危険物取扱者の仕事内容とは?必要なスキルや将来性を詳しく解説
危険物取扱者の仕事内容についてより詳しく解説します。従事できる仕事を知ることで、自分の将来も設計しやすくなるでしょう。
危険物取扱者とは、消防法で定められた危険物を取り扱ったり、危険物の取り扱いに立ち会ったりするために必要な国家資格、およびその有資格者のことです。危険物取扱者を必要としている企業は多く、就職や転職に向けて資格の取得を目指す人も多いでしょう。
この記事では、危険物取扱者の資格に関心がある人に向け、資格や危険物取扱者になる方法などについて解説します。ぜひ参考にしてください。
危険物取扱者は国家資格であり、取得すれば履歴書に記載できます。危険物取扱者になると、消防法で定められている燃えやすい危険物を業務で取り扱えます。危険物に含まれるものとは、たとえばガソリンや灯油などです。
危険物取扱者試験は、甲種・乙種・丙種の3つの区分があります。乙種と丙種については受験資格が特になく、誰でも受験可能です。甲種の試験を受験するには、以下の受験資格のうちのいずれかを満たしていなければなりません。
危険物取扱者の試験科目は、甲種・乙種・丙種のいずれにおいても3科目です。すべての試験で「危険物に関する法令」と「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」の2科目が共通していますが、出題数はそれぞれ異なります。
甲種では「危険物に関する法令」が15問、「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」が20問出題されます。甲種のみで出題される「物理学及び化学」は10問です。
乙種の試験科目と問題数は、「危険物に関する法令」が15問、「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」が10問です。乙種のみで出題されるのは、「基礎的な物理学及び基礎的な化学」で、出題数は10問となります。
丙種では、「危険物に関する法令」が10問、「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」が10問出題されます。さらに、丙種のみの科目である「燃焼及び消火に関する基礎知識」が5問です。
乙種または丙種の危険物取扱者試験を受験する場合、一定の条件を満たしていれば科目が一部免除になります。免除の制度を利用すれば、よりスムーズに複数の危険物取扱者の資格取得を目指せるでしょう。
乙種は第1類~第6類の資格にわかれており、そのうちの1つでも資格を取得していれば、ほかの類を受験する際に科目が免除となります。免除になるのは「危険物に関する法令」「基礎的な物理学及び基礎的な化学」の2科目の全問です。
また、火薬類免状を有している場合も、1類と5類の受験の際に科目の一部が免除となります。乙種のいずれかの類の資格と火薬類免状の両方があれば、免除される科目はさらに多くなります。
丙種の危険物取扱者試験で科目免除を受けるには、消防団員として5年以上の実務経験が必要です。さらに、消防学校の教育訓練において基礎教育または専科教育の警防科を修了していることも求められます。条件を満たしている場合に免除されるのは、「燃焼及び消火に関する基礎知識」の全問です。
危険物取扱者試験は都道府県ごとに開催されているため、試験日程も全国一律ではありません。詳細な試験日程は、消防試験研究センターの各道府県支部(東京都の場合は中央試験センター)が示している情報で確認しましょう。
危険物取扱者試験の受験申請は、書面申請または電子申請で行います。書面申請の場合は願書の提出が必要です。一方、電子申請の場合はインターネットで申し込みの手続きができます。
危険物取扱者試験の受験にかかる手数料は、甲種が6,600円、乙種が4,600円、丙種が3,700円です。なお、試験手数料については、非課税となっています。支払いは郵便局の窓口で行います。
危険物取扱者になると、どのような仕事に就けるのでしょうか。ここでは、主に活躍できる場を挙げます。
一定量以上の危険物を所有する工場や施設では、法律上、危険物取扱者が必要です。就職先としては、化学工場やガソリンスタンド、石油コンビナートなど、さまざまな場所で活躍できます。
危険物取扱者の仕事内容は、資格の種類によっても取り扱える危険物の種類が異なるため、変わってきます。
甲種であれば最も対応できる範囲が広く、さまざまな工場や研究施設などで定期点検、保安の監督を行います。最も扱える危険物が限られている丙種の場合はガソリンスタンドのスタッフや灯油の配送スタッフとして働くことが多くなります。
それぞれの種類の試験に合格し免状の交付を受けることで、危険物取扱者になれます。ここでは、試験科目や資格取得の流れを解説します。
危険物取扱者を目指すなら、危険物取扱者試験の合格が必須です。受験科目や難易度は種別によって異なります。しっかり試験対策をして、試験に臨みましょう。試験合格後の流れは後述します。
危険物取扱者試験の試験科目は、甲種、乙種、丙種のすべてで3科目です。3種に共通する科目は「危険物に関する法令」で、甲種と乙種は15問、丙種は10問出題されます。それ以外の科目と問題数については、以下のとおりです。
「物理学及び化学」が10問出題されます。「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」が最も問題数が多く、出題数は20問です。範囲が広いため、十分な勉強が必要となります。
「基礎的な物理学及び基礎的な化学」が10問、「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」が同じく10問出題されます。予備知識がない場合は、十分な試験対策が必要です。
