コンプライアンスとは?正しい意味や違反事例を解説!

  • 公開日:2023.07.11

    更新日:

    現代では、多くの企業がコンプライアンスの重要性に注目しています。企業のコンプライアンス違反が問題視されているなかで、法令や規範を意識した行動が求められています。この記事では、コンプライアンスの概要についてわかりやすく解説します。コンプライアンス違反が発生する原因や違反を防ぐ対策も解説するので、社内のコンプライアンスについて考える際の参考にしてください。

コンプライアンスとは何か

コンプライアンスについて、以下について解説します。

  • ・コンプライアンスの意味
  • ・就業規則と行動規範

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コンプライアンスの意味

コンプライアンスとは、法令を守って業務に取り組むことです。法令は、国会で定められた法律や行政機関が定めた政令などの総称です。現代では、コンプライアンスが意味する範囲は広がっており、社会における規則と規範も含めて用いられる場合があります。

就業規則と行動規範

就業規則は、業務の遂行や就業において従業員が守るべき取り決めです。職場のルールや業務の実施手順などを指します。行動規範は、社会から企業に対して求められる道徳やモラルです。就業規則と行動規範は、コンプライアンスの対象に含まれており、投資家、取引先、消費者などからの信頼に影響を与える要素です。

コンプライアンスと混同しやすい用語とは

コンプライアンスは、違う用語と誤って使用される場合があります。コンプライアンスと混同しやすい用語は以下の2つです。

  • ・CSR
  • ・コーポレートガバナンス

2つの用語の違いを把握して、コンプライアンスの理解を深めましょう。

CSR

CSRは「企業の社会的責任」を意味する用語で、Corporate Social Responsibilityの頭文字を取っています。CSRにおける企業の役割は、経済的な利益を生むだけではなく、社会や地域のニーズに応えて、社会貢献する責任を果たすというものです。コンプライアンスは、CSRを果たすために必要な要素です。

企業が利益を生み、社会貢献するためには、法令、就業規則、行動規範に沿った健全な経営が前提になります。社内のコンプライアンスを整備できれば、CSRに向けた取り組みが可能になります。CSRの活動事例として、大手ハンバーガーチェーンA社が挙げられます。

大手ハンバーガーチェーンA社は、独自の考えをもとにCSR活動に取り組んでいる企業です。教育や廃棄物の問題に取り組み、環境配慮や社会貢献をしています。企業がCSRを果たせば、投資家、取引先、消費者などからの信頼の獲得につながります。

コーポレートガバナンス

コーポレートガバナンスは、健全な企業の運営を目的とした管理体制を指す用語です。「企業統治」という意味があり、英語表記ではcorporate governanceと記されます。コーポレートガバナンスは、コンプライアンスを守る仕組みや管理体制自体を示しています。コンプライアンスを守るために、コーポレートガバナンスが必要です。

コンプライアンスの徹底を重要視してコーポレートガバナンスを整備するには、企業、投資家、取引先、消費者間の透明性のある関わりを保つための規定の策定が大切です。コーポレートガバナンスは、組織における不祥事や不正の発生を防止し、健全に企業を運営するために役立ちます。

コンプライアンスが重要視されている理由とは

近年、コンプライアンスを重要視する企業が増えています。コンプライアンスが重要視されている理由は、以下の2つです。

  • ・コンプライアンス違反の増加
  • ・インターネットとSNSの普及

コンプライアンス違反の増加

企業がコンプライアンスを重要視する理由の一つは、バブル崩壊後頃からの、融資や決算などに関する企業のコンプライアンス違反の増加です。2000年以降も違反の発覚が続き、法律の改正や行政方針の見直しが行われました。このため、2000年代の半ば頃からコンプライアンスへの注目度が高まりました。

当時、コンプライアンスは法令を守る行為という意味で使われていました。現在は、時代の変化に伴って、解釈がより広義になりました。

インターネットとSNSの普及

コンプライアンスが重要視されるようになったもう一つの理由は、インターネットとSNSの普及です。現代では、インターネットとSNSを誰もが利用でき、簡単に情報の閲覧・発信が可能になりました。社会全体のインターネットやSNSの利用率の増加に伴い、コンプライアンス違反の発生も増えています。

