スキルマップとは何?目的や作り方、テンプレート、メリットを徹底解説

  • スキルマップとは何?目的や作り方、テンプレート、メリットを徹底解説

    公開日:2024.12.26

    更新日:2024.12.26

    スキルマップは、個々の従業員が持つスキルを一覧にしたものです。スキルマップが人材育成の指標となり、組織における効果的なカリキュラムの設計や社員のモチベーションアップ、適切な人員配置などに役立ちます。この記事ではスキルマップについて、メリット・デメリット、作成の手順などを詳しく解説します。

スキルマップとは?

スキルマップは、個々の従業員が持つスキルを一覧表にして可視化したものです。各従業員が持つスキルを把握できるため、人材育成や人事評価の参考情報として用いられます。「スキルマトリックス」「能力マップ」「力量(管理)表」とも呼ばれます。 スキルマップがあることで、どの従業員にどんな仕事や役割を任せればよいか判断しやすくなり、生産性向上や業務効率化、チームビルディングの円滑化といった効果が期待できます。

スキルマップの目的について

スキルマップの一番の目的は、従業員のスキルを可視化することで、人材教育を効率化することです。スキルは目に見えにくいものであり、管理職や人材育成担当者であっても、従業員一人ひとりのスキルをすべて把握するのは困難です。しかしスキルマップを活用すれば、全従業員のスキルを可視化でき、適切な人材教育の選定とカリキュラムの設計が可能になります。また従業員は、企業が自分のスキルや能力を正当に評価されていることを実感できてモチベーションが上がり、キャリアアップへの意欲につながります。スキルマップに基づいて教育を行うことで、従業員の成長を後押しでき、組織力の強化と生産性向上につなげられるでしょう。

スキルマップと人材ポートフォリオの違い

スキルマップと類似する人材育成を実現するためビジネスツールに「人材ポートフォリオ」があります。人材ポートフォリオは企業の経営戦略を成功させるために企業が必要する人材やスキルをまとめたものです。人材育成、人員配置、人材採用といった場面で活用されます。 スキルマップは現在の従業員ひとり一人スキルを把握するのに対し、人材ポートフォリオは企業全体にどのようなスキルがあるのか把握し、人材育成、人材配置に活用します。視点が異なるため、状況に合わせて使い分けることで、効率的な組織運営につながります。

スキルマップを作成するメリットとは?

スキルマップを作成することで、どのようなメリットがあるのかを紹介します。

従業員教育が効率化できる

スキルマップを活用することで、効率的な従業員教育の設計・実行につながります。スキルマップのない状態で従業員教育を設計する場合、従業員のスキル状況を把握できていないため、見当違いの内容になる、多大な時間を費やすなどのおそれがあります。スキルマップを元に設計すれば、現在、不足しているスキル、今後の従業員に求める知識・能力が一目瞭然となり、自社に必要なスキルと照合しながら教育を進めることができ、即戦力となる従業員の育成ができるでしょう。

スキルの可視化につながる

従業員数の多い企業で一人ひとりのスキルを把握するのは容易ではありません。従業員教育を実施するにしても、その都度個別の従業員のスキルを調査するのでは、多くの人件費とコストがかかります。一方スキルマップを作成すれば、従業員のスキルが可視化でき、どのようなスキルに強く、弱いのか確認することができます。またスキルマップ自体は一度作ってしまえばあとは定期的に更新を行うだけでよく、簡単な操作だけで使い続けられる点もメリットです。

従業員のモチベーションアップになる

スキルマップを活用することで、効率的な従業員教育の設計・実行につながります。スキルマップのない状態で従業員教育を設計する場合、従業員のスキル状況を把握できていないため、見当違いの内容になる、多大な時間を費やすなどのおそれがあります。スキルマップを元に設計すれば、現在、不足しているスキル、今後の従業員に求める知識・能力が一目瞭然となり、自社に必要なスキルと照合しながら教育を進めることができ、即戦力となる従業員の育成ができるでしょう。

スキルの可視化につながる

従業員数の多い企業で一人ひとりのスキルを把握するのは容易ではありません。従業員教育を実施するにしても、その都度個別の従業員のスキルを調査するのでは、多くの人件費とコストがかかります。一方スキルマップを作成すれば、従業員のスキルが可視化でき、どのようなスキルに強く、弱いのか確認することができます。またスキルマップ自体は一度作ってしまえばあとは定期的に更新を行うだけでよく、簡単な操作だけで使い続けられる点もメリットです。

