行政書士試験は独学で合格できる?メリット・デメリットを解説
- 更新日:2024/04/19
「行政書士試験の受験を検討しているけれど、いつごろから勉強を本格的に始めたら良いか」「1日何時間ほどの勉強時間を設けるべきか」などのお悩みはありませんか?特に、独学で受験勉強することを考えている社会人の方は、仕事や家事との時間配分も悩みどころでしょう。
そこで今回は、行政書士試験に合格するための勉強時間や効果的な勉強方法についてくわしくご紹介します。本業に支障がないよう勉強時間を確保し、かつ少しでも合格に近づく勉強法を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
このページを簡潔にまとめると・・・
- 法律の初学者が独学で行政書士試験の合格を目指す場合、勉強時間の目安は800~1,000時間、1日あたり2~3時間程度といわれる。
- 効率良く学習を進めるポイントは「行政法と民法をマスターする」「スキマ時間の徹底活用」「過去問学習は徹底的に」「直前模試は必ず受ける」「勉強の計画を立てる」
- 行政書士試験の学習を独学で行うコツはスケジュール管理。重要度の高い「民法」「行政法」を押さえることも重要。
行政書士試験は独学でも受かる?
インターネットなどで調べると、「完全に独学で○○時間勉強し、行政書士試験に合格した」という方の体験談がたくさん見つかります。それらを見ていくと、やはり1日のうちかなり多くの時間を勉強に費やし、通勤移動の時間帯や「朝起きてすぐ」「夜寝る前」など、少しの時間も惜しまず勉強し続けていることが分かります。
また、独学で行政書士試験に合格した方の中には「法学部出身」や「司法試験など法曹系の資格に挑戦した経験がある」など、法律についてすでに学んだ経験がある方も多いようです。
これらのことから、法律に関する知識がある程度身についている方なら、独学で行政書士試験に挑戦するという手もありそうに感じられます。
しかしその一方で、法律をある程度学んできた方であっても、「数百時間単位の勉強時間を確保して合格できた」という声が多いのは事実です。そのため、ゼロから独学で学び始めて、短期間で行政書士試験に合格することはハードルが高いといえるでしょう。
行政書士試験に合格するために必要な勉強時間は800時間
行政書士試験に合格するために必要な勉強時間は800時間と言われています。個人差があり、法律の予備知識がある方は、500~600時間、勉強経験のない方がゼロから挑戦した場合で800~1,000時間ほど必要とされています。800時間勉強する場合、1日4時間勉強できる方であれば、約7か月ほどかかります。
行政書士試験の合格率は10%程度と、社会人向けの資格試験の中でも難関であることはすでに知られている通りです。社会人として仕事を続けながら、独学一本で行政書士試験に合格するためには、やはりかなりの努力が必要だと考えられます。
独学の場合の勉強時間
初めて法律の勉強をする人が独学で試験合格を目指す場合、1年間で800~1,000時間の勉強時間が必要となります。1日あたりの目安は2~3時間程度となります。
独学のメリット
- 費用があまりかからない
- 自分の好きな時間に勉強できる
独学のデメリット
- 質問できないため、わからない部分がそのままになってしまう
- 効率的に進めないと、トータルの勉強時間が長くなる
- モチベーションを維持するのが難しい
勉強のコツ
独学で勉強する期間を、「基礎」「応用」「仕上げ」の3段階に分けて勉強を進めます。生活に身近な民法の勉強から始めるのがおすすめです。
専門学校に行った場合の勉強時間
各専門学校のサイトで紹介されているデータによると、合格者の勉強時間としては500時間が目安となります。
専門学校のメリット
- 講師に直接教えてもらえるため、理解しやすい
- 随時質問が可能である
専門学校のデメリット
- 多額の授業料がかかる
- 通学に時間がかかる
- 決められた時間割での出席が必要
勉強のコツ
学校で教わった内容を復習し、不明な点は講師に直接聞くことが大切です。同じ目標をもつ同級生もいるので、試験対策などの情報交換をするといいでしょう。
通信講座を利用した場合の勉強時間
通信講座の場合、勉強時間は500時間が目安となります。受講期間は講座の種類によって、6カ月から15カ月まであります。内容も初心者向けから、法律の知識がある人に適した講座まで選べます。
通信講座のメリット
- 自宅など、好きな場所で勉強できる
- スケジュールを組みやすい
- 勉強の効率がいい
- 質問や添削などのサポートがある
通信講座のデメリット
