危険物取扱者の仕事内容とは?必要なスキルや将来性を詳しく解説
- 更新日:2023/07/19
危険物取扱者の資格を持っていると、さまざまな仕事で役に立ちます。この記事では、危険物取扱者の資格取得を検討している人に向けて、危険物取扱者の仕事内容などについて解説します。資格があれば従事できる仕事を知ることで、自分の将来も設計しやすくなるのではないでしょうか。
このページを簡潔にまとめると・・・
- 危険物取扱者の仕事は危険物保安監督者、設備管理スタッフ、化学系メーカー、製薬会社の社員、発電所の保安員、ガソリンスタンド店員、タンクローリー運転手、消防士がある。
- 危険物取扱者に必要なスキルは危険物に関する知識に加え、責任感や集中力が必要です。
- 危険物取扱者の資格を取得すると「就職先の選択肢が増える」「給料が上がる」「危険物に関する知識が身につく」というメリットがある。
危険物取扱者の資格が必要とされる職場の特徴
ここからは、危険物取扱者の資格が必要とされる3種類の職場の特徴を紹介します。
危険物を扱っている
危険物を扱っている職場で業務を行うためには、もちろん、危険物取扱者の資格が必要とされます。資格を持っていない従業員も作業することはできますが、そのときは甲種または乙種の危険物取扱者が現場に立ち会う必要があります。危険物を扱っている職場の代表例としては、化学工場やガソリンスタンドなどが挙げられるでしょう。
危険物を運んでいる
危険物を直接扱うのではなく、運搬する場合も危険物取扱者の資格が必要です。石油製品などを運ぶタンクローリーが代表的ですが、フォークリフトを使って危険物を運搬するケースもあります。危険物を運ぶ職場で働きたい場合は、危険物取扱者以外にフォークリフトの免許や大型自動車免許などを持っていると役に立ちます。
危険物を保管している
一定量以上の危険物を保管している場所でも危険物取扱者の資格が必須となります。危険物施設では、危険物保安監督者を配置することが法律で定められているためです。危険物を保管している職場としては石油プラントなどが挙げられます。ボイラーの燃料として危険物を一定量以上保管している宿泊施設においても、危険物取扱者を配置する必要があります。
危険物取扱者の具体的な仕事内容
危険物取扱者の資格が活かせる仕事としては「危険物保安監督者」「設備管理スタッフ」「化学系メーカー、製薬会社の社員」「発電所の保安員」「ガソリンスタンド店員」「タンクローリー運転手」「消防士」が挙げられます。
危険物保安監督者
危険物を取り扱う作業者に指示を出せる立場の人のことを危険物保安監督者といいます。危険物保安監督者になるためには、乙種または甲種の資格を取ったうえで6カ月以上の実務経験を積む必要があります。なお、甲種であれば全ての危険物の取り扱いを監督できますが、乙種の場合は該当する危険物の取り扱いしか監督できないので注意しましょう。
設備管理スタッフ
不特定多数の人間が利用するビルなどのメンテナンスを行うのが設備管理スタッフです。訪れた人が安全かつ清潔に設備を利用できるように、点検したり、整備したりします。危険物取扱者の資格がなくても設備管理スタッフにはなれますが、資格があったほうが対応できる作業が増え、就職先の選択肢が広がるでしょう。
化学系メーカー、製薬会社の社員
化学薬品などを製造する会社では、危険物取扱者の資格が必要とされる場面も多いです。そのため、危険物取扱者の資格があれば就職活動などを有利に進められるでしょう。また、製薬会社では、薬剤師と危険物取扱者の資格を両方持っている人が高く評価されます。すでに薬剤師の資格を持っている人は、併せて危険物取扱者の資格取得を検討してみるといいでしょう。
発電所の保安員
発電所の保安員 発電所の保安員も危険物取扱者の資格が役に立つ仕事のひとつです。保安員は発電所に常駐し、設備点検や非常時の対応などを行います。危険物取扱者の資格がなければできない作業も多いため、持っていればキャリアアップも目指しやすいでしょう。
ガソリンスタンド店員
危険物取扱者の資格が必要な職場の典型的な例がガソリンスタンドです。ガソリンスタンドは法令上「給油取扱所」に該当し、危険物取扱者が作業を監督する必要があります。灯油やガソリンといった引火性液体が扱える乙種第4類や丙種の資格を持っていれば、ガソリンスタンドでも活躍できるはずです。
タンクローリー運転手
タンクローリーでガソリンや灯油などを運搬する際にも、危険物取扱者の立ち会いが必要です。危険物取扱者が助手席に乗り、他の人がタンクローリーを運転することもありますが、危険物取扱者が自分で運転もする場合がほとんどです。そのため、危険物取扱者の資格と大型自動車免許を両方取得すれば即戦力として働けます。
消防士
消防法では、火災を発生させるリスクが高い物質を「危険物」と定義しています。そのため、消火活動を担う消防士も危険物取扱者の資格を取得しておきたい職業だと言えます。消火に役立つ知識が身につくだけでなく、危険物施設の検査など火災の予防業務においても危険物の知識は必要です。
危険物取扱者に必要なスキル
ここからは、危険物取扱者に必要なスキルを3つ紹介します。
