メンター研修とは?OJTとの違い、効果、研修内容を徹底解説

  • メンター研修とは?OJTとの違い、効果、研修内容を徹底解説

    公開日:2024.12.27

    更新日:2024.12.27

    メンター研修とは、新入社員や若手・中堅社員の教育を行う「メンター(Mentor)助言者、指導者」を育成するための研修です。メンター研修とは、新入社員や若手・中堅社員の教育を行う「メンター(Mentor)助言者、指導者」を育成するための研修です。組織を成長させるには、メンター制度を活用し、幅広い社員の精神面、キャリア形成の支援を継続していく必要があります。この記事では、メンター研修とは何か、メンター制度のメリット、求められるスキル、研修実施のポイントなどを詳しく解説します。

メンター研修とは?

メンター制度の概要

メンター制度は会社の勤務形態や業務に慣れていない社員の教育として、十分な経験を持つ先輩社員(メンター)がついて、業務の指導やサポートを行う制度です。指導者は「メンター」、指導を受ける社員を「メンティ」と呼びます。メンター制度のポイントは、メンティの業務を指導・サポートすると同時に、メンター自身も他者に教えることで知識・スキルの定着とレベルアップを図っている点です。つまりメンター制度は単にメンティの育成だけが目的ではなく、指導するメンター側の更なる成長も狙った制度といえます。

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メンター制度とOJTの違い

メンター制度と類似した人材育成制度に「OJT」があります。OJT(On the Job Training)は実際の業務を通して、必要なスキルと知識を学んでいく育成方法です。メンター制度とOJT、それぞれの特徴を一覧にすると次のようになります。

項目  メンター制度  OJT 
目的 業務に関する指導ではなく、メンタル面・キャリア形成のサポート  業務に関する実務的なスキルや知識の習得 
対象  新入社員・若手社員・中堅社員  新入社員・若手社員
方法 面談 業務を通した指導 
指導者  先輩社員または専任のメンター  所属部署の上司または先輩社員 
焦点 キャリアや心理面の長期的な支援 業務能力向上による即戦力の育成 

なぜ?メンター研修が必要とされる理由

企業においてメンター研修が必要とされる背景には、メンターの指導力が人材育成や企業の成長、生産性にも影響してくるためです。メンターは社員のキャリア形成の支援や精神的なサポートを行います。メンターの質が低ければ、社員のモチベーションは低下し、チームワークの悪化、生産性の低下を招くリスクがあります。メンター研修でメンターの能力を高めることにより、社員のメンタルサポートやキャリアアップ支援、スキルアップによる生産性向上が企業経営のポイントとなるでしょう。企業の安定した成長には、メンター研修が不可欠です。

メンター研修のメリット・期待できる効果

メンター研修を実施することで、メンターやメンティにどのようなメリット、効果が期待できるのかを紹介します。

メンティ側のメリット

メンティとはメンターから指導や助言を受ける社員を指します。メンターによる面談で悩みや不安の解消し、適切なキャリア形成へ導いてもらう立場にあります。メンティは若い社員が中心となるため、経験豊富なメンターの指導の下、さまざまな知識・技術・経験などを学ぶ機会になるでしょう。メンターは多くの業務経験を積んだ人材が担当するため、豊富なノウハウを持っています。メンティはそうしたノウハウを学ぶことで、自分自身の業務効率を高めたり、新しい視点に気付いたり、ノウハウを継承したりする効果も期待できます。またメンターとの関わりを通して、他部署との人脈を作れることもメリットといえるでしょう。自分の部署だけでは達成が困難な企画やプロジェクトがある場合に、他部署からの協力を得やすくなります。こうしたメリットをまとめると、次の通りです。

メリット 効果
知識・技術・ノウハウが学べる メンターから高度な知識・技術、経験に基づいたノウハウを学べる 
精神面のサポートが受けられる  上司や先輩に相談しにくい悩みや課題をメンターに相談し、解決策の提示や心理面の支援が受けられる 
社員間で人脈形成につながる  他部署に所属するメンターと人間関係が構築でき、部署間での情報共有や連携がスムーズになる 
生産性が高まる  効率的な業務遂行手順や組織経営への意識、モチベーションが高まり、生産性の向上につながる 

 

メンターのメリット

メンターにとっての研修のメリットは、自分自身のスキル・キャリアアップ、コミュニケーション能力や課題解決能力の向上などです。初めてメンターとなる人にとって課題となるのが、メンティとのコミュニケーションや課題解決へと導くフィードバックです。研修を通してメンティの立場や視点に立つことを理解できれば、相手に寄り添うコミュニケーションや的確なフィードバックを行うテクニックが身につきます。またメンターとしての経験を重ねることで、会社からの信頼も高くなり、自分自身の評価にもつながっていくでしょう。加えて、メンターとしてさまざまな社員と関わることで、自己啓発やセルフマネジメントスキルも磨かれます。メンターの経験により、メンター自身もメンティとともに成長していくのが大きなメリットです。 

