内定者研修とは
内定者研修とは、入社予定の社員に対して入社前に行う研修のことです。
基本的なビジネスマナーや内定者同士の交流、社員と仕事について話を聞くなど、業務内容よりも会社の雰囲気を掴んでもらうことを大きな目的にしています。
内定者研修の時期
内定者が決まる時期、研修の時期は企業によって違いがありますが、一般的には10~11月頃に研修はスタートします。頻度は学業の妨げにならないように、月1~2回程度行うところが多いです。
それぞれの時期についても見ていきましょう。
<10月> 企業への理解を深め、先輩社員・同期と関係を構築
<11月> 社会人として必要なマインドセットの理解
<12月> 企業の事業内容についての理解
<1月> 基本的なビジネススキル・業務上必要なスキルの習得
<2月以降>卒論や卒業旅行があるため研修はしない
あくまで一般的な内定者研修のスケジュールと内容ですが、多くの会社が上記のスケジュールを採用しています。
また内定者研修を実施しない企業もあるため、研修については内定をもらった企業に確認したほうがよいでしょう。
内定者研修の目的
内定者研修はどのような目的で行われるのでしょうか。ここでは、内定者研修の目的を3つ紹介します。
入社前の不安や悩みを解消する
内定者研修には、内定者の不安解消という目的があります。内定をもらったものの漠然とした不安を抱えてしまう内定者は少なくありません。内定者研修により、事業内容を説明して疑問を解消したり、業務に対する不安を解消したりできます。また、内定者同士で交流できるため、仲を深められ不安を解消しやすくなります。
必要なスキルを身につける
内定者研修では、ビジネスマナーやOAスキルといった社会人として必要な技能を身につけさせるという目的もあります。社会人の基本を身につけることで、即戦力として活躍するための土台作りになり、新人教育にかかる負担も軽減できます。また、内定者自身のスキルアップになるため、自信を持たせられることもメリットです。
内定辞退を防止する
内定者研修で事前に内定者が抱えている疑問や不安などを解消することで、内定辞退を防ぎやすくなるというメリットがあります。転職する人も多い時代において、現在の就活生は会社への帰属意識が低い傾向にあるようです。そのため、内定辞退をしやすい環境であることを考慮し、内定後のフォローを行う必要があります。
内定者研修の目標
社会人に必要なスキルを身に付ける
社会人に必要なスキルを社会人になってから身に付けるのでは、業務やその他の研修との兼ね合いから大きな負担になります。そのため、少し早くても内定段階で研修を行うことにより、入社後の負担を軽減できます。なにより内定段階で最低限必要なスキルを身に付けてもらえば、入社後に即戦力として働けるという期待もあるからです。また内定者は学生という保護されていた立場から、社会人という責任のある立場への転換期にあります。気持ちの切り替えをスムーズに行うためにも、内定者研修の存在意義は大きいといえるでしょう。
社会人としての意識の醸成
社会人と学生では、立場も責任も大きく変わります。しかし学生から社会人という立場に突然変わって、誰もが最初から意識的に責任のある行動を取れるとは限りません。社会人になってからも学生気分が抜けず、遅刻や同じミスを繰り返す人もいるでしょう。内定者研修の目標には、スキルを身に付けるだけでなく、社会人として働いていくための意識の醸成も含まれています。社会人として組織に貢献し、将来のキャリア、理想となる人物像を具体的に考える機会につなげ、モチベーションとエンゲージメントを高めるためです。また内定者研修を通して仕事へのイメージを具体化することで、内定辞退を防止する意図もあります。
内定者研修は内定者だけでなく、組織としても優秀な人材を確保するという目標があります。
上司や同期との人間関係構築
内定者研修には、社会人になってから業務の合間を縫って研修を行うよりも、時間のある学生の間に研修を行うことで、人間関係を構築するという目標もあります。入社前からどのような上司・先輩がいるのか、同期にはどのような人がいるのか知り、交流する場が作れます。内定者研修ではグループワークやワークショップを行うこともあり、お互いのことを理解する機会になるでしょう。また社内での人間関係が構築できれば、組織への帰属意識が高まり、離職率低下にもつながります。早期離職の原因の1つは人間関係の悪さですから、人材を逃がさないためにも良好な人間関係構築は重要なポイントです。
内定者研修の内容
内定者研修ではどのような研修を行うのでしょうか。ここでは、内定者研修の具体的な内容について解説します。
会社説明およびレクリエーション
内定者研修を複数回実施する場合は、研修1回毎に会社説明やレクリエーションなどさまざまなテーマで研修を行います。会社説明は事業内容や組織形態、企業理念などを学んで企業への理解を深めることを目的に行います。また、レクリエーションは先輩社員や同期と入社前から顔合わせと交流を図ることで、社会人になることへの不安を緩和することが目的です。会社説明やレクリエーションを行うかどうかで、内定者の辞退率にも違いが出てきます。内定者研修の初期に行うことで、入社前の不安を払拭できるでしょう。
ビジネスマナー研修
内定者研修では、社会人としての基礎となる基本的なビジネスマナーを教えます。たとえば、言葉遣いや名刺交換の仕方などといったビジネスマナーは、働くうえで身につけておきたい重要なスキルです。
そのため、挨拶の仕方、身だしなみ、言葉遣いなどの最低限のマナーについて指導を実施し、内定者に社会人としての自信を持たせましょう。
※ビジネスマナー研修で学ぶ内容とは?
