• 更新日:2024/08/27

キャリアアップにはさまざまな方法がありますが、特に効果的なのは資格取得でしょう。なかでも労働法や社会保険に精通している社労士は需要が高く、長年人気がある資格の1つです。

社労士の資格を取るためには、まず何から始めればよいのでしょうか。この記事では、社労士の資格を独学で取得できるのかについて解説します。社労士の将来性や勉強法、おすすめのテキストについても紹介しますので、ぜひこの記事を読んで合格を目指しましょう。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • 社労士試験のは独学でも合格を目指せるが、学習のコツやポイントを押さえることが重要。
  • 独学に向く人とは「メリハリある生活習慣を守れる」「目標達成意識が強く、モチベーションを維持できる」「過去の経験から、独学の段取りや弱点克服方法を熟知している」など。
  • 効果的な勉強法のポイントには、「受験科目を下調べ」「テキストを読み込む」「過去問を繰り返し解く」「科目別のテストを解く」「直前講座を受講」「模擬試験」などが挙げられる。

社労士の将来性・求人状況は?

弁護士など一部の業界では人材が余っているという話もありますが、社労士は反対に年々需要が高まっています。現代では、仕事や働き方に対する意識が年々変化し、高齢化や各種ハラスメント、ブラック企業問題、人材育成など、職場環境に関する問題も増え続けているからです。問題が増えるたびに目まぐるしく法改正がおこなわれ、社労士はそのつど対応しなければなりません。

このような理由から、社労士は1号・2号業務と呼ばれる書類作成・提出代行や帳簿書類の作成などの独占業務だけでなく、3号業務と呼ばれる「相談・指導」に関する業務が増えています。人間同士の問題解決は機械ではできず、同じ人間である社労士が柔軟に適応する必要があるからです。そうした相談や改善策を求める声も多く、社労士には現在、さまざまな企業からの求人が増えています。

受験の日にち・形式は?

社労士は、資格試験が1年に1度しかない国家資格です。また、その受験資格として、「学歴」、「実務経験」、「厚生労働大臣の認めた国家試験合格」からなる13個の受検資格コードのうち、どれか1つの受検資格をクリアしている必要があります。受験資格の詳細に関しては、必ず事前に公式サイトにて確認してください。

  • 参考:社会保険労務士試験の受験資格│社会保険労務士試験オフィシャルサイト(http://www.sharosi-siken.or.jp/exam/shikaku.html)

試験科目のジャンルは大きく分けて2つあり、労働法からは「労働基準法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、雇用保険法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律」など、社会保険法からは「健康保険法、厚生年金保険法、国民年金法」など、計10分野からの出題です。

全体の合格基準としては、これまで最低6割程度の得点が目安と言われていました。しかし、各科目にも合格基準点が設けられており、すべての科目で合格点を取らなければなりません。さらに「労務管理その他の労働に関する一般常識」と「社会保険に関する一般常識」も加わるため、出題範囲がとても広くなります。

必要な勉強時間と合格率は?

社労士試験に必要な勉強時間は、一般的に700~1000時間と言われています。差異があるのは、受験者が持つ知識の違いや、なるべく多くの勉強時間を取るなど、人によって異なるからでしょう。

資格試験が初めての人もいれば、再受験によりある程度の知識を持っているケースもあります。あくまで目安として参考にし、悔いのないようなるべく多くの勉強時間を確保した方がよいでしょう。

受験人数と合格率については、以下の通りとなります。

実施年 受験人数 合格率
令和元年 38,428 6.6
令和2年 34,845 6.4
令和3年 37,306 7.9
令和4年 40,633 5.3
令和5年 42,741 6.4
  • 【参考】社会保険労務士試験の結果について(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roumushi/shiken.html)

合格率はおおむね6%程度となっています。社労士の資格試験では、法改正が多く行われることも合否に関わってきます。過去に正解とされていた解答も、改正後では不正解となってしまうこともあるのです。

独学のメリット・デメリット

ここで、独学のメリットとデメリットをいくつかのポイントとしてまとめました。

●独学のメリット

独学のメリットは、次の3点です。

  • すぐに学び始められるので時間が節約できる
  • 自分に都合のいい時間帯に学べる
  • 仕事と学びとを両立しやすい

●独学のデメリット

独学のデメリットは、以下の4点です。

  • 法改正情報など最新の情報を入手するのが難しい
  • テキスト選びを間違うリスクがある
  • 途中で挫折する可能性が高い
  • 学ぶという強い意志が必要になる

独学に向いている人

独学に向いている人物像とはどういったものでしょうか。一例として独学向きの人をあげていますので、自分があてはまるかどうかを確認してみましょう。

  • 自分自身に厳しく、メリハリのついた生活習慣を守れる人
  • 目標達成への意識が強く、モチベーションを維持できる人
  • 過去に独学で資格試験を勉強した経験があり、勉強の段取りや弱点克服方法などを熟知している人

独学で合格するための勉強法は?

