介護事務管理士とは?|資格の概要や取得方法、メリットをまとめて解説
- 更新日:2024/03/15
「介護事務管理士」は、介護施設などで事務として活躍するための知識やスキルを持っていることを証明する民間資格です。取得には、介護報酬請求業務などの介護事務のスキルや介護に関する幅広い知識が求められます。資格を取得することで、さまざまなメリットがあるため、介護職を目指すなら取得しておいて損はないでしょう。この記事では資格の概要をはじめ、仕事内容や将来性、資格取得のメリットなどについて解説します。
介護事務管理士の資格について
介護事務管理士とは、介護報酬請求を行うための知識やスキルをはじめ、介護事務に必要な知識が身につく資格の1つです。「技能認定振興協会(JMSA)」によって実施されており、国内では最初の介護事務に関する民間資格として、現在も多くの人が受験しています。
実際に、介護事務として働くために、この資格が必須なわけではありません。小規模施設では、資格保有者でなくても業務を担当しているケースもあります。しかし、高齢化により医療や福祉へのニーズが増す中で、介護事務は重要な役割として注目されているため、将来性が見込めるおすすめの資格です。
介護事務管理士の仕事内容とは
介護事務管理士の主な仕事は、介護報酬請求業務です。介護報酬請求業務では、介護報酬の計算や請求書の作成など、介護施設で必要となる事務作業を行います。
通常、介護サービスを利用した際の費用は、利用者が1~2割負担し、残りを介護保険が負担します。この費用のうち、介護保険から支払われる分の費用が「介護報酬」です。介護報酬の請求業務は、月末〜翌月初めなどに月1回発生します。その間は、以下のような業務を担当するのが一般的です。
- 施設利用者の案内
- 問い合わせ対応
- 介護業務のサポート
- ケアマネジャーのサポート
- 従業員のシフト作成 など
介護事務管理士の主な勤務先
介護事務管理士が活躍する場としては、介護保険施設や居宅介護支援事業所などの介護関連施設が主です。具体的には以下のような職場で活躍しています。
- ヘルパーステーション
- デイサービスセンター
- ショートステイ
介護事務管理士の将来性と向いている人
介護事務管理士をこれから取得するにあたって、将来性や向き・不向きは気になるところでしょう。介護事務管理士には、以下のような特徴があります。
- 業界ニーズの高まりにより将来性が見込める
- 責任感や高いスケジュール能力を持っている人に向いている
ここからは、将来性と向き不向きについて詳しく解説します。
介護事務管理士の将来性は?
世の中の高齢化が進んでいる昨今では、介護・福祉に関する職の需要が高まっており、介護事務も例外ではありません。また、働き方の多様化が重要視されているなか、多様な働き方ができる介護事務の人気は高まっています。
需要が高ければ、就職や転職だけでなく、復職もしやすいため、ライフスタイルの変化によって影響を受けやすい女性にも人気です。デスクワークであるため、体力的な負担があまりなく、長く働き続けられる点も注目されてます。
介護事務管理士に向いてる人とは
介護事務で働く人は、請求業務などの金銭の管理も担当するため「強い責任感」が求められます。また、介護業務に関わる仕事であるため、介護への関心も重要です。
毎月の介護請求業務に合わせて業務スケジュールを立て、効率的に進める必要があるため、スケジュール管理能力が高い人や、コツコツと正確に業務を行える人も、介護事務に向いているでしょう。
介護事務管理士を取得するメリット
介護事務管理士の資格を取得するメリットとして、以下の4つが考えられます。
- 仕事選びに役立つ
- 介護事務に関するスキルを証明できる
- 多様な働き方がある
- やりがいがある仕事に就ける
以下で詳しく解説します。
1.転職・就職が有利になる
介護事務の資格があれば、介護施設などへの就職や転職、復職が有利になります。介護関連の事業所は日本全国各地にあり、エリアを選ばず資格を活かして仕事選びができるのもポイントです。
介護事務のスキルをアピールして採用で有利になるだけでなく、資格手当など福利厚生やスキルに応じた給料アップなどのメリットも期待できます。
2.スキル・知識の証明になる
