ハラスメントの種類一覧!起こる原因と企業が気を付けるべきこと、対処法を解説

  • ハラスメントの種類一覧!起こる原因と企業が気を付けるべきこと、対処法を解説

    公開日:2022.12.19

    更新日:2023.11.08


    ハラスメントとは、肉体的・精神的に傷つけるような嫌がらせや迷惑行為です。職場におけるハラスメントには多種多様な種類があるため、ハラスメントの防止が重要です。この記事では、企業の人事担当者に向けて、ハラスメントの種類について解説します。発生する原因や、企業へのリスク、対処法も解説しているので、参考にしてください。

ハラスメントとは?

ハラスメントとは、相手を不快にする嫌がらせや迷惑行為のことです。現在は、職場におけるさまざまな種類のハラスメントが問題になっています。ハラスメント当事者に意識がなく、周囲が言い出せないケースが多く見られます。

職場で多いハラスメントの種類

職場におけるハラスメントは、多種多様な種類があります。ここでは、代表的な10種類のハラスメントについて解説します。
※ハラスメント研修に関する記事はこちら

1.パワーハラスメント

職場の上下関係や権力を利用した嫌がらせのことです。厚生労働省は、以下の3つの要素を満たすものとして定義しています。
1)優越的な関係を背景とした言動
2)業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動
3)労働者の就業環境が害される

2.セクシュアルハラスメント

性的な言動や嫌がらせにより、不利益を受けたり就業環境を害されたりすることです。男性から女性に対して行われる行為だけでなく、男性やLGBTに対する発言、性的なものを連想させることも含まれます。

3.モラルハラスメント

精神的な苦痛を与える嫌がらせ行為です。職場で特定の人を無視する、意見をすべて拒否する、見下した態度を取る、実行が難しい仕事を依頼するといった、モラルに反する見えない暴力が該当します。

4.マタニティハラスメント

妊娠や出産を理由に、肉体的・精神的な嫌がらせや、不利益な取り扱いを行うことです。退職を迫る、妊娠中に心無い発言をするといった言動から、不妊治療に対する否定的な言動も含まれます。

5.ジェンダーハラスメント

男らしさ・女らしさといった性区別を強要することです。「男だから」「おばさんだから」などの性差別的な言葉を使い、その基準に合わせた行動を求めます。性別による不当な評価を下すこと、採用や昇進の機会損失も該当します。

6.リストラハラスメント

リストラ対象者に対する嫌がらせを行うことです。無理難題を押しつけたり、不当な配置転換を命じたりして、自主退職に追い込みます。主に管理職級の従業員が対象にされます。



7.アルコールハラスメント

飲酒に関わる迷惑な言動・行為です。上下関係を利用した飲酒の強要、意図的な酔いつぶし、アルコールが飲めないことをからかう、酔った状態で暴言を吐く・暴力をふるうといった迷惑行為などが該当します。

8.スモークハラスメント

タバコに関する不適切な行為です。喫煙者が非喫煙者に受動喫煙させたり、喫煙を強要したりする嫌がらせ行為です。勤務時間中に不当な喫煙時間を取得すること、「吸ってもいい?」と上司が部下に断りにくい状況を作ることもスモークハラスメントです。

9.リモートハラスメント

リモート中に起こるハラスメントです。特定の従業員を参加させない、映り込んだ部屋や服装を指摘してプライベートに言及する、業務に必要がないのに2人きりのWeb会議を要求する、といった不快感を与える行為が該当します。

10.テクノロジーハラスメント

パソコンやスマートフォンなどのITスキルの高い人が、知識のない人に対して行う嫌がらせです。専門用語を多用して話す、回りくどい指示をして困惑させる、見下した言動を取るといった行為です。

