漢検準1級に合格するには|難易度や合格率、合格につながる勉強方法も解説
- 更新日:2023/06/15
漢検は、幼児から高齢者まで誰でも受検できる資格として人気です。漢字能力のレベルごとに級で細かく分けられているため、「受検したことがある」という人も多いのではないでしょうか。この記事では、漢検のなかで上級とされる準1級について、検定の難易度や勉強方法などを解説します。漢検準1級の受検を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
このページを簡潔にまとめると・・・
- 漢検準1級のレベルは、大学・一般程度とされており、出題対象の漢字は約3,000字。
- 漢検準1級の合格率は、11%〜15%ほどです。
- 漢検準1級をはじめて受検する場合、最低でも300時間は勉強時間が必要。
- 漢検準1級に合格するための勉強方法としては、過去問題を繰り返し解く、四字熟語の勉強に力を入れる、計画的に進めることなどがポイント。
漢検とは
漢検とは「日本漢字能力検定」の略で、「読む」「書く」「使う」といった能力を測る技能検定を指します。級は10級〜1級まであり、準2級と準1級を含む12段階のレベルで構成されている点が特徴です。
漢検を受検するために必要な、特定の受検資格はありません。年齢や学歴などの要件がないため、誰でも挑戦したい級から受検できます。
漢検準1級の概要
漢検準1級の概要は、以下のとおりです。
主催 | 公益財団法人日本漢字能力検定協会 |
---|---|
検定日程 | 年3回(2022年度は2月/6月/10月) |
受検会場 | 全国47都道府県の主要都市 |
検定時間 | 60分 |
合格基準 | 200点満点で80%程度 |
検定料 | 5,500円 |
漢検準1級のレベル
漢検準1級のレベルは、大学・一般程度とされています。出題対象の漢字は、常用漢字2,136字を含む約3,000字です。一般的な社会生活で使う漢字のほか、なじみの薄い漢字も出題される傾向があります。
読み書きも難しい漢字が多く、日常で目にする機会が少ない漢字が出題されるため、本気で勉強しなければ合格は困難です。
漢検準1級の受検方法
漢検準1級の受検を申し込む際には、受検地区の選択はできますが、受検会場の指定はできません。日本漢字能力検定協会から送られる受検票で、受検会場を確認してください。準1級の受検日は、2月と6月、10月の年3回に限られるため、計画的な勉強が重要です。なお、準1級では2級〜7級で選択できるパソコンを使うCBT受検はできません。
漢検準1級の出題内容と配点
漢検準1級では、どのような内容が出題されるのでしょうか。出題範囲と試験問題の配点を解説します。
出題範囲
漢検準1級の出題内容は、以下のとおりです。
- 漢字の読み
- 漢字の書き取り
- 故事・ことわざ
- 対義語・類義語
- 同音・同訓異字
- 誤字訂正
- 四字熟語
- 熟字訓、当て字
- 対義語、類義語、同音・同訓異字
- 国字(日本で作られた漢字)
- 地名・国名などの漢字表記
- 複数の漢字表記
試験問題の配点
設問1 | 音読み・訓読み | 1点×30問 |
---|---|---|
設問2 | 常用漢字の読み | 1点×10問 |
設問3 | 熟語の読みと語義 | 1点×10問 |
設問4 | 共通の常用漢字の読み書き | 2点×5問 |
設問5 | カタカナから漢字の書き | 2点×20問 |
設問6 | 誤字訂正 | 2点×5問 |
設問7 | 四字熟語の書きと読み | 2点×15問 |
設問8 | 対義語・類義語の書き | 2点×10問 |
設問9 | 故事・成語・諺の書き | 2点×10問 |
設問10 | 文章中の読み書き | 書き(2点×5問)、読み(1点×10問) |
- 参考:問題例|日本漢字能力検定協会(https://www.kanken.or.jp/kanken/outline/data/outline_degree_example_j1m.pdf)
漢検準1級の難易度
漢検準1級の難易度は、どの程度なのでしょうか。合格率と漢検2級との違いを解説します。
合格率
漢検準1級の合格率は、11%〜15%ほどです。
受検者数 | 合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|
2022年度 第1回 | 5,337人 | 733人 | 13.7% |
2021年度 第3回 | 5,304人 | 615人 | 11.6% |
2021年度 第2回 | 4,863人 | 269人 | 5.5% |
2021年度 第1回 | 5,767人 | 850人 | 14.7% |
2級の合格率は2022年第1回が28.5%、2021年度が24%~31%。これと比べると、準1級の難易度は高いといえます。
漢検2級との違い
漢検2級から準1級に上がる際、対象漢字数が800字ほど増えるため、勉強の負担が増えます。
また漢検準1級では、2級までと異なり、常用漢字以外も含まれることが相違点です。四字熟語だけでなく、国字や古事成語、ことわざなども加わります。準1級合格には常用漢字だけでなく、一般の社会生活では目にする機会の少ない、古典的な文章の理解も必要です。
漢検準1級に合格するための勉強時間
漢検準1級をはじめて受検する場合、最低でも300時間は勉強時間が必要です。ただし、2級に合格している場合は、すでに土台となっている漢字の知識があるため、いきなり準1級から挑戦する人よりも、勉強時間が短くてすむ可能性があります。
漢検準1級に合格するための勉強方法
漢検準1級に合格するには、しっかりとした対策が大切です。漢検準1級に合格するための勉強方法を解説します。
