社員研修とは何か?目的や種類、プログラムの例をわかりやすく解説

  • 公開日:2024.12.23

    更新日:2024.12.23

    社員研修とは、会社の業務遂行に必要な知識やスキルを学習させ、企業に必要な人材へと育成していくことを目的にした研修です。 社員研修は社員の階層や研修の目的、業種、社員の所属する部門などによって、実施すべき内容も効果的な実施方法も全く違います。この記事では効果的な社員研修を実施するために、社員研修の概要や現代主流となっている方法、階層別研修のポイントなどを解説します。

社員研修とは何か?

社員研修とは、会社の業務遂行に必要な知識やスキルを学習させ、企業に必要な人材へと育成していくことを目的にした研修です。一般的に「新入社員」「若手社員」「中堅社員」「ベテラン・管理職」「経営層」など社員の階層やターゲット、部署に応じて研修内容は分類されます。社員研修も時代とともに変化しており、かつては集合研修やOJTが中心でしたが、現代ではオンライン研修やe-ラーニングも取り入れる企業が増えています。日々の業務遂行を支えるために、知識のインプットにはオンライン研修やe-ラーニング、スキルアップには集合研修という使い分けをすることもあります。企業の業務内容や目的に合わせて、最適な社員研修を行うことが企業の生産性を高めることになるでしょう。

社員研修の目的

社員研修を行う際は、企業ごとに研修の目的や目標を決定して行うのが一般的です。社員研修の主な目的について紹介します。

社員の意識改革

社員研修は、研修を通して社員の意識改革となり、それぞれの階層に合わせたマインドセットに役立ちます。 例えば、新入社員には社会人意識の醸成、中堅社員にはリーダーとしての自覚と責任、管理職には上司の心構えなどを習得させることができます。社員の意識改革は組織体質の改善にも必要ですから、研修を通して組織に属する者としての自覚を持ってもらいましょう。

スキルアップ

社員研修は業務に必要な知識・スキルを身につけてもらうことも重要な目的です。社員に求められる知識・スキルは部署や業務内容、階層によっても異なります。社員に合わせたスキルアップを行うことで、優秀な人材へと成長させることが社員研修の目的となります。

業務改善

社員研修は社員個人の意識変化やスキルアップに留まらず、会社全体の業務改善にも意味があります。社員がスキルアップすることで業務効率が改善し、組織の生産性と業績向上につながるからです。業務改善につながれば、社員のモチベーションも高まり、さらに業績向上に貢献してくれるでしょう。

社内のコミュニケーション促進

社員研修ではグループワークやロールプレイなど、社員同士のコミュニケーションが求められる研修もあります。そうした研修を通して、社員同士の交流の場を増やし、部署間の連携やチームビルディングに役立てることも目的に入ります。また新入社員の場合、先輩社員との交流を通して人間関係を構築し、職場に慣れるという面でも研修の意義は大きいといえます。

社員研修の種類

社員研修の種類は現地で行うものやオンラインで行うもの、通信講座などさまざまな形態があります。現代で主に活用されている6つの研修方法について紹介します。

1.OJT

OJTは「On the Job Training」の略称で、実務を通して業務を学ぶ研修方法です。 基本的には新入社員や若手に、上司や先輩社員が指導者としてついた1on1の形で実施します。現場での日々の業務から学ぶことができるため、実践的な知識・スキルが身につき、即戦力を育成しやすい研修方法とされています。また育成の方向性を決めやすく、個人の特性に合わせた指導がしやすい点もOJTのメリットです。指導を通して指導を受ける社員だけでなく、指導する社員も知識・スキルを再確認でき、実力向上につながります。デメリットとしては、ノウハウの蓄積がないと体系的な教育がしにくい点と現場での負担が大きい点、指導者の経験やスキルに影響を受けやすい点です。OJTに取り組む際は、部署ごとにどんな内容を指導するのか決定することと、チーム全体でのフォロー体制と指導者自身のスキルアップが欠かせません。

