企業文化とは何?
企業文化とは、企業と社員の間で意識的、または無意識的に共有される会社独自の価観や行動規範のことをことを指し、企業がこれまでに歩んできた歴史、経営者の理念、伝統などが企業文化を作ります。
企業文化が重要とされる背景
企業文化は会社と社員の間にある共通の価値観であり、企業の経営方針を決定する重要な価値観です。 なぜ企業文化が重要とされるのか、その背景にある4つのポイントを解説します。
意思決定がスムーズになる
企業文化が明確になっていると、会社としての行動指針となり、社員は会社の目標や考え方を理解しやすくなるため、迅速な意思決定ができるようになります。そのため、組織は変化する市場環境に素早く適切な対応ができるようになります。さまざまな要素が絡み合った状況であっても、会社と社員の間に企業文化が浸透していればスムーズな意思決定につながるでしょう。
会社と社員の一体感につながる
企業文化が醸成すると、会社と社員との間に一体感が生まれる効果もあります。一体感はチームワークとなり、社員がお互いに良い影響を与えながら仕事ができるようになるでしょう。また会社内での情報共有や他部門連携も活性化し、組織全体の生産性向上効果も期待できます。
入社後のミスマッチが減少する
企業文化とは組織全体での価値観を示すものですから、外部へのアピール材料にもなります。入社希望者が企業文化を事前に知ることで、入社後のミスマッチを防止する効果があります。入社後に仕事へのやりがいやモチベーションアップもしやすく、定着率やエンゲージメントも向上するでしょう。
生産性が向上する
企業文化がわかりやすくなっていると、企業と社員の間で意識のズレが起こりにくくなり、組織全体の生産性向上にもつながります。自社の企業文化を外部に向けて発信すれば、優秀な人材の応募も増加するでしょう。結果として、企業に合った人材が集まりやすくなり、生産性の向上が見込めます。
企業文化にはデメリットも
企業文化にはデメリットも企業文化を明確化すると良い面がある一方で、デメリットもあります。 どのようなデメリットがあるかを知り、対策していくことが大切です。
イノベーションが起こりにくい
排他的な空気が生まれやすい 企業文化はそれぞれの会社独自のものであり、独自性が強すぎると他の意見を受け入れにくくなり、排他的になる傾向があります。企業として優れた結果を残していても、外部に排他的イメージを与えれば、人材は集まりにくくなります。社内においても企業文化が合わない人に対して、排他的な雰囲気になる危険性が高いです。企業文化の独自性は会社としての強みになる一方で、弱点にもなり得ることを理解すべきです。
企業文化を形成する8つの要素
企業文化を形成するには、8つの要素が重要とされています。 それぞれの要素とポイントについて解説します。
ビジョン
ビジョンとは会社として目指すべき姿、未来のことを指します。企業文化の形成には欠かせない要素の1つであり、会社としての方向性を示す大切な軸です。ビジョンが明確になっていると、経営者の理念が組織に浸透しやすくなり、意思決定もスムーズになります。 人材の採用においてもビジョンが決め手になることが多いため、早期に決定すべき要素となるでしょう。
使命・ミッション
使命・ミッションは企業の存在価値や意義を指します。「会社として社会にどんな貢献をするのか」「どんな未来を叶えようとしているのか」という使命を明確化することで、会社として社会に果たす責任がみえてきます。社員が働くうえでの行動指針、意思決定の基準にもなる重要な要素です。そのため使命は明文化し、できる限りわかりやすい内容にすることが大切です。
価値観・バリュー
価値観・バリューも、社員の行動や意思決定に大きく関与する要素です。先に紹介したビジョンや使命を達成するために、会社や社員に求められる価値観を規定しています。 価値観が明確化できると、会社として必要なものそうでないものの判断ができるようになります。会社の価値観が浸透すれば、社員が業務上の意思決定で迷うことも少なくなるため、生産性にもつながる要素となるでしょう。
慣行
ビジョン・使命・価値観を企業文化にするには、慣行として日常の仕事レベルまで落とし込まなければなりません。慣行とは、会社の中で日頃から継続的に行われている行動を指します。日頃から浸透していなければ、企業文化を理解して行動することは難しいです。 慣行になるまで浸透することで、普段の業務でも社員は無意識に企業文化に沿った行動を取るようになるでしょう。また企業文化だけでなく、ビジョンや使命を社員が理解することで、組織全体が同じ目標へ向けて進めます。 経営者の考えが会社の隅々まで届くようになり、経営者と社員との心理的距離も近くなる効果が見込めます。