インターネットやSNS上で、個人や企業の不正が告発しやすくなったのは、コンプライアンスが重要視されるようになったきっかけの一つです。コンプライアンス違反が社会露見する機会が増えたため、問題が発覚した場合に、より厳しく批判されるようになりました。

コンプライアンス違反が発生する原因とは

情報漏えいやハラスメントといったコンプライアンス違反が発生する原因は社内にあります。コンプライアンス違反が発生する原因は以下の4つです。

  • ・目標設定と評価制度
  • ・知識不足
  • ・管理体制
  • ・社内環境

目標設定と評価制度

従業員の目標設定と評価制度の内容次第では、コンプライアンス違反を招く要因になります。例えば、従業員に達成が難しいノルマを与えた場合、成果を上げるために就業規則を無視した働き方をする可能性があります。また、昇給や昇進の査定基準が個人の成果のみといった評価制度を導入している場合、倫理観から外れた方法で成果を達成しようとする従業員も現れるでしょう。

コンプライアンス違反を防止するためには、適正な目標設定や評価制度であることが大切です。企業目標として短期的な利益の追及や業務拡大の目標を掲げている場合も、管理職や従業員にまでプレッシャーを与えて、コンプライアンス違反を招く恐れがあります。

知識不足

コンプライアンスに関する知識不足は、違反を招く原因の一つです。経営陣、人事、総務といった企業の人材にコンプライアンスの知識がない場合、知らない間に法令を違反している可能性があります。最低賃金法、労働基準法、男女雇用機会均等法など、企業が守るべき法律は多数あり、法令を守って健全に経営するためには、正しい知識が必要です。

また、企業の経営や管理に関わる人材にコンプライアンスの知識がなければ、従業員のコンプライアンスに対する意識は向上しません。正しい知識を身につけて、企業全体にコンプライアンスの重要性を定着させる必要があります。

管理体制

社内の管理体制は、コンプライアンス違反を防止する重要な要素です。コンプライアンスの管理体制に不備があると、情報漏えいをはじめとした、あらゆるコンプライアンス違反を招く可能性があります。

また、管理体制が整備されていなければ、従業員が違反を発見した場合に、社内のどこに報告すべきか判断できません。コンプライアンス違反に気づいても、放置される恐れがあります。コンプライアンスに関する相談・報告ができる窓口を設置したり、セキュリティ対策をしたりする取り組みが大切です。

社内環境

コンプライアンス違反の発生には、社内環境も影響しています。職場の風通しが悪いと、社内において地位が低い従業員は、上司に意見を述べられません。職場で発言しにくかったり、パワハラが常習化していたりする職場では、コンプライアンス違反が放置される可能性があります。

コンプライアンス違反は、問題が公になった際に、企業が社会から責任追及され、大きな損害を招くリスクがあります。社会からの信頼を失うと取り戻すのが難しく、信頼回復に向けた時間と努力が必要です。社内環境を整備して、コンプライアンス違反が発生した際には、迅速に対応できるよう取り組みましょう。

企業でコンプライアンス違反が発生する例とは

企業で発生するコンプライアンス違反には、いくつか種類があります。企業におけるコンプライアンス違反の例を4つ解説します。

  • ・法令違反
  • ・労働問題
  • ・情報漏えい
  • ・不正経理

法令違反

法令違反は、他に比べて社会からの批判が大きくなりやすいコンプライアンス違反です。企業に対する批判が大きければ、さまざまな事業活動に支障が生じます。主な法令違反の例は以下の通りです。

  • ・文章、画像、動画の無断転載や引用をする
  • ・食品衛生法に基づいた表示がない
  • ・商標登録のある商品名と類似する商品を販売する

労働問題

労働問題に該当するコンプライアンス違反は、雇用主から従業員に対して与える肉体的、精神的苦痛です。労働問題には、さまざまな要素が組み合わさって発生している場合が少なくありません。主な労働問題は以下の通りです。