従業員のモチベーションアップになる

スキルマップの存在は、従業員のモチベーションアップにもなります。スキルマップでは各従業員の保有するスキルだけでなく、それぞれのレベルも記載されます。従業員は自分のスキルレベルが客観的にどう評価されているか理解でき、レベルアップするモチベーションにつながるでしょう。また自分と同じスキルで、より専門性の高いレベルに到達した人とつながりを持てば、自分自身のレベルアップも可能です。従業員のモチベーションを高め、スキルアップ・キャリアアップを達成してもらうためにもスキルアップは有用です。

スキルギャップ解消につながる

企業が業務を推進するうえで、従業員に求めるスキルと、保有しているスキルにギャップがあると、新プロジェクトの推進や経営改革が進まないことがあります。例えば社内のDXを推進しようとしても、専門的なIT知識やスキルを持つ人材がいなければ、プロジェクトの推進は難しいでしょう。 スキルマップを用いることで、不足しているスキルを把握し、会社が求める人材を確保しやすくなると入社後のミスマッチも減少し、同時に、人材育成の指針も立てやすくなります 近年は高度IT人材の確保が難しくなっていることから、企業のDXを推進するためのスキルギャップ解消に効果的な施策です。

適切な人材配置がしやすくなる

従業員は保有するスキルや知識によって、得意な分野や業務内容が分かれます。例えば営業職のスキルを持つ人材をいきなりITエンジニアのチームに配属しても、スキルを習得するまでには多くの時間を要するでしょう。スキルマップを活用すれば、そのような人材配置のミスを減らし、適材適所な人材配置をしやすくなります。また適切な部署でスキルを生かせるようになれば、業務効率と生産性が高まり組織の業績アップにもつながります。スキルマップの活用は、企業の利益にとっても重要な施策となるでしょう。

公正公平な人事評価がしやすい

スキルマップは人事評価の際にも活用できます。従業員のスキルを人事評価の項目に加えるだけでなく、過去と現在のスキルを比較することで、従業員の成長を把握できます。従業員の努力や学習の成果が目に見える形で残るため、努力している従業員は高く評価され、停滞している従業員には面談と原因分析ができるようになるでしょう。従業員にとっても、評価する上司の主観が入らず、公正公平な評価が受けられるというメリットは大きいです。人事評価は従業員のモチベーションにも関わる重要なものですから、公平性の高い評価項目を設定してください。

スキルマップ作成にはデメリットも

スキルマップは企業が従業員のスキルを把握するのに役立ちますが、デメリットも理解しておく必要があります。

・スキルを把握されることに不満を抱く人も現れる
・人事評価のためのスキルアップになりやすい
・保有スキルだけで人事評価されやすい

スキルマップそのものは有用なツールですが、スキルの優劣や保有スキルの有無で評価されることに不満を抱く従業員も現れます。また、人事評価のためだけにスキルアップをする従業員が出てくる可能性もあります。評価者は、スキルマップ導入の目的、組織全体として必要なスキルを身につけることの重要性を従業員に理解してもらいましょう。

スキルマップを作成する手順

スキルマップ作成の手順を5つのステップで紹介します。

目的の明確化

最初にすべきことは、スキルマップの目的を設定することです。スキルマップを作成することで何を達成または解決したいのか、どんな活用方法を目指しているのかなどを明確化しましょう。スキルマップは活用の目的を決定することで、必要なスキルの選定やレベルの分類、運用方針なども決まります。

必要なスキルの洗い出し

スキルマップの目的が明確になったら、業務に必要なスキルの洗い出しを行います。必要なスキルを洗い出すには、職種や業務別にどんなスキルが必要になるか、管理者やハイパフォーマーのスキルなども参考にします。あまりに細かいスキルまで洗い出すと膨大な量になるため、すぐに思いつくスキルとそこから派生するスキルなどを挙げていくのがよいでしょう。

スキルの選定

次に洗い出したスキルから、スキルマップに設定するものを選定します。選定する際は大項目と小項目に分け、カテゴリー別にスキルを選定するとわかりやすいでしょう。小項目だけではスキルの整理が難しい場合は、中項目も用意して見落としが無いように視認性を高めるのがポイントです。