メリット 効果
スキルアップにつながる  メンター自身のスキルアップが進めやすくなる 
キャリア形成につながる  さまざまな社員の相談を受けることで新たなキャリア形成につながる 
自己啓発になる  社員との面談や解決策の思案などをするなかで、自分自身の知識やスキルを高める意識が作られる
組織経営への参加意識が生まれる  会社の経営や成長も意識したメンター業務ができるようになる 

企業側のメリット

メンター研修はメンター、メンティだけではなく、企業側にも社内のコミュニケーション活性化、知識やノウハウの共有、離職率の低下などさまざまなメリットがあります。具体的には次の通りです。 

メリット 効果
社内のコミュニケーション活性化  部署間・社員間の交流が活性化し、スムーズな情報共有や連携が可能になる 
知識・ノウハウの共有と継承  属人化した知識やスキル、経験を他の社員に学ばせることで組織全体のスキル底上げにつながる 
離職率低下  若い社員がキャリア形成や仕事に前向きになり、離職率が低下する 

 

 

メンター研修の内容

メンター研修では、メンターとしてのスキルアップや役割、責任、メンティとの関わり方を理解することを目的とした内容を学びます。具体的に学習する内容としては次のものが挙げられます。

・メンターの役割と意義の理解
・コミュニケーションスキル
・心理的安全性の確保
・目標設定と進捗管理
・正しいフィードバックの仕方
・モチベーションを維持・向上する会話術
・問題解決とサポート
・セルフケアと自己成長

それぞれを具体的に説明していきます。
まず「メンターの役割と意義の理解」では、メンターとしての役割、責任の所在やメンターとしての責任感などを学びます。実際にメンター制度を導入し、成功した事例・失敗した事例から学ぶのが効率的です。

次に「コミュニケーションスキル」では、メンティと信頼関係を構築するためのコミュニケーション方法、傾聴力、質問力を学びます。研修ではロールプレイングも取り入れながら、段階に応じた関わり方を学ばせることが重要です。「心理的安全性の確保」では、メンティが安心して相談できる雰囲気や環境を作るために、メンターとして押さえるべきポイントを学びます。心理的安全性を確保する重要性や、メンター自身の自己開示なども学ぶことで、メンティの立場に合わせた面談・相談ができるようになるでしょう。

「目標設定と進捗管理」では、メンティの目標設定と達成に向けた取り組みをサポートする方法を学びます。「正しいフィードバックの仕方」は、メンティに対して適切なアドバイスや解決策を提示し、モチベーションを維持してもらうためにも重要な内容です。メンターからのアドバイスをポジティブに捉え、モチベーションを引き出すには、メンター自身も正しいフィードバックの方法を身につけておく必要があります。次に「モチベーションを維持・向上する会話術」です。フィードバックの仕方と通じていますが、メンティの成長につながる評価やアドバイスはメンティのモチベーションを維持する効果もあります。モチベーションアップにつながる会話術を学び、メンターのスキルアップにもつなげましょう。

「問題解決とサポート」では、メンティの抱える課題に対し、メンターとしてどう関わるべきか、問題解決のフレームワークやサポート方法などを学びます。実例を用いたケーススタディで、実践的な状況をイメージした対応を行うのがポイントです。

最後に「セルフケアと自己成長」では、メンター自身の成長とセルフマネジメントについて学びます。 メンターはメンティの成長をサポートするだけでなく、自分自身も成長し続ける必要があります。紹介した研修内容は一例ですが、そのほかにも業種や目的に応じて、メンター研修の内容を選定してください。そして、実施する際は集合研修やオンライン、e-ラーニングなど、さまざまな形式の中から、最も効果的な方法を選んで実施しましょう。

【メンター研修】メンターに求められるスキル

メンターはメンティと接するうえで、次のスキルが高いレベルで求められます。

必要なスキル スキルの詳細
コミュニケーションスキル  メンティが気軽に相談できる雰囲気を作り、傾聴の姿勢と適切なアドバイスをする能力 
共感力 メンティの成長に必要な知識・スキル・改善策をわかりやすい形で伝える能力 
指導力 メンティの成長に必要な知識・スキル・改善策をわかりやすい形で伝える能力 
問題解決能力  メンティの抱える課題や問題の解決策を一緒に探り、的確なアドバイスをする能力 
自己管理能力 メンティの感情や行動に引っ張られることなく、自分の行動と感情をコントロールする能力
キャリア形成を支援するスキル  メンティが長期的な視点でキャリアプランを設計できるようにサポートする能力 

