コミュニケーション研修とは
コミュニケーション研修とは、日常会話で大切な要素となる「聴く能力」と「伝える能力」を養い、コミュニケーションスキルを向上させるための研修です。ビジネスシーンにおいて、コミュニケーションの優劣が企業の発展に大きく影響するといっても過言ではありません。IT化が進み、人間関係が希薄になりがちな現代だからこそ、正確かつ円滑に直接相手と意思伝達ができるようになるコミュニケーション研修の導入が注目を集めています。
コミュニケーション研修の目的
コミュニケーションが不足していたり円滑でなかったりすると、ミスが起こり、作業効率が下がりやすくなります。円滑にすることでミスを減らし、業務の作業効率を上げることが基本的な目的です。この項目では、より具体的な目的を4つ解説します。
1、伝える力の向上
伝える力とは、考えや指示を相手に伝えたり、言語化したりする力です。伝える力が向上することで、会議や交渉の場でのコミュニケーションが円滑になります。プレゼンテーション能力が上がると、会社の売上や利益にも貢献できるでしょう。伝える力は、ビジネスコミュニケーションの基本とされています。
2、聴く力の向上
聴く力とは相手の発言をじっくり聞き、意図を正確に理解する力です。聴く力が向上することで、自分の考えを伝えるだけでなく相手の発言を促せ、信頼関係の構築につながります。部下を持つ立場の人には特に重要なスキルです。
3、質問力の向上
質問力とは、疑問点や不明点が生まれた際に質問し、解消する力です。質問力が向上することで、お互いの視野を広げ、理解を深める意味があります。重要視されることは少なくなっていますが、適切な質問は信頼を得られ、本音を引き出すことにつながるため重要なスキルです。加えて、情報収集能力の向上も期待できます。
4、離職率の改善
社会人の離職率でもっとも多い理由が、人間関係とされています。コミュニケーション不足やズレで徐々に関係性が悪化し、退職につながります。コミュニケーション研修を通して社員間の信頼関係や雰囲気が改善でき、気軽に相談できる環境を作れると、離職率の改善が期待できるでしょう。
コミュニケーションを取れない事で起きる問題
ここでは、相手や周囲とのコミュニケーションがうまく図れないことで起きる具体的な問題を見ていきましょう。
課題①離職につながる
コミュニケーションスキルに問題がある人は、自分の意見を伝えることが苦手です。それは、ビジネスシーンにおいても同様であり、社内の上司や同僚をはじめ、クライアントや下請企業の担当者などともコミュニケーションを上手に図れないため、仕事を円滑に進めることができません。このようなタイプの人は、仕事に対する姿勢が「指示待ち」になる傾向があり、おのずと業務の幅が狭くなってしまいます。また、自分の意思を言葉や行動でうまく表現できないことから、良好な人間関係を構築できず、孤立が原因となって体調を崩すほどのストレスを抱えてしまうでしょう。結果的に職場で自分の居場所を失くし、離職につながってしまうのです。
課題②損失や違反の原因になる
コミュニケーションスキルの優劣は、個人だけの問題ではありません。企業・部署・チームの単位でも、日頃からコミュニーションが不足していれば、社員同士の意見交換、間違いや不正に対する指摘ができなくなります。特に上司とのコミュニケーションが円滑に図れない場合、なおさら間違いや不正が発覚しても、上司相手に意見することが難しいため、見て見ぬふりをする人が大半です。その結果、重大なハラスメント問題や取り返しのつかないコンプライアンス違反などに発展し、巨額の損失につながる恐れがあるでしょう。職場のコミュニケーションが良好に図られているか否かは、企業の存続を左右する社会的な健全性にも大きな影響を及ぼすのです。
課題③業務効率が低下する
「報告・連絡・相談」の略語である報連相の周知徹底は、ビジネスパーソンにとって基礎中の基礎です。しかし組織内におけるコミュニケーションが円滑に図れず、報連相が不十分であれば「進捗報告を怠る」「取引先への連絡を忘れる」「上司に相談しない」といった問題が常態化し、社員間の情報共有ができず、認識違いが起こりやすくなってしまいます。そうなると「上司が部下の仕事を把握できない」「トラブルやミスが起きても即座に対応できない」などの悪循環に陥り、業務効率の低下を招く原因となるでしょう。また報連相の欠如は、チームワークに重要な一体感や連携力を著しく弱めるため、安定した人間関係の構築に悪影響を与えます。
コミュニケーション研修を利用するメリット
コミュニケーション研修を実施することで、どういったメリットがあるのかを解説します。
