プログラミングとは何か?
プログラミングという言葉は聞いたことがあっても、意味について深く考えることは少ないかと思います。プログラミングはコンピュータに指示を出すことを意味し、どのような目的で何をしたいのかという指令を出すことです。プログラミングでは特定のパターンを組んで「この動作をしたい時はこの指示を出す」という一定の処理を行うように設計を行います。
関連リンク:プログラミング教育とは? 目的や必要性、企業の研修に導入する際の注意点を解説
関連リンク: IT教育のメリットや日本の現状とは? 海外の事例やICTとの違いも解説
加速するIT技術の発展
プログラミングが注目される背景には、年々加速するIT技術の発展があります。
自動運転車やAI、遠隔での監視カメラ利用、IoTなどさまざまな技術が進歩しており、それらすべてにプログラミングが必要です。ビッグデータの活用やDXを推進するためにも、プログラミングの力が欠かせません。デジタル時代に入ったことで、プログラミングの重要性も高まっているといえるでしょう。
高まるプログラミングの需要
プログラミングの需要が高まっている理由には、デジタル時代に入ったこと以外にも複数の理由があります。
AIの登場によってプログラマーの仕事がなくなると懸念されていますが、AIには情報精度の甘さもあるため、プログラマーの需要は高い状態が維持されるでしょう。 むしろ今後はどの分野・企業においてもデジタルが主戦場になり、プログラミングスキルはますます重要性が増していく可能性が高いです。
主なプログラミング言語の種類
プログラミング言語は主要なものだけでも200種類以上、派生したものも含めれば1,000種類以上あるとされています。本項では世界的にも多くの愛用者、有名サイト・アプリなどでも使用されているプログラミング言語をご紹介します。
①C言語(シー言語)
C言語は1972年に開発された非常に歴史の長いプログラミング言語です。昔からあるC言語はシステム開発や組込みソフトウェア開発、ゲーム開発、ソフトウェア開発などのさまざまな場面で利用されています。その汎用性の高さとフレームワークの豊富さ、実行速度の速さから多くのプログラマーに高く評価されています。一方で習得難易度は高めであるため、初心者が学ぶには難しいことも多いです。
②Java(ジャバ)
Javaは、世界的なIT企業のGoogleも開発に用いているプログラミング言語の1つです。
Javaは仮想マシンという実行環境により、あらゆるプラットフォームで適切に実行できる機能があります。 スマホアプリやシステム開発、家電の組込みソフトウェアなどもJavaが使用されており、日常生活の身近な機器にも欠かせない言語です。 その分プログラマーの需要も高く、今後の需要も期待できます。
③Ruby(ルビー)
Rubyは1995年に公開され、無料で利用できるオブジェクト指向スクリプト言語です。
コード記述がシンプルで読みやすいことから、プログラミング未経験から学びたい方にも向いています。Rubyを使用すると、アプリケーションサイトやショッピングサイトの作成、SNSの開発なども可能です。Pythonとも共通する部分は多いですが、RubyはWebサイトやSNSなどの構築に特化している点が特徴です。
④PHP(ピーエイチピー)
PHPはブログを含む動的コンテンツの作成に強いプログラミング言語です。ブログのお問い合わせフォームやECサイトの作成にも使用されています。文法がわかりやすいことから、基本を学べば初心者でも簡単にプログラムを記述でき、初めて学ぶプログラミング言語としてもおすすめです。PHPにはPHP技術者認定機構の認定スクールもあるため、体系的に学びたい方はスクールを利用してもよいでしょう。
⑤Python(パイソン)
Pythonはオープンソースのプログラミング言語でありながら、機械学習でも盛んに利用されているものの1つです。少ないコード記述でもプログラムの実行が可能で、数万に及ぶライブラリの豊富さ、フレームワークの多様さで人気が高まっています。AIのソフトウェア開発やゲーム・アプリケーション開発、SNSでも使用されており、Pythonを取り扱えるようになれば、多くの企業で必要とされる人材になれるでしょう。またオフサイドルール初稿を原則にしているため、文の塊がわかりやすく、誰が書いても同じように実行できる点も需要を高めている要素になっています。
プログラミングを学ぶメリット
ロジカルシンキングが向上する
プログラミングは多くの文章を記述し、どこか1つでも間違っていれば、エラーになって実行できません。エラーが出る度に間違っている箇所を修正し、再びエラーが出れば修正するという地道な作業の繰り返しです。エラーが出るのは論理的に間違った記述があるからであり、どこに間違いがあるのか推測する必要があります。そうしたトライアンドエラーの繰り返しがロジカルシンキングになり、論理的に考える能力が磨かれていくでしょう。
将来性がある
プログラマーはデスクワークが中心の仕事ですが、他の仕事とは違い、AIに代替される可能性が低いとされています。そもそもAIに学習させるプログラムを記述するのがプログラマーの仕事であり、ITやAIが発達するほど、プログラミングスキルが必要になるからです。そのため、事務仕事や工場の生産ラインなどが完全に自動化される時代になっても、プログラミングスキルの需要が減ることは考えにくいです。
プログラミングでできることは?