メンター研修を実施する際の3つのポイント

組織全体へ周知する

メンター研修を新たに実施するには、まず組織全体へ周知することが重要です。基本的にメンターの役割を担うのは経験豊富な社員であり、本来の業務と掛け持ちする形になります。その場合、メンターとなった社員はメンター業務と本来の業務を担当することになり、大きな負担を強いられます。またメンターとなる社員の所属するチームにとっても、重要な戦力が抜けた状態となるため、業務効率の低下や1人当たりの負担増へとつながるでしょう。そのため、メンター研修の必要性を理解してもらい、メンターになることに意欲的な社員、協力的な部署を増やす必要があります。他にも、社員の理解を得るための説明会やメールでの伝達、具体的なメンター制度の運用体制などの情報も提供しましょう。社員が疑問に思ったことを質問できるように、意見箱を設置するのもおすすめです。会社からメンター研修への理解を促すことで、新しい研修や制度を導入する際も混乱することなく受け入れられます。

メンターとメンティを選出する

メンター研修を実施するにあたって、メンターとメンティを選ぶことも重要です。メンターはメンティの精神面やキャリア形成をサポートする役割がありますが、それ以外にも知識・スキル・ノウハウなどを後進に伝え、継承させていくことも重要な役割です。また メンターにはメンティへの的確な指導、問題解決力を持ち、人材育成の能力の高い人選をしましょう。メンティの人選においても、どのような人物を対象とするか考えることが大切です。基本的には新入社員や若手社員、中堅社員など将来性が高く、スキルアップすることで会社に貢献してくれる人材を選出します。ただしメンティの中にはスキルアップを強く望まない人や、メンティに選出されたくないと考える人もいるでしょう。そのため、まずは成長への意欲の強い人やキャリアプランが決まっている人を優先して選ぶのがよいでしょう。そして、最も重要となるのがメンターとメンティの相性です。メンターとメンティの相性が悪いと、せっかくのメンター制度が効果的に働かず、むしろ社員の離職率を高めたり、モチベーション低下につながったりするリスクがあります。

定期的に振り返りの機会を設ける

メンター研修を成功させるために重要なポイントの1つに、定期的に振り返りを行うことも挙げられます。メンター制度を導入しても、メンターとメンティだけに任せきりになり、成果を把握していないというケースは少なくありません。しかし任せきりにしたままでは、双方の成長度合いが把握できないだけでなく、コミュニケーションの行き違いや相性の良さなども把握できなくなります。またメンティだけでなく、メンターもメンティへの関わり方に悩み、正しい指導ができているか不安になることもあるでしょう。そうしたメンターとメンティ双方へのサポートを行う意味でも、定期的な振り返りは重要なポイントです。実際にメンタリングを行った結果、メンターとメンティが何を感じているか、どの程度成長できたかを評価・フィードバックすることで、メンタリングが成功しているかを客観的に判断できます。メンタリングを行った後は、必ず時間を空けずに振り返りの機会を設けてください。振り返っていくなかで、それぞれの反省点や課題、改善策への理解が深められます。

メンター研修実施における問題と解決策

メンター研修を実施するにあたって、多くの企業で直面する課題があります。

・メンターの業務負担が大きくなる
・メンティにアドバイスが伝わりにくい
・成果の測定がしにくい

上記の課題に対して解決策を講じることで、メンター研修の成功率は大きく上がります。まずメンターの業務負担が大きい場合は、メンターのタイムマネジメントスキルを高めると同時に、仕事に集中しやすい環境を用意することが大切です。次にメンティへのアドバイスがうまく伝わらない場合には、メンター自身のコミュニケーションスキルを高めるとともに、メンティとの信頼関係構築に時間をかけましょう。最後に成果の測定がしにくい点については、メンティからの満足度評価や定量的な指標を活用し、メンターの介入でどのような効果があったかを判定すると効果的です。これらの解決策を実施するためには、メンター研修でも解決策につながる内容を学習し、実務で生かしてもらうのがよいでしょう。

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まとめ

メンター制度は後輩社員のキャリア形成や、メンタル面を先輩社員がサポートする仕組みです。 メンター制度を導入することで組織力強化や社員のモチベーションアップ、コミュニケーション活性化、キャリア開発の促進などさまざまなメリットがあります。しかしメンター制度を支えるメンターの育成には、明確な目的と計画性の高い研修の用意が必須です。自社がにどのようなメンターが必要か明確化し、メンターのスキルを高めて社内の人材育成を加速させましょう。

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