しました。社内研修にも外部研修にも、それぞれ長所と短所があり、両方を使い分けることで効果的な学びの場を提供できます。特に近年はオンライン講座が主流になり、利用頻度が増えています。外部研修は専門性の高い知識・スキルの習得に向いており、社内にはない考え方を学習できる機会の1つです。社内の課題解決、社員一人ひとりの生産性を高めるためにも、外部研修を上手く活用しましょう。