エンゲージメントとは?ビジネス上の意味を分かりやすく解説!

  • 公開日:2023.09.12

    更新日:2024.09.11


    エンゲージメントはさまざまな意味を持つ言葉ですが、ビジネスシーンでは企業などの組織と個人が一体となり、お互いの成長に貢献しあう関係を指します。この記事では、ビジネスシーンにおけるエンゲージメントの概要、エンゲージメントを高めるメリットなどについて解説します。

エンゲージメントの概要

エンゲージメント(engagement)は、日本語に訳すと婚約、誓約、約束、契約といった意味になります。使用する場面によっても意味やニュアンスは変わりますが、基本的には深い繋がりを持った関係性を示す言葉です。 ビジネスシーンにおけるエンゲージメントは、企業などの組織と個人が一体となって、相互の成長に貢献し合う関係性を指す言葉として使われます。

企業におけるエンゲージメントの定義

エンゲージメントは活用する場面によってさまざまな種類がありますが、中でもビジネスシーンで使われる3種類のエンゲージメントについて解説します。

従業員エンゲージメント

企業と従業員が相互に影響し合い、どちらも成長できるような関係を築いていくのを目的とするのが従業員エンゲージメントです。 そして、従業員エンゲージメントを向上させる要素は、以下の3つです。
・働きやすさ
自分と周囲の人との関係性が良好であり、自身に合った職場だと感じられることを指します。

・やりがい
仕事に関する方針やあり方など、従業員の願望の達成度合いを指します。


・ビジョンへの共感
企業の経営方針や職場の雰囲気などを従業員が無理なく受け入れられているかを指します。

顧客エンゲージメント

顧客エンゲージメントとは、企業と顧客の間の信頼関係や親密度を指します。顧客エンゲージメントが高いと、企業が提供する商品やサービスに対して顧客が好印象を持ち、継続的に購入したり知人へ紹介したりするプラスの効果が期待できます。逆に顧客エンゲージメントが低いと企業の商品への購買意欲が低下し、企業の利益は低下していくでしょう。オンラインでのショッピングが普及した現代において、他社との競争で優位に立つには顧客エンゲージメントが重要な要素です。顧客エンゲージメントは顧客からの要望、改善点を積極的に取り入れ、顧客視点に立つことで高められます。

従業員満足度との違い

従業員エンゲージメントと似た言葉として、従業員満足度がありますが、それぞれ意味が異なります。 従業員満足度は、労働環境や待遇、福利厚生など、従業員の仕事や職場に対する満足度を表します。一方で、従業員エンゲージメントは、従業員が企業の理念やビジョンなどに共感し自発的に企業へと貢献する意思を持っていることを表す言葉です。

従業員エンゲージメントを高めるメリット

従業員のエンゲージメントを高めると、さまざまなメリットを得られます。ここからは4つのメリットを取り上げて解説します。

組織の活性化に繋がる

従業員エンゲージメントを高めるメリットとして、組織全体の活性化に繋がることが挙げられます。エンゲージメントの高い従業員は、自分の仕事だけではなく企業の理念に対しても、積極的な取り組みや熱意を持った姿勢で臨んでくれます。そのため、自らの成長や問題解決に加えて、組織全体を活発な雰囲気へ導いてくれる可能性が高いです。

生産性や効率が上昇する

生産性や効率が上昇するのも、従業員エンゲージメントを高めるメリットの1つです。従業員エンゲージメントが高い状態だと、事業の課題や利益向上などに対して当事者意識を持って積極的に取り組む姿勢になるためです。また、生産性に関してはこちらの記事も参考にしてみてください。
参考:生産性向上とは? 求められる背景や業務効率化との違い、成功のポイントも解説|企業向け人材育成・社員研修サービスのユーキャン

業績が向上する

従業員のエンゲージメントを高めるメリットとして挙げられるのが、業績の向上です。企業の方針やビジョンに対して賛同している状態の従業員は、継続的な貢献性を発揮して事業における課題や利益向上に対して積極的に取り組んでくれます。



その結果、商品やサービスなどの品質が向上して売上や業績がアップ、他企業との競争にも負けない体制の構築などの効果が期待できます。

離職率が低下する

離職する従業員が多い場合は、従業員エンゲージメントが低い可能性があります。 従業員のエンゲージメントを高めると、従業員の離職率が低下して定着率が向上することに繋がります。企業への信頼を持ち、愛着や価値を見出している従業員は、長期間その企業で働きたいと感じてくれるからです。

