キャリアデザインとは何か?
キャリアデザインとは、自分の将来の姿や目指すべき理想をかなえるために、自分の職業経験や人生を設計し、実現していくことを指します。キャリアデザインでは現在の職場でキャリアアップを目指す道のほか、複数の職場でスキルを磨いて別のキャリアへとつなげる選択肢もあります。そのため キャリアデザインは単にスキルを磨くだけでなく、自分が目指す未来に向けてどんな経験を積み、いつまでにかなえたいかまで具体的に設計することがポイントです。
キャリアデザインが注目されている背景
キャリアデザインが注目される背景には、社会の変化、企業・個人の価値観の変化などが影響しています。日本は、バブル崩壊により経済成長が低迷し、現代では急激なIT技術革新でビジネス環境が変化し、先行きが不透明で将来の予測が困難な状態を意味するVUCA時代と呼ばれています。 これからも同じように仕事を続けられるとは限らず、キャリアプランも1つに絞るのはリスクが高いという考えからキャリアデザインが注目されるようになりました。 また企業の変化としては、今までの雇用制度では企業の成長は難しく、年功序列制度では優秀な人材が流出しやすくなるため、成果主義・能力主義に移行する企業も増加しています。人材の流動性も高まるなか、優秀な人材を確保しつつ、生産性を確保するためにも社員のキャリアデザインは必要です。働く側としても新型ウイルス、働き方改革の影響で、テレワークや時短勤務など、自分に合った働き方を探すという意味でも、キャリアデザインで自分だけの人生設計を考える意義は大きくなっています。
キャリアデザインとキャリアパスとの違い
キャリアデザインと似た言葉に「キャリアパス」という言葉があります。言葉は似ていますが、意味するところは違います。 キャリアパスは1つの会社で長く働き、キャリアアップしていくために必要な道筋です。 キャリアデザインは夢や理想の将来をかなえるために、自発的に設計・行動することですから、意味が全く異なります。キャリアパスは1つの会社で昇進していくための過程であり、ロードマップのようなものと考えればよいでしょう。
企業にとってキャリアデザインが重要な理由
日本では長年、終身雇用制を採用していますが、 VUCA時代では終身雇用制を維持するのが難しく、また、現代では仕事に対する価値観が変わり、若手社員が入社してから定年まで、1つの会社で働くことが珍しくなりました。社員は自発的にキャリアデザインを考えることも多く、企業の思惑とは違った行動を取ることも珍しくありません。だからこそ、企業は社員のキャリアデザインを理解することが、これからの企業経営で重要になっていくでしょう。なぜ企業にとってもキャリアデザインが重要になるのか、3つの理由を紹介します。
優秀な人材の育成
キャリアデザインとは社員が自らキャリアプランを考え、主体的に行動していくことです。キャリアデザインが具体化している社員は、将来に向けた明確なビジョンを持ち、行動を最適化できる傾向があります。それにより、企業はキャリアデザインが明確な人材を育成しやすくなるため、生産性の向上につなげられます。企業が社員のキャリアデザインに必要な支援をし、優秀な人材を育成できれば、他社との競争力も向上するでしょう。
人材流出の防止
企業がキャリアデザインを重要視すべき理由には、人材流出の防止という観点もあります。日本では新卒社員のおよそ3人に1人は3年以内に離職しており、人材確保が重要課題です。 企業が社員のキャリアデザインを支援することで、社員自らライフプランを立てやすくなり、エンゲージメントが高まることにも期待できます。 例えば、テレワーク中心の働き方が合っている社員の場合、出社日数を減らして自宅勤務を増やせば定着率も高まるでしょう。人それぞれ多様な価値観があるように、働き方の多様性を認め、受け入れることで、「社員にとって働きやすい会社」になります。人材確保が課題になっているなら、社員のキャリアデザインを重視した働き方、テレワーク、フレックスタイム制、時短勤務など多様な働き方の導入を検討するとよいでしょう。
社員のモチベーションアップ
キャリアデザインが明確な社員は、目標に向けた行動も明確化されるため、仕事に対する意欲も高まり、必要なスキルや資格の取得、業務経験なども蓄積されていくでしょう。
できることが増えれば、社員のモチベーションも高まり、結果的に企業の生産性も向上していきます。社員が仕事への目的意識を持つようになれば、自律した戦力として働いてくれるようになります。自ら考えて行動する社員を増やすためにも、企業はキャリアデザインの重要性を認識すべきです。
キャリアデザインの構築のステップ
社員が自分のキャリアをデザインするには、いくつかのステップを踏む必要があります。キャリアデザインを具体化するには、次のステップで進めましょう。
・自分の現状を客観的に把握する
・将来の理想像・かなえたい姿をイメージする
・目標をかなえるための行動を具体化する