2.オンライン研修

オンライン研修は、ZoomのようなWeb会議ツールを利用してオンライン上で研修を行う方法です。社員が指定した時間と場所に集まる必要がないため、自宅からでも参加できるのが強みです。またチャットツールを利用すれば遠隔地からでも質問や交流が可能で、複数箇所に拠点を持つ会社でも、誰もが同じ条件で学習できます。研修内容を録画しておけば、後でいつでも見返すことができる点もメリットといえるでしょう。一方のデメリットとしては、通信環境次第では思うように学びにくい点、画面が小さいと講師の仕草や書かれている内容がわかりにくい点があります。画面の大きさはディスプレイの大きなパソコンを使えば多少改善できますが、画像が荒い場合には根本的な解決が難しいです。通信環境によって画像の鮮明さも変わりますから、できる限り通信状態の良い場所を選ぶことが重要です。音声に関しても、電化製品の多い場所や移動中などは通信が途絶しやすいため、通信環境の整った場所を利用することをおすすめします。

3.e-ラーニング

e-ラーニングは、パソコン・スマートフォン・タブレットなどを用いて、動画視聴する形式の学習方法です。コンテンツが非常に豊富で、時間も場所も関係なく、動画は何度でも視聴して学習できます。個人の学習ペースや理解度に合わせて学べるため、効率的な学習ができる点も魅力です。また学習管理システムを使えば、利用者の進捗状況や理解度も確認できるため、管理者にとっても使いやすい研修方法といえます。デメリットはインプット中心の学習になるため、アウトプット学習に不向きなことと、技術的なノウハウは学びにくいことです。そのためe-ラーニングはあくまで基礎知識や専門知識を学ぶ手段と捉え、実務で学んだ内容を実践していく方針が基本となるでしょう。

4.グループワーク

グループワークは、参加者で数名のグループになり、テーマに基づいたディスカッションやワークショップ形式の研修を行う手法です。専門的な内容を学習することよりも、チーム内での交流を通してチームビルディングや課題解決の思考を学ぶことを目的にします。グループワークではオンラインで実施できるもの、ゲーム形式で行うものもあり、楽しみながら学べる点が特徴です。デメリットは一定の人数が必要なことと、日程や場所の確保が難しいこと、グループによって理解度に差が出やすい点があります。そのため研修の司会のほか、各グループにファシリテーターを入れたり、講師が各グループを見て回ったりするなど、ある程度均一に学べる機会を提供することが重要です。

5.ロールプレイング

ロールプレイングは、実際の業務シーンを想定し、参加者がテーマに合わせた役柄を演じる研修手法です。例えば、会社の窓口業務でクレーマーが現れた際の対応について、窓口役とクレーマー役に分かれて学ぶケースもロールプレイングの一種です。ロールプレイングは座学と実践を交えることで、インプットとアウトプットを同時に学習でき、社員同士のコミュニケーション促進にもなります。また実際の場面での対応について、社員一人ひとりのロールプレイを見て学べるため、参加者の考え方や価値観を広げる効果も期待できます。デメリットは1回あたりの研修に時間がかかることと、メンバーの組み合わせ次第では学びを得にくいことです。特に参加者が100人以上になると、ロールプレイに時間がかかり、研修時間が長くなります。社員の負担増にもつながるため、効率的に実施する方法や人数を考慮する必要があります。

6.集合研修

集合研修は従来から行われてきた方法で、参加者に時間と場所を指定し、一か所で集まって学ぶ講義形式の研修です。参加者が講師とのコミュニケーションを取りやすく気軽に質問できる点と、ディスカッションやグループワークもしやすい点がメリットです。デメリットは参加人数に応じて場所の制限があること、時間が指定されることが挙げられます。昔から行われてきた研修方法ですから、他の研修方法とも組み合わせながら行うのがよいでしょう。