人材
企業文化を形成するには、会社で働く人材が不可欠です。 企業文化が浸透するかどうかは、そこで働く社員にかかっているともいえます。 どれほど良いビジョン・使命・価値観を掲げていても、それを深く理解し、企業文化として共感する社員の存在がなければ難しいでしょう。 また企業文化への理解が深まるほど、人材は企業へと根付き、離職率も低下していきます。 企業が成長を続けていくためにも、企業文化をどうやって根付かせていくかが重要です。
物語性・ストーリー
企業文化を形成していくには、会社のビジョン・使命・価値観の根底に物語性やストーリーがあると、より多くの共感を得やすくなります。 例えば幼少期に怪我や病気を経験した人が、将来的に医師や看護師・薬剤師などを目指すというのもストーリーです。 単に企業文化や価値観として掲げられるだけでなく、そこに至る背景を知ってもらうことで、より多くの人に語り継がれていきます。 物語性やストーリーに人は共感し、その根底にある理念を理解しようとするからです。 企業独自のストーリーを発信し、企業文化の浸透を後押ししましょう。場所
企業文化を形成するには、場所も考えるべき要素です。 「自然と共に生きる」を価値観にしていながら、都心の高層階にオフィスがあるのではミスマッチです。 会社がどんな場所にあるか、見た人・聞いた人がどう感じるかまで考慮した企業文化の形成を意識しましょう。外部環境
ビジネスの世界は常に社会情勢や政治、時代の変化といった外部環境に影響を受けます。 近年は「VUCA時代」といわれるほど予測が難しく、変化の激しい時代に突入しています。 このような外部環境の変化についても、企業文化を形成するうえで考慮すべき要素です。 時代の変化に乗り遅れれば、会社は競合他社に淘汰されていくでしょう。 外部環境は常に変化していることを念頭に、状況に合わせて企業文化も変化させていくことが大切です。企業文化で見る企業の事例
成功した企業から企業文化の事例を4社紹介します。
フリマアプリ運営会社A
フリマアプリを運営するA社は、企業文化形成のために使命(ミッション)と価値観(バリュー)の明文化を進めて成功しました。 メルカリのミッションは次の通りです。 ・新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る そして、ミッションを達成するために3つのバリューも明文化しています。 ・Go Bold(大胆にやろう) ・All for One(すべては成功のために) ・Be a Pro(プロフェッショナルであれ) これらが社員の行動指針の根底にあるため、多国籍な人材採用や公正公平な評価につながっています。
グループウェア開発会社B
グループウェア開発を行うB社は、企業文化として「100人いたら100通りの働き方」を掲げています。 企業文化が表しているとおり、個々の社員が自由な働き方を選べるのがサイボウズの特徴です。 特に画期的な取り組みが時間と場所、その日その日で働き方を選べるウルトラワークです。 一般的な企業のような通勤や勤務時間の決まりはなく、社員の裁量に任せて働くことを認めています。 結果として社員は「働かされている」のではなく、自分の意思で「働く」ことができ、生産性の向上につながりました。
人材育成のことならユーキャンへ
企業の人材育成なら、ユーキャンへご相談ください。 企業を支える人材を育てるには、社員一人ひとりが企業文化への理解を深めることが重要です。 しかし自社で研修を用意し、企業文化の浸透を図るには、多くの時間とコストがかかります。 ユーキャンの人材育成カリキュラムでは、企業文化の基本や重要性をわかりやすく解説しています。 経営者の理念や経営方針が組織に浸透しにくいと感じたら、ぜひユーキャンの人材育成研修をご活用ください。
まとめ
今回は企業文化について、重要性や組織風土・社風との違い、デメリットなどを解説しました。 企業文化は会社の歩んできた歴史が反映されるものであり、それぞれが独自の価値観を持っているものです。 企業文化が浸透しているかどうかで、会社と社員の距離も大きく変わり、生産性や業務効率にも影響を及ぼします。 良い企業文化は社員の働きを活性化する一方で、企業文化と社員の意識にズレがあれば、企業の生産性や定着率は低下していくでしょう。 社員のエンゲージメントを高められるように、明文化した企業文化を組織全体に提示することが大切です。