ヒューマンスキルとは?
ヒューマンスキルとは、人と円滑にコミュニケーションを取り、良好な人間関係を築く能力を指します。ヒューマンスキルには、他者の意見や感情を理解する「共感力」、自分の意思を効果的に伝える「コミュニケーション能力」、チームで協働するための「協調性」などが含まれます。 ビジネスにおいては、リーダーシップや問題解決能力、柔軟な対応力もヒューマンスキルに含まれる重要な要素です。
ヒューマンスキルが求められる背景
現代のビジネスでヒューマンスキルが重要視され、求められるようになった背景には、組織の生産性やチームワークの向上が関係しています。従来のビジネスでは大量生産・大量消費が基本とされ、ヒューマンスキルよりも生産性や効率化が重視されてきました。しかし近年はビジネス環境が変わり、労働人口の減少やDX推進、多職種連携、AIの普及などが進んでいます。こうした要因により、専門知識や技術だけでなく、 ヒューマンスキルで職場内のチームワークを改善し、パフォーマンスを向上することが重視されるようになりました。特にビジネス環境が変化したことで顧客のニーズも多様化し、単一の専門職の知識・スキルでは解決できない課題も増えています。多様化するニーズへ対応するには、多職種で連携して業務を遂行し、環境の変化に適応しなければなりません。そのためヒューマンスキルは職種や役職、年齢を問わず、あらゆるビジネスパーソンに必要とされるスキルとなっています。
あわせて知っておきたいスキル
ヒューマンスキルとあわせて知っておきたいスキルとして、テクニカルスキルとコンセプチュアルスキルがあります。この2つのスキルはヒューマンスキルと並んで、マネージャーに必要な能力とされています。まずテクニカルスキルとは業務を円滑・正確に遂行するための技能で「汎用スキル」と「専門スキル」の2種類に分けられます。汎用スキルはビジネスマナーやパソコンの基本操作、文書作成スキルなど、社会人として必須といわれるスキルです。専門スキルは特定の職種で必要なスキルで、エンジニアのプログラミングスキル、営業職のプレゼンテーションスキルなどが代表的です。次にdコンセプチュアルスキルとは、物事の概念を把握し、本質への理解を深める能力とされています。例えばマーケティングでさまざまなデータや数値を読み解き、そこから顧客の思考や行動の傾向を分析することをイメージすればよいでしょう。コンセプチュアルスキルは自分の中にある複数の情報を組み合わせ、物事の本質に沿って正しい判断を下す能力といえます。ヒューマンスキルとテクニカルスキル、コンセプチュアルスキルの違いを理解することで、職場内での人間関係や職種による認識の違いなどを把握するのに役立つでしょう。
ヒューマンスキルの構成要素
ヒューマンスキルとは円滑な人間関係を築くためのスキルであり、社会人には欠かせない能力です。ヒューマンスキルにはどのような構成要素があるのか、8つの能力を紹介します。
リーターシップ
リーダーシップとは、チームや組織を目標達成に導くための能力を指します。具体的にはビジョンを提示し、目標を共有することでメンバーを鼓舞する「指導力」、他者の意見や感情を理解し、適切に対応する「共感力」、そして問題解決や意思決定を迅速かつ適切に行う「決断力」などが含まれます。また、メンバーとの信頼を築き、多様な意見を尊重しながら、協力を促進することもリーダーの役割の1つです。リーダーシップの高い人は、個々の社員の能力を引き出し、組織全体のパフォーマンスを向上させることができる人です。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力とは、相手との意思疎通を円滑に行うためのスキルです。具体的には、自分の考えや感情を正確に伝える「表現力」、相手の意図や感情に寄り添って理解する「傾聴力」、状況や相手に応じて正しい言葉や態度を選ぶ「適応力」などが含まれます。コミュニケーション能力が高い人は、相手の気持ちに寄り添い、信頼関係を築く力も高いです。ヒューマンスキルにおいて、コミュニケーション能力は最も基本的かつ重要な能力の1つといえます。
