新入社員研修の目的
新入社員研修の主な目的は、以下の3つです。
- ・企業理念や企業文化の浸透
- ・業務理解
- ・コミュニケーションの促進
詳細について解説します。
企業理念や企業文化の浸透
新入社員研修は、新入社員に企業理念や企業文化を理解してもらうために行います。企業について正しく理解できれば、社員は企業の方針に沿った行動ができます。新入社員研修は、社内ルールや就業規則、コンプライアンスについても教育する重要な機会です。企業が目指す将来像も共有し、企業理解が深まる研修内容にしましょう。
業務理解
研修で業務理解を深め、業務の流れや内容を理解できれば、円滑に業務に取り掛かれます。業務理解を目的とした研修では、座学だけではなく実践的な研修内容も取り入れましょう。業務内容や流れをより深く理解できます。また、研修をきっかけに企業全体の事業の把握が可能です。
コミュニケーションの促進
新入社員研修には、社内のコミュニケーションを活発にする目的もあります。研修を通して、入社した社員同士や先輩社員との関わりが生まれ、コミュニケーションの場として効果を発揮します。研修内容にグループワークも取り入れて、社員同士のコミュニケーションを促しましょう。
新入社員研修で学べる内容
新入社員研修で学べる主な内容は、以下の5つです。
- ・社会人としてのあり方
- ・事業や業務の内容
- ・業務の必要知識
- ・ビジネスに必要な基本スキル
- ・仕事への向き合い方
以下で詳しく解説します。
社会人としてのあり方
新入社員研修では、社会人としての責任や正しいあり方が学べます。新卒採用で入社する社員は、入社前は学生として生活を送っていたため、社会人経験がありません。学生から社会人への切り替えができるように、責任を持って日々の生活を送る姿勢が求められます。
事業や業務の内容
研修を通して、新入社員は企業の事業内容や取り扱うサービス・商品について学べます。新入社員は個々に入社した理由や目的が異なるため、企業について知らないままでは、企業や部署で掲げる目標に理解することは難しいかもしれません。部署に配属された後に、上司や先輩社員と一丸となって目標に取り組めるきっかけになります。
業務の必要知識
研修では、業務を遂行するために必要な知識が学べます。研修段階で業務に関わる知識やスキルが身につけば、実際に業務を行う際に効率的な作業が可能です。企業によってさまざまな部署があるため、研修内容を検討する際は、配属予定の部署に合わせたカリキュラムを作成しましょう。詳しくは後ほど解説しますが、仕事への意識や向き合い方も学べます。
ビジネスに必要な基本スキル
来客対応、電話応対、名刺交換のマナー、パソコンスキルなどのさまざまなビジネスにおける基本スキルを学べます。基本スキルを育成すれば、円滑な業務進行につながります。電話応対や名刺交換は、実際に研修参加者が実践しながら学ぶ研修内容にすると、より実践的なスキルが身につきます。
仕事への向き合い方
研修では、仕事への意識や向き合い方について学ぶことも重要です。仕事に対する意識が甘く、責任感がなければ、業務遂行だけではなくコンプライアンスにも影響を与えるため、注意が必要です。また、メンタルヘルスの知識は、新入社員の不安な気持ちを支えることに役立つため研修カリキュラムへ積極的に取り入れましょう。
新入社員研修で取り入れられている教育方法
新入社員研修で利用されている教育方法は、以下の通りです。
- ・OJT
- ・OFF-JT
- ・ケーススタディ
- ・ロールプレイング
- ・グループワーク
- ・レクリエーション
- ・フォローアップ研修
それぞれの教育方法について、解説します。
OJT
OJTは、実際の業務を通して先輩社員から新入社員に教育する方法です。マンツーマンで指導することが一般的で、先輩社員は1人の新入社員に集中してスキルの向上を図ります。OJTであれば実践的なスキルが身につけられるため、いち早く現場で自立して働ける人材を育てるために効果的です。
※参考:OJTとは?
