社員の離職防止策11選!離職原因も紹介

  • 社員の離職防止策11選!離職原因も紹介

    公開日:2024.07.09

    更新日:2024.07.09

    離職とは社員が会社を退職することです。 日本企業の新規学卒者の離職はおよそ3人に1人とされており、離職率の高さは重要な経営課題となっています。 この記事では離職防止策についてを中心に、離職の原因や対策をしない場合のリスク、採用活動で押さえるべきポイントなどもあわせて解説します。

離職防止とは何か

離職防止とは、社員の離職を防ぐために会社が打ち出す施策です。 新卒社員は3年間で3人に1人が退職するとされており、企業にとって離職防止は喫緊の課題です。新入社員にかける採用や教育のコストは大きく、離職されると大きな損害になります。 中でも、離職につながる要因として多いのは以下です。

・人間関係が悪い
・上司との1on1の機会が少ない
・労働条件が厳しい
・キャリアアップに期待が持てない

こうした条件が多く当てはまる企業は、離職防止策に努めたほうがよいでしょう。

離職防止対策が重要な理由

離職防止対策が企業の間で重要になっている理由は、次の3つが大きいとされています。

・新入社員の離職率の高さ
・労働人口の減少に伴う人材確保の困難さ
・転職への意識が変化し、若手人材の流出が増加

先ほども述べましたが、2023年の新規学卒就職者の離職率は大学卒で32.3%でした。およそ3人に1人の新入社員が離職していることになり、企業が離職防止対策を重視する理由となっています。若手社員がいなくなれば企業の存続自体が困難になるため、企業と働いている社員のためにも不可欠な施策です。

参考:厚生労働省 「新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)を公表します」

離職防止対策しないリスク

企業が離職防止策をしないことで、どんなリスクが起こりうるのか解説します。

優秀な人材が離職する

離職防止対策のないまま経営していると、優秀な人材ほど離職するリスクが高まります。優秀な人材はキャリアアップへの意欲が高い人も多く、他社の条件が良ければ転職しやすいからです。豊富なノウハウと経験を持つ人材が流出すれば、企業の生産性と競争力低下につながります。新たな人材を育てるにも多くの時間とリソースが必要になるため、見過ごしてよい損失ではありません。

社員の業務負担が増加する

社員の離職が増加すると、その分、会社に残された社員の負担が大きくなります。例えば、3人で業務をこなしていた職場から1人が離職するだけで、残されたの負荷が増えます。業務負担が増えれば生産性が低下するだけでなく、営業や接客業ならサービスの質の低下も招くでしょう。また業務負担が増えることで、残った社員が離職を選ぶ可能性もあります。負担が増えてもメリットは1つもないため、離職防止対策が早急に必要です。

企業イメージが悪くなる

離職率の高さは、ブラック企業のイメージを、社外にも与えることになります。企業の離職率はハローワークや求人サイトに掲載され、簡単に検索できてしまいます。 どれだけ雇用条件を良くしても、ブラック企業と認識されれば人材は集まりません。結果的に残っている社員の負担は改善されず、さらに離職率が高くなるという負のスパイラルに陥るでしょう。 企業イメージの悪化は優秀な人材の確保を困難にするため、企業の存続さえも厳しくなります。

社員の離職原因とは

社員が離職してしまう原因として、代表的な3つを紹介します。

労働条件の悪さ

会社が業績や利益を求めるように、社員も会社により良い労働条件を求めています。そのため、次のようなケースに当てはまる場合は、離職率が高まる原因になるでしょう。

・長時間労働やサービス残業が多い
・有給休暇を思うように取れない
・仕事に対して給料やボーナスが少ない
・ライフスタイルに合った働き方ができない
・社員の健康に配慮した環境になっていない

日本では生産年齢人口の減少に伴い、どの企業も人材確保が難しくなっています。経営努力として社員の待遇にかけるコストをカットすれば、社員の不満が募っていきます。社員はより良い条件を提示してくれる企業に流出し、会社全体の生産力が低下していくでしょう。

人間関係の悪さ

どの時代でも、人間関係は離職原因の上位に入っています。1日の3分の1以上を過ごす職場において、問題のある人間関係は大きなストレスです。上司や同僚との関係が悪化すれば、仕事にも影響します。人間関係の悪化は、単に人の性格や相性の問題ではなく、職場環境も影響しています。人間関係の原因で離職が増加している場合、会社側は職場環境の改善に動きだすべきです。

将来への不安


社員にとって、会社の将来性は自分自身の未来にもつながっています。会社の業績が悪く、年収アップや事業の拡大が期待できなければ、モチベーションも低下するでしょう。特に年収やキャリアの向上が難しい状況では、転職を考える人も増えてきます。社員の将来への不安を回避できるよう、会社は業務改善や経営方針の転換など適切な対応が必要になります。