エンゲージメントが高く、積極的に業務へと取り組んでくれる従業員長く残れば、長期的な業績の向上や経営の安定に貢献してくれます。

従業員エンゲージメントを高める方法

従業員のエンゲージメントを高める方法は複数あります。ここからは、従業員のエンゲージメントを高める5つの方法と、それぞれの詳細について解説します。

従業員の価値観を知る

従業員のエンゲージメントを高める方法として挙げられるのが、従業員の価値観を知ることです。最も優先することが仕事である従業員もいれば、仕事よりもプライベートを大切にしたい従業員もいるなど、それぞれに価値観は異なります。価値観を尊重し、適性を見極め仕事を割り振るなど、働きやすい環境の整備を行えば、従業員エンゲージメントの上昇が狙えます。

企業の方針や考えを共有する

企業の方針や考えなどを、従業員に共有するのも大切です。経営理念や行動指針を理解してもらえれば、どんな理由で働き、何を目指して動くのかが分かりやすくなるからです。また、経営層や上司から部下に向かって発信するだけでなく、従業員による振り返りや議論の時間などを設けると、理念や指針が浸透しやすくなります。

環境や制度を改善する

環境や制度を改善するのも、従業員エンゲージメントを高める方法の1つです。 パソコンやインターネットなどのインフラを充実させ、利便性を上げて業務に取り組みやすい環境にする、評価や給与体系などを整備して分かりやすくし、モチベーションアップを促すなどが具体的な施策です。評価や給与体系などに関しては、不信感を持たせてしまわないように、経営理念や行動指針などと矛盾しないようにしましょう。

オーナーシップを持たせる

従業員にオーナーシップを持たせると、従業員エンゲージメントの向上が狙えます。指示された業務や言われたことだけを行う受け身な姿勢で業務を行うより、自主的に業務に取り組み、課題解決や業績向上を目指す姿勢への変化を促せるからです。自分の能力を発揮できるようになります。

なお、オーナーシップを持たせる際は、情報共有や権限移譲などの手順を踏んで環境を整備してから実施するのがおすすめです。

社内のコミュニケーションを促す

社内のコミュニケーションを促すのも、従業員エンゲージメントを高める方法として挙げられます。従業員同士のコミュニケーションが円滑に行われるようになれば、業務中のやり取りや報告などがスムーズになり、効率や生産性の上昇が期待できます。 従業員同士の人間関係が良好になれば、職場というコミュニティへの定着に繋がる可能性もあり、新たなイノベーションが生まれやすい土壌の形成にも役立ちます。

従業員エンゲージメントが高い企業の事例

従業員エンゲージメントについてより理解したい場合は、実際の事例を確認するのがおすすめです。ここからは、従業員エンゲージメントが高い企業を3つ取り上げて紹介します。

大手運輸会社A

従業員エンゲージメントが高い企業として、大手運輸会社Aが挙げられます。大手運輸会社Aは従業員エンゲージメントを高める施策の一環として、2008年11月から満足ポイント制度を導入しました。満足ポイント制度は、周囲や企業からの評価、自己評価などをポイントに変換してインフラネットに蓄積し、貯まったポイント数に応じて4種類のバッジを贈呈する取り組みです。より良いバッジを入手するためには、自分や周りの人の良い面を引き出したり、従業員同士で信頼関係を築いたりする必要があるため、従業員同士の褒め合う文化が生まれ、モチベーションの向上や、事故の減少に繋がったそうです。

コーヒーストア運営会社B

コーヒーストア運営会社Bも、従業員エンゲージメントが高い企業の1つです。企業の方針として、従業員がミスした際に注意したり叱ったりすることをせず、自分の行動によって相手がどう思ったか、より良い行動はどんなものだったかを自ら考えさせるようにしています。
従業員は、ミスをしても叱責されないが、改善のために必要なことは自身が考えなければならないため、ミスを恐れて消極的になったり、指示を待つだけの受け身な姿勢になりにくく、自ら考えて積極的に動けるようになります。 また、優秀な従業員を表彰する制度なども整えており、従業員のエンゲージメントを上げる環境作りに努めています。

大手重機メーカーⅭ

大手重機メーカーCは、従業員エンゲージメント向上のためにさまざまな施策を行っている企業です。チームワーク、動機付け、信頼などを含む5つの要素について調べ、従業員エンゲージメント向上のために必要なこと、もたらす効果、目標の構築方法などについて検討しました。

そうして得られたデータを基に課題を洗い出し、課題を解決するための要素を盛り込んだカリキュラムを作り上げ、トレーニングとフィードバックを繰り返して精度を上げていき、従業員エンゲージメントの向上を実現させました。

まとめ

エンゲージメントの概要や種類、従業員エンゲージメントを調べる方法や高めるための施策、得られるメリットや実際の事例などを解説してきました。しかし、従業員エンゲージメントを高める環境を整えても、従業員の理解がないと充分な効果を発揮できない可能性があります。

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