社労士が独立開業するには?開業の方法やメリット・デメリットを解説!
- 更新日:2024/08/27
社会保険労務士として仕事をする場合、資格取得後の方向性としては「独立開業」と「企業勤務」のふたつに分かれます。どちらについてもメリットとデメリットがあり、簡単に決められることではないでしょう。また、資格取得直後に開業する場合は、いくつかのハードルもあります。
この記事では、独立開業までの流れやメリット・デメリット、見込める収入などについて解説していますので、社労士として独立開業を考えている方は、参考になさってください。
このページを簡潔にまとめると・・・
- 社労士として独立開業するメリットは、自分の裁量で働ける、働き方や頑張り次第で高収入が目指せるなど。
- デメリットは仕事を確保できないと収入が不安定な点。
- 通常、独立開業には2年以上の実務経験が必要。
- 2年未満での開業には、事務指定講習の受講が必要。講習後、「社労士名簿に登録」と「税務署に開業届を提出」の手続きを行う。
- 仕事を得る営業力は必要不可欠。集客にはネットの活用やセミナー開催も有効。
社会保険労務士(社労士)が独立開業するメリット・デメリット
社労士として独立開業した際に、一体どんなメリットがあるのか、逆にどんなデメリットがあるのかを紹介します。
メリット
最大のメリットは、自分自身の裁量で働けることです。どのように仕事をするのかを自分で選べるため、仕事をしただけ収入を増やせます。スケジュール管理は全て自分で行うため、休日も自分のタイミングで取れます。
社労士は男女で年収に大きな違いが出ないのも特徴です。女性でも年収500万を目指せますし、それ以上の年収にチャレンジすることもできます。
また、試験を受ける年齢もさまざまなので「挑戦したいけどもう若くない」と思っている人でも大丈夫です。社労士の試験は年齢の高い方でも合格しています。
デメリット
デメリットは、仕事を自分で見つけなければならないことです。企業に勤めていれば入ってきた仕事をするだけでよいのですが、独立となるとそうはいきません。うまく仕事を確保できない限り、収入は安定しないでしょう。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、社労士の平均年収は400〜500万円ほどです。しかし、これはあくまで平均なのでもっと稼いでいる人も、逆に極端に少ない人も存在します。
社労士として独立したら、自分で仕事を取ってくる営業力が必要不可欠になります。どうやって仕事を確保するのか、収入に結びつけるのかを考えなくてはいけません。
社会保険労務士(社労士)として開業するまでのステップ
社労士として独立開業する場合、通常は「2年以上の実務経験」が必要です。しかし、2年以上の実務経験がなくとも開業する方法はあります。この章では、その手順について解説します。
国家試験に合格する
まず前提として社労士になるためには国家試験を受けて試験に合格しなければなりません。受験には13項目の受験資格のうち、いずれか1つを満たしていないと受験できません。
13項目とは、「学校教育法による大学、短期大学若しくは高等専門学校(5年制)を卒業した者」などの学歴条件や、「労働社会保険諸法令の規定に基づいて設立された法人の役員、又は従業者として同法令の実施事務に従事した期間が通算して3年以上になる者」などの実務経験と、「行政書士となる資格を有する者」などの国家試験合格歴があります。
- 参考:受験資格・事前確認|社会保険労務士試験オフィシャルサイト(http://www.sharosi-siken.or.jp/exam/shikaku.html)
事務指定講習を受講する
社労士の試験に合格してもすぐに開業できるわけではありません。実務経験2年未満の場合は、全国社会保険労務士会連合会の事務指定講習を受けることになります。
講習は、通信指導(4ヶ月)と面接指導(4日間)の両方を受講する必要があり、受講料として、(税込)77,000円かかります。通信指導では「労働基準法及び労働安全衛生法」や「雇用保険法」などについて、教材を用いて自分で学習し、それを提出して添削を受けることになります。
実務経験のない人にとっては、開業するために必要なステップですのでしっかり学びましょう。
- 参考:事務指定講習|全国社会保険労務士会連合会(https://www.shakaihokenroumushi.jp/qualification/tabid/229/Default.aspx)
社労士名簿に登録する
講習が終わったら全国社会保険労務士会連合会の社労士名簿に登録します。登録の申請書は自分の所属する都道府県の社労士会に送ります。書類審査が行われ、受理されれば自分の元に証票が送付されます。
登録には「社会保険労務士登録申請書」や「社会保険労務士試験合格証書の写し」、「顔写真1枚」など合計6点必要になりますので用意しておきましょう。登録には、登録免許税と手数料で合計60,000円かかり、さらに社労士会への入会金・年会費がかかります。
- 参考:社労士の登録申請について|全国社会保険労務士会連合会(https://www.shakaihokenroumushi.jp/qualification/tabid/223/Default.aspx)