危険物に関する知識
危険物取扱者試験では、当然のことですが、危険物に関する知識が問われます。たとえば、乙種の試験科目は「危険物に関する法令」「基礎的な物理学及び基礎的な化学」「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」の3つです。
「危険物に関する法令」では、火災予防などの観点で設けられた、人や場所に関する規制について出題されます。「基礎的な物理学及び基礎的な化学」では、燃焼の理論などに関する基礎的な物理・化学の知識が問われます。「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」では、危険物を扱ううえで必要不可欠な知識についての問題が出ます。
責任感
危険物取扱者として作業をしているときに、危険物の取り扱いを間違えれば、火災発生などにつながる恐れがあります。火災は人の生命や財産を危険にさらす災害であるということを理解したうえで、責任感を持って作業に臨む姿勢が求められます。
集中力
危険物取扱者には、危険物に関する知識だけでなく高い集中力も必要です。危険物を取り扱う際に油断すると火災発生につながりかねません。災害を未然に防ぐために、細心の注意を払って作業する集中力も大切なスキルだと言えます。
危険物取扱者の仕事の将来性
ここからは、危険物取扱者の仕事には将来性があると言える理由について解説します。
危険物取扱者はニーズが高い
危険物取扱者は人々の生活を支えるために必要な資格です。ガソリンスタンドでの給油や発電所での保安業務など、さまざまな場面で危険物取扱者の資格が活用されています。高いニーズがあるぶん、将来的にも危険物取扱者の仕事はなくならないと考えられるでしょう。
国家資格なので信頼される
「一般財団法人消防試験研究センター」が試験を実施している危険物取扱者は国家資格です。資格を取ることで周囲から信頼されるようになり、任される仕事の幅も広がるでしょう。危険物取扱者はキャリアアップを目指す人にもおすすめの資格だと言えます。
仕事中に事故が起こったときの対処法
危険物取扱者の仕事では、どれだけ注意していても不慮の事故が起こる可能性はあります。重要なのは、事故が起こったときに適切に対処するということです。非常事態の際は、応急処置や通報など、被害を抑えるための対応を慌てずに行う必要があります。迅速に対処するためにも、常に最悪のケースを想定しながら業務に臨むようにしましょう。
危険物取扱者の資格を取得するメリット
最後に、危険物取扱者の資格を取得する3つのメリットについて解説します。
就職先の選択肢が増える
危険物取扱者の資格を取る最大のメリットは、就職先の選択肢が増えることです。先述のとおり、危険物取扱者の資格を取れば、さまざまな職場で活躍できるようになります。就職先の選択肢が増えることで、自分に合った好きな働き方が実現できるのではないでしょうか。
給料が上がる
危険物取扱者には資格手当がつく場合があり、資格取得によって給料が上がる可能性があります。また、対応できる仕事の幅が広がることで、転職や昇進で収入が増えることもあるでしょう。さらに、関連資格を取得すればより一層のキャリアアップも狙えます。
危険物に関する知識が身につく
危険物取扱者の資格取得を目指す過程で、受験勉強を通して危険物に関する知識が身につきます。専門性の高い仕事ができるようになるだけでなく、日常生活の中でも災害発生のリスク軽減に役立てられるでしょう。
まとめ
ガソリンスタンドや化学工場、発電所など、危険物取扱者の資格はさまざまな職場で活用されています。危険物取扱者の資格には将来性があり、取得することで働き方の幅が広がるでしょう。危険物取扱者の資格取得を目指すときは、ユーキャンの講座を利用するのがおすすめです。
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- この記事の監修者は生涯学習のユーキャン
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1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
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よくある質問
- 危険物取扱者試験の合格率は?
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危険物取扱者甲種は合格率が例年30~40%、危険物取扱者乙種の合格率は、第4類のみ30%前後で、他は60~70%程度丙種危険物取扱者試験の合格率は50%前後です。
- 危険物取扱者試験はどの種類から目指したらいい?
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初めて危険物取扱者資格を目指すなら、乙4(乙種第4類)からがいいでしょう。乙4は仕事の需要が高く、人気が高いからです。甲種は受検するために受験資格を満たす必要がありますが、乙種と丙種には特に受験資格がありません。