社員研修のプログラム例【新入社員・若手社員向け】

階層別の社員研修のプログラム例として、新入社員・若手社員向けの研修について紹介します。

1.ビジネスマナー研修

新入社員・若手社員は社会人経験がないことから、基本となるビジネスマナーを学ぶ研修を実施するのがおすすめです。ビジネスマナーは社会人として誰もが身につけておきたい基本的なスキルであり、対人関係を築く際の基礎となる部分です。ビジネスにおいてはビジネスマナーがないと、上司や取引先に対して失礼にあたります。また相手からの信頼を得るためにも、ビジネスマナーを学ぶことは非常に重要です。ビジネスマナー研修の内容の例には、次のものがあります。

マナーの必要性 なぜマナーが必要か?/マナーは自分自身のためでもある
そもそもなぜマナーが必要なのか、ビジネスマナーを身につけているとどうなるのかを学ぶ。
・身の回りのマナー
・整理整頓もマナー
・持ち物にも気を配る
挨拶から始まる

なぜ挨拶が必要か?/お辞儀のしかた
なぜ挨拶が必要なのかを理解し、「会釈」「普通礼」「最敬礼」の3種類のお辞儀の使い分けを学ぶ。

・挨拶の必要性
・社会人にとっての挨拶とは
・きちんとした挨拶とは
・お辞儀とは
・正しいお辞儀のしかた
・3種類のお辞儀の使い分け

電話のマナー

電話の受け方/電話のかけ方
業務に就いてまず覚えるのが「電話対応」。相手に失礼にならない電話の受け方、かけ方を具体的な言い回しとともに習得する。

・電話の受け方
・避けるべきタイミング
・電話をかけるとき

名刺交換のマナー

正しい名刺交換/複数の人同士の名刺交換
初対面の場面で必須となる名刺交換。イラストをもとに具体的な動きを習得。また、複数人での交換時の身動きのしかたについても学ぶ。


・名刺入れを使う
・名刺入れをしまう場所
・名刺交換の方法
・いただいた名刺の扱い
・上司や先輩と二人でお客様を訪問したときの名刺交換
・スムーズに行うポイント

 

2.コンプライアンス研修

コンプライアンス研修では、社会人としての模範的な行動や違反にあたる行動、持つべき倫理観、法令・規則などの基本知識を身につけます。コンプライアンスへの意識は厳しい目で見られており、企業イメージにも大きな影響を与えます。新入社員・若手社員はインターネット・SNSがともに身近な存在であり、情報の取り扱いについて正しい知識を学ぶことが不可欠です。自分が軽率な行動を取ると、企業にどのような悪影響を及ぼす危険があるかを知り、コンプライアンス意識を高めることが研修の目的となります。コンプライアンス研修のプログラム例は次の通りです。

コンプライアンスとは ・コンプライアンスの定義
・コンプライアンス違反とその影響
コンプライアンスの重要性 ・前向きなコンプライアンス
・経営理念とコンプライアンス
・【ワーク1】コンプライアンスの必要性
マナーとモラル ・マナーとコンプライアンス
・モラルとコンプライアンス
身近にあるコンプライアンス違反 ・インサイダー取引の誘惑
・公私混同と窃盗罪
・反社会的勢力との関係
・【ワーク2】コンプライアンス違反の該当性
SNSとコンプライアンス ・書き込みは慎重に
・投稿写真の影響力
ハラスメントとコンプライアンス ・セクハラとコンプライアンス
・パワハラとコンプライアンス
・【ワーク3】ハラスメントの該当性
労働時間とコンプライアンス ・残業時間の上限
・迷惑なサービス残業
・【ワーク4】労働時間チェック
適正な業務執行 ・虚偽・隠蔽・改ざん
・副業の禁止・解禁
個人情報保護 ・個人情報とは何か
・個人情報の取得と利用
・安全管理措置
・第三者への提供・本人からの開示請求等への対応
・【ワーク5】個人情報とコンプライアンス
著作権と商標権 ・著作権の侵害
・意外な商標権

 