  • ・セクハラやパワハラが起きている
  • ・労働基準法を無視した長時間労働
  • ・サービス残業を見過ごして賃金を払わない

情報漏えい

情報漏えいの多くは、従業員の情報の取り扱いミスによって起こります。情報漏えいが発生すると、顧客や取引先とのトラブルに発展する可能性があるため、情報の取り扱いは慎重にしなければなりません。
主な情報漏えいの例は以下の通りです。 主な情報漏えいの例は以下の通りです。

  • ・インサイダー取引
  • ・顧客情報が外部に流出する

不正経理

不正経理は、関係者、取引先などを巻き込み、広範囲に悪影響を与えるコンプライアンス違反です。不正経理を起こした企業に対する被害も大きく、経営破綻を招く場合もあります。被害を防止するためにも、不正経理にあたる行為には厳しい監視と対処が大切です。主な不正経理の例は以下の通りです。

  • ・脱税をする
  • ・会計書類を偽装する
  • ・粉飾決算をする

コンプライアンス違反を防ぐ対策とは

コンプライアンス違反は、企業に大きな被害をもたらします。コンプライアンス違反を防ぐ対策は以下の通りです。

  • ・マニュアルと社内規則の整備
  • ・社内環境の改善
  • ・法改正情報の把握
  • ・管理体制の整備
  • ・研修の実施

マニュアルと社内規則の整備

コンプライアンス違反の防止には、マニュアルや社内規則の整備が効果的です。
マニュアルや社内規則として明確に記載すれば、社内のコンプライアンスに対する意識が高まります。作成した後は、社内全体に周知しましょう。コンプライアンスの理解が社内全体に浸透すれば、違反の発生を防ぐ効果が期待できます。マニュアルや社内規則に入れる内容の例は、以下の通りです。

マニュアルや社内規則に入れる内容の例は、以下の通りです。

  • ・すべてのハラスメント行為の防止
  • ・データの目的外での使用や持ち出しの禁止
  • ・公共の場やSNSでの発言に関する注意点
  • ・不必要な残業の禁止

社内環境の改善

社内環境の改善は、コンプライアンス違反の防止に有効な方法です。社内の地位にかかわらず、自由に意見が述べられる社内風土をつくりましょう。違反行動が放置されるリスクを
減らせます。

対策に向けた具体的な行動の例としては、社内風土に関する課題をテーマにした従業員アンケートの実施が挙げられます。アンケート結果をもとに、発生する可能性があるコンプライアンス違反を検討しましょう。社内環境における課題解決が、違反を未然に防ぐ環境整備につながります。

法改正情報の把握

法令は、時代に合わせて改正されます。企業のコンプライアンス違反を防ぐには、常に最新の法令を把握しなければなりません。現場業務、事業など、自社に関係があるすべての法改正情報を素早く把握できる体制を整備しておきましょう。

弁護士や会計士などの専門家に知見を求められる体制を整備すれば、法改正への対策が必要になった場合も、アドバイスをもらいながら適切に対処できます。外部セミナーに出席したり、政府が公開する資料を確認したりして、自発的に法改正情報を集めることも効果的です。

管理体制の整備

コンプライアンス違反の対策として、問題発生の際に対応する部門を設置しましょう。コンプライアンス専門の部門は、従業員が違反に気づいた際に相談・報告できる窓口として活用できます。

問題に対する責任の所在を判断する上でも、専門の部門が役立ちます。管理体制を整備すれば、コンプライアンスの知識を社内に周知しやすくなります。勉強会や研修など、部門が主体となって社内全体に必要な情報を周知しましょう。

研修の実施

従業員がコンプライアンスに関する正しい知識を身につけるには、研修の実施が効果的です。情報セキュリティや各種ハラスメントによる問題を研修内容に取り入れて、社内の理解を深めましょう。専門家を外部から招いて、定期的に研修を実施します。

コンプライアンス違反のなかには、従業員の行動が重要になる問題もあります。定期的な研修により、従業員が正しい行動を考えるきっかけになり、違反の防止につながるでしょう。

まとめ

現在、企業の多くがコンプライアンスに注目しており、違反の防止に向けた対策を行っています。本来、コンプライアンスとは法令を守って業務に取り組むことを意味していましたが、現在は就業規則と行動規範も含まれています。企業の経営者をはじめ、社内全体でコンプライアンスに関する正しい知識を身につけて、違反防止に向けて取り組みましょう。

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