11.セカンドハラスメント

セカンドハラスメントは、セクハラやパワハラなどのハラスメント被害者が、被害を相談したことで二次被害を受けることを指します。

・セクハラの相談をしたら自分が悪いと言われた
・セクハラ被害を周囲にバラされた
・ハラスメントを相談したことで部署異動をさせられた

上記は一例ですが、ハラスメント被害者が不利益な扱いを受けることは、すべてセカンドハラスメントの定義に当てはまります。セカンドハラスメントは専用の窓口がない会社で発生しやすく、相談相手に注意しなければなりません。

12.スメルハラスメント

スメルハラスメントは、体臭や口臭などの臭いによって周囲に被害を与え、不快にさせるハラスメントです。臭いは日頃の習慣や衛生状態、体質に起因するため、非常にデリケートな問題です。しかしスメルハラスメントは、悪臭を自覚したうえで相手を不快にさせた場合にハラスメントとして認められます。体臭や口臭以外にも、香水の強烈な香りやカビの臭い、たばこ臭などもスメルハラスメントの一種となります。臭いで相手に不快感を与えた時点でハラスメントになるため、日頃から自分の臭いには注意する必要があるでしょう。

パワーハラスメントになりうる具体的な言動

職場でとくに多いパワーハラスメントについて、パワーハラスメントの代表的な言動を解説します。

身体的な攻撃

従業員の身体に危害を与える行為です。殴打、足蹴り、相手に物を投げる、唾を吐く、胸ぐらをつかむといった行為です。ゴミ箱を蹴る、机を叩くといった威嚇行為も含まれます。

精神的な攻撃

人格を否定するような言動、長時間の厳しい叱責、威圧的な叱責を行うことです。ほかの従業員の前で叱責を繰り返し行う、能力否定や罵倒する内容のメールを送信することも精神的な攻撃です。ただし業務における問題行為に対する注意は含まれません。

人間関係からの切り離し

気に入らない特定の従業員を無視したり、別室に隔離したりして、孤立するように仕向ける行為です。特定の従業員を長時間仕事から離して隔離する、集団で無視して職場から孤立させる、業務に必要な情報を教えないといった行為を指します。

過大な要求

達成不可能なノルマや、業務上不要な業務を課すことです。入社したばかりの従業員に教育せず業務を強制してできないことを叱責する、終業間際に膨大な量の残業を押しつける、業務と関係ない私用の雑務を行わせるなどの行為です。

過小な要求

能力や経験がある従業員に対して、レベルの低い仕事を命じることです。専門職採用なのにコピー取りしかさせない、業務を回さずにやることがない状態を作る、管理職社員を退職させるために誰でもできる業務しか与えないといった行為です。

個の侵害

従業員の私的な範囲に過度に立ち入ることです。職場以外でも従業員を監視する、個人情報を他の従業員に暴露する、理由次第で有給休暇の取得の可否を判断する、不在中に机のなかを物色するといった行為です。

ハラスメントが起こる4つの原因

ハラスメントが起こるには、主に4つの原因があります。ここではハラスメントが起こる原因について解説します。

1.個人の無知と無自覚

ハラスメントがなくならない原因は、個人にあります。ハラスメントの知識を正しく知らず、理解していない無知から生じるためです。また、意識的に行う人もいるものの、自分がハラスメントをしていると気づかず無自覚で行う人が多いためです。

2.コミュニケーション不足

上司・部下のコミュニケーションが不足すると、誤解や不満が生じ、ハラスメントが起こりやすくなります。コミュニケーション不足の状態では、通常通り接したつもりでも、ハラスメントをされたと誤解が生じるケースもあります。

3.職場環境の悪さ

職場環境や雰囲気が悪いと、ハラスメントが起こりやすくなります。ミスが許されないような日常的に強いストレスがかかる職場や、現場責任者の権限が強すぎるような閉鎖的な職場環境で発生しやすくなります。

4.日本全体の意識の低さ

日本のハラスメント意識については、厚生労働省の令和2年の「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」で明らかになっています。過去3年間のセクハラ、パワハラなどのハラスメント行為について「件数は変わらない」としている回答が最も多い結果でした。
日本においては古い体質や考え方が残っており、社員に対するハラスメントの意識が低いことに加え、相談窓口が少ないことも問題に拍車をかけています。組織としてハラスメント対策に取り組まなければ、社会の意識を変えることは難しいでしょう。