「燃焼及び消火に関する基礎知識」が5問、「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」が10問出題されます。特に、ほかの種別へのステップアップを考えている場合は、しっかり知識を身につけておきましょう。
試験に合格しただけでは、まだ業務に就けません。免状交付申請を行い、受験地の都道府県知事から免状の交付を受けましょう。手数料は一律2,900円で、納付方法は地域によって異なります。
初めて危険物取扱者資格を目指すなら、乙4からがいいでしょう。乙4とは、危険物取扱者乙種第4類のことです。その理由を説明します。
乙4の人気が高いのは、仕事の需要が高いからです。そのため、一番人気の試験となっており、受験者全体の約6割は乙4の受験者が占めています。参考書も最も充実しており、勉強しやすいところも人気の理由です。
乙4の合格率が約43%、その他の乙種試験が70%前後と大きな開きがあることは先述のとおりです。
合格率が低い理由は、受験者数が多く、対策をしないまま受験する人が混在する傾向にあるからでしょう。初めに乙4を取得する人が多く、その合格者が他の乙種試験を受けるときは、試験科目の一部が免除されることも理由として挙げられます。
乙種と丙種には特に受験資格がありません。大学などで化学を学んでいない場合は、このどちらかの取得を目指すことになります。一方、化学に関する学科を卒業しているなど、受験資格がある場合は、初めから甲種を受験できます。ただし、徐々に上位の資格を取得したい場合や、工場などへの就職を考えている場合は、乙種から受験するのが一般的です。
乙種に合格したあとに甲種を目指す場合、4種類(第1類または第6類、第2類または第4類、第3類、第5類)以上の資格を取得していることが条件になります。そのため、次は1類か6類のどちらか、または3類、5類を受験する流れになるでしょう。
危険物取扱者試験を受験する場合、注意しておきたいことがあります。ここでは、危険物取扱者試験の受験に関する注意事項を説明します。
危険物取扱者試験の受験申し込みのために提出した書類や手数料は、後で返してもらうことができません。また、試験科目の免除を受ける場合、既得免状の写しが必要です。添付し忘れていないか提出前にしっかり確認してください。虚偽の内容を提出した場合は受験できないため注意しましょう。
受験票は、試験日の7~10日前までに郵送で届きます。万が一、受験票が届かない場合は、問い合わせをしましょう。
危険物取扱者試験の当日は、受験票、HBまたはBの鉛筆、消しゴムを持参してください。受験票には、受験日前6カ月以内に撮影した写真を貼り付ける必要があります。写真は正面上三分身像とし、無背景かつ無帽でなければなりません。さらに、写真の裏面には氏名、年齢、撮影年月日を記載します。なお、試験会場では電卓、定規、携帯電話などは使用禁止です。
危険物取扱者試験は定期的に開催されています。ただし、各試験の申し込み締め切りを過ぎた後で試験の種類や日程を変更することはできません。受験する試験の種類や日程を間違えないように注意して申し込みましょう。
試験当日は公共交通機関を利用し、受験票に記載されている集合時刻までに集合してください。試験会場周辺での路上駐車は禁止です。また、会場内では指定場所以外での喫煙は認められません。
危険物取扱者試験を受験すると、試験結果通知書が送られてきます。合格していても、そのままでは危険物取扱者を名乗ることはできません。受験した各道府県の消防試験研究センター支部(東京都の場合は中央試験センター)に対して免状交付申請をし、手数料を納付する必要があります。
危険物取扱者試験に合格して免状を取得すれば、さまざまなことが可能になります。
たとえば、消防士やガソリンスタンド、工場など危険物を扱う現場で活躍できます。消防法により定められたルールに従う必要があるため、危険物取扱者が求められているのです。資格の種類によっても取り扱える危険物の種類が異なるため事前に確認しておきましょう
危険物取扱者試験の学習では、押さえておきたいポイントがあります。ここでは、そのポイントについて具体的に説明します。
危険物取扱者試験に合格するには、3科目すべてをまんべんなく学習する必要があります。なぜなら、3科目すべてで60%以上の問題に正答しなければならないからです。各科目に共通する部分も少なからずあるので、関連付けて覚えるといいでしょう。
危険物取扱者試験で出題される科目について着実に理解するには、わからない部分について質問できる学習方法を選ぶことが効果的です。独学では、わからないポイントについて質問することはできません。
ユーキャンの危険物取扱者合格指導講座なら、マイペースに学習を進められつつ、わからない部分があればそのたびに質問できます。効率的な学習のために、質問できる環境をあらかじめ確保しておきましょう。
危険物取扱者は甲種・乙種・丙種の3種類があり、それぞれ責任範囲が違います。さまざまな職場で活躍できる国家資格といえるでしょう。なかでも仕事先が多い乙4は人気が高く、勉強しやすいこともあって初学者におすすめです。
ユーキャンの危険物取扱者合格指導講座は、危険物取扱乙4と丙種のカルキュラムが用意された通信講座です。最適な添削課題と、わからないところはいつでも質問できるシステムで合格までしっかりサポートします。危険物取扱者を目指すならユーキャンで勉強しましょう。
1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。
危険物取扱者甲種は合格率が例年30~40%、危険物取扱者乙種の合格率は、第4類のみ30%前後で、他は60~70%程度丙種危険物取扱者試験の合格率は50%前後です。
危険物取扱者は試験の合格自体は生涯有効ですが、免状は10年に一度の更新が必要です。運転免許証と同じように顔写真が添付され、取得した危険物取扱者の種類、交付日や交付番号などが記載されたカード形式の免状となっており、提示を求められた際は速やかに提示しなければいけません。