プログラミングでできることを一言で表現するのは難しいですが、既にできていることとして以下のものが挙げられます。
- ・WEBサイト・ECサイトの作成
- ・アプリケーション・ソフトウェア開発
- ・ゲーム開発
- ・基幹システム開発
- ・家電などへの組込みソフトウェア開発
- ・AI・ロボット開発
- ・自動化ツール開発
細かく分類するなら他にも数多くのものがあります。
プログラミングには自動処理、正確処理、高速処理という3つの特徴があり、人間にできない大量の情報や演算を処理する能力があるためです。
WEBサイトに使用されているプログラミング言語
企業のHPやブログなどのWEBサイトに使用されているプログラミング言語について、代表的な4つをご紹介します。
①HTML(エイチティーエムエル)
HTMLはWEBページ作成に必要な言語の1種です。WEBサイト作成の際に、見出し・段落・表・リンクなどがどのような役割を持つか指示を出し、サイトの見た目に関係します。
インターネット上で閲覧できるWEBサイトの文字や見出しなどの一つひとつが、HTMLであると考えるとわかりやすいでしょう。
どのサイトでも使用される言語であることから、プログラミング初心者にとっても習得の重要性が高い言語といえます。
②CSS(シーエスエス)
CSSはHTMLと並び、WEBサイトのデザインやスタイルに関係するプログラミング言語です。 HTMLが文章に関連するデザインに関連する一方で、CSSは文字の色や大きさ、背景色などの見栄えに関係します。
CSSはHTMLとセットで使用することにより、さまざまなWEBサイトのデザイン、色合い、レイアウトなどを自由に変更できます。HTMLの要素に指示を書くことで、さまざまな装飾を施すことが可能です。プログラマーやWEBデザイナーを目指すなら、習得しておくとできることの幅が大幅に広がるでしょう。
③JavaScript(ジャバスクリプト)
JavaScriptはWEBブラウザ上のアニメーションや動的操作、データの検証・処理などを行うプログラミング言語です。JavaScriptで実現できることの例には以下のものがあります。
- ・サイトの画像をスライドショーにする
- ・ボタンの設置
- ・地図などの表示
- ・アクションによるコンテンツの表示
- ・ポップアップウィンドウ
上記は一部の例だけですが、ユーザーのアクションに紐づいた処理を行えます。
スマホとパソコンで見るWEBサイトの多くにJavaScriptが使用されており、プログラミング言語の中でも使用頻度が非常に高い部類です。
④PHP(ピーエイチピー)
PHPは先ほども説明した通り、動的なコンテンツ作成に強いプログラミング言語です。
Amazonや楽天などのECサイトの開発に適しており、操作に慣れれば初心者でもECサイトの基本構造が作成できます。
PHPは初心者でも文法がシンプルでわかりやすく、習得難易度が低いことから、独学からプログラミングを始めたい方にもおすすめの言語です。
PHPはWEBサイトの開発現場でよく使用されることから、習得しておくとプログラマーとして一定のスキルを持つ証明になり、案件獲得でも有利に働きます。
プログラミングの学習方法
関連リンク:おすすめのIT資格12選|取得するメリットやそれぞれの特徴、資格の選び方を解説
準備が必要なもの
プログラミングを学ぶには、必ず準備しておくべきものがあります。
- ・パソコン
- ・インターネット回線
- ・テキストエディタ
上記の3つを準備しておけば、プログラミングの学習が可能です。テキストエディタはOSに合わせて、自分が使いやすいものを選択しましょう。
具体的な学習方法
プログラミングの学習方法は、自分に合ったものを選ぶことが一番の近道です。
初心者におすすめの学習方法を4つご紹介します。
WEBサイト
プログラミングは若い方から中高年まで、幅広い年齢層に需要が広がっています。需要の高まりに応じてプログラミングを専門に扱うWEBサイトも増加しており、無料で基礎的な内容を学べるサイトも少なくありません。自分の好きなタイミングでプログラミングが学べるため、仕事や家事で自由な時間の少ない人にも向いています。ただし応用的な内容の少なさや情報精度の低さ、トレンドの遅れのあるサイトもあるため、書かれている内容が本当に正しいか判断する必要があります。
