ハラスメント教育とは?目的や内容、実施方法・防止策を詳しく解説

  • ハラスメント教育とは?目的や内容、実施方法・防止策を詳しく解説

    公開日:2024.04.01

    更新日:2024.04.01

    ハラスメントは社会問題にもなり、2020年6月、労働施策総合推進法が改正され、2022年4月からはすべての企業でパワーハラスメント対策が義務化されました。ハラスメント教育は社内で起こるハラスメントに対し、正しい知識を身に付けることで対処方法や解決方法を見出す重要な施策になります。本記事ではハラスメント教育の概要や実施目的、効果的な実施方法などを解説します。

ハラスメント教育とは何か?

ハラスメント教育とは、企業で起こる可能性があるハラスメントについて、社員向けに研修を行うことで基本的な知識と対処法を学んでもらうことを指します。 2022年4月1日から、日本のすべての企業でパワーハラスメント対策が義務化されたことで、ハラスメント教育への注目度が高まっています。そして、ハラスメント行為にはパワハラ・セクハラなどの代表的なもの以外にも、多くの種類があることから、社員への教育の重要性は非常に高いです。

ハラスメント教育の種類

ハラスメント教育には、「ハラスメント」と明示していなくてもハラスメント教育につながるものもあります。ハラスメント教育の代表的な種類は、以下のものです。

・ハラスメント研修
・管理職向けハラスメント研修
・リスクマネジメント研修
・コンプライアンス研修

ハラスメントにはさまざまな種類があり、知識の偏りが出ないように教育を行う必要があります。上司と部下の上下関係を利用したハラスメントと言えば、多くの人がパワーハラスメントやセクシャルハラスメントを思い浮かべるでしょう。しかし上下関係を利用したハラスメントには、モラルハラスメントやアルコールハラスメントなどもあります。他にもマタニティハラスメントやスメルハラスメント、ケアハラスメントなど様々なハラスメントがあります。具体的なハラスメント行為について知識を持っていれば、未然に防ぐことが可能です。ハラスメントが起こる可能性を考慮して、ハラスメント教育を進めることが大切です。

ハラスメント教育の実施目的

ハラスメント教育を実施する目的には、次の4つがあります。

・ハラスメントへの認識相違をなくすため
・ハラスメントの予防・防止への意識を高める
・さまざまなハラスメントに適切に対応するため
・社員・顧客からの評価を上げるため

4つの目的について具体的に解説します。

ハラスメントへの認識相違をなくすため

ハラスメント教育を実施する目的の1つ目は、社員間のハラスメントへの認識の相違をなくすことです。ハラスメントの問題は被害者が許容できないと感じた言動に対し、ハラスメント行為として認定されます。しかし、ハラスメント被害者がどの程度まで許容できるかについては、個人差もあるため主観的な判断基準になりやすいです。一方はハラスメントと認識していなくても、もう一方はハラスメントを受けたと認識することもあるでしょう。こうした社員間の認識の違いをなくすのに役立つのがハラスメント教育です。教育を行うことで、曖昧になりやすいハラスメントに対する認識を、社員が共通の認識で捉えることができるでしょう。

ハラスメントの予防・防止への意識を高める

ハラスメント教育の目的の2つ目は、周囲で起きているハラスメントにいち早く気付き、ハラスメントの予防・防止への意識を高めるためです。自分の身近でハラスメントが起こっていても、それが日常的に行われている行為であれば、ハラスメントと認識できないことがあります。自分自身や身の回りで起きているハラスメントを敏感に察知し、必要なら報告、是正していく必要があります。そのためにも、職場で起きやすいハラスメントの事例や、どのようなハラスメントが起こっているのか、しっかりとした知識を身に付けることが重要です。

さまざまなハラスメントに適切に対応するため

ハラスメント教育を実施する3つ目の目的は、さまざまなハラスメントに対して適切に対応することです。
ハラスメントにはパワハラ、セクハラ、マタハラ・パタハラ、ケアハラなどさまざまな種類があります。
時代とともに価値観が多様化してきたように、ハラスメントの種類も多くなっており、それぞれに適切な対応方法は違います。
そのため、ハラスメント教育では社員に正しい知識を習得してもらうことが重要です。