自分の現状を客観的に把握する
キャリアデザインを構築するには、社員が自分自身の現状を客観的に把握することが最初のステップです。自分の経験や専門性、スキルなどを洗い出し、自己分析をします。
得意・不得意や苦手意識なども分析し、自己を把握することが重要です。必要なら自己分析ツールや適性検査も活用し、どんな適性があるのか知ることが大切です。
自分を客観的に把握することで、どんなキャリアデザインができるか、さまざまな選択肢を挙げてください。
将来の理想像・かなえたい姿をイメージする
キャリアデザインは1つにこだわる必要はなく、自分の好きなこと、やりたいことなどさまざまな理想をイメージしましょう。そのうえで、将来的に自分がどんな仕事に就きたいのか、漠然としたものでもイメージを持つことが大事です。注意したいのは、キャリアデザインを細かく決めすぎないことです。細かく決めてしまうと、理想のルートから外れた時のショックが大きく、軌道修正が難しくなることがあります。「将来はこんな暮らしがしたい」「通勤不要の働き方がしたい」など、自分の理想を持つことが大切です。理想を持つことで、働いていくうちにビジョンが明確になることもあるからです。
目標をかなえるための行動を具体化する
最後に、現在の自分に足りないものを理解し、目標をかなえるための行動を具体的に実行しましょう。例えばテレワーク中心の仕事がしたいなら、どんな資格や知識、スキルが必要になるか考え、習得するための優先順位をつけて行動します。また現在の職場がテレワークに不向きなら、別の部署への異動や転職を考えるのも選択肢になります。 理想とするキャリアデザインがどうすれば実現できるか道筋をつけ、一歩ずつでも行動することが大切です。
企業がキャリアデザインの支援を行うメリット
企業が社員のキャリアデザインの支援を行うメリットは次の通りです。
・社員の自律した行動を促しやすい
・若手人材の離職防止につながる
社員の自律した行動を促しやすい
キャリアデザインは社員が理想や目標を考え、自ら行動して向かっていくものです。企業がキャリアデザインを支援することで、社員は単独で行動するよりも積極的にキャリアデザイン実現ためのアクションをとりやすくなります。自主的な行動は成果も出やすくなり、成果が出れば仕事へのモチベーションも高まるでしょう。
若手人材の離職防止につながる
企業にとって若手人材の確保は重要な課題です。日本では新卒社員の3人に1人は3年以内に離職するため、若手人材の離職防止策の1つとして、キャリアデザインの支援が重要になっています。若手社員の多くは熱意があり、自分の将来に対して大きな希望を抱いています。企業が若手社員の持つキャリアデザインを支援すれば、社員は会社のために働く気持ちを強くするでしょう。また企業は具体的なキャリアパスを提示することで、必要な行動や成長を促すこともできます。若手社員のモチベーションやエンゲージメントが高まれば、離職率も抑制できるはずです。
企業がキャリアデザインの支援を行うデメリット
企業が社員のキャリアデザインを支援するデメリットも紹介します。
離職・退職の後押しになる
キャリアデザインは個人の持つ価値観、経験から理想のキャリアパスを構築することです。しかし社員が現在の仕事にやりがいを感じておらず、別のキャリアを考えている場合にはキャリアデザイン支援が逆効果になることがあります。現在の職場では実現できないキャリア、仕事があることに気づき、退職や離職の決断を後押しする可能性があるからです。キャリアデザインを支援する際は、現在の職場でできることはないか、やりがいを感じているかなどを確認しながら進めることが大切です。
キャリアデザイン研修はユーキャンにお任せください
社員のキャリアデザインでお悩みの人事の方は、ぜひユーキャンにご相談ください。ユーキャンのキャリアデザイン研修は、若手から40・50代、管理職まであらゆる対象向けのプログラムを用意しています。自分のキャリアとなりたい姿をデザインし、仕事を通して実現するために必要な知識とスキルの習得を支援します。社員のキャリアデザインを支援し、優秀な人材を育成するなら、事例も実績も豊富なユーキャンにおまかせください。
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まとめ
今回はキャリアデザインについて、重要視される理由や企業が支援するメリット・デメリット、構築のポイントを解説しました。社員のキャリアデザインは千差万別で、同じキャリアデザインをする人は1人もいません。企業は社員の成長と自主的な行動を促すためにも、個人の価値観に沿ったキャリアデザインへの理解と支援を深めることが重要です。
キャリアデザインを支援できる企業なら、社員ひとり一人が理想やかなえたい姿を考え、キャリアを構築することでモチベーションやエンゲージメントの高い状態を維持できます。優秀な人材を逃がさないためにも、企業が社員のライフプランを支える姿勢を示しましょう。