セミナー・勉強会
プログラミングのセミナーや勉強会も、初心者が学ぶのならおすすめです。
公開研修を開催するもの、エンジニアと交流できるもの、一定期間学んでスキルを身に付けるものまでさまざまな内容があります。ハローワークがエンジニアを招待して開催するセミナーもあり、一部は実質無料で学習できる点も魅力です。
参考書やWEBサイトでの独学に限界を感じている方、現場で働くエンジニアから学びたい方に向いています。また自分と同じエンジニアを目指す仲間と交流したい方も、セミナーや勉強会に参加すると理解促進と勉強への励みになるでしょう。
プログラミングスクール
体系的に学習し、エンジニアとして着実に実力を付けたいならプログラミングスクールがあります。教室またはオンラインで学習し、講師にプログラミングの基礎から現場で必要な技術まで満遍なく学べます。自分一人では理解できない部分があっても、講師に質問すれば答えがもらえる点も特徴です。自己学習に限界を感じている方は、プログラミングスクールに通うと成長につながります。
書籍を読む
費用を抑えつつ理論や体系的な学習を進めるなら、書籍を読む方法もあります。
プログラミングは需要が高く、さまざまなプログラミング言語の参考となる書籍もたくさんあります。独学でプログラマーを目指すのであれば、書籍で必要な知識を学びつつ、実践してスキルを磨くのがよいでしょう。
またプログラミングスクールと並行して、書籍でスキルを磨くのもおすすめです。
プログラミングを独学で習得するコツ
プログラミングの学習を始めたら、できるだけ早く習得したいと誰もが考えるでしょう。
独学でプログラミングを習得するために、実践しておきたいコツをご紹介します。
何を作成するのか目標を決める
プログラミングを独学で習得するには、まず自分がプログラミングで何をしたいのか目標を決めましょう。目標を決めずに知識や技術を学んでも、習得へのモチベーションが上がらず、学習速度も著しく低下するからです。
例えばアプリを自作したい、サイトデザインを自分で思い通りに変えてみたいなど、自分がやってみたいことを目標にしましょう。目標が明確なら何を学ぶべきか、今の自分に足りない知識・スキルは何かが明確にできます。最初は簡単な目標からスタートし、徐々に目標のハードルを上げて実力を身に付けることが大切です。
実際に作業してみる
目標が決まったら、次は実際に作業をしてみます。プログラミングはアプリやWEBサイト、システム、ソフトウェアでそれぞれ必要な言語が異なります。最初は書籍やスクールで学んだ内容をそのまま実践し、完成したら実行してください。次は一歩進んだプログラムを作成し、動作するかどうか確認しましょう。 大事なことは、わからなくなったとしても最後まで作成を続けることです。 完成後もトライアンドエラーで少しずつ問題点を改善することで、プログラミングスキルが高まります。
簡単なものから挑戦する
プログラミングも学校の勉強と同じで、基礎をしっかりと固めることが大切です。
最初から高度なものを作ろうとするのではなく、簡単なものを作ることに挑戦しましょう。いくつか作るうちにエラーが少なくなりますから、スキルが身に付いたと感じたら少し難易度を上げるのがコツです。高度なプログラムであっても、元々は基本的なプログラミング技術を組み合わせています。参考書やWEBサイトの情報を頼りに、初心者でも挑戦しやすいものから始めてください。
勉強会に参加して刺激を受ける
プログラミングの習得とは直接関係はありませんが、勉強会や講演に参加することも重要です。勉強会や講演でエンジニアの話を聞き、同じ志を持つ仲間と出会えれば、学習意欲も高まるでしょう。
独学でプログラミングを学ぶ際、一番の敵は自分自身のモチベーションです。
一人で黙々と学習すると先の見えない不安、自分のスキルがどの程度なのか客観的に見られません。
外で学習する機会を利用し、モチベーションを維持することも大事なコツです。