前述の通り、介護事務の仕事に就くために、介護事務管理士の資格が必須というわけではなく、資格なしでも就職できる可能性はあります。しかし、資格を持っていれば、知識やスキルを有する証明になるため、アピールポイントになります。
介護業界は人材不足も深刻化しており、人材育成に十分なリソースを確保できずに困っているという職場も少なくありません。そのため、知識やスキルをすでに持っている有資格者は、多くの職場で重宝されるでしょう。
3.多様な勤務スタイルを選択できる
介護事務の主な業務は、介護報酬請求業務であるため、常に発生するものではありません。そのため、時短勤務や正規雇用以外の働き方ができる職場も豊富です。
多様な働き方は、いくつかの職場を掛け持ちしたり、家事や育児との両立を図ったりするのに適しています。資格を取得しておけば、要望通りの勤務スタイルで働ける職場を選びやすくなるでしょう。
4.より大きな充実感を得られる
介護事務は、企業にとって重要なお金の取り扱いを任される重要な仕事です。大きな責任が伴いますが、やりがいがあり、問題なく業務を終えられれば、達成感につながるでしょう。
また、お金の管理だけでなく、利用者と交流する業務にも就けるため、仕事の幅が広いのも特徴です。さまざまな業務をこなしながら、充実感が得られます。
介護事務管理士の受験について
介護事務管理士の資格を取得するには、資格試験に合格する必要があります。試験の特徴は、以下の通りです。
- ネットやコンビニから試験に申込み可能
- 受験資格はなし
- 実技と学科に分けて実施される
- 年6回実施されている
ここからは、介護事務管理士の試験について、詳しく解説します。
受験までの流れ
介護事務管理士の試験を受験するためには、まず申込みが必要です。受験申込みは、インターネットやコンビニ端末から手続きしましょう。コンビニ端末から申込みをする場合、店舗が限られている場合もありますのでご注意ください。
申込み後、受験料を支払ったら、当日まで試験対策をするのみです。試験日から約1週間前には受験票が送られるため、失くさないように大切に保管しましょう。
受験資格は必要?
介護事務管理士の試験を受験するのに必要な条件は、特にありません。年齢制限などもないため、誰でも受験可能です。
在宅受験も選択できるため、試験会場に向かう手間もなく、気軽に受験できます。
試験の内容・合格率
介護事務管理士の試験は、「実技試験」と「学科試験」の2つに分かれて実施されます。実技試験では、レセプトの作成2問と点検1問が出題され、介護給付費明細書を正しく作成できるか、点検できるかを問われます。
一方、学科試験はマークシート方式です。介護保険制度についてや用語、単位数の計算など介護に関する法規と介護事務業務に関する問題が10問出題されます。
試験スケジュール|締切日・試験日・会場
介護事務管理士の試験は年6回、例年は奇数月の第4土曜日に実施されています。受験するための申込みは、試験日の1ヵ月前までとなっているので注意しましょう。
試験は、各主要都市にある指定の試験会場や専門学校などで実施されます。一部の地域では実施されないところもあるので、予め確認し、近場の試験会場を探すといいでしょう。
また、通信講座などでは在宅受験も可能です。自宅で落ち着いて受験したい人は、通信講座を利用するのもおすすめです。
介護事務管理士資格取得の方法
介護事務管理士資格は、大きく2種類の方法で取得できます。
- 資格取得支援をしているスクールや通信講座で取得する
- 自分で学習して取得する
それぞれの方法について、以下で解説します。
資格が取得できるスクール
介護事務管理士の資格取得支援をしているスクールや通信講座があります。特に、通信講座はオンラインのため、仕事や学業の傍らで効率的に学習できます。
独学の場合は、試験までの学習スケジュールも自身で管理する必要はありますが、資格取得のノウハウや実績がある通信講座であれば、短期間で効率的に学べます。
独学で取得する方法
介護事務管理士は、スクールや通信講座を利用しなくても、独学で取得可能です。独学に使う資料には、JMSAが提供する公式テキストや問題集を活用するといいでしょう。書店などで購入できます。
初心者向けの書籍など、公式以外にも学習用教材は多様にあります。自分のレベルに合わせて使いやすいものを選ぶ手間はありますが、通学に比べて低価格で学習できるメリットはあります。
ケアクラークとの違いは?