ネゴシエーション能力
ネゴシエーション能力とは、異なる立場や意見を持つ相手と交渉し、双方が満足する合意に至るまで粘り強く関わり続ける能力です。ネゴシエーション能力には、自分の意図や希望を明確に伝える「主張力」、相手のニーズや立場を理解する「傾聴力」、利害を調整する「問題解決力」などが含まれます。また交渉が行き詰まった際、柔軟に代替案を提案する想像力や冷静さも重要です。ヒューマンスキルにおいては、複雑な人間関係の橋渡し役となり、チームワークを強化するために重要なスキルです。
プレゼンテーション能力
プレゼンテーション能力とは、自分の考えや提案、情報を相手に分かりやすく伝え、共感や納得を得るという能力です。プレゼンテーション能力には、情報を整理して論理的に構成する「論理的思考力」、話に関心を惹きつける「表現力」、相手の反応を見て臨機応変に対応する「柔軟性」などが含まれます。またプレゼンテーション能力では、資料に視覚的効果や音声を活用するスキルも求められます。プレゼンテーション能力を高めることで、相手の意思決定を促し、成果を上げることにつながるでしょう。
コーチング能力
コーチング能力とは、対象の潜在能力を引き出し、自発的な成長や目標達成を支援するスキルです。コーチング能力には、相手の話を深く理解する「傾聴力」、相手に気付きを与える「質問力」、適切なフィードバックを提供する「フィードバックスキル」、相手の視点に立って信頼関係を構築する「共感力」などがあります。コーチング能力はリーダーシップや人材育成の場で必要とされ、組織や個人の成果向上につながる能力です。ヒューマンスキルにおいては、上司が部下の成長を促したり、1on1で部下への指導を行ったりするなど、人材育成で重宝される能力です。
傾聴力
傾聴力とは相手の話を聞き、その内容を正確に理解し、共感を示す能力をいいます。傾聴力の高い人との会話では、相手は自分の意見や気持ちが尊重されていると感じ、信頼関係が構築されます。またコミュニケーションにおいて重要な役割を果たし、人間関係の基盤構築や問題発見・解決、職場でのチームワーク向上に効果的なスキルです。ヒューマンスキルとして必要なだけでなく、あらゆる人間関係において重要なスキルといえるでしょう。
ファシリテーション能力
ファシリテーション能力とは、会議やディスカッション、ワークショップなどの場で参加者が意見を出し合い、合意形成や目標達成に向けて話し合うことをサポートする能力です。会議の進行管理、全員の意見を平等に引き出す力、対立する意見を調整する力、そして議論を目標に向かって収束させる力が含まれます。ファシリテーション能力は、組織内のコミュニケーションを活性化し、生産性や創造性を向上させる重要な役割を果たします。
向上心
向上心とは自分自身の能力やスキル、知識をより高めようと努力や挑戦する心や精神力です。向上心の原点には、現状に満足せず、目標を設定して努力を続ける姿勢や失敗を学ぶ意欲、未来をより良いものに変えようとする気持ちがあります。向上心のある人は、新しい知識やスキルを積極的に学び、変化や挑戦も前向きに受け入れる傾向があります。 結果として、個人の成長だけでなく、チームや組織の成功にも重要なのが向上心といえるでしょう。
ヒューマンスキルを学ぶメリット
ヒューマンスキルを学ぶことで得られるメリットには、次のものが挙げられます。
・良好な人間関係が築ける
・組織の意思決定がスムーズになる
・メンバーの成長を促進できる
・風通しの良い職場環境を構築できる
・キャリアアップに基盤が作られる