税務署に開業届を提出する
社労士名簿の登録が終われば、あとは税務署に届け出るだけです。国税庁から「個人事業の開業届出」をダウンロードし、税務署に提出をしてください。
手数料はかからず、窓口の手続きは1時間ほどで終わります。税務署には相談窓口もあるので、不安な方は税務署のスタッフと相談しながら書くとスムーズに提出できます。
受付は8時30分から17時までになりますが、土日祝日は受け付けていないため注意が必要です。
- 参考:個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm)
開業後の集客のポイント
開業してもすぐに仕事が確保できるわけではありません。収入を安定させ、仕事を確保できるように、開業後の集客方法についてポイントを紹介していきます。
ネットを活用する
近年ではネットサービスが充実し、利用者が増えています。中には社労士が仕事を探すことを目的としたマッチングサイトもありますので、集客のために登録するのもおすすめです。
顧客は自分に合った社労士を探すことができ、社労士も自分で営業をかけなくてもよいので上手に活用するとうまく仕事を確保できます。ただ、マッチングサイトには登録料や手数料がかかってしまいますので、出費の方が大きくならないように注意が必要です。
他にも、ブログやSNSを活用して集客する方法もあります。検索されやすい社会保険の問題点や悩み事についてブログやSNSで発信していけば集客に繋がりやすくなります。
セミナーを開催する
社労士がセミナーを開き、集客を図る方法もあります。受講者にとってプラスの情報をセミナーで公開することにより、仕事につながる可能性がでてきます。
ただし、セミナーを開いただけで顧客が獲得できるわけではありません。思うように集客できなければ、開催費用だけがかさんでしまうことになります。
経営者団体の勉強会に講師として呼ばれて出向く場合は、集客の心配もなく、次の仕事につながる可能性もあるため、セミナーだけでなく営業活動も行うとよいでしょう。
まとめ
難しい国家試験に合格し、講習や届け出の手続きを済ませていざ開業しても、手っ取り早く稼げるわけではありません。地道にネットやセミナーで集客をはかり、自分の価値を高める必要があります。しかし、うまく仕事を得られれば、わずか数年で前職より数百万の年収アップにつながる可能性もあります。
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- この記事の監修者は生涯学習のユーキャン
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よくある質問
- 社労士試験の難易度は?
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社労士試験は、合格率は約5~7%と低く、試験内容を見ても難易度が高いことでも有名です。 具体的には社労士の難易度はFP1級、宅建士、行政書士よりは高く、税理士や司法書士よりは比較的易しいと言われています。
- 社労士試験は独学でも目指せますか?
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独学でも社労士試験の合格は目指せますが、試験範囲が広く、合格率が一桁など難易度が高いため、独学では合格が難しい資格試験のひとつです。
通信教育やスクールを活用した場合に比べると時間がかかるケースが多いです。 - 社労士試験に合格するためのポイントとは?
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合格のためには、「各科目7割正解を目指す」「勉強する箇所を絞り込む」のがポイントです。
試験は、各科目ごとに合格基準点が設定されます。特定の科目で高得点を取っても、別の科目で合格基準点に達しなければ不合格となるため、まんべんなく得点を取る必要があります。
科目ごとに重点の置き方を考えたり、学習の順番について工夫するなど、事前に戦略を立てることが効率的な学習につながります。
講座との相性を確かめよう
社会保険労務士(社労士)は、労働問題や年金問題、社会保険のエキスパート。社労士試験には、受験資格があります。次の代表的な受験資格(学歴・実務経験・試験合格・過去受験)のいずれかを満たす必要があります。まずは「学歴」です。1)大学、短大、高専(高等専門学校)等を卒業した方、2)4年制大学で、62単位以上を修得した方又は一般教養科目36単位以上かつ専門教育科目等の単位を加えて合計48単位以上を修得した方、3)修業年限が2年以上、かつ、課程修了に必要とされる総授業時間数が1,700時間(62単位)以上の専修学校の専門課程を修了した方などと定められています。次に「実務経験」における主な要件は、「法人の役員または従業員(いずれも常勤)として、通算3年以上事務に従事した方」などです。また、「試験合格」「過去受験」における主な要件として、行政書士試験や厚生労働大臣が認める国家試験の合格者及び直近の過去3回のいずれかの社労士試験の受験票又は成績(結果)通知書を所持している方などにも受験資格が与えられます。