従業員間の関係性の向上
従業員間の関係性が向上し、連携が強化されることで、業務の効率が上がります。業務効率の向上だけでなく、課題が発生した場合の解決スピードの向上も期待できるでしょう。
情報交換の活性化
コミュニケーションが増加すると、社内の情報交換が活性化し、風通しがよくなります。これまでになかった交流が発生することで、異なる部署との連携強化や、コラボレーションが生まれることも想定されます。
仕事の効率化
コミュニケーションが活発になると、自然と従業員間の報連相が綿密に行われるようになります。報連相の増加によって、仕事の漏れや重複、指示ミスなどを防げます。また従業員間だけでなく、社外の人との情報共有が円滑になると、信頼関係が生まれ成果につながりやすくなるでしょう。
離職率の改善
コミュニケーション研修で従業員間の交流や意思疎通が活発になれば、離職率改善につながるメリットがあります。従業員の離職理由に占める割合の中で、人間関係は大きな割合を占めています。組織内でのコミュニケーションが上手くいかないと、業務連絡や従業員間の連携が滞りやすくなり、部下から上司への相談もしにくい環境になるでしょう。コミュニケーション研修で風通しの良い職場環境を作ることで、すべての社員にとって働きやすい職場を実現しやすくなります。
従業員のスキルアップ
コミュニケーション研修はビジネスマンに必要なコミュニケーションの基本を学び、聞く力や伝える力を高める研修です。友達と話すときのようなコミュニケーションとは違い、相手との立場の違いや心理的な距離感、話を切り出すタイミング、正しい言葉遣いなどを学びます。コミュニケーション研修を通してスキルアップすれば、仕事へのモチベーションも高まるでしょう。
コミュニケーション研修の具体的な内容
コミュニケーション研修では、どのようなことをするのでしょうか。具体的な内容を解説します。
コミュニケーションの重要性を知る
まずはなぜコミュニケーションが重要なのか、ビジネスにおいてどのような影響があるのかを学びます。コミュニケーションは企業の成長にまで影響すると理解し、コミュニケーション研修の重要性を理解していきます。
自分を客観的に分析する
自己診断テストを受けたり、自分の話し方を映像で確認したりします。自分を客観的に見ることで、できていないことが認識できるでしょう。自分を見つめなおすと、研修の目標を立てることにもつながります。
社会人の基本的なマナーを身につける
社会人がコミュニケーションを取る際には、基本的なビジネスマナーを守ることが重要です。ビジネスマナーがなっていないと、印象がマイナスになることもあります。服装などの身だしなみ、姿勢、表情、言葉遣いなどを学びます。
話し方を学ぶ
コミュニケーションでもっとも重要な、話し方について学びます。コミュニケーションが苦手な人は、話すことが苦手で話し方がわからない場合が多くなっています。話すことが苦手であっても、相手の心をつかむ話し方など対話のポイントを身につけることで、大幅な成長が見込めるでしょう。
聴いて理解する力を養う
コミュニケーションは言葉のキャッチボールのため、話し方と同様に聴き方も重要です。相手の話を聴き、意図を理解しないと適切な答えができません。研修では聴くことの重要性、聴き方のポイントを学びます。
コミュニケーション研修を効果的に行うポイント
コミュニケーション研修をより効果的に実施するには、どのようにすればいいのでしょうか。2つのポイントを解説します。
解決したい課題と目的を明確にする
業種や立場によって、課題は異なります。たとえば、接客時のスキルを上げたい、プレゼンテーション能力を上げたいなど、課題を明確にしましょう。自分なりの課題を解決するという、目的に合った研修を企画することが必要です。
対象者とコミュニケーション研修の種類を決める
新入社員、中堅社員、管理職など、立場によって求められるスキルが変わります。目的を決定したうえで、対象になる社員を選びます。また研修のスタイルは短い時間で比較的予算の抑えられる講義型か、実践的なスキルが身につくものの時間と予算のかかる演習型か、時間や予算によって決めるといいでしょう。
まとめ
今回はコミュニケーション研修の具体的な目的や種類、メリットなどを解説しました。コミュニケーション研修は新入社員に行うべきものと思われがちです。しかし、従業員のレベルや階層に応じて、それぞれに適したコミュニケーション研修があります。研修を行う際は目的と対象を明確化し、どのような研修を実施すべきか細かく検討しましょう。コミュニケーション研修が成功すれば、生産性と業務効率が改善し、従業員の定着率も高めやすくなります。