社会人になるためのマインドセット
新入社員になって間もない頃は、学生気分が抜けないまま働く人がいることも珍しくありません。そのため、内定者研修で社会人として必要なマインドセットを学ぶことで、社会人になるための心構えができるでしょう。社会人としてのマインドセットを知ることで、仕事への責任や働くことの意味、自分の行動が与える影響、キャリアへの考え方などが身につきやすくなります。ただし研修を行う際は、座学で知識だけを教えるのではなく、先輩社員との座談会や同期とのコミュニケーションを取り入れるのがおすすめです。実際に会社で働いている人の考え方やキャリアデザイン、同期の夢や目標などを知ることで、自分だけのマインドセットが作られるからです。
論理的思考力の向上
業種・業界を問わず、社会人に広く求められるのが論理的思考力です。
自分の手元にある情報や周囲の状況を把握し、適切なスキルや目標達成に必要な行動を導き出すには、論理的思考力が欠かせません。そのため、内定者研修においても論理的思考力を向上させるため、グループディスカッションやワークショップなどの研修スタイルを取り入れるのがよいでしょう。
論理的思考力を高めるには、自分の考えをわかりやすい人に伝える訓練が効果的です。
人に情報を伝えるには自分自身が深く理解し、わかりやすく説明する必要があります。
研修で論理的思考力を高めることにより、報告や相談、コミュニケーションなど幅広い場面で役に立ちます。謎解き脱出ゲームのようなレクリエーションを通して、論理的思考力を磨くのもおすすめです。
OAスキルの強化
OAスキルとは「Office Automationスキル」の略称で、業務を自動化・情報化するためのパソコンスキルを意味します。社会人になるとパソコンに情報入力を行ったり、顧客情報を管理したりするなど、パソコンを操作する機会が多くなります。OAスキルはパソコンを操作するうえで基本ともいえるMicrosoft Word・Excel・PowerPointなどを適切に扱う操作技能であり、社会人に不可欠のスキルです。近年の中高大学生はスマホやタブレットを扱う機会は増えた一方で、パソコンを扱う機会が減少しています。そのため内定者研修でOAスキルを学ぶことにより、基本的なパソコン操作能力を身につけてもらうことが大切です。すぐにOAスキルが身につかなくても、タイピングやブラインドタッチを練習するだけでも効果があります。
コミュニケーション能力の向上
社会人にとって最も重要であり、基本となるスキルがコミュニケーション能力です。仕事は部署やチームで一丸となって進めるのが基本となるため、上司や同僚と常にコミュニケーションを取らなければなりません。また報告・連絡・相談においても、必要な情報を的確に伝えるにはコミュニケーション能力が必要です。コミュニケーションができるかどうかは、人間関係の根底でもあります。内定者研修でコミュニケーションの基本を学び、社会人になってからコミュニケーションで苦戦しない土台を作ることが非常に重要です。内定者研修を成功させる5つのコツ
内定者研修を成功させるコツは大きく分けて3つあります。ここでは、内定者研修成功のコツについて詳しく解説します。
1.目的を明確にする
なぜ内定者研修を行うのか、入社前に内定者にどのような状態になっていてほしいのかなど、内定者研修の目的を具体的にしましょう。内定者研修の目的、ゴールなどを明確にしたうえで、内定者に必要な研修や課題を洗い出し、適切なカリキュラムを組むことが大切です。
2.内定者のスキルや適性を把握する
内定者といっても、個々のスキルや特性は異なります。そのため、内定者それぞれのレベルやスキル、適性などについてしっかりと把握することが重要です。得意・苦手な分野、キャリアタイプ思考、身につけているスキルなどを可視化しておきます。これによって、より効率的で効果的な内定者研修が実施できるようになります。
3.研修に現場の意見を反映させる
内定者研修の内容を決める際には、現場の意見を反映させることも大切です。現場で求められるスキルと研修で身につけるスキルが乖離している場合、内定者研修を行っても現場で役に立たずに無駄になる可能性もあります。そのため、各現場のニーズを把握したうえで研修内容を設計するようにしましょう。
4.内定者が希望する内容を用意する
内定者研修の主役は内定者ですから、モチベーションを高める内容を用意することが重要です。内定者に希望を取り、どのような研修内容にしたいのか、不安なことは何かなどをアンケートしましょう。内定者の多くは職場での先輩社員の話や、同僚との交流に関心を持っています。学びの機会を与えるだけでなく、人との交流を含め、楽しめる研修内容を用意することが成功のコツです。
5.研修の内容とスケジュールを合わせる
内定者研修は内定者が入社後に必要なスキルを身に付け、職場の雰囲気や人間環境に慣れ、社会人としての意識を身に付けるという複数の目的があります。そのため研修内容とスケジュールを検討し、時期と内容を合わせることが重要です。最初の研修では社員や同期との関係を構築し、次に会社の事業内容や理念を詳しく理解するのが正しい時系列といえるでしょう。研修内容が時期に合っているか、研修のゴールに到達できるかを考慮して、内定者研修のカリキュラムを計画することが大切です。
まとめ
内定者研修の時期や内容は企業によってさまざまですが、どの企業でも内定者を即戦力にできるようにカリキュラムを考えています。そして内定者の意識を社会人の意識へと変えるには、適切な内容の内定者研修を用意する必要があります。社内でできる研修に限界を感じている時は、研修のプロに依頼するのがおすすめです。ユーキャンではeラーニングを用いた研修も多数登場しており、オンライン研修にも対応しています。内定者の教育を効率的に行い、業務に必要なビジネススキルを身に付けてもらうなら、ユーキャンの研修・講座をご利用ください。