スキルレベルの分類

スキル選定を終えたら、選定したスキルのレベルと評価基準を設定します。レベルが多すぎても基準が複雑化しやすいため、おおよそ3~5段階でまとめるのが理想的です。またスキルレベルを設定する際は、評価の基準を明確にすることも重要です。基準は定量的に測定可能なものほどわかりやすいですが、難しい場合はレベル毎の違いが明確に判断しやすい内容にしましょう。

スキルマップ作成・運用

最後にスキルマップの作成と運用開始です。ここまでの情報を基にスキルマップを作成し、試験的に運用を開始します。いきなりすべての部署で運用すると管理者側にも、従業員側にも混乱が予想されるため、範囲を限定して実施しましょう。また試験運用ではスキルマップ導入後の良い点と課題のフィードバックをもらい、内容に応じてスキルレベルの基準や項目の増減なども検討してください。試験運用で問題なく運用できるようになったら、社内に周知し、一定期間を置いてから運用を始めます。

スキルマップのテンプレート3選

有用なスキルマップのテンプレートを3つ紹介します。

職業能力評価シート

職業能力評価シートは、厚生労働省が提供しているシンプルなスキルマップのテンプレートです。職種・職務・レベル別に職務遂行のための基準をまとめており、人材育成に活用することを目的としています。テンプレートでは大項目の職種と小項目の職務に分け、更に職務のスキルに応じてレベル1~4で分けられています。サブツールシートには、職務に必要な知識が一覧化されており、基準一覧シートの能力細目・職務遂行のための基準で判定基準を確認して自己評価ができるようになっています。実際に職業能力評価シートを使用する場合、被評価者のレベルに応じた評価シートを決定し、自己評価・上司評価・上司からのコメントを記入する形で評価します。 職業能力評価シートを活用するにあたって重要なポイントは、自己と他者での評価、認識の違いをフィードバックし、本人の気付きと成長に向けた行動改善および自己啓発を促すことにあります。加えて厚生労働省のキャリアマップと導入・活用マニュアルも併用すれば、より効率的に人材育成を進められるでしょう。

ITスキル標準(ITSS)

ITスキル標準(ITSS)とは、エンジニア職やIT系コンサルタントなどITに関わる職種向けのスキルマップテンプレートです。ITスキル標準はIT領域の職種を11種、専門分野で38種に分類しています。またそれぞれの職種や専門分野のスキルとレベルに応じて、7段階のレベルで評価するのが特徴です。レベル1はIT技術者として最低限必要な知識・スキルを持つこと、レベル7ではプロフェッショナルとして専門分野を確立し、企業やビジネスをリードするレベルであることが求められます。またITスキル標準では職種毎のレベルが横並びになっており、職種を転換しても同じスキルレベルとして認定することになっています。この点は現実の職務と求められるスキルでギャップが生じるため、食い違いが発生しやすいことに注意すべきです。

情報システムユーザースキル標準(UISS)

情報システムユーザースキル標準(UISS)は、情報システムのユーザーが有効活用に必要なスキルを持っているかを評価し、育成するための指針とするために設けられました。また、組織力強化や人材調達といった面でも活用できるとされています。情報システムユーザースキル標準(UISS)の構成要素は「タスクフレームワーク」「機能役割定義」「人材像」の3つです。タスクフレームワークと機能役割定義は情報システム業務のタスクと具体的な概要、人材像は人材像に応じたミッションや活動内容、レベル範囲を定義しています。企業の情報システムを管理する人材を評価し、人材育成の効率化へとつながるスキルマップとして有効活用しましょう。

人材育成のことならユーキャンへ

スキルマップの活用は、人材育成や人事評価、人材配置など、さまざまな場面で有益です。従業員一人ひとりのスキルを把握し、スキルマップ作成・カリキュラム設計を行うなら、ユーキャンにご相談ください。丁寧なヒアリングで貴社の人材育成の課題を分析し、効果的な研修カリキュラムを提供いたします。また、ユーキャンの人材育成講座では、従業員の階層別講座だけでなく、各種資格取得支援、サポート体制まで学習を支える幅広いフォロー内容が充実しています。

まとめ

スキルマップは社内の人材とスキルを正しく把握し、人材育成や人事評価に活用できる便利なツールです。特に従業員の育成においては、企業が事業を推進し展開するうえで不足しているスキルを習得してもらうのに非常に効果的です。日本では多くの企業が人材不足となっており、既存人材のスキル開発やキャリアアップが組織成長の鍵になっています。 企業の競争力を高め、市場における優位性を確保するためにも、スキルマップを有効活用した人材育成を進めましょう。

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