介護事務管理士と混同されやすい資格として「ケアクラーク」があります。どちらも介護事務に関する資格ですが、大きな違いは知識の幅です。
介護報酬の計算や請求業務を基本とする介護事務管理士とは異なり、ケアクラークは介護報酬請求だけでなく、医学や高齢者・障害者心理、福祉、コミュニケーションなど幅広い分野の知識を要します。
介護事務管理士にまつわるQ&A
介護事務管理士の資格を取得するにあたって、役立つ情報はまだまだあります。
- 年収平均は370万円程度
- 合格率の平均は60~70%
- 在宅試験では資料の持ち込みが可能
ここからは、よくある疑問点についての回答を、詳しく解説します。
介護事務管理士の給料はどのくらい?
介護事務管理士として働いた場合の給料は、月30万円程度が平均です。年収に換算すると約370万円となります。
高齢化により介護業界のニーズは高まっているものの、働く人材が不足しているため、多くの企業が待遇面の向上を目指しています。そのため、将来的に報酬アップも期待できる業界です。
取得の難易度は高い?
介護事務管理士の試験の合格率は、60~70%程度となっており、難易度はそれほど高くありません。しっかりと試験範囲の知識をつけて対策していれば、十分に合格できる数値です。
試験では、選択問題も出題されるため自分の得意分野の選択が可能です。自分がどの分野が得意なのかを見極め、重点的に学習するといいでしょう。
在宅受験ってどういうもの?
前述した通り、介護事務管理士の試験は、通信講座を利用すると在宅受験が可能です。自宅で答案を記入し、郵送するだけで試験が受けられます。
さらに、テキストや副教材のサービスコード表を見ながら、自宅という慣れた環境で、リラックスして受験できるので、初めてでも緊張せずに受験できます。
まとめ
介護事務管理士は、介護施設において重要な、介護報酬請求などの業務を任される重要な職種です。資格がなくてもできる仕事ですが、介護事務関連の資格を取得していれば、アピールポイントとなり、就職や転職、復職にも有利になるでしょう。
また、通信講座を利用して取得すれば、自宅受験ができ、資料の持ち込みも可能なため、初めての受験でも安心して挑めます。
さまざまな通信講座を提供するユーキャンの「介護事務講座」は、5年間で累計31,000人が受講しており、実績も十分の信頼できる通信講座です。実践的な知識とスキルを最短3ヵ月で学習できるほか、理解を助ける副教材がついているので、効率的に学べます。
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- この記事の監修者は生涯学習のユーキャン
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1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。
よくある質問
- 介護事務は独学で資格取得できる?
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介護事務の資格は独学でも取得可能です。ただし、モチベーションの維持が難しいといったデメリットもあるため、独学で続けられるか不安な方には、通信講座や通学講座がおすすめです。
- 介護事務の年収は?
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専業で正社員として働く場合の平均年収は、300万円程といわれています。専業でパートやアルバイトとして働く場合、時給は平均1,000円前後で、平均月収20万円、平均年収250万円となります。
介護事務とは、介護事業所で活躍できる有望スキルです。
介護事務は、介護サービス事業所や介護施設での事務、ケアマネジャーのサポート、介護報酬請求の業務や「介護給付費明細書(レセプト)」の作成などを主に行います。多忙なケアマネジャーを支える専門スタッフとして、介護事務は、今や介護事業の運営に欠かせない存在です。
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