資格試験に合格するためには、やたらに勉強時間だけを増やしても意味がありません。ここからは、効率よく独学での合格を目指すため、効果的な勉強法をポイントごとに解説します。

受験科目を下調べする

試験形式は、「選択式試験」と「択一式試験」の2種類があります。複数の選択肢から解答を選ぶ「選択式試験」では8科目から1問ずつ出題され、5点ずつの計40点満点となります。正しいもの、もしくは誤っている解答を1つ選ぶ「択一式試験」では、7科目から10問ずつ出題され、1問1点の計70点満点です。

前述でも触れたように、社労士試験では何点を取れば合格、という基準ではありません。 全科目からまんべんなく点数を獲得し、かつ、最低でも全体の6割程度以上を目安とした点数が条件となります。また、実施される年により難易度にもやや変動がみられるので、全科目をバランスよく勉強しておきましょう。

テキストを読み込む

社労士試験のテキストには、膨大な量の専門用語などが記載されています。重要なのは、そういった専門用語を読み飛ばさずに、最初の段階できちんと確認し、理解しながら読み進めることです。テキストの中には、たくさんの答えが詰まっています。テキストを飛ばさずに、繰り返し最後まで読み込みましょう。

もちろんこれは暗記をするためではなく、社労士としての心構えや傾向、対策をするためのものです。過去問に取り組むにも、そういった基礎知識があるのとないのとでは全く違います。

過去問を繰り返し解く

国家資格の試験では、過去問を繰り返し解くことが大きなポイントとなります。ひっかけ問題などの傾向やパターンをある程度予測することもできます。ただし、過去問は膨大な量がありますので、試験直前ではなく数ヵ月前から始めるように計画を立てましょう。

過去問を解くメリットは、自分の苦手な問題がわかることにもあります。自分が何を苦手としているのかわからなければ、まんべんなく対策をすることはできません。

過去問の問題集が一巡したら、もう1度初めから取り掛かります。1回目で間違えてしまった問題も含め、苦手な科目もしっかり見直しておきましょう。単純に答えを調べるだけではなく、その解答となる根拠も理解することで、苦手科目も覚えやすくなります。

科目別のテストを解く

定期的に科目別テストを解き、実際に点数として可視化することで、自分の理解度やレベルを知ることができます。自分が合格するには何をするべきか、あとどのくらい頑張るべきかなどを把握して、勉強のペースを調整しましょう。ただし、科目別テストは市販されているテキストではおこなえないため、予備校や通信講座を利用するのがおすすめです。

また、テストは受けるだけで終わらせず、過去問と同じように何度でも繰り返し活用するようにしましょう。

直前講座を受講する

予備校や通信講座などには、試験が近くなると「直前講座」がおこなわれます。もちろん必須ではないのですが、ベストを尽くすためにはできるだけ参加しておきましょう。それまでの勉強の総仕上げとしてもよいですし、苦手科目を克服するために参加してもよいでしょう。予備校や通信講座では、特に直前講座に力を入れており、合格のための足掛かりとなります。

これまでの勉強だけでは不安が残っていた場合でも、徹底的に質問をしたり問題の理解を深めたりといった追い込みをすることで、自分の自信へも繋がります。

模擬試験を受ける

科目別テストと同じく、模擬試験も1度は受けておきましょう。予備校などの模擬試験を受けるメリットは、本番同様の雰囲気や、試験問題に対する時間配分を体感できる点にあります。自分なりの時間配分を見つけるために、数回受けてみるのもおすすめです。また、模擬試験を受けることで得点や順位などがわかり、自分のレベルを把握することもできます。

特に直前模擬試験では、本番に近い問題が出題されることが多いので、こちらも合わせて受けてみるのがおすすめです。模擬試験で出された問題は、何度も繰り返し復習して完璧にしておきましょう。

おすすめの問題集と参考書は?