- 質疑応答の返信に時間がかかる
- モチベーションを保つ必要がある
勉強のコツ
勉強中に不明な点があれば、質問をして理解を深めることが大切です。効率よく勉強するために、勉強のスケジュールに合わせて教材をこなしましょう。
ユーキャンの行政書士講座では、受講期間は6カ月が標準です。受講開始日から試験月まで6カ月に満たない場合は、次の試験開催月までサポートが受けられるので安心して試験に臨めます。
スケジュール表を作成してみよう
効率のいい勉強を進めるためにも、スケジュール表を作成することをおすすめします。勉強を開始する時期は、試験日から逆算して決めるといいでしょう。1日に何時間、週に何回の勉強時間が取れるかも考慮して作成しましょう。
1日3時間、週6日間の勉強時間が確保できれば、1週間で18時間、1カ月では72時間の勉強ができることになります。一般的には、基礎法学を最初に勉強し、憲法・民法・行政法の順に勉強を進めましょう。最後に商法・会社法・基礎知識を勉強します。そのあとは、模試などを受けるなど直前の試験対策を行うといいでしょう。
1カ月目(勉強開始) | 基礎法学・憲法・民法 |
2カ月目 | 民法 |
3カ月目 | 行政法 |
4カ月目 | 商法・会社法 |
5カ月目 | 基礎知識 |
6カ月目 | 模試など試験対策 |
行政書士試験の効率のいい勉強をするためのポイント
効率よく勉強するためのポイントを紹介します。
行政法と民法をマスターする
行政書士の試験では、出題問題数の約半分は行政法と民法で占められ、配点も188点/300点と、非常に高くなっています。そのため、行政法と民法をマスターしておけば、合格点に近い得点が取りやすくなります。行政書士試験は、全体で6割以上の得点取得で合格です。
スキマ時間をうまく使う
まとまった勉強時間を取るほかに、スキマ時間をうまく使うのも効率よく勉強するためのポイントです。通勤や通学の時間、仕事の休憩時間などを活用しスキマ時間を捻出しましょう。
最近は、行政書士試験に向けた勉強アプリもあるので、少しの時間でも勉強できます。
過去問学習は徹底的にしよう
試験対策として、過去問学習を徹底的に行うことをおすすめします。完全に同じ問題は出なくても、似た傾向の問題や、過去の問題を応用して出題される可能性は高いです。ある程度基礎知識がついてきたら、多くの過去問題に取り組み、解法のテクニックを身につけましょう。
直前模試は必ず受けよう
直前模試は必ず受けるようにしましょう。直前模試で出題される予想問題は的中する可能性が高いため、情報収集としても役立ちます。自分がその時点でどの程度のレベルなのかもわかるので、さらに勉強が必要な科目などを見出すことも可能です。独学で勉強している人は必ず受けることをおすすめします。
勉強の計画を立てよう
勉強を始める前には、簡単でいいので、計画を立てましょう。行政書士試験の出題範囲は広く、無計画に勉強を始めると、すべての範囲をまんべんなく勉強できない可能性があるからです。しかし、あまり細かすぎる計画を立てると実現できない可能性があるので、ざっくりとした計画にしておくといいでしょう。
行政書士試験の学習を独学で行うポイント
行政書士試験の学習を独学で行うコツはスケジュール管理。重要度の高い「民法」「行政法」を押さえることもポイントです。
ここでは、独学での学習に向いている人の特徴と、学習計画の立て方や学習のコツを紹介します。
独学での学習に向いている人
行政書士試験の合格を独学で目指すには、自己管理できるかがポイントとなります。仕事や家事の合間を縫って学習するには、学習する場所や時間帯を管理する必要があります。自分のスケジュールを調整しつつ、コツコツと進められる人は独学に向いているでしょう。
また、行政書士試験の学習は毎日続けることが大切なので、継続力も必要です。
独学で学習するコツ
まずは学習計画を立てる
行政書士試験の合格を独学で目指すなら、まずは学習計画を立てるようにしましょう。計画を立てずに学習を進めても、効率的に知識を身につけることはできません。まずは自分が1日に確保できる学習時間を計算し、試験日から逆算した日数で足りるのか把握しましょう。
受験間際になって慌てないよう、申込期限や注意点について調べておくことも大切です。
おさえるべきは「民法」と「行政法」
行政書士試験の学習で特に重要なのは、「民法」と「行政法」です。「民法」と「行政法」は出題数が多いので、まずこの2科目をおさえることを意識しましょう。広い範囲で出題される行政書士試験においては、重要度の高い科目から優先的に学習することがポイントとなります。
行政書士試験に向けて「スクール」と「通信教育」はどちらがおすすめ?