社員・顧客からの評価を上げるため

ハラスメント教育を実施する目的の4つ目は、社員・顧客からの評価を上げるためです。企業のパワーハラスメント対策が義務化されてから、これまで以上にハラスメントに対する世間の目は厳しくなっています。また、社員のハラスメントに対する意識も高まりを見せており、ハラスメント教育は社員の定着率にも影響する要因になっています。顧客視点でもハラスメント教育を行っているかどうかで、企業イメージを判断する指標にもなるでしょう。

ハラスメント教育の担当者

ハラスメント教育を担当するのは、人事部や総務部になることが多いでしょう。企業のハラスメント相談窓口の担当も、人事部・総務部にしているところが多いためです。また、社内以外にハラスメント教育を依頼する場合もあります。ただしその場合でも担当となるのは人事部・総務部であり、自社の研修内容に関するニーズをとりまとめておく必要があります。

ハラスメント教育の対象者

ハラスメント教育の対象は、原則すべての社員です。
すべての社員とは経営層や管理職はもちろん、アルバイトやパートタイマ―などの非正規雇用の社員も含みます。
ハラスメント問題はすべての社員が理解すべき課題であり、全員が連帯して解決を目指すべきだからです。
ただし役職や部署によって学ぶ内容は変更する必要があり、企業と業界の特性も意識して対象者は選定しましょう。

ハラスメント教育の具体的な内容

ハラスメント教育の具体的な内容についても紹介します。

ハラスメントに該当する行動・言動を学ぶ

ハラスメントにはさまざまな種類があり、身体的・精神的なものだけでなく、社会的な立場への攻撃も該当します。自分の言動がハラスメントにあたるのか、またはハラスメントを受けているか判断するためにも知識が必要です。パワハラは比較的わかりやすいハラスメントですが、セクハラやマタハラなどは当事者にならなければ理解しにくい面があります。ハラスメント教育では、自分が加害者または被害者にならないためにも、どのような行動・言動に注意すべきか学ぶことが大切です。

事例から正しい対応を理解する

ハラスメント教育では、基本的な知識を身に付けると同時に、実際の事例から正しい対応を理解することも大切です。
具体的な事例を知ることで、普段の職場環境で同様の問題が起きていないか意識し、注意すべき点は何かを知識として蓄積できます。
特に自社と同業界で起きた事例やどの会社でも起こりうる事例を学ぶことは、ハラスメント教育において必須です。
事例は文章だけでなく、実際の状況がわかりやすい動画にすることもポイントです。
文章と音声、映像でハラスメントの事例を学ぶことで、様々な事態に適した最善の対応法を身につけることができます。

ハラスメントが起きにくい環境を作る

ハラスメント教育は個人の意識を醸成することにありますが、職場環境を根本から改革することも重要です。
企業としてハラスメント教育に力を入れると同時に、研修で学んだことを迅速に職場環境や制度に組み込むと効果的です。
ハラスメントを完全になくすには難しいこともありますが、社員の意見も取り入れ、ハラスメントが起きにくい環境作りから始めましょう。
会社全体で取り組むハラスメント対策と、社員個人でできるハラスメント対策を全員で考える機会を設けることに意味があります。

ハラスメントを受けた・目撃したときの対応を学ぶ

ハラスメント教育は単に知識を習得するだけでなく、ハラスメントと遭遇したときの対応を学ぶことに意味があります。
実際にハラスメントを受けた、または目撃しても正しい対応を知らなければ、問題解決につながりません。
ハラスメントがあった場合、どこに相談すればよいのか、どのように記録を残せばいいのか知っておけば次の被害を抑えられるでしょう。
見て見ぬふりや、なかったことにするのでは自社の体質改善は見込めません。
ハラスメントへの具体的な対応も教育内容に組み込むことで、効果のあるハラスメント教育になります。

