公務員から行政書士になるには?2つの方法とともに知っておきたいポイントや注意点を解説
- 更新日:2024/11/12
公務員から行政書士になる方法としては、試験に合格する、または特認制度の利用があります。特認制度を利用すれば試験を受けずに行政書士の資格を取得できますが、注意点もあるため事前に把握しておくことが大切です。この記事では、公務員から行政書士になる方法や注意点について解説します。公務員からの転職やキャリアアップのために、ぜひ参考にしてください。
このページを簡潔にまとめると・・・
- 公務員が行政書士になる方法は「資格試験に合格」「公務員の特認制度を利用」の大きく2つ。
- 行政書士と公務員は試験内容に共通点も多く、公務員の知識・スキルは行政書士業務でも役立つ。
- 公務員は種類が多く、行政書士と公務員どちらが高難易度かは一概にいえない。
- 特認制度では、公務員が一定の条件を満たすと行政書士の資格取得が認められる。
- 特認制度を利用せず、行政書士試験合格を目指すのもひとつの方法。
公務員から行政書士になる方法は?
公務員から行政書士になる方法は、大きくわけて2つあります。ここでは、公務員から行政書士になる方法について解説します。
資格試験に合格する
基本的に、行政書士になるためには行政書士試験に合格することが必要です。合格後、手続きを経て、事務所を設けようとする都道府県の行政書士会に入会し、行政書士名簿への登録を受けると、行政書士としての業務を開始できます。なお、弁護士や税理士などの資格保有者も、行政書士として活動できます。
公務員の特認制度を利用する
公務員には「特認制度」があり、行政書士試験に合格しなくても条件を満たせば資格が得られます 。特認制度の利用は、行政事務の仕事に一定以上の年数従事していることが条件となります。特認制度の詳細については、後で解説するため、そちらを参考にしてください。
行政書士と公務員の業務の関連性
行政書士は、行政に提出するための公的書類を作成する仕事です。行政書士が提出した書類は、行政事務に携わる公務員が確認を行います。 行政書士と公務員は立場が違いますが、それぞれの業務のために必要な知識は共通しています。そのため、それぞれの試験科目にも共通点が多い です。
行政書士として業務をこなすためには実務的な知識やスキルが必要となります。よって、公務員として働きながら得た経験は、行政書士の業務をこなすために役立つことも多いです。
行政書士と公務員の試験の比較
ここでは、行政書士試験と公務員試験の内容や難易度について、比較しながら解説します。
試験内容
行政書士と公務員の試験について、それぞれの出題内容を解説します。
行政書士
行政書士試験では、「行政書士の業務に関し必要な法令等」と「行政書士の業務に関連する基礎知識」に関する問題が出題されます。
法令等科目は、具体的には、憲法、行政法、民法、商法、基礎法学です。行政法では、一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法が主に出題されます。また、基礎知識科目では、政治・経済・社会、戸籍法・住民基本台帳法・行政書士法、個人情報保護・情報通信、文章理解について出題されます。
試験科目のなかで割合が大きいのは、行政法と民法です。 公務員試験の行政(事務)区分でも法律の科目から多く出題されるため、行政書士試験と共通点が多いといえます 。
公務員
公務員の種類としては、大きく国家公務員、地方公務員の2つに分かれ、それぞれ異なる試験が実施されています。公務員試験の科目は、専門科目と教養科目に大きくわかれています。
たとえば、行政(事務)区分の場合、専門科目では憲法、民法、行政法といった行政書士試験で多くの割合を占める科目も多く出題されています。
どちらの試験の難易度が高いか?