3.モチベーション研修

モチベーション研修は、社員の仕事へのモチベーションを高めて維持するだけでなく、キャリア開発や自己啓発といった自律性の向上も目的として行います。モチベーションの高い社員は企業の業績向上に貢献し、組織全体にも良い影響を与えます。モチベーション研修のプログラム例は次の通りです。

自己戦略の重要性 (1)会社の方針と自らのキャリア
・個人の欲求(ニーズ)とは
・組織の要望(ニーズ)とは
(2)うまくいくキャリア設計のためには
・マトリクスで確認するキャリア設計に向けた準備
・うまくいくキャリアパターン
・うまくいくキャリア設計に必要な要素
自己戦略の立て方 (1)自己戦略とは
・戦略と戦術の違いから理解する自己戦略
(2)自己戦略策定実行の5ステップ
・キーワードで押さえる自己戦略を立てるための5つのステップのポイント
自己理念を整理する (1)自分について振り返る
・自分の過去といまをふりかえる省察ワーク
・将来の自分に思いをめぐらせるシミュレーションワーク
(2)理念とは
・理念の定義と3つの構成要素
(3)演習:自己理念の整理
自己分析をする

(1)自己分析のポイント
・自己分析の必要性
・自分の強み・弱みの概念
(2)自己分析の進め方
・自分の強みを考える時の5つの問い
・自分の強み・弱みを導出するための切り口
(3)演習:自分の強み・弱みの導出

組織を分析する (1)自社の環境分析
・組織をとりまく外部環境とは
・組織をとりまく内部環境とは
・自社の外部環境・内部環境を検討する切り口発想法
(2)SWOT分析
・自社の環境を整理するSWOT分析とは
・「機会」を導出するための20のヒント
・「強み」を導出するための20のヒント
(3)周囲からの期待の整理
・自らをとりまくステークホルダーとは
・自らに寄せられる3つの期待とは
・「期待」を導出するための20のヒント
(4)演習:自社の環境分析、周囲からの期待の整理
自己の貢献領域を決める

(1)領域とは
・自らが貢献する領域を定める3つのポイント
(2)将来の貢献内容を考えるクロス分析
・自らが貢献したいと考える領域を導き出すための要素の掛け算方法
・将来の貢献領域と現在の貢献領域を考える切り口導出法
(3)演習:将来の貢献領域と現在の貢献領域の導出

自己戦略策定シートを作成する (1)自己戦略策定シートの作成の留意点
・自己戦略策定シートを作成する際に押さえるべき4つの整合性チェック
(2)演習:自己戦略策定シートの作成
内発的動機づけを高めるために 取り組みの属性で捉える
(1)職務特性モデル
・職務特性モデルとは
・職務特性が内発的動機づけを高めるメカニズムとは
(2)仕事の有意味感を高める3つの特性
・スキルの多様性、タスクの完結性、タスクの重要性とは
(3)スキルの多様性の高め方
・スキルの多様性を高める2つの方法
(4)タスクの完結性の高め方
・タスクの完結性を高める2つの方法
(5)タスクの重要性の高め方
・タスクの重要性を高めるために知っておくべき2つの法則

内発的動機づけを高めるために

 

人の特性で捉える
(1)自己決定感と内発的動機づけ
・自己決定感と内発的動機づけの関係とは
(2)自己決定感の高め方
・自己決定感を高めるために自らできる思考と行動

社員研修のプログラム例【中堅社員向け】

中堅社員はリーダーや指導者としてのポジションを任される人も多くなるため、新入社員・若手社員とは異なったスキルを求められる場面も増えてきます。どのようなスキルが必要になるのか、研修とプログラム例で紹介します。

1.マネジメント研修

中堅社員にとって、マネジメントスキルの理解と習得は不可欠となっています。現代では企業の人材不足が深刻化し、マネジメントスキルを持つ人材は企業にとっていなくてはならない存在です。マネジメント研修は単に部下の業務管理を行うだけでなく、自分自身のマネジメントを行い、効率的な業務遂行や目標達成、モチベーションアップなどにも効果があります。またチームを率いるリーダーとして、どのようなビジョンが求められるか、コミュニケーションの取り方なども学ぶことで、チームビルディングのスキルも身につけられます。マネジメント研修のプログラム例は次の通りです。