離職の可能性がある社員の特徴

離職の可能性がある社員には、共通する特徴があるとされています。どのような特徴があるのか、3つのポイントを紹介します。

モチベーションが低い

離職の原因には仕事への意欲が低下し、関心や注意力が低下するパターンがあります。普段はしないようなミスが増えたり、業務効率が下がったりするなら要注意です。離職前は仕事を辞めるかどうか迷い、不安定な精神状態になっていることが多いです。 モチベーションの低下を早期に察知できれば、面談や相談で離職を回避できる可能性があります。

同僚との交流が少ない

離職を考えている人、離職を決意した人は、同僚や上司との交流が減少する傾向が見られます。具体的には、次のような行動が表れたら注意すべきです。

・挨拶をしない
・休憩時間に一人で過ごすことが多い
・仕事中の発言が少ない
・人を寄せ付けない

このような行動が当てはまり、笑顔もほとんどなく、元気がない場合はメンタルケアが必要になる場合もあります。早い段階で察知することで、離職を回避できる可能性が高まります。

休みが多くなる

離職する社員の傾向として、休むことが増えるケースも少なくありません。転職活動を行っている場合、退勤後や平日に休暇を取って、面接を受けていることがあるからです。そのため、次のような行動が目立ってきたら、離職の可能性を考慮しましょう。

・有給休暇の申請が増えた
・定時退社することが増えた
・スーツや髪型に気を使いだした
・新しい仕事をやりたがらない

仕事へのモチベーション低下も同時に起こっているなら、離職の可能性が高まっているかもしれません。

社員の離職防止策

社員の離職を防ぐには、会社側も具体的な対策を講じる必要があります。離職防止策として、効果的な方法を紹介します。

・退職理由を面談でヒアリングする
・社内のコミュニケーションを活性化する
・労働時間を適正化する
・人事評価制度を見直す
・自由な働き方ができる仕組みを作る
・MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を周知する
・福利厚生を充実させる
・スキルアップ研修を実施する
・離職防止ツールを導入する
・管理職向けマネジメント研修を実施する
・中途採用・新入社員の育成に力を入れる

退職理由を面談でヒアリングする

社員の離職を防止するには、退職を申し出た社員に対して面談を行い、背景についてヒアリングを行うことが大切です。社員が退職を決断した原因を明確にすることで、離職を防ぐ対策につなげられるからです。ただしヒアリングは退職の手続きが一通り完了し、社員の業務やメンタルが落ち着いてから行いましょう。退職手続き時に面談を行うと「引き止められる」と感じ、本音を話せなくなるおそれがあります。離職する社員の心理を分析することで、他の社員への効果的な離職防止対策が打ち出せます。

社内のコミュニケーションを活性化する

社員が離職する原因には、社内のコミュニケーション不足や人間関係の悪さがあります。 そのため、離職を防止するには社員同士が理解を深め、コミュニケーションを取りやすい関係性と雰囲気を作ることが重要です。会社側から打てる施策としては、次のようなものがあります。

・社内旅行・イベントの開催
・ワークショップの実施
・社員限定のコミュニティ・交流会
・社内報で社員を紹介
・社内表彰制度の導入

自社の風土や職場環境に合わせて、適切な施策を打ち出すことがポイントです。風通しの良い職場は社員にとって働きやすくなり、離職率低下に役立つでしょう。

労働時間を適正化する

社員の業務負担が大きくなるほど、会社の離職率も高くなりやすいです。業務負担を軽減するには、労働時間の適正化を図ることが急務になります。労働基準法では時間外労働の上限は月45時間、年360時間までとされています。労働時間を適正化するには、時間外労働を極力減らすと同時に、サービス残業も減らさなければなりません。例えばタイムカードで打刻を行っている企業の場合、勤怠管理システムを導入して出勤・退勤時間を正確に管理することが対策になります。長時間労働は心身の健康を害する可能性もあるため、ツールやシステムも導入し、実効的な取り組みを行うことが重要です。

人事評価制度を見直す

優秀な社員はキャリアアップを目的に転職することもあるため、会社の人事評価制度の見直しも重要な離職防止対策です。人事評価制度自体はどんな会社にもありますが、その透明性を担保するのが難しいという課題を抱えています。 離職防止対策を進めるには、人事評価制度の客観性と透明性を高め、仕事の成果を正当に評価する仕組みづくりをしなければなりません。 仕組みに、管理職の個人的な感情が評価に入り込むなら、社員に不公平感を与えるからです。評価項目には定量的な評価ができる内容も盛り込み、成果や能力に見合った評価ができる制度を導入しましょう。

自由な働き方ができる仕組みを作る

新型コロナウイルスの流行以降、リモートワークをはじめ、多様な働き方が広く認められるようになりました。社員のライフスタイルに合わせた働き方を選択できれば、育児や介護、病気などでやむを得ず退職する人も減少するでしょう。またハラスメントに対しても世間からは厳しい目が向けられており、社員一人ひとりを尊重した職場環境づくりが求められています。働き方改革の一環として、柔軟な働き方ができる仕組みづくりをおすすめします。