公務員にはさまざまな種類があるので、 行政書士試験と公務員試験のどちらが難しいか一概にはいえません 。行政書士試験では法律に関する深い理解が必要であり、一般的に難易度は高いといわれています。一方、公務員試験のなかで特に難関といわれる地方上級公務員以上に合格するためには、高い専門知識が必要です。
公務員が行政書士になるための特認制度
特認制度は、 国家公務員または地方公務員として行政事務に17年以上(中卒の場合は20年以上)従事した場合に行政書士の資格取得が認められる制度 です。たとえば、大学を卒業してすぐ公務員になった人であれば、40歳頃になると特認制度を活用できる可能性があります。
特認制度を利用して資格を取得するには、「公務員職歴証明書」等を行政書士会に提出する必要があります。これまで従事してきた職務内容について審査を受け、行政書士に必要なスキルがあると認められれば行政書士の資格取得が可能です。
公務員から行政書士になる場合の注意点
ここでは、公務員から行政書士になる場合の注意点について解説します。
兼業はできない
公務員は兼業を禁止されているので、公務員と行政書士の仕事の両方に取り組むことはできません 。公務員が行政書士になるには、退職してから行政書士登録を行う必要があります。公務員から行政書士を目指す場合、ライフプランについてもよく考えたうえで準備を進めましょう。
公務員なら必ず行政書士になれるわけではない
特認制度を利用して公務員から行政書士になるには、少なくとも17年以上かかります。そのため、 20~30代のうちに行政書士になりたい人には、行政書士試験に合格してなる方法をおすすめします 。また、公務員として17年以上勤務していても、行政書士会の審査で認められなければ行政書士の資格は取得できません。就いている職務の内容によっては、特認制度を利用できない可能性もあることを理解しておきましょう。
特認制度を利用せず行政書士試験合格を目指すのもひとつの方法!
行政書士の仕事に魅力を感じているなら、特認制度の条件を満たすまで待つよりも 行政書士試験の合格を目指すことをおすすめします 。なぜなら、一般的に転職は年齢が上がるほど難しくなるため、なるべく早めに行動したほうがいいからです。早く行政書士の仕事を始められれば、その分、経験も早く積めます。
行政書士の資格を取得していれば、行政書士以外の仕事へ転職する場合にも役立てることが可能です。たとえば、一般企業の法務部や法律事務所などでは、行政書士の有資格者を歓迎しているところもあります。行政書士になりたいなら、試験合格に向けて勉強を始めましょう。
まとめ
公務員から行政書士になるための方法としては、試験合格のほかに特認制度もあります。ただし、なるべく早く行政書士になりたいと考えているなら、試験合格を目指したほうが確実です。
ユーキャンの行政書士講座では、出題傾向を徹底分析した問題集を用意しており、実際の試験問題の的中率も高いです。テキストも「入門テキスト」と「応用テキスト」にわかれており、スムーズに勉強を進められます。リニューアルされた効率的なテキストで短期合格もめざせるので、行政書士になりたいと考えているなら、ぜひ勉強を始めてみてください。
- この記事の監修者は海野 高弘(うみの たかひろ)
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東京都出身
東京都行政書士会文京支部理事
趣味は、資格試験短期合格法の研究、野球、釣り、旅(判例現場巡り&寅さんロケ地巡り)
2000年 行政書士試験受験、翌年合格
2004年 ユーキャン行政書士講座 講師
2012年 ユーキャン行政書士講座 主任講師
モットーは、「夢なき者に成功なし」「短期合格は第一歩がすべて」「法律は暗記ではなく思考力」
★ユーキャン行政書士講座 公式YouTubeチャンネル
よくある質問
- 行政書士の合格に必要な勉強時間は?
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行政書士試験合格に必要な勉強時間は、500~1000時間が目安と言われています。スクールや通信講座を活用する場合は600時間、独学の場合は800~1000時間程度とされています。
- 行政書士はどんな試験ですか?
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行政書士試験は、例年11月の第2日曜日に実施されます。受験資格に制限はなく、学歴、性別、国籍を問わず受験が可能です。
- 行政書士の仕事とは?
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行政書士とは、行政へ許認可申請が必要な場合の書類作成、官公署に届ける書類に関する相談業務などを行う、国に認められた法律の専門家です。
個人や企業などの顧客に代わりに、役所などに提出する書類の作成や申請をします。
ユーキャンで目指せる国家資格の中で人気の「行政書士」。市民と官公署とをつなぐ法務と実務のスペシャリストです。
資格取得後は、法律関連の業務全般について、書類作成業務や官公署への書類提出手続き代理業務、契約書等代理作成業務など、気軽に市民の目線で相談できる「頼れる法律家」に。扱える書類は数千種類もあり、業務範囲の広い国家資格です。独立・開業して社会に役立つことはもちろん、企業への就職・転職にも有利になります! また近年は、行政書士法改正で「代理権」が付与され職域が拡大したこと、行政書士法人の設立が可能となる改正法の施行など、時代の流れはまさに追い風となっています。
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