まずコミュニケーション能力が向上し、他者との関係が良好になる点が大きなメリットです。人間関係が良好になることでチームワークが強化され、チームのプロジェクト成功率や成果が上がりやすくなります。さらにリーダーシップやネゴシエーション能力が向上すると、リーダーとしての決断力や折衝能力が高まり、意思決定や問題解決がスムーズになります。またコーチング能力が高まることで、部下や同僚の成長を効果的に支援し、組織全体のパフォーマンス向上につながるでしょう。それだけでなく ヒューマンスキルはストレスの軽減や職場内での対立を緩和し、職場環境をより良くする効果も期待できます。 ヒューマンスキルはビジネスだけでなく、プライベートでも効果的で、ライフプランやキャリアデザインが進めやすくなる点もメリットです。
ヒューマンスキルを高める方法
ヒューマンスキルを高めるには、日々の学習や実践が重要になります。ヒューマンスキルを高めるために実践できる方法について、3つのポイントを紹介します。
研修・講演会への参加
ヒューマンスキルを高めるには、知識をインプットし実践する機会が必要です。研修や講演会に参加することで、必要な知識のインプットとアウトプットを同時に行うことができ、すぐに現場で活用できるスキルが身につけられます。ヒューマンスキルを高める具体的な研修・講座には次のようなものがあります。
・ 人財育成(コーチング)講座:自律性の高い人材を育成するために、上司として持っておくべきマインドや指導力を学ぶ。
・ プレゼンテーション講座:商品説明や企画提案、発表などで自分の考えを効果的に相手へと伝えるスキルを学ぶ。
・傾聴力講座:コミュニケーションの基本である「聴く力」を鍛え、相手に安心感や信頼感を与えるスキルを学ぶ。
・ アサーティブコミュニケーション講座:話し方の基本や肯定的・否定的な話し方を学び、適切に自己表現を行うスキルが身につけられる。
こうした研修・講座の他にも、各社員の階層に合わせたヒューマンスキルを学べる内容がいくつもあります。オンラインやeラーニングで学べるようにもなっているため、すぐに学びやすい点も特徴です。
実践を通したPDCAサイクル
ヒューマンスキルは知識を学んだだけでは習得したとはいえず、実践を通して磨かれていくものです。客観的な評価や定量的な測定が難しい点も、スキルの習得状況が見えにくい一因といえるでしょう。そこで業務遂行中の人との関わりの中でヒューマンスキルを実践し、PDCAサイクルを回していくのが効果的です。知識の吸収、実践、評価・フィードバック、改善という順番で繰り返すことにより、ヒューマンスキルの質が自然と向上していきます。また客観的な視点として、上司や同僚からのフィードバックももらうとさらに効果的です。自分では気付きにくい課題や問題点でも、他者の視点からならすぐに気付くことがあります。
ヒューマンスキルも含めた目標設定
自分自身の目標にヒューマンスキルの内容も盛り込むことで、意識的にスキルアップや実践へとつなげる方法もあります。例えば、次のような目標設定が考えられます。
・プレゼンテーションを月1回以上行う
・3カ月に1回は1on1ミーティングを行う
・リーダーシップを取ってプロジェクトを計画する
上記のようにヒューマンスキルに関連した個人的な目標を設定することで、目標を達成しようという動機付けになります。確実に達成したい目標であれば、上司や同僚に目標について共有しておくのもよいでしょう。目標があれば計画的な行動が取れるようになり、日々の自分の成長を意識することにつながります。モチベーションの維持という観点でも効果的ですから、自分だけの目標を設定しましょう。
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まとめ
ヒューマンスキルはビジネスにおけるコミュニケーションの基盤であり、良好な人間関係を構築するための重要なスキルです。ヒューマンスキルと一言で表しても、その中にはさまざまなスキルが含まれており、複合的なスキルとなっています。ヒューマンスキルの高い人はチームで重要な存在であり、メンバーの生産性やチームワークを高めるうえで欠かせません。ヒューマンスキルを高めたい方は研修や講演会、自主的な目標設定、実践などさまざまな方法でスキルアップを図りましょう。