キャリアプランとは?
キャリアプランとは、自身の将来の仕事や働き方、役職へ昇進するためのプランを計画することです。キャリアプランはVUCA時代を生きていくために誰もが考えるべきものであり、自分自身の将来の選択肢を増やす作業でもあります。この記事ではキャリアプランとは何か、キャリアアップ・キャリアデザインとの違い、年代・職種によるキャリアの考え方、キャリアプラン作成のメリットなどを解説します。
キャリアプランとは?
キャリアプランとは、自身の将来の仕事や働き方、役職へ昇進するためのプランを計画することです。 将来的にどんな仕事をしたいのか、理想とする働き方を目標として設定し、目標を達成するために計画することを指します。例えば「20代で特定の資格を取得する」「30代でディレクター経験を3年積み、次のキャリアアップにつなげる」など、将来像を具体的に考えるのがキャリアプランです。
キャリアアップ・キャリアデザインとの違い
キャリアプランと似た言葉に、キャリアアップやキャリアデザインといったものがあります。キャリアアップはその名称の通り、経験を積んで高い役職を目指したり、職歴を活かして新しい仕事に活かしたりすることを意味します。キャリアデザインは将来やりたい仕事や理想の働き方などを計画することで、キャリアプランとの大きな違いは、キャリアデザインはプライベートも含めた人生設計であることです。自分のプライベートと仕事、どちらもキャリアとして考えて計画することを指します。
キャリアプランの考え方
キャリアプランを考えるには、自分の現状を把握し、目標を設定、計画を立てていく必要があります。具体的な手順について紹介します。
自分の現状を客観的に把握する
キャリアプランを練るには、まず自分の現状について客観的に把握することからスタートします。現在の自分がどんな仕事をしていて、どのくらいの経験があるか、どんな成果を出してきたか、持っているスキル・資格などを洗い出します。転職経験があるのなら、前の職場でどんな仕事をしていて、どれくらいの経験があるのかも書き出しましょう。自分の働き方を振り返る中で、自分の持つスキルや強み・弱み、経験などを自分でも客観視できます。次に、今後の課題や予想される未来などを分析します。自分自身のスキルや状態を客観的に振り返ることで次のステップである理想の将来像や働き方が明確にしやすくなるでしょう。
理想とする将来像や働き方を明確にする
自分の現状を把握したら、次は将来のキャリアや働き方を明確にしていく作業です。キャリアプランは自分が将来就きたい仕事や役職、年収などを具体的にイメージすることが大切です。例えば「システムエンジニアとして会社のシステム設計を担当したい」「プロジェクトマネージャーとして働きたい」「年収1,000万円を超えたい」などです。キャリアプランはあくまで現時点のものですから、将来的に変わっても構いません。今の自分がどんなキャリアを築きたいか考え、そのために何が必要かを考えることが重要です。資格が必要な仕事や役職を目指す場合は、資格取得に必要な経験年数や学習期間なども加味して考えるのがよいでしょう。
目標達成までの計画を立てる
最後の手順は設定した目標を達成するために、達成までの工程を計画していくことです。現状と目標までの道のりから、逆算して行動計画を立てます。「3年以内に資格を取得する」「営業職の経験を3年以上積む」など、目標達成に必要な行動を考え、計画に組み込みます。最終的には何歳の時点でどのような仕事や役職に就くのか、年代別に目標と計画を立てるのがよいでしょう。ただしあまりに細かく計画しすぎると、計画にズレが生じてしまいます。現実的な目標設定を行い、中長期的な計画を立てることで、余裕をもったキャリアプランが作成できるはずです。
年代別のキャリアプランの描き方の違い
20代・30代までの年代別で、キャリアプランの描き方の違いを解説します。
20代まで
20代までは仕事で求められるスキルを高め、さまざまな経験を通じて責任感と広い視野を身につけることが重要です。30代以降のキャリア形成の基礎となる時期であるため、多くの経験と知識を得ることに重点を置くのがおすすめです。そして何よりも率先して学ぶ姿勢を持ち続け、人がやりたがらない仕事も率先してやることで、周囲からの信頼と評価を得やすいでしょう。
30代前半まで
30代前半からは仕事でも責任ある立場を任されることも多く、自分に何ができるかを正確に把握することが重要です。30代のうちにどんな仕事をしたいか、目指す役職は何か、40代までに達成したい目標を具体的に立てるのがよいでしょう。また全く未経験の分野でキャリアを積みたいのなら、早急にキャリアプランを立てて行動しなければなりません。30代後半からは選べるキャリアの幅が狭まるため、一日も早く行動する必要があります。
30代後半まで
30代後半になると多くの方は役職に就くことも多く、キャリアもある程度決まってきます。そのため、今後はどこまでキャリアアップを目指せるかにシフトし、現在の仕事でそのままキャリアアップするか、転職してキャリアアップするかの選択をします。転職の場合、マネジメント経験の豊富な人材を求める企業は多いですから、管理職経験を武器にキャリア形成することもできるでしょう。
職業別のキャリアプランの違い
職業別のキャリアプランの違い
営業職
営業職は自社の製品やサービスを顧客に紹介し、売上を目指す職種です。キャリアアップの選択肢はエリアマネージャーや、営業部門の管理者などがあります。また営業職は独自性の高いスキルが多いことから、業種を問わず活躍できるのが強みです。そのため営業職としてどのような成果や実績があるのか洗い出すと、キャリアプランを立てる際の参考になります。データ分析のスキルも活用していたのであれば、マーケティング職へのキャリアも選択肢に入ります。
ITエンジニア