コミュニケーションマネジメント研修


・あなたは人の話を聴いていません。
・「傾聴」のロールプレイ
・「質問」のロールプレイ
・「フィードバック」のロールプレイ
・組織内のコミュニケーション

セルフマネジメントトレーニング研修 ・自己基盤力を高めるセルフマネジメント基礎
・仕事のパフォーマンスを支えるストレスマネジメント
・ストレスから素早く立ち直るレジリエンス
・周囲との人間関係を円滑にするアサーティブ・コミュニケーション
・セルフマネジメントを実践するための行動計画
ファシリテーション力アップ研修

・リーダー(ファシリテーター)の役割は非常に重要
・ミーティングのファシリテーション
・ミーティングの運営
・ミーティングのファシリテーションのロールプレイ
・プロジェクトのファシリテーション
・プロジェクトのファシリテーション:ケーススタディー
・チームビルディングのロールプレイ

 

2.リーダーシップ研修 

リーダーシップ研修は、中堅社員を対象に管理職としての基礎や求められるリーダーシップ、部下を率いるスキルを身につけてもらうことを目的としています。研修を通して、個人としての成果よりもチームとして成果を出すための思考力を養い、優秀なリーダーを育成することにつなげます。中堅社員の中にはキャリアアップ目的で転職する人も多いため、優秀な人材を確保するためにも欠かせない研修です。リーダー研修のプログラム例は次の通りです。

リーダーが果たす3つの役割 ①決裁者、②育成者、③代表者について学ぶ
リーダーシップ理論の変遷 リーダーシップ理論の変遷を学ぶ
変革のリーダーたちに学ぶ 変革を起こしたリーダーたちのエピソードからそのエッセンスを学ぶ
変革は小さい単位からでもできる 講師の体験に基づいたエピソードから、小さな変革について学ぶ
企業理念の浸透 変革を起こしたリーダーたちのエピソードをヒントに、自社の企業理念を自部門に当てはめて課題の解決法を作り出す。

 

3.ハラスメント研修

ハラスメントは身近な迷惑行為として、組織内でも防止意識を高めるべきものの1つです。組織においてはパワハラ、セクハラ、モラハラ、マタハラ、組織外ではカスハラなどの言葉が広く知られるようになりました。ハラスメントは被害を受けた側の立場で考える必要があり、自分の行動や言動が相手にどう捉えられるかを考えなければなりません。ハラスメント研修では、ハラスメント防止と予防策立案のポイント、ハラスメントへの適切な対応などについて学べます。
ハラスメント研修のプログラム例は次の通りです。

ハラスメントの定義・確認 ・定義の確認
・判断ポイント
・誰にでも当事者になる可能性がある
・グレーゾーンについて
・悪気はなかったと思う理由
さまざまなハラスメント ・パワハラ
・セクハラ
・マタハラ
・SOGIハラ他
・マウンティングやいじりなど最近よく聞く事例の紹介
・ハラハラに注意
発生要因とリスク ・傍観者にならない
・業績への影響
要注意のグレーゾーン ・判断しにくいからと放っておかない
・エスカレートさせないために
健全な職場は全員で作る ・風通しの良い職場とは
・肯定的コミュニケーション
・人間関係の構築
人間関係の構築 ・マナーの向上
・自分を律する
・感じの良い話し方のコツ
管理職に求められる役割の変化 ・世の中の価値観の変化
・安全配慮義務
・傍観者にならない
・早期発見・早期対応・相談対応
ハラスメントにしない育成指導 ・注意したい表現
・以心伝心に頼らない
・個性を理解
・ハラスメントとの違い
・アンコンシャスバイアスを知る
話を聴くスキル ・相談者は勇気をもって口に出す
・信頼を裏切らない聴き方
・相談の一次対応
職場のコミュニケーション ・部下の報連相が苦手な理由
・具体的な日頃の声掛け
事例検討 ・事例検討