仕事と並行しながら効率的に試験勉強したい方や、仕事をしながらできるだけ短期間で合格に近づける勉強法を実現したい」という方は、独学にこだわるよりもスクールに通ったり、通信教育を受けたりすることを検討してみても良いかもしれません。
スクールのメリットとデメリット
スクールに通う場合は講義日程が決まっているため、一週間通しての学習プランを作りやすいことが大きなメリットとして挙げられます。また、同じように資格取得を目指すクラスメートができるため、切磋琢磨し合いながらモチベーションをキープできることもメリットでしょう。
その反面、仕事や急用などで講義に出席できない可能性があることや、通学のために移動時間が掛かること、スクールが行動範囲内にないとそもそも通えないことなどはデメリットです。
ある程度時間や経済的に余裕がある方、アクセスしやすい場所にスクールがある方などはスクールに通って資格取得を目指すのがおすすめといえます。
通信教育のメリットとデメリット
通信教育の場合は、忙しく不規則な生活スタイルの方でも、自分のペースでいつでもどこでも学習できることが大きなメリットとして挙げられます。また、スクールに比べて費用の負担が比較的軽いこともメリットでしょう。
しかし、通信教育ではあくまでも自分で学習を進めるためモチベーションをキープしにくかったり、分からないことをすぐに質問できなかったりなど、自学自習に近いスタイルであることがデメリットです。
残業が多く日によって帰宅時間が異なる、できるだけ費用は抑えたい方などは通信教育がおすすめといえます。
まとめ
今回は、法律系の国家資格の中でも受験者数が多く、人気が高いといわれる「行政書士試験」に向けての勉強時間についてご紹介しました。
行政書士は、事務所を独立開業できる有用な国家資格であり、実利にもつながるとして人気の高い資格です。「法律を取り扱う仕事に就きたい」「知識を身につけて地域社会に貢献したい」などの動機で、社会人が次のキャリアを見据えて試験に挑戦するケースも非常に多くなっています。
受験を検討中の社会人の方は、スクールや通信教育などの利用も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
- この記事の監修者は海野 高弘(うみの たかひろ)
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東京都出身
東京都行政書士会文京支部理事
趣味は、資格試験短期合格法の研究、野球、釣り、旅(判例現場巡り&寅さんロケ地巡り)
2000年 行政書士試験受験、翌年合格
2004年 ユーキャン行政書士講座 講師
2012年 ユーキャン行政書士講座 主任講師
モットーは、「夢なき者に成功なし」「短期合格は第一歩がすべて」「法律は暗記ではなく思考力」
★ユーキャン行政書士講座 公式YouTubeチャンネル
よくある質問
- 行政書士の仕事とは?
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行政書士とは、行政へ許認可申請が必要な場合の書類作成、官公署に届ける書類に関する相談業務などを行う、国に認められた法律の専門家です。
個人や会社などの顧客に代わりに、役所などに提出する書類の作成や申請をします。 - 行政書士の年収は?
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行政書士の平均年収は約600万円といわれます。働き方や業務内容により年収が大きく異なり、高年収も目指せます。相談業務が中心なら年収は240万円ほど、契約書の作成業務や、官公署へ提出書類の作成・提出代行が中心の場合は年収720万円ほど。ダブルラインセンスや独立開業すると年収が増えるなど、個人差が大きいことが特徴です。
- 副業で行政書士の仕事をすることはできますか?
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行政書士の国家資格を取得すれば、行政書士として副業も可能です。行政書士の副業には、専業に向けた基盤づくり、収入源が増える、定年退職後・生涯現役の準備になるなど、メリットも少なくありません。副業でも取組みやすい業務には、宅建業免許や飲食店営業許可の申請手続き、車庫証明業務などが挙げられます。
ユーキャンで目指せる国家資格の中で人気の「行政書士」。市民と官公署とをつなぐ法務と実務のスペシャリストです。
資格取得後は、法律関連の業務全般について、書類作成業務や官公署への書類提出手続き代理業務、契約書等代理作成業務など、気軽に市民の目線で相談できる「頼れる法律家」に。扱える書類は数千種類もあり、業務範囲の広い国家資格です。独立・開業して社会に役立つことはもちろん、企業への就職・転職にも有利になります! また近年は、行政書士法改正で「代理権」が付与され職域が拡大したこと、行政書士法人の設立が可能となる改正法の施行など、時代の流れはまさに追い風となっています。
国家資格の中では難関試験として知られている行政書士ですが、ユーキャンでは試験突破に向けて、仕事と両立しながら続けられるようにカリキュラムを工夫。まったく知識が無い方でも着実に資格取得までのプロセスを身につけることが可能な通信講座です!