ITエンジニアは比較的若い世代が多く、20代でも管理職になる人がいます。技術力の高さがキャリアにつながりやすいため、20代の早いうちにスキルを磨くのがキャリアアップの鍵になります。ITエンジニアの場合、プロジェクトマネージャーとしてキャリアアップするだけでなく、技術力と営業力があればフリーランスになることも可能です。ただし30代からITエンジニアを目指す場合は年齢がネックになりやすいため、少しでも若いうちにキャリアプランを作成することをおすすめします。
研究・技術職
研究・技術職は専門職として、やりがいや興味を仕事にできます。研究・技術職のキャリアについては、組織によってキャリアプランが大きく異なるため、所属する組織のキャリアプランを確認しておく必要があります。30代以降でチームリーダーやプロジェクトリーダーを任され、40代以降は部門の管理職になるというキャリアが多く見られます。キャリアアップするには知識・スキルはもちろん、より高度な専門知識と技能資格が求められることもあります。組織のキャリアパスがどうなっているか把握し、どのようなキャリアプランを描くか具体的に考えることが大切です。
総務・人事
総務・人事は社内の人事配置や経理など、事務職の中でもマネジメントをメインにする職種です。マネジメントスキルを高めて管理職になるだけでなく、経理の知識を活かして税理士や公認会計士といったキャリアアップを目指すこともできます。働き方はデスクワークが中心となるため、40代以降のキャリアアップも狙いやすい点が魅力です。また新卒採用の担当になれば、会社の将来を担う人材を選ぶという責任ある仕事を任されるため、仕事へのモチベーションアップにもつながるでしょう。
キャリアプランを用意しておくことのメリット
将来に向けてキャリアプランを用意しておくことで、どのようなメリットがあるのか紹介します。
モチベーションアップになる
キャリアプランを用意しておくことで、仕事に対するモチベーションにつながるのがメリットの1つです。キャリアについて目標や計画を立てずに過ごしていると、日々の仕事や学習が漫然としたものになります。そのまま仕事を続けてもモチベーションは上がらず、学習意欲やスキルアップにもつながりにくいです。逆にしっかりとキャリアプランを考えている人の場合、目標に向けての行動が明確になるため、仕事や学習への意欲が高まります。「仕事へのモチベーションが上がらない」と感じている人は、キャリアプランについて考えてみるのがよいでしょう。理想のキャリアをイメージすることで、仕事や生活のモチベーションアップにつながるかもしれません。
将来の目的や目標が明確になる
キャリアプランを用意するということは、将来の目的や目標を明確にすることを意味します。若い世代の方は日々の仕事で手一杯になり、将来について漠然と考えている人も珍しくありません。しかしキャリアプランを明確にする過程で、自分の理想とする働き方や仕事、本当にやりたいことが見つかる可能性があります。日々の仕事で目的を持って働くためにも、キャリアプランについて熟考することが大切です。まずは数か月、数年以内に達成したい目標を設定し、今やるべきことを検討しましょう。特に仕事にやりがいを感じない人、同じ仕事に飽きを感じている人ほど、キャリアプランを考えるのがおすすめです。
自己分析が進む
キャリアプランを考えるには、まず自分という人間について客観的に深掘りしなければなりません。どんな仕事の経験があり、どんなスキルを持っているのか、強み・弱みは何か、将来どうなりたいかなど、細かな部分まで一つひとつ洗い出します。自己分析を深めていくと自分のスキルやキャリアの棚卸になり、キャリアアップだけでなく、転職活動をする際の自己PRも明確になります。自分の目標や強みとなる武器が何かわかっていれば、自分という人間をわかりやすく伝えられるようになるでしょう。また自分を深く知ることで、自分に足りないものも理解でき、成長の糧にしたり、足りない部分を補ってくれる仲間を頼ったりすることもできます。
色々なキャリアを考える機会になる
キャリアプランを考えていく過程で、そのままスキルアップして管理職を目指すか、別の会社でキャリアアップするか、経験を全く別の分野で生かすかといった選択肢が生まれます。現在の仕事だけがキャリアのすべてとは限りませんから、自分にはどんなキャリアが叶えられるかという可能性を狭めないことが大切です。またキャリアプランは現状での目標や将来像ですから、理想像を目指す過程で新しい目標が見えてくることもあります。キャリアは1つとは限らないことを念頭に置き、自分の持つ可能性を最大限発揮できる道を選ぶことを意識しましょう。
自分のすべき行動が明確になる
キャリアプランを叶えるには、目標達成に向けた具体的な行動計画の立案が不可欠です。目標から逆算して行動計画を立てていくことで、今の自分がすべき行動が明確化できます。やらなくていいことに気付く機会にもなり、不要な行動を回避する予防策にもなるでしょう。すべき行動が明確になったら、短期・中期・長期の行動目標も立てておくと、よりスムーズに行動を起こせます。例えば、日々の行動をルーティン化するために1か月を目安に新しい行動に取り組み、自発的に望ましい行動ができるようにすると効果的です。無駄の少ない行動計画を立てることで、スキルアップや知識の習得が大幅に効率化するはずです。
まとめ
キャリアプランを決定することは、自分の仕事や経験を振り返り、より充実した仕事と人生を送るうえで必要な作業です。今の自分の理想や目標が明確になり、これから先にどんな未来が待っているかを具体的にイメージできるようになります。ただしキャリアプランは絶対的なものではなく、日々の経験や価値観によっても変化するものです。変化の激しい時代を生き抜くため、自分の求めるキャリアプランは何かをしっかり考える機会を作りましょう。