OFF-JT
OFF-JTは、社外の場所で行う教育方法です。社外の会場に外部から講師を招く場合が多く、集合研修や外部研修は、OFF-JTの1つです。OFF-JTでは、業務とは別の知識や視点を学べます。自身が日々取り組んでいる業務が、企業をどのように支えて意味をもたらしているのかを考え、新しい視点で仕事を見直すきっかけを作ります。
ケーススタディ
ケーススタディは、過去の事例を分析して、トラブルの解決策や対処法を考える教育方法です。実際に起きた問題をもとに解決方法を考えるため、洞察力、分析力、問題解決能力などのスキルが身につきます。理論や座学だけでは身につかないトラブルの対応力やリスク回避のスキルが育ちます。
ロールプレイング
ロールプレイングは、実際のシチュエーションを想定して必要な役割を演じる教育方法です。クライアント役や営業役などになりきり、役として振る舞うため、実践的なスキルが身につきます。電話応対や名刺交換などの実践経験が大切なスキルには、ロールプレイングが向いています。繰り返しロールプレイングを行えば、スキルの成熟に効果的です。
グループワーク
グループワークは、複数人でグループを作って課題に取り組む教育方法です。メンバーでコミュニケーションを取りながら、グループで課題解決や目標達成に取り組む行動が求められます。グループワークは、チームで動くスキルを身につける際に有効な教育方法です。チームワークの重要性に気づき、チームとしての意識を持つきっかけになります。
レクリエーション
レクリエーションは、簡単なゲームで参加者のコミュニケーションを促す方法です。レクリエーションを通して自然に関わりが生まれ、コミュニケーションが活発になります。コミュニケーションの取り方や性格が見えるため、面接では気づかなかったそれぞれの個性に気づくきっかけになります。
フォローアップ研修
フォローアップ研修は、新入社員研修で学んだ研修内容の定着を確かめる研修方法です。研修を終えた後に行うことが特徴で、研修から一定期間をあけて実施します。研修内容の振り返りを行えば、自身の改善点や課題を把握するきっかけになります。1~2日間実施する企業が多く、懇親会を開いて交流の機会にする方法も有効です。
フォローアップ研修講座はこちら
新入社員研修のカリキュラムを作成する手順
新入社員研修のカリキュラムは、以下の手順で作成可能です。
1.目標設定
2.必要なスキルの洗い出し
3.期間の設定
4.内容の決定
※参考:新入社員研修を成功に導くカリキュラムとは?
1.目標設定
研修のカリキュラムを作成する際には、始めに具体的な目標を設定します。何をどのような方法でいつまでに達成するかを明確にして、目標に沿ったカリキュラムを作成します。目標に加えて、研修の合格基準も同時に設定しましょう。
2.必要なスキルの洗い出し
配属先の現場で新入社員に必要とされるスキルを洗い出します。現場へのヒアリングを行い、実務に役立つ実践的なスキルは何かをリストアップして整理しましょう。直近で研修を実施している場合は、前回の研修で学んでおきたかったことはあるかを参加者に確認します。
3.期間の設定
研修の目的に合ったカリキュラムの実施期間を決定します。適切な実施期間は、教育方法や研修内容によって異なり、十分な検討が必要です。数週間や数か月にわたって実施する企業もあるため、自社の研修目的が達成できる実施期間を検討しましょう。
4.内容の決定
具体的な研修内容を決定します。研修内容を決定する際に重要な点は、学ぶ順番です。例えば、事業内容や企業理念を学んでから実践的な研修をすれば、学んだスキルの必要性や役割を意識して研修に取り組めます。
新入社員研修を効果的なカリキュラムにするためのポイント
効果的なカリキュラムを作成するためのポイントは、以下の通りです。
- ・実践する場を設ける
- ・中途採用と新卒採用で内容を変える
- ・研修内容は必要なものだけに絞る
- ・現場の管理職を巻き込む
- ・PDCAを回す
実践する場を設ける
効果的なカリキュラムにするには、研修で学んだ知識を実践できる環境の整備が大切です。企業側が実践で活かせる場を提供すれば、新入社員が学んだ知識の習熟度が上がります。
カリキュラムはインプットが多くなる傾向があるため、アウトプットとのバランスを意識しましょう。座学だけではなく、グループワークやロールプレイングなどの実践する機会を組み込みます。
中途採用と新卒採用で内容を変える