社員研修のプログラム例【管理職向け】

管理職は会社や部署、チームを管理する立場として、達成すべき目標の設定、行動計画の策定、部下の業務管理などを行う役割があります。社員が最高のパフォーマンスを発揮するために、管理職は高度なマネジメントスキルを身につけなければなりません。

1.プロジェクトマネジメント研修

企業が新たな商品やサービスを開発するには、プロジェクトを発足するのが一般的です。プロジェクトの円滑な進行には、目標設定、計画立案・策定、実行、検討・評価といったさまざまな過程があります。プロジェクトマネジメント研修では、管理職はプロジェクトマネジメントを行ううえで求められるスキルを習得し、組織戦略まで反映した業務プロセスの構築を学べます。またプロジェクトを進行するために検討すべきリスクの分析、全体像の把握、コミュニケーションといった内容も研修の重点項目です。管理職向けのプロジェクトマネジメント研修のプログラム例は次の通りです。

プロジェクトマネジメントの全体像 ・計画の重要性
・3つの構成要素
プロジェクトのゴールの設定 ・目的とゴール
・ゴールの設定のステップ
・目標の可視化
タスクの洗い出し ・タスクの位置づけ
・WBSの活用
・WBS作成の指針
標準時間の見積もり ・標準時間とは
・標準時間の推定方法
・タスクの時間イメージ
スケジュール化 ・ガントチャートの作成手順

2.メンタルヘルス研修

ではメンタルヘルスの問題で休職や離職する人が多く、社会問題の1つにもなっています。国としても長時間労働の是正に動いていますが、十分な対策を行っている企業は少ないのが現状です。なにより、不調を抱える社員は自分でも気づかないうちにメンタルヘルスを崩していることも多いです。メンタルヘルスの不調が身体症状として現れてから、ようやく問題に気付くケースもあります。そのため管理職は部下の業務をマネジメントするだけでなく、日頃から部下の様子を観察し、ストレスを抱えている社員の早期発見に努めることが重要です。社員からは言い出しにくいこともありますから、組織内の相談室や外部機関とも連絡を取り合い、適切な対応を行う必要があります。メンタルヘルス研修では、メンタルヘルスとは何か、ストレスが体にどのような影響を与えるのか、不調のサインは何かといった内容を学び、早期発見へとつなげる知識を身につけることが目的です。メンタルヘルス研修のプログラム例は次の通りです。

ストレスの基礎知識 ・ストレスとは
・ストレス反応
思考の切り替え ・ストレス対処能力を高める
・思考・感情・行動の関係
・思考の切り替え法
上手な気分転換 ・行動活性化
ストレスを感じる場面でのコミュニケーション ・自己表現
・アサーティブな自己表現
その他のストレス対処行動 ・睡眠
・リラクセーション技法ほか

またメンタルヘルスの専門的な知識を身につけることを目的とした「メンタルヘルス・マネジメント🄬検定」という資格もあります。メンタルヘルス・マネジメントとは、心の健康管理をサポートし、自身や周囲のメンタルヘルス不調の早期発見・対処を行うためのスキルです。管理者の場合はメンタルヘルス・マネジメント🄬検定のⅡ種を持つことが望ましいとされています。

社員研修の実施手順

社員研修の実施手順について、重要な3つの工程を紹介します。

目標とする人材を明確にする

社員研修を行うにあたって、研修を通してどのような人材に成長してもらいたいのか、目標を明確にしましょう。 階層別に研修を行うにしても、単に研修を行うだけでは会社の望む人材になるとは限りません。自社に足りない知識・スキルを補える人材にするのか、高度な専門知識・技術を持つ人材を1人でも多くしたいのかなど、会社ごとに求める人物像を決定すべきです。目標とする人物像を明確にすることで、研修カリキュラムや方向性も決定しやすくなります。

