社労士の年収は?難易度や「仕事がない」の実態も解説
需要の高い社労士。社労士の平均年収について詳しく解説します。
社労士(社会保険労務士)は、資格取得までに必要な勉強時間が目安として700〜1000時間、合格までの平均受験回数は3回程度と難易度の高い資格です。しかし、取得をめざすならばできる限り短期間で合格したいものです。
この記事では、社労士の資格を取得するまでのプロセス、勉強方法、さらに職業の詳細について解説します。社労士資格を目指している方は、ぜひ参考にしてください。
社労士試験は例年8月に実施される国家試験で、完全マークシート形式で行われます。「労働関係」と「社会保険」のジャンルから全8科目が出題され、選択式の問題と択一式の問題で構成されます。各科目で合格基準点が設定されているため、全科目で合格点を取るための勉強が必要です。
合格率は令和5年度が6.4%でしたが、過去10年間を見てみると10%に近い年度もあれば2%台という年度もありました。変動があるとはいえ、難易度の高い試験であることは間違いありません。
また、社労士試験は受験資格があり「学歴」「実務経験」「その他の国家資格」のいずれか1つを満たしている必要があります。学歴の場合は大学や短期大学、高等専門学校を卒業している人などが対象となり、実務経験では社労士や弁護士の業務の補助に通算3年以上従事していた人などが対象です。その他の国家資格では、行政書士の資格や厚生労働大臣が認めた国家試験に合格した人などが対象となっています。
社労士資格を取得するためには、一般的に700~1000時間程度の勉強が必要といわれています。700時間を1年でこなす場合、1日あたり2時間勉強をしなければなりません。独学で挑むこともできますが、試験そのものの難易度が高いため合格を目指すのはかなりの難関といえるでしょう。
効率よく学ぶための講座もありますので、独学での勉強方法とあわせて紹介します。
独学で合格をめざすならば、社労士資格が国家資格であるということを踏まえて勉強を進めましょう。国家資格は、知識水準が一定以上でなければ取得することができません。逆にいえば、一定の知識水準をクリアできるレベルの勉強をしていれば合格が可能ということです。できる限りの高得点をめざすのではなく、合格点以上をめざすことを基本にすると勉強を進めやすくなります。
合格点以上をめざすためには、まずは過去問や頻出論点の出題傾向を掴んでおきましょう。出題傾向を押さえておけば、あとは基礎力を高めることが合格への近道となります。また、社労士試験は基本的に記憶の試験であることを忘れてはいけません。繰り返し学習してしっかり記憶を定着させることが大切です。
これらのポイントを踏まえ、全科目を横断的に学習していきましょう。すべての内容を完璧に網羅することよりも、合格点をクリアすることに焦点を当てた勉強が必要なのです。
講座を利用すると、最新のノウハウに則った効率の良いカリキュラムで学ぶことができるため、最短期間で合格をめざすことができます。さらに、法改正があった場合には最新情報が届くため迅速に対応でき、時間を無駄なく使うことができます。また、講師への質問が可能であるため、わからない点を理解しやすいという利点もあります。
講座にはたくさんの種類がありますが、質問がしやすい環境や仕組みが整っている講座を選ぶと安心です。また、合格人数を公表している講座の場合には、実績も選ぶうえでの重要な要素となるでしょう。また、最近ではスマホなどで講座を視聴できるものもあるため、より時間を有効活用するためにこうしたサービスがある講座を利用するのもおすすめです。
講座利用での教材は、テキストと問題集が基本のセットです。さらに、DVDやCD、そしてスマホなどで視聴できるシステムを完備している講座も多くなっています。通学や通勤の時間にはCDやウェブのシステムを利用し、自宅ではDVDやテキストと問題集を使うなどすると効率良く勉強できるでしょう。
費用の目安は4~20万円ほどとなっていますが、教育訓練給付制度が利用できる講座ならば受講料の一部の給付が受けられる場合があります。教育ローンを利用できる講座もあるので、家計状況に合わせた講座を選びましょう。
社労士のほかにもさまざまな資格があります。行政書士や司法書士など、どの資格を取得するのかを迷っている場合もあるでしょう。そこで、ほかの資格と社労士資格の難易度について比較してみます。
行政書士と比べると、社労士試験の難易度はやや高めです。行政書士の合格率は平均9〜10%、社労士の合格率は平均6〜7%なので、合格率からも社労士の難易度がやや高めと言えます。ただし、試験科目がまったく異なるため難易度の感じ方は人によって異なるかもしれません。社労士の場合は社会保険関連の法律が中心ですが、行政書士は法令科目のほか政治、経済、社会なども幅広く出題されています。