過去問題を繰り返し解く
過去問題を解く意義は、どの程度の知識が問われているかや、どのような問われ方をするかを把握することです。過去問題を解いてみると、苦手な領域や問題形式など、現時点での自分の実力がわかります。
検定日まで効率的に勉強し、本番での感覚をつかむためには、過去問題を繰り返し解き、確実に知識を身につけることが重要です。
四字熟語の勉強に力を入れる
漢検準1級の四字熟語の配点は30点と高い傾向にあります。また四字熟語は、対義語・類義語や古事成語、ことわざにも応用が利く重要な分野です。確実に点数を得て合格に近づくためには、四字熟語の勉強に力を入れることが重要です。四字熟語の出題傾向はある程度把握しやすいため、本番でしっかり得点できるよう対策しましょう。
計画的に進める
漢検準1級に効率的に合格するには、自分に合った勉強計画が重要です。学業や仕事などと並行して漢検を勉強する場合は、生活が乱れないように勉強時間を組み込みましょう。現時点での自分の実力を把握したうえで、余裕のある勉強計画を立てると、無理なく勉強を進められます。
漢検準1級に合格するメリット
漢検準1級に合格すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。代表的なメリットを3つ解説します。
漢検生涯学習ネットワークの会員になれる
漢検1級・準1級に合格すると、合格者のための会員組織に登録でき、漢検生涯学習ネットワークの会員になれます。漢検生涯学習ネットワークとは、日本語の知識をさらに高めたり、会員同士が交流したりする場です。
「漢字教育士」資格認定講座カリキュラムでは、漢字の成り立ちや学説を理解し、教える人材を育てる漢字教育士認定資格WEB講座の受講もできます。
進学や就職・転職でアピールポイントになる
漢検の勉強をとおして、進学や就職・転職に有利になる点がメリットです。漢検準1級合格は、常用漢字以上の漢字の知識が身についている証になるため、難易度の高い資格に合格した努力が評価される可能性があります。
また、就職や転職での採用試験で出されるSPIや一般常識の問題に漢検の問題が対応しているほか、進学の際、内申点に加算されるケースもあるでしょう。
知識や教養が身につく
漢検準1級は四字熟語に加え、古事成語やことわざなど、幅広く深い知識が身につきます。古典的な表現は、現代では目にする機会が減っているものの、昔の文学作品では一般的な言葉です。常用漢字だけでなく、色々な文学作品の理解力や読解力が深まる点が、漢検準1級のメリットといえます。
漢検準1級の勉強におすすめの問題集・辞典
漢検準1級の問題集や辞典は、数多く出版されています。以下では特におすすめの問題集や辞典をピックアップして紹介します。
漢検 1/準1級 過去問題集 2022年度版(日本漢字能力検定協
「漢検 1/準1級 過去問題集 2022年度版」は、検定の実施機関である日本漢字能力検定協会が出版している、公式の問題集です。本書では2021年度実施の実際の検定問題が3回分掲載されています。答案用紙も実物大の見本が付いており、本番さながらに勉強できる問題集です。
カバー率測定問題集 漢検マスター準1級(ナツメ社)
「カバー率測定問題集 漢検マスター準1級」は、最新の出題傾向をおさえたうえでジャンルごとにカバー率を測定し、最短距離での合格を目指す問題集です。ここでいうカバー率とは、単語や問題の的中率を指し、平成24年以降の試験を徹底的に分析しています。
漢検 四字熟語辞典 第二版(日本漢字能力検定協会)
「漢検 四字熟語辞典 第二版」は、検定の実施機関である日本漢字能力検定協会による、四字熟語専用辞典です。見出し熟語4,000語、類義語・対義語をふくめると、5,000語以上が収録されています。本書は熟語の下2文字から検索可能で、効率的に勉強が進められる点が特徴的です。
まとめ
漢検準1級に合格するには、大学・一般レベルの常用漢字を含む、約3,000の漢字の読み書きのほか、古事成語やことわざなど、幅広く深い知識が必要です。漢検にはじめて挑戦する人は、いきなり準1級の受検は難しいため、自分の能力に合わせた級から挑戦することをおすすめします。
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- この記事の監修者は生涯学習のユーキャン
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よくある質問
- 各級のレベルは?
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各級のレベルは、1級/準1級は大学・一般レベル、2級は高校卒業・大学・一般レベル、準2級は高校在学レベル、3級は中学校卒業レベル、4級は中学校在学レベルです。
- 各級の合格率は?
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漢検の各級の合格率はおおよそ、1級10%、準1級15%、2級30%、準2級35%、3級/4級50%、5級70%、6級80%、7級/8級85%、9級90%、10級95%程度です。
- 各級の合格基準点は?
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1級/準1級/2級の合格基準点は、200点満点80%程度です。準2級/3級/4級/5級/6級/7級は、200点満点70%程度、8級/9級/10級は、150点満点80%程度が合格基準です。
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