プログラミングの代表的な専門用語
初心者が理解に苦しむプログラミングの専門用語について解説します。
①仮想マシン
仮想マシンとは、コンピュータ内で仮想のコンピュータを再現する技術のことです。 プログラミングでは本番の環境で実行する前に、プログラムを実行しても問題が起こらないか確認する必要があります。その際に使用されるのが仮想マシンで、物理的なサーバーがなくても、実際の環境を再現して稼働させられます。仮想マシンはあくまでコンピュータのファイルの1つですが、実際の物理コンピュータを再現しているため、ほぼ同じように動作可能です。
仮想マシンを稼働させるコンピュータをホスト、仮想マシンはゲストと呼ばれています。
仮想マシンは開発環境では有用な技術ですが、ソフトウェアをインストールする必要があるため、ホストのメモリや記憶媒体の容量を多く消費する点には注意しましょう。
②マージ
マージは英語に由来しており、融合・結合・統合などの意味があります。
プログラミングの世界では「マージする」という使われ方がされ、複数のコードを結合して新しいプログラムにする時に使われます。開発現場では効率化のために複数の工程を別々のチームが作成し、完成したらマージするのが一般的です。例えば、Aチームの書いたコードとBチームの書いたコードがある場合、共通する部分はそのままで、マージすることによって1つのプログラムとして完成します。マージという言葉は多くの開発現場でも使われていますから、覚えておきたい専門用語の1つです。
③ステージング環境
ステージング環境とは、開発現場において本番に近い環境を用意し、構築したものを指します。ステージング環境の段階では開発者やテスターが実際に利用し、プログラムの動作性やシステムの検証などを行います。環境設定や構成は本番と同様のものを用意し、リリース前にエラーや不具合の有無を確認するために重要なポイントです。ステージング環境で問題がなければ、本番環境へと移行していきます。
プログラミングを活かせる仕事
プログラミングスキルを活かせる仕事の代表例を2つご紹介します。
システムエンジニア(SE)
システムエンジニアはシステムの設計、開発、テストまで開発現場の幅広い業務を行う仕事です。開発現場では上流工程を担当することが多く、プログラマー向けに要件定義や仕様書作成を行うのもシステムエンジニアの仕事です。また開発以外ではシステムの保守・運用を担当することもあり、その場合は社内SEとして雇用されることもあります。システムエンジニアはプログラマーとして多くのプロジェクトを経験し、システム開発の全体像を理解している人が就くことが多いです。
プログラマー
プログラマーはプログラミング言語を駆使して、システム開発やソフトウェア作成を行う仕事です。要件定義や仕様書に従って、開発現場の下流工程を担当する重要な存在です。
プログラミングするものは多岐にわたり、企業向けのシステムやソフトウェアだけでなく、物流システム、アプリケーション、ゲーム、組み込みソフトウェアもプログラミングします。基本的には複数のプログラマーでチームを組み、担当に分かれてコード記述を行います。 プログラマーとして経験を積んだのちにシステムエンジニア、プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーマネージャーなどにキャリアアップする方も多いです。
まとめ
プログラミングの需要、人気の高い言語、初心者向けの学習方法などを解説しました。
プログラミングはAIの普及で淘汰されるという噂もありますが、人でなければできないことは多く、ITの普及・浸透で今後も需要増加が見込まれます 専門性に特化していく必要性は高まると予想できますが、需要がなくなることはないでしょう。
昨今のデジタル化が加速し、企業はデジタル人材の育成が急務です。まだ対応が出来ていないという企業様は、まずは基本的なIT知識を社員に身につけさせることが重要です。ユーキャンのITパスポート講座ならIT知識を丸っと学ぶことができ、企業のデジタル化の第一歩に最適です。ぜひご活用ください。