MVVを周知する

MVVとは「ミッション・ビジョン・バリュー」の頭文字を取った言葉です。企業理念や経営方針をわかりやすく説明したもので、会社がどんな理想を抱き、将来どんな社会を作りたいかを表明するのがMVVです。社員が離職する背景には、会社の経営方針や将来性がわからないという点もあります。組織内で会社のMVVを周知することにより、社員が経営陣と同じ目標に向けて行動しやすくなる効果が期待できます。また人材採用でもMVVは効果を発揮するため、わかりやすさと共感性を意識したMVVを作成、共有することが大切です。


福利厚生を充実させる

社員が働きやすい環境を作るためには、福利厚生の充実も欠かせません。福利厚生は給与やボーナス以外で、会社から社員に提供する保険やサービスを指します。例えば、食費の補助や交通費なども福利厚生の一部です。他にも、会社によって次のような福利厚生を用意しているケースがあります。

・住宅補助
・レジャー施設・宿泊施設の利用料金補助
・資格取得に必要な費用の補助
・社内カフェテリア・職員食堂の設置

福利厚生は社員のモチベーションアップに効果があり、生産性向上にもつながります。


スキルアップ研修を実施する

スキルアップ・キャリアアップを目的とする転職を防止するために、スキルアップ研修を実施することも対策になります。社員の階層や年齢に分類して複数のコースを用意しておくと、自分のレベルに合ったスキルを学べるでしょう。また自分で研修内容を選択できる仕組みがあることで、意欲を持って研修に取り組めるようになります。自社だけで用意するのが難しい場合は、外部のサービスに委託する方法もおすすめです。


離職防止ツールを導入する

離職防止に役立つ各種ツールの利用も有効な方法です。離職防止ツールには次のような機能があります。

・採用のミスマッチ防止
・コンディションケア
・エンゲージメント調査
・モチベーションアップ
・分析・データ蓄積

ツールごとに、搭載している機能や操作性、導入・ランニングのコストに違いがあるため、自社で運用しやすいツールの選定がポイントです。


管理職向けマネジメント研修を実施する

離職防止対策で見落としやすいのが上司のスキルです。管理職のマネジメントスキルが不足していると、社員は思うような実力を発揮できず、離職を考える原因にもなります。 社員から管理職に疑問を投げかけたり要望を出したりするのは、立場上難しいため、会社側でスキル評価を行うことがポイントです。管理職の経験年数やスキルに応じて、適切な研修を用意することでスキルアップにつなげやすくなります。管理職のマネジメントスキルが高ければ社員のモチベーションも上がり、組織の生産性も向上するでしょう。


中途採用・新入社員の育成に力を入れる

既存社員の離職防止対策だけでなく、中途採用者や新入社員への離職防止策として教育に力を入れるのもポイントです。入社の前段階で会社について理解してもらい、入社後の教育体制も充実しておくとモチベーションアップになります。具体的には次のような施策を進めましょう。

・インターンシップの導入
・合同説明会への参加
・Webサイト・SNSでの情報発信
・OJT・Off-JT・タレントマネジメントなどの導入
・定期的な1on1ミーティングの実施

新しい人材の育成にも力を入れ、生産性を高めながら離職率低下へつなげてください。


採用活動のポイント

これからの採用活動で押さえておくべきポイントを2点紹介します。

現代的な採用活動の展開

採用活動も時代とともに変化しており、説明会やインターンシップのような手法以外にもさまざまな選択肢があります。具体的には、次のような手法が現代の主流になってきています。

・マス型採用
・個別採用(ダイレクトリクルーティング)
・アルムナイ採用
・リファラル採用
・オンライン採用

上記の手法から企業の業態や風土によって適した方法を選択しましょう。

採用する人物像の決定

採用活動を行うにあたっては、自社に必要な人物像を見極め、採用の判断基準を決定しておくことが大切です。判断基準を明文化しないと、採用選考で多くの時間を割くことになり効率が悪くなるからです。自社の離職原因として顕著な事項も踏まえて、自社に定着しやすい人物像を基準に設けましょう。採用担当者間で認識を共有しておけば、担当者によって対応が分かれるという不平等も防げます。適性検査の結果も活用しながら、入社後に活躍できそうな人材を選んでください。

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まとめ

社員の離職防止対策について、離職の原因や対策を打たない場合のリスク、具体的な離職防止対策などを解説しました。社員の離職は会社にとって重要な課題であり、早急に対応しなければ経営にも影響を及ぼす可能性があります。適切な対策を打たなければ離職率は上がり、既存社員に大きな負担をかけることになります。 社会情勢の変化に伴い、従来の年功序列・終身雇用制は通用しなくなりました。時代の変化に合わせる形で、会社の構造や人事制度、教育体制などを見直し、積極的に離職防止対策を行いましょう。

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