ハラスメント教育の効果的な実施方法

ハラスメント教育を効果的に実施するには、事例やテーマに合わせた実施方法・研修スタイルを選ぶことが大切です。
一例を挙げると、次のようなものです。

・集合研修:事例を基にしたグループワークがしたい
・オンライン研修:リモートワークや複数拠点で実施したい
・eラーニング:進捗状況を管理したい

上記があくまで例ですが、社員の働き方や企業の規模によって、最適な研修方法は異なります。複数の研修スタイルを採用し、社員にライフスタイルと合った方法を選んでもらうという方法もあります。自社の教育に効果的な実施方法がわからない場合は、専門の研修業者に依頼するのもおすすめです。

ハラスメントが起きない職場づくりのポイント

ハラスメントが起きない職場づくりを進めるためには、次のポイントが大切です。
・正しい知識を身に付ける
・メンバー同士が気づきあえる環境をつくる
・風通しの良い職場にする
それぞれのポイントについて詳しく解説します。

正しい知識を身に付ける

ハラスメントが起きない職場づくりを進めるには正しい知識を身に付けることが重要です。職場でハラスメントが発生していても、知識がなければ気づきにつながらないからです。例えば上司が休日にも出勤を強要し、休みなしで働くことはパワハラにあたります。しかし残業が常態化し、休日もサービス出勤が当たり前になっていれば、それをパワハラとは認識しにくくなるでしょう。ハラスメントを学び、理解を深めることで、自分の置かれた状況がハラスメントにあたるのか明確な判断基準ができます。ハラスメントの定義を理解していれば、思い込み、指導の一環とは判断せず、是正を促し、職場環境の改善が期待できます。

メンバー同士が気づきあえる環境をつくる

ハラスメントが起きない職場をつくるには、職場のメンバー同士で気付きあえる環境をつくることもポイントです。ハラスメントに悩んでいる社員がいたとしても、人には話せずに抱え込んでいることも少なくありません。同じ職場の仲間として素早く異変に気づき、積極的に声をかけられる環境を作りましょう。環境づくりには一般の社員だけでなく、マネジメントを行う管理職の協力も不可欠です。会社が一丸となってハラスメントを撲滅する意思を示し、メンバーが相談しやすい環境にする必要があります。

風通しの良い職場にする

ハラスメントが起きない職場をつくるには、社員同士の交流を活性化し、風通しの良い職場にすることも大切です。ハラスメントが起こりやすい会社に共通する問題が、経営層や管理職の権限が強すぎて指示・命令でしか動けない人材が多いことです。上司の権限が強すぎると、部下は萎縮して意見できず、ハラスメントの助長につながります。上司と部下という一定の関係性を守る必要はありますが、対等に近い関係性でコミュニケーションを行い、頻繁に意思疎通を図ることを意識しましょう。

ハラスメント教育はユーキャンで

ハラスメント対策義務化による社内のハラスメント意識向上、ハラスメント教育でお悩みならユーキャンにおまかせください。ユーキャンの企業向けハラスメント研修なら、社員のハラスメント意識を高め、ハラスメントを未然に防ぐことができます。ハラスメント研修は管理職向け、若手社員向け、ハラスメント防止コミュニケーション講座など目的にあった内容を取り揃えております。また、ハラスメントが起きない環境づくりに必要な知識も習得できるため、社内の課題解決に役立つでしょう。ハラスメント教育をお考えの方はユーキャンにお問い合わせください。

まとめ

ハラスメント教育について、研修内容や目的、具体的な実施方法などを解説しました。ハラスメントは職場のコミュニケーション不足や、個人の認識の相違、職場環境が大きく影響する課題です。管理職はハラスメントにならない指導法、部下との関わり方を学び、一般社員はハラスメントへの基礎知識と対応を学ぶことが改善への糸口になります。社内が一丸となって教育を行い、ハラスメントが起きない職場環境づくりを目指しましょう。

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