社労士と司法書士では、司法書士のほうが難易度は高いとされます。司法書士は、平均5年以上勉強しても合格率が3%程度という難関試験です。司法書士試験は受験資格がないことが特徴で、誰でも受験できます。しかし、民法や商法、民事訴訟法などの法律科目が幅広く出題されるため合格するのは簡単ではありません。択一式のほか、記述式の問題が出ることも社労士とは異なる司法書士試験の特徴です。
税理士試験は、必須となる会計2科目と税法9科目の計11科目と受験科目が多いことが特徴です。11科目のうち5科目に合格すると資格取得となり、合格までに4~5年かかるといわれています。そのため、社労士よりも難易度は高いといえるでしょう。
合格した科目に有効期限はないため、1科目ずつ時間をかけて取得して5科目そろえる手法で試験合格をめざす人が多くなっています。
中小企業の相談役となる中小企業診断士の難易度は、社労士の難易度と比較するとやや高めです。どちらも会社勤めをしながら約1年勉強をして資格取得をめざすことも可能とされています。
中小企業診断士は経営面についての幅広い知識が必要となるため、社労士とはまったく違う資格となります。また、中小企業診断士として仕事をするためには、資格だけでなくノウハウや実績が重要視されます。
社労士は、労務や人事のスペシャリストとして働きます。企業が人を雇ううえでは、さまざまな法律に則って適切に労働環境を管理しなければなりません。また、雇用保険や健康保険、厚生年金などの手続きを行う必要も出てきます。こうした手続きをさまざまな法律に沿って適切に行うのが社労士の仕事なのです。
2018年に厚生労働省が実施した賃金構造基本統計調査では、平均年収は499万7,400円となっています。これは年齢50.8歳、勤続年数が13.7年の場合のデータです。月収に換算すると35万9,500円、賞与が68万3,400円となります。ただし、独立開業した場合には年収が1000万円を超えるケースもあります。逆に、年収200万円にも満たないケースもあるため実力によって大きな差が出る職業といえそうです。
AIなどの発展により需要が減る資格が多い中、社労士の仕事はほかの資格に比べると需要が年々高まっています。それは、昨今、セクハラ問題や社員教育問題などの労働環境についての問題が多く発生し、これらは画一的な対応ができないため、社労士が解決するしかないからです。よって、社労士はこれからも重要視される仕事となることが予想されます。このことから、社労士は将来性がある資格といえるでしょう。
社労士は難易度が高いですが、将来性も高い資格です。簡単に取得できる資格ではないため、講座を利用して効率的に勉強していくことがおすすめです。
ユーキャンの社会保険労務士講座なら、初学者の方でも始めやすいカリキュラムとなっています。また、最新の法改正情報を受け取ることができ、試験対策に不安はありません。実際に、過去10年間で1,944名の合格者を輩出している実績もあります。ユーキャンの社会保険労務士講座を利用して、効率的に資格取得をめざしましょう。
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正式に社労士になるには、社会保険労務士名簿への登録が必要です。登録には、「2年以上の実務経験」もしくは「全国社会保険労務士会連合会が行っている“事務指定講習”を修了」していることが必要となります。
社労士資格の合格基準点は、毎年の採点結果が出てから決まります。
合格ラインは各科目最低で40%、全体で60~70%以上の正解率が目安です。
1科目でも合格基準点に満たない場合は、総合点数が合格ラインにあっても不合格となりますが、合格定員が決められている試験ではないので、合格基準点以上を取れば、順位に関係なく合格となります。
社会保険労務士は、雇用や社会保険、労働問題、公的年金の分野で唯一の国家資格です。このことから、社労士の仕事に向いている人とは、「雇用や労働、年金などの問題に関心がある人」「高頻度な法改正に対応できる人」「細かい書類作成や計算作業が苦にならない人」「人事・総務のプロを目指す人」などが挙げられます。
社会保険労務士(社労士)は、労働問題や年金問題、社会保険のエキスパート。社労士試験には、受験資格があります。次の代表的な受験資格(学歴・実務経験・試験合格・過去受験)のいずれかを満たす必要があります。まずは「学歴」です。1)大学、短大、高専(高等専門学校)等を卒業した方、2)4年制大学で、62単位以上を修得した方又は一般教養科目36単位以上かつ専門教育科目等の単位を加えて合計48単位以上を修得した方、3)修業年限が2年以上、かつ、課程修了に必要とされる総授業時間数が1,700時間(62単位)以上の専修学校の専門課程を修了した方などと定められています。次に「実務経験」における主な要件は、「法人の役員または従業員(いずれも常勤)として、通算3年以上事務に従事した方」などです。また、「試験合格」「過去受験」における主な要件として、行政書士試験や厚生労働大臣が認める国家試験の合格者及び直近の過去3回のいずれかの社労士試験の受験票又は成績(結果)通知書を所持している方などにも受験資格が与えられます。