ハラスメントが発生した際の企業のリスク

ハラスメントが発生することは、企業にとってのリスクです。ここでは、企業のリスクについて解説します。

損害賠償が求められる

企業は働きやすい環境を維持する義務を負っているため、ハラスメント対策をしていないことへの法的責任が問われます。立証されれば、被害者の精神的ダメージへの損害賠償が求められることもあります。

従業員のメンタルヘルス不調を引き起こす

ハラスメントを見たり聞いたりした従業員が、メンタルヘルス不調を引き起こす可能性があります。職場の雰囲気や従業員同士の関係が悪化するケースもあり、従業員のモチベーション低下、作業効率の悪化につながります。

企業イメージが低下する

自社のハラスメントが報道されると、企業イメージが低下します。社会からの信頼を失い、株価暴落、顧客離れなどに悪影響を与えます。新たな人材を採用することが困難になり、採用コスト増加のリスクも生じます。

企業が行うべきハラスメント対策・対処法

ハラスメントを予防するために、企業には教育や社内ルールの設定、相談窓口の設置が求められます。

教育・研修を行う

ハラスメントのない職場作りをするには、教育・研修の場が必要です。従業員の理解を深めるために基礎知識や、ハラスメントの実態、対策を周知しましょう。知識を身につけることで一人ひとりの意識が変わります。
※ハラスメント研修に関する記事はこちら

相談窓口を設置する

相談しやすい相談窓口を作れば、ハラスメントをいち早く発見し、対処できます。相談窓口の担当者は、該当するか微妙な場合であっても、丁寧に対応することが重要です。直属の上司でない従業員に相談できる窓口があれば、ハラスメント防止につながります。

社内でルールを設定して周知する

ハラスメントを防止するには、社内で統一したルールを決定し、周知することも対処法になります。就業規則にハラスメント行為の禁止規定を定め、懲戒規定も設けることで組織としてハラスメントを防ぐ意思を明確にしましょう。また、ルールを決める際はすべてのハラスメントに通じる横断的なルールに加え、パワハラ、セクハラ、マタハラなどハラスメント別に規定を設けておくこともポイントになります。日本においては相談窓口と専門の担当者を設けている企業は、約4割です。そのため社内でハラスメントの規定を設けると同時に、被害者が不利益な扱いを受けないように、独立した相談窓口と担当者を設置することも重要です。

ハラスメントに関連する法律

企業で対策を行ううえで、人事担当者が知っておくべきハラスメントに関する法律について解説します。

パワハラ防止対策関連法

労働施策総合推進法のことで、通称でパワハラ防止対策関連法、パワハラ防止法とも呼ばれます。パワーハラスメント防止対策の強化が目的で、2022年4月からは中小企業も実施が義務化されました。

男女雇用機会均等法

男女雇用機会均等法は、男女の均等な機会と待遇の確保を目的とした法律です。ハラスメントを行ってはならないことが明記されています。2017年1月からは、事業主に妊娠・出産等に関するハラスメント防止措置を講じることが義務づけられています。

育児・介護休業法

育児・介護休業法は、育児や介護をしながら働く労働者の支援を目的に成立した法律です。事業主には育児休業、介護休業に関するハラスメント防止措置が義務づけられています。

まとめ

ハラスメントとは相手が不快に感じる嫌がらせや迷惑行為のことで、何十種類ものハラスメントがあります。発生すると企業にリスクが起こるため、予防には教育・研修や社内ルールの設置が欠かせません。自社での研修・教育が不安な場合は、外部サービスの利用がおすすめです。

ユーキャンの法人向け人材育成サービスは丁寧なヒアリングで課題を抽出し、その法人様にフィットするご提案をいたします。ハラスメント研修について、お気軽にお問い合わせください。

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