コーチング研修とは
コーチング研修とは、潜在的な能力を引き出し、自ら目標達成や課題解決に取り組める人材に育成する研修です。企業におけるコーチングは、従業員が主体性をもって働けるようにサポートすることを意味します。従業員を育てる立場にあるリーダーや管理職の人は、ビジネスで活用できる人材育成のスキルを高めることができます。
※参考:コーチングとは?
コーチングに必要なスキル
コーチングに必要なスキルは以下のとおりです。
- ・傾聴のスキル
- ・質問のスキル
- ・承認のスキル
- ・気づきを与えるスキル
- ・能力を引き出すスキル
それぞれについて詳しく説明します。
傾聴のスキル
傾聴とは相手の話をしっかり聴き、相手の心に寄り添うことです。傾聴を行う際は、相手の話を否定せずに受け入れる姿勢が求められます。相手の表情やしぐさ、姿勢など細かい部分に注意しながら聴くことを「アクティブリスニング」といいます。コーチングで相手の話を聴く際は、心理や思考までを読み取る姿勢で取り組みましょう。傾聴力を高めるには「傾聴力講座」がおすすめ
質問のスキル
質問するスキルがあると、相手が自分で考えやすくなり、成長する機会を増やすことができます。質問は、相手をフォローしながら行うことが重要です。相手に質問をする際は、「はい」と「いいえ」など、選択肢を用意して、その中から選ばせるクローズド・クエスチョンと、「どう思いますか?」と相手に考えさせるオープン・クエスチョンを使いましょう。承認のスキル
承認のスキルとは、相手の変化や成長に気づいていることを伝え、認めるスキルです。相手は承認されていることを自覚すると、自己肯定感を高められます。相手の変化や成長に早く気づき、変化した部分を具体的に褒めましょう。承認を得ることでコミュニケーションが円滑になり、信頼関係も生まれるため、コーチング研修の効果を高められます。気づきを与えるスキル
コーチングは相手に問いを投げかけて対話することで、気づきを与えられます。気づきをもとに考えることによって、自ら課題に対する答えを導き出せます。コーチングは指導ではなく、気づきによって自発的な考えをサポートする役割であるため、自分にはない視点から課題に気づかせることが重要です。能力を引き出すスキル
コーチングは、相手の資質や潜在的な能力を引き出す取り組みです。コーチは相手が目標を達成するために、気づきを与えたり行動を促したりします。コーチングによって相手の主体性や自発性を促し、本人のもつ能力を引き出すことが重要です。ただし、能力を引き出すスキルは独学で身につけることが難しいため、コーチング研修が必要です。コーチングとティーチングの違い
コーチングは、原則として相手のなかに答えがある前提で行われます。相手の主体性を尊重したうえで、ポテンシャルを引き出し、自らの考えで最大限の力を発揮できるように支援します。一方のティーチングは、技術やノウハウなどを教えて、業務を担当できるように指導する取り組みです。
コーチング研修の目的
コーチング研修は、従業員の自主性やスキルの向上、リーダーや管理職のマネジメント力を向上させることができます。コーチング研修の目的は以下の3つです。
- ・自主性を向上させる
- ・部下のモチベーションアップ
- ・マネジメント力を向上させる
それぞれについてを解説します。
自主性を向上させる
コーチングは相手に指示を出さずに、自主性をもったうえで行動を促す取り組みです。自主性を促すには、相手の考え方や気持ちを知るために聞き役に徹したり、気づきが得られる問いを投げかけたりする必要があります。仕事のなかで相手の変化や行動などを認めて、従業員の承認欲求や自己肯定感を高めることで、より相手の自主性を向上させられます。
部下のモチベーションアップ
コーチングは従業員の悩みを突き止めてケアすることで、潜在能力を引き出して仕事の成果につなげます。従業員に目標を与えてしまうと、手段も与えられると捉えてしまいます。仕事に対して受け身な姿勢になる可能性もあるため、注意しましょう。
コーチングは、仕事に対するモチベーションを高める取り組みでもあります。メンタル面のサポートも行うので、相手との信頼関係が必要です。相手が方向性を間違えそうな時は、適宜修正しましょう。
マネジメント力を向上させる
