目標達成の方法
従業員が目標を達成するには目標設定、アクションの決定、実行という大きな3つのステップを踏んでいくと良いでしょう。目標達成に向けた方法について、ポイントを解説します。
適切な目標を設定する
目標達成を目指すには、最初に適切な目標を設定する必要があります。適切な目標とは従業員の能力に見合っており、努力すれば達成できる難易度の目標を意味します。そのため、高みを目指すために高すぎる目標を設定するのではなく、努力で達成できる範囲を意識することがポイントです。その点も踏まえて、目標設定では次のポイントを意識しましょう。
・負担は適切な範囲か
・本当に達成すべき目標になっているか
・目標に具体性はあるか
・目標達成の基準や定量的評価方法はあるか
・達成した際のメリットは何か
・期限はいつまでか
上記のポイントを押さえ、個別性と具体性のある目標設定を行うのが最初のステップです。
具体的なアクションを決める
目標設定が完了したら、次は達成に必要なアクションプランを具体的に決定します。目標に具体性を持たせられているなら、ゴールに至るまでのタスクを細かく分析し、アクションとして計画しましょう。例えば、1か月の利益を「営業で500万円伸ばす」と目標設定した場合、営業職として取れるアクションを指定し、それぞれ目標となる数値を設定します。電話でのアポイントを1日100件、新規顧客への訪問を1日1件以上、1か月の新規契約数を10件などのわかりやすい数値で表します。 数値でアクション毎の目標を決定することで、必要な行動を可視化 できるからです。またアクションを決定する際は上司とも相談し、内容が適切か判断してもらうのもよいでしょう。他者の意見を取り入れることで、アクションプランの具体性を改善し、行動の幅を広げる効果が期待できます。
目標に沿って実行する
アクションプランを決定したら、目標達成のために実行段階へ移ります。アクション毎に設定した目標数値を達成するために、最適な行動を取っていきましょう。ただし、それぞれの数値はあくまで目標であり、絶対に達成しなければならないものではありません。
状況に応じて行動計画を調整しながら、目標達成を目指すことがポイントです。仕事をしていると思い通りに物事が進まず、計画通りのアクションができないこともあります。その場合でも、自分にできる最善の行動を取り続けることで、目標達成へと近づけるでしょう。
目標達成ができない原因
目標達成ができない5つの原因について解説します。
目標が明確になっていない
目標を達成できない時は、もともとの目標が不明確だったり、目標に具体性がなかったりすることが考えられます。不明確な目標を設定してしまうと、目標達成に必要なアクションや計画も不明瞭になります。典型的なパターンとしては「営業での売上をアップする」「業務効率を向上して生産性を高める」などです。目標に客観的な数字が入っておらず、具体性にも乏しいことから目標達成が難しくなります。 目標を設定する際は具体的な数字を用いて、誰にでもわかりやすい目標にすることが大切です。
実現不可能な目標を設定している
目標を立てる際は現実的に達成可能か、実現可能性がどの程度あるかを踏まえて設定することが不可欠です。実現不可能な目標を設定すると、せっかく立てた目標に対して、挑戦する前から諦めの気持ちが強くなってしまいます。ネガティブな気持ちが強くなると、個々の従業員だけでなく、チーム全体のモチベーション低下を招きます。具体的には「新規契約を毎月100件獲得する」「月の売上を3倍に増やす」などは、現実味のない目標といえるでしょう。高い目標は従業員やチームのモチベーションにつながりますが、最初から非現実的な目標を設定すれば、かえってモチベーションを低下させることになります。
計画立てて実行していない
具体性のある目標を設定しても、目標達成に必要な計画を実行できなければゴールできません。例えば目標を立てても計画性がなく、ただ日々の業務だけが過ぎ、期限が迫ってきてから計画を立てるパターンです。具体的な行動計画ができていないため、焦って計画を立てても手遅れになる可能性が高いです。最初に具体的なアクションプランと期限を設定しなければ、目標達成は難しくなります。目標達成には何が必要となるか考え、ゴールまでの道筋からどう行動すべきか考えることが重要です。
目標のレベルが合っていない
具体的な目標と行動計画を設定できても、目標を達成するための必要レベルと従業員のレベルが見合っていないケースも考えられます。特に多いのが、チームでの目標を設定する場合に、上司の考えるレベルと部下のレベルに差があるパターンです。部下の中には優秀な人もいれば、成長途中の人や能力的に不足している人もいます。メンバー全体のレベルに合わせた目標になっていないと、目標達成は困難になるでしょう。また目標のレベルだけが高すぎると、チーム内でレベルの高い従業員に大きな負担がかかる可能性もあります。 チームと従業員のレベルを分析したうえで、目標のレベルが適切かどうかを客観的に判断することが大切です。
進捗管理ができていない
目標を達成するには、時期や段階に合わせて進捗状況を確認し、達成に必要なスキルや資源を把握しておく必要があります。しかし目標達成に必要な進捗管理ができていないと、達成が困難になる従業員が多くなるでしょう。そのため上司が従業員の目標達成状況をマネジメントし、必要に応じてフォローすることで目標達成が近づきます。目標を設定した当初とは状況が変わることも珍しくないため、柔軟に目標やアクションを変化させる対応