研修カリキュラムを決定する

研修を行うには、研修内容やスケジュール、誰を対象にするかなどを考慮してカリキュラムを決定しましょう。特に中堅以上の社員は一定の経験を持ち、それぞれの専門分野に特化することも多くなります。専門分野とミスマッチの研修を行っても、効果は期待できません。またキャリア開発を優先するなら、会社のキャリアパスも踏まえて、実践的なスキルが身につくカリキュラムにする必要があるでしょう。自社にどんな部署・人材・階層があるのかを分析し、求める人物像とも合致するカリキュラムを設計してください。

実施後の振り返りを行う

研修は実施して終わりではなく、実施後に参加者がどんな学びを得たのか、どの程度の効果があったのか検証することも含みます。研修の効果がいまひとつだったなら、何が悪かったのか、改善策は何が考えられるかまで検討しましょう。また参加者からもヒアリングし、研修内容にフィードバックすることが大切です。実際に受講したからこそ、良かった点、不足していた点が実感として残っているからです。参加者や各部署の意見を集約し、より社員の成長を促進でき、優秀な人材の確保につながる研修を目指していきましょう。

社内研修の効果を高める3つのポイント

社内研修の効果を高めるには、受講する社員の学習意欲を高め、自発的に参加できる工夫を凝らすことが重要です。 社員の主体的な学びや実践的な能力を身につけるために、効果を高める3つのポイントを紹介します。

主体的な学びを実現できる研修を設計

社内研修の効果を高めるには、社員の義務感・やらされているという感情を軽減し、自分のために学ぶという意識を持ってもらうことが重要です。主体的に学ぶには、社員研修自体に魅力を感じてもらうこと、社員に研修の必要性を理解してもらうことがポイントになります。例えば新入社員にビジネスマナーを学んでもらう場合、ビジネスマナーを身につけることで、どんなメリットにつながるかを理解してもらいましょう。「研修だから仕方なく受講する」という意識のままでは、主体的な学習につながらないだけでなく、仕事へのモチベーション低下にもなるリスクがあります。社員の意識を変革するには、研修が日々の業務にどのように活用できるのかを周知し、将来的なキャリアアップとも関係していることを理解してもらうことも大切です。また研修の参加状況をチェックし、人事評価の項目に組み込む方法もおすすめです。研修参加が直接的な人事評価のプラスにはせずとも、目標達成の状況や成長の目安にはなります。社員が研修を前向きに捉えられるよう、会社としてできる施策を打ち出しましょう。

優先順位をつけて研修を行う

社員研修には無駄なものはほとんどありませんが、社内のリソースによって優先順位をつける必要はあります。社内のリソースとは人材・資金・ノウハウなどです。企業の課題はさまざまなものがあり、早期に解決すべき問題と中長期で解決すべき問題などに分類できます。例えば新入社員の早期離職が課題になっているなら、定着率を高められるようなカリキュラムを考える必要があるでしょう。逆に急激な変化が難しい組織風土を改善するには、長い時間をかけて社員の意識の変化を促していく必要があります。また優先順位を決定する際は、新入社員・若手社員・中堅社員・管理職・経営層という階層別の優先順位付けもすべきです。リソースは有限ですが、階層毎に優先順位を付けておいたほうが各社員の意識付けにもなります。おおまかには、企業の業績や生産性に直結する課題は優先順位を高く、長期的な視点が必要な課題は低めにつけるのがよいでしょう。また改善することで広い範囲に良い影響を与えると予測されるものは、優先順位を高くするのが効果的です。

アウトプットの機会を設ける

研修を行っても効果が出にくい企業の多くには、インプット中心でアウトプットの機会が少ない点が挙げられます。そのため研修効果を高めるには、研修内容を実践で活かせる機会が不可欠です。人間の記憶は何もしなければ1日で74%を失うとされており、インプット中心では学習効果が薄れてしまいます。研修を成功させるには、実践できる環境を整えることが大切です。また研修内容にワークショップ形式やロールプレイ形式を交え、アウトプットを同時に行う方法もあります。人間の記憶は自分の経験ほどよく覚えられるものですから、詰め込み教育だけでなく、各部署で学びを実践しやすいよう配慮しましょう。