コーチング研修は、マネジメント側のコーチングのスキルを高められます。コーチングを通して、リーダーや管理職などの従業員が組織やチームの成果につながる育成方法を学べます。
部下と信頼関係を築けるコーチングは、働く環境が変化するなかで必要な施策です。従来の指示や命令が中心のマネジメントは、従業員の育成に不向きといえます。自社のマネージャーやリーダーを育成する際は、コーチング研修を取り入れることがおすすめです。
コーチングの種類と研修内容
コーチングには多くの種類があり、研修内容が異なります。ここでは、3種類のコーチングについて解説します。3種類のコーチングは以下のとおりです。
- ・コーアクティブモデル
- ・GROWモデル
- ・1on1ミーティング
コーアクティブモデル
コーアクティブモデルは、内発的動機を促す手法です。コーアクティブとは「協働的」の意味をもち、コーチングをする側と受ける側が対等な関係を指します。研修では、従業員の力や可能性を引き出すために、いい人間関係を築くコミュニケーションの方法やモチベーションに働きかけるコーチングの手法を学びます。
コーチングでは、1人ひとりに合わせてコミュニケーションを取る必要があるため、ロールプレイングやグループワークなどの取り組みが必要です。
GROWモデル
GROWモデルは成果を明らかにし、達成までのステップを洗い出すことで行動を促進する手法です。GROWの頭文字は、それぞれ以下を指します。
- ・G:Goal(目標)
- ・R:Reality Check(現実)
- ・O:Options(選択肢)
- ・W:Will(意志)
GROWモデルは実用性が高く、専門知識が必要ないため、自社の課題やニーズをもとに研修内容の調整が可能です。目的達成に向けて各ステップを体系的に取り組むことで、新しい視点や気づきを与える方法が学べます。GROWモデルを通して、自分で考えて成果を生み出す人材の育成につなげましょう。
1on1ミーティング
1on1ミーティングは、1人ひとりと向き合って面談やフィードバックなどを行う取り組みです。ミーティング中は、上司からの評価や判断は行いません。1on1ミーティングの目的は部下の成長の促進であるため、部下を主体にして会話を進行させます。
話し合いのなかで部下に目標と現状を把握してもらい、目標を達成するための選択肢を明確にしたうえで行動を宣言してもらいます。1on1ミーティングの進行は、先述した「GROWモデル」の順番を参考にして、部下が目標達成するまでの流れを決めるといいでしょう。
コーチング研修の選び方
企業にとって最適なコーチング研修を行うことで、従業員の自主性を促せます。ここでは、コーチング研修の選び方を解説します。
目的を達成できるプログラムを選ぶ
コーチング研修を選ぶ際は、事前に導入する目的を明確にし、具体的な目標を決めましょう。コーチング研修の目的は、目標達成したい、信頼関係を構築したい、従業員の自主性を向上させたい、リーダーや管理職にマネジメントの経験を積ませたいなど、多岐にわたります。
コーチング研修は1on1ミーティングに特化したプログラムや、コーチ養成向けのプログラムなどがあるため、目的を達成できるコーチング研修を実施することが重要です。自社の課題に対して、サポート体制の構築も判断基準にしましょう。
コーチング研修を選ぶ際の基準として、オンラインに対応しているかどうかも重要です。オンラインが可能だと、スケジュールの調整がしやすくなります。研修のために、会場を手配する費用も抑えられるでしょう。
オンラインの研修であれば、周囲の視線や存在を気にせずに本音を打ち明けやすくなります。オンライン上でコーチのみと対面することで、従業員は抱えている深い悩みを話しやすくなります。
企業や講師の実績を確認する
コーチング研修のプログラムは、企業や講師によって得意分野が異なります。
プログラムを導入する前に、提供する企業の実績や講師のスキルなどを確認しておきましょう。
ユーキャンは法人取引が5,000社以上の実績があり、丁寧なヒアリングで課題を抽出し、法人にフィットする提案が可能です。部下育成の基本や管理職の部下育成スキルなど、幅広いコーチングスキルを身につけられる研修があるため、さまざまな講座をコーチング研修に活用できます。