中途採用か新卒採用かで、研修の重要ポイントは異なります。それぞれに合ったカリキュラムの作成が大切です。中途採用の社員は、事業内容や業務に必要なスキルを重視して、即戦力としてスキルを活かせるように教育します。新卒社員には、基本的なスキルや社会人としての自覚が重要です。敬語の使い方やビジネスマナーなどを優先して研修を進めましょう。
研修内容は必要なものだけに絞る
効果的なカリキュラムを作成するには、研修内容の整理が大切です。新入社員は覚えることが多いため、研修内容は優先して教育すべき内容に絞りましょう。教育する項目が多すぎれば、期間内に研修を終えられません。部署へ配属される日から逆算して研修内容を整理します。
現場の管理職を巻き込む
研修は、実践で活かすことを前提に実施されます。研修を通して新入社員の意識の変化、成長につながったかを確認することが大切です。確認する有効な手段としては、現場の管理職と協力して、学んだ内容を実践できる環境を整備する方法があります。現場の管理職と共に研修の成果を確認し、実践を促しましょう。
PDCAを回す
研修の質を上げるには、PDCAの活用がポイントです。PDCAを回しながら研修を行い、評価と改善を繰り返します。PDCAを活用する際には、研修の評価方法を定めて統一します。
例えば、現場の管理職が研修の成果を確認して、6段階で評価する方法で統一すれば、客観的な評価が可能です。評価をもとに改善すべきポイントを整理して、次のアクションにつなげましょう。
カリキュラムを作成する際に注意すべきポイント
カリキュラムを作成する際には、以下の注意すべきポイントがあります。
- ・参加者アンケートを実施する
- ・座学に絞った研修にしない
- ・自社の成長に役立つカリキュラムを盛り込む
参加者アンケートを実施する
研修を終えた後は、新入社員の参加者アンケートを取りましょう。アンケートでは、研修を受けた感想や意見を聞きます。アンケートの結果をもとに研修を分析・改善して、次回の研修に活かす動きが大切です。
座学に絞った研修にしない
座学のみの研修では、新入社員の集中力が持続しにくいため、適度に実践する研修内容も取り入れましょう。座学と実践のバランスを意識して研修内容を決定すれば、新入社員の集中力やモチベーションが維持しやすくなります。
自社の成長に役立つカリキュラムを盛り込む
研修には、新入社員の成長だけではなく、自社の成長につながるカリキュラムも重要です。実際の業務で、学んだ知識やスキルを活かせる内容にします。自社にとって利益になる内容かどうかを基準に判断して、カリキュラムを決定しましょう。
新入社員研修の具体例
新入社員研修で実際に取り入れられている例は、以下の通りです。
- ・ビジネスマナー
- ・ビジネスマインド
- ・OAスキル
- ・ロジカルシンキング
ビジネスマナー
社会人として最低限必要なマナーを学べる研修です。身だしなみや挨拶などの正しいビジネスマナーを学ぶために実施します。ビジネスマナーは、仕事に大きく影響する重要なスキルです。
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ビジネスマインド
ビジネスマインドの研修は、社会人としての心構えやビジネス感覚を身につけるための研修です。ビジネスマインドは、組織の一員として必要な心構えを指します。自社に利益を生み出す人材の育成に効果的な研修です。
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OAスキル
WordやExcelなどの基本的なOAスキルを身につけるための研修です。事務作業が多い仕事や営業の仕事などで、特に重要なスキルです。身につけておけば、さまざまな場面で役立ちます。
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ロジカルシンキング
人にわかりやすく伝えるスキルや論理的に考えるスキルが身につく研修です。ロジカルシンキングは、論理的思考を表す言葉です。入社した後は、新入社員が発信する機会が増加するため、ロジカルシンキングが重要になります。
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まとめ
新入社員研修は、企業文化や企業理念の浸透、企業理解、コミュニケーションの促進を目的に実施する研修です。研修のカリキュラムを検討する際には、座学と実践のバランスを意識し、自社の成長につながる内容にしましょう。
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