社内研修を導入している企業事例

社内研修を導入した企業の事例について2社を紹介します。

株式会社バイク王&カンパニー

バイク王&カンパニーは経営理念に「社員の成長を応援する」を掲げており、社員の強い要望も受けて、さまざまな社内研修を用意しています。特に力を入れているのが新入社員や若手社員向けの研修で、社員の自己啓発も目的の1つとして推進しています。バイク王&カンパニーは営業職が多い組織構造となっているため、営業職のスキルアップが重要でした。若手のうちから営業職としての基本を学ぶことで、即戦力の育成と長く会社に貢献してくれる人材を育成することも目的となっています。そのため、重点的に行ったのが次のような研修プログラムです。

社会人の基礎講座 ・社会人になるということ
・社会人の心構え
・職場の人間関係
・仕事の進め方
・自己啓発
ビジネスライティング ・ビジネス文書とは
・ロジカルな文書の基本
・読みたくなるレイアウト
・知っておきたい文章術
・メールのポイント
社会人のコンプライアンス研修

・コンプライアンスとは
・コンプライアンスの重要性
・マナーとモラル
・身近にあるコンプライアンス違反
・SNSとコンプライアンス
・ハラスメントとコンプライアンス
・労働時間とコンプライアンス
・適正な業務執行
・個人情報保護
・著作権と商標権

株式会社ツクイ

介護事業を全国展開するツクイでは、ベテラン社員の経験と技術を生かし、40~50代でもキャリア開発を行うために社内研修を導入しました。ベテラン社員は体力面で若い方よりも劣る反面、培ってきた多くの経験と知識、スキルがあります。ベテランの能力を生かしてもらい、自己啓発を通して新たなキャリアを発見してもらう意味も持った社内研修でした。社内研修では全国の事業所から同年代の社員が集まり、さまざまな意見交換を行い、同時に新しい働き方や職場改善のアイデアなどが提案されました。受講者の自己肯定感も高まり、職場内での連帯感も強まる結果となりました。ツクイで行った社内研修のプログラムは次の通りです。

40代からのキャリアデザイン研修 ・クリフトンストレングスファインダー(R)のアセスメントを受ける。
・受講者同士の意見交換の時間をとる。
・自分だけの特徴的な資質を知る
・特徴的な資質を積極的に使って「強み」にするワーク
・「チームストレングス」
・「強み」と自己認識を組み合わせてできることを見つける
・これからの目標と人生設計
50代からのキャリアデザイン研修 ・ネクストキャリアデザインを考える
・会社員の終活
・働けるまで働くことが求められる時代になったら
・モチベーションマネジメント
・チームワーク向上とサーバントリーダーシップ
・職場コミュニケーション

人材育成のことならユーキャンへ

企業の人材育成、オリジナルの研修カリキュラムを設計するならユーキャンにおまかせください。ユーキャンの人材育成講座では、社員の階層別講座だけでなく、各種資格取得支援、サポート体制まで学習を支える幅広いフォロー内容が充実しています。研修内容の内製化に悩む研修担当者は、ぜひユーキャンにご相談ください。丁寧なヒアリングで貴社の人材育成の課題を分析し、効果的な研修カリキュラムを提供いたします。

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まとめ

企業の業績を向上させて優秀な社員を育てるには、充実した社員研修が不可欠です。日本では多くの企業で人材不足が課題となっており、組織課題の解決策として人材育成を急がなければなりません。しかし人材不足以外にも、企業によって抱える課題はさまざまです。今回紹介した階層別の社員研修や効果を高めるポイント、実施手順なども参考にしながら、社内研修を成功させましょう。効果的な人材育成に成功すれば、社員のモチベーションとエンゲージメントは高まり、会社の成長に大きく貢献してくれるはずです。

研修一覧はこちら

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