コーチ養成研修
課長向け部下育成講座(eラーニング)
コーチング研修の費用相場
コーチング研修の費用は、企業や講師によって差があります。講座の費用相場は一人あたり約15,000円〜100,000円と内容や時間などによって価格が変わってきます。コーチングの参加者が増えて会場を借りる場合は、40万円〜100万円程度の費用がかかる場合もあります。ただし、研修の費用が高額であるほど、研修内容の質が高いわけではありません。
オンラインコーチングのメリット
オンラインコーチングは、直接対面しないことによりメリットが得られます。ここでは、オンラインコーチングのメリットを解説します。
場所を選ばずに学習できる
コーチング研修をオンラインで実施する場合、パソコンやスマートフォンなどで受講が可能です。
オンライン研修は、研修のために会場を借りたり、講師を企業に招いたりするための手間も軽減できます。ユーキャンのオンライン講座であれば、時間や場所に関係なく質の高い講義が受けられるのでおすすめです。
オンライン対応可能 コーチ養成研修
研修のコストを抑えられる
オンラインの研修は、会場費や講師、従業員の交通費・宿泊費などが不要になるので、オフラインの研修に比べ、コストを抑えられます。研修で使う資料は、受講者が各自で行うことが多いので、担当者の負荷が軽減され、印刷代、郵送コストも抑えられます。
オンラインコーチングのデメリット
オンラインの研修であっても、コーチングには時間と質の高い講師が必要です。ここでは、オンラインコーチングのデメリットを解説します。
取り組みに時間がかかる
コーチングは、1人ひとりに対して実施する取り組みです。多数の社員に向けて一斉にコーチングは実施できないため、オンライン上でも時間効率が悪くなります。コーチングは効果が出るまでに時間がかかるので、短期間で従業員を教育するのに不向きな方法といえます。オンラインコーチングは、少人数に対して時間をかけて取り組む場合におすすめです。
コーチの質に左右される
コーチングの効果は、個人の力量によって左右するため、期待する効果を得られない場合があります。また、コーチとの相性でも効果は変わります。コーチを選ぶ際は、コーチング研修の実績から判断することが必要です。相手が受け身の姿勢で受講していたり、手取り足取り教わりたがったりする場合は、ティーチングを実施する方がいいでしょう。
オンラインコーチングの注意点
オンラインコーチングは、対人関係や通信のトラブルが発生する可能性があります。ここでは、オンラインコーチングの注意点を解説します。
コミュニケーションがうまくいかない場合がある
オンラインはオフラインに比べて、コミュニケーションの齟齬が生まれやすくなります。オンライン上は、身振り手振りや声のトーン、雰囲気などの情報が制限されるためです。ただし、コミュニケーションの課題はコーチ側のスキルで解消できるケースが多いため、基礎から体系立てて学べるオンライン講座を選びましょう。
通信環境が必要
オンラインのコーチング研修は、インターネットの通信環境が整備されていないと受けられません。通信環境によっては映像や音声にタイムラグが発生したり、セッションが中断したりするため、事前に通信環境の整備を行いましょう。
コーチング研修ならユーキャンがおすすめ
質の高いコーチング研修を実施するなら、ユーキャンのオンライン講座がおすすめです。コーチングの基本から実践までを効率よく学習でき、いつでもどこでも受講できます。講座の内容は知識習得だけではなく、さまざまな事例を通じて実践に活かせる知識の習得が可能です。「コーチ養成研修」や「セルフ・コーチング研修」を通して、認知科学をベースにしたコーチング研修を実施できます。
まとめ
コーチング研修は従業員の自発性を引き出し、企業の成果につなげる取り組みです。研修の方法にはさまざまな種類があり、人によって適しているコーチングは異なります。企業の目的を達成するためには、質の高い研修プログラムや実績のある講師から学び、自社の利益につながる人材育成に取り組むことが重要です。
ユーキャンのコーチング研修はコーチングの基本から実践方法までをワークを通して効率的に学ぶことができます。コーチング研修を実施する際に、ぜひご活用ください。