問題集と参考書は、それぞれが連動していることがほとんどです。そのため別々に購入するのではなく、同じ予備校・塾のものを選ぶようにしましょう。また、量より質で選ぶことも忘れないようにしましょう。

例えば、ユーキャンのテキストであれば、六法全書や参考書を必要としない「1冊徹底主義」で作られています。たくさんの本を行き来しなくても、テキストだけでわかりやすくまとめられているのが特長です。

効率よく合格を目指すなら通信講座がおすすめ!

1人で資格の勉強をしていると、どうしても理解しづらい問題に躓くこともあるでしょう。予備校などであれば直接質問をすることもできますが、費用的なことや、まとまった時間が取りづらいという問題もあります。

しかし、ユーキャンの通信講座であれば、添削指導が受けられるほか、オプションとしてさまざまな形式での講習を受けることができます。自分にぴったりな受講方法がきっと見つかるでしょう。

また、ユーキャンのテキストは科目別に分かれており、問題の答えに対する根拠なども納得できるようにまとめられています。質のよい教材で効率よく勉強を進めたいのであれば、ユーキャンの通信講座がおすすめです。

まとめ

社労士の資格試験は、独学でも合格することはできますが、勉強のコツや押さえるべきポイントなどが多くあります。1人で試行錯誤するよりも、効率よく効果的な勉強を進めるために、適切な添削指導や質問ができる通信講座を活用しましょう。

生涯学習のユーキャンの「社会保険労務士講座」では、多くの受講生が学習経験ゼロからスタートしています。未経験でも詳しくなくても心配はありません。

また、ユーキャンの社労士講座は、開講実績30年以上の信頼と過去10年間で1,944名の合格者を輩出している実績があります。頻繁におこなわれる法改正のたびにお知らせをしてくれるので、知らないうちに解答が変わっていた、ということもありません。無料で資料請求もできますので、社労士を目指されている方、興味のある方は、ぜひ一度お問い合わせください。

生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

よくある質問

社会保険労務士(社労士)の仕事とは?

社労士は社会保険や年金、労務管理をあつかう専門家。複雑化する年金などの社会保障制度を、円滑に活用できるよう手助けします。
また、経営者と労働者がよい関係を結ぶために雇用問題にも対応します。
社労士の仕事は具体的には、大きく次の3つに分けられます。
・手続き代行(1号業務)
・労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成(2号業務)
・人事労務管理のコンサルティング(3号業務)
このうち、1号業務、2号業務は社労士しか行うことができない「独占業務」です。

社会保険労務士試験の合格率が低い理由は?

社労士試験の合格率が低い理由は、合格基準点の存在と試験範囲の広さ、全科目を1回で合格する必要があるためです。
合格を目指すなら、毎日継続して勉強時間を確保することや、過去問を中心に全科目を平均的に勉強することが必要になります。

社労士試験に合格するためのポイントとは?

合格のためには、「各科目7割正解を目指す」「勉強する箇所を絞り込む」ことがポイントです。
試験は、各科目ごとに合格基準点が設定されます。特定の科目で高得点を取っても、別の科目で合格基準点に達しなければ不合格となるため、まんべんなく得点を取る必要があります。
科目ごとに重点の置き方を考えたり、学習の順番について工夫するなど、事前に戦略を立てることが効率的な学習につながります。

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社会保険労務士(社労士)は、労働問題や年金問題、社会保険のエキスパート。社労士試験には、受験資格があります。次の代表的な受験資格(学歴・実務経験・試験合格・過去受験)のいずれかを満たす必要があります。まずは「学歴」です。1)大学、短大、高専(高等専門学校)等を卒業した方、2)4年制大学で、62単位以上を修得した方又は一般教養科目36単位以上かつ専門教育科目等の単位を加えて合計48単位以上を修得した方、3)修業年限が2年以上、かつ、課程修了に必要とされる総授業時間数が1,700時間(62単位)以上の専修学校の専門課程を修了した方などと定められています。次に「実務経験」における主な要件は、「法人の役員または従業員(いずれも常勤)として、通算3年以上事務に従事した方」などです。また、「試験合格」「過去受験」における主な要件として、行政書士試験や厚生労働大臣が認める国家試験の合格者及び直近の過去3回のいずれかの社労士試験の受験票又は成績(結果)通知書を所持している方などにも受験資格が与えられます。