• 更新日:2024/08/29

法律に関する業務を取り扱う「士業」として知られる資格の1つに「行政書士」があります。主な仕事は行政機関に提出する書類の作成や、それを申請する作業の代行です。独立して行政書士事務所を開業できることもあり、社会人が次のキャリアを見据えて取得することも多い、人気のある資格です。
今回は、行政書士になるには合格必至の「行政書士試験」について、くわしくご紹介します。資格取得を検討中の方や、試験に向けて勉強を始める方はぜひ参考にしてください。

行政書士試験の合格率は?

行政書士試験は、「一般財団法人行政書士試験研究センター」の主宰で、年1回毎年11月ごろに行われます。
試験日や申込期間などのスケジュールはその4か月前ぐらいから開示されますので、行政書士試験研究センターのWEBサイトなどを定期的にチェックしておきましょう。

年度 受験申込者数 受験者数 合格者数 合格率
令和5年度 59,460人 46,991人 6,571人 13.98%
令和4年度 60,479人 47,850人 5,802人 12.13%
令和3年度 61,869人 47,870人 5,353人 11.18%
令和2年度 54,847人 41,681人 4,470人 10.70%
令和元年度 52,386人 39,821人 4,571人 11.50%
平成30年度 50,926人 39,105人 4,968人 12.70%
平成29年度 52,214人 40,449人 6,360人 15.72%
平成28年度 53,456人 41,053人 4,084人 9.95%
平成27年度 56,965人 44,366人 5,820人 13.12%
平成26年度 62,172人 48,869人 4,043人 8.27%

超難関というわけではない

行政書士試験は、多くの方が仕事と勉強を両立させながら受験に向けて準備していくため、それが合格率の低さに関係しているとご説明しました。しかし、「行政書士試験は難しいか、難しくないか」と聞かれれば、やはり法に関する込み入った知識や考える力が必要な「難しい試験」であるといえます。
ただし、行政書士試験には「事前に合格基準が公表されている」という大きな特徴があります。「この点数を上回った人は全員が合格です」と、あらかじめ発表しているわけです。何が何でも合格したいと考えている方なら、模擬試験などで毎回その点数を大きくクリアできるように頑張れば合格の可能性はかなり高められるでしょう。決してやさしい試験ではありませんが、本気で取り組めば合格を実現することは特別難しいわけではないといえそうです。

なお、同じ書士の仕事でも「司法書士」の試験は、行政書士試験よりかなり難易度が高いといわれています。

司法書士との違いは?

司法書士と行政書士は同じ「書士」ですから、法に基づいて書類を作成する仕事である点は共通しています。異なるのは、作成する書類の種類とその提出先です。

司法書士は、主に「訴訟関連の書類」と「登記関連の書類」を作成します。書類の提出先は、主に裁判所や法務局です。

一方で、行政書士が作るのは、主に「官公庁へ提出する書類」になります。提出先は各省庁や県市町村などの自治体、あるいは警察署などです。

司法書士と行政書士は、名前は似ていますが、業務内容が異なります。司法書士にしかできない仕事もあれば、行政書士にしかできない仕事もあるのです。例えば、外国人の国籍取得申請は、行政書士にしかできない業務の1つです。

他の国家資格と難易度を比較!

司法書士と行政書士だけではなく、その他にも法律に関する国家資格が存在します。ここでは、その他の法に関する国家資格と行政書士の難易度を比較してご紹介します。

社会保険労務士

働く人々の社会保障に関わる、書類作成や手続きを代行する業務です。法律を活用した資格であるという共通点から、行政書士と比較されることがありますが、出題傾向などはまったく異なります。ダブル資格取得をめざすなら、まずは法律の知識を深めるため行政書士から始めると良いでしょう。


公認会計士

公認会計士の主な業務は、大きな企業や団体の経営状態を法に基づき厳正にチェックする「監査」です。また、税理士と同様の「税務」の仕事や、経営について適切なアドバイスをする「コンサルティング」の業務も行います。公認会計士は、行政書士と比較すると、試験の難易度はかなり高いといえるでしょう。

まとめ

今回は、行政書士試験の難易度や司法書士との違いについてご紹介しました。
行政書士試験は、公認会計士や司法書士の試験の難易度に比べると高くはありません。しかし、現実的に合格をめざすのであれば専門的な勉強に取り組むことが必要でしょう。合格までの道筋をしっかり落としこんだ計画を立て、ある程度時間をかけて試験勉強を進めることが大切です。

この記事の監修者は海野 高弘(うみの たかひろ)

東京都出身
東京都行政書士会文京支部理事
趣味は、資格試験短期合格法の研究、野球、釣り、旅(判例現場巡り&寅さんロケ地巡り)
2000年 行政書士試験受験、翌年合格
2004年 ユーキャン行政書士講座 講師
2012年 ユーキャン行政書士講座 主任講師
モットーは、「夢なき者に成功なし」「短期合格は第一歩がすべて」「法律は暗記ではなく思考力」

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ユーキャンで目指せる国家資格の中で人気の「行政書士」。市民と官公署とをつなぐ法務と実務のスペシャリストです。
資格取得後は、法律関連の業務全般について、書類作成業務や官公署への書類提出手続き代理業務、契約書等代理作成業務など、気軽に市民の目線で相談できる「頼れる法律家」に。扱える書類は数千種類もあり、業務範囲の広い国家資格です。独立・開業して社会に役立つことはもちろん、企業への就職・転職にも有利になります! また近年は、行政書士法改正で「代理権」が付与され職域が拡大したこと、行政書士法人の設立が可能となる改正法の施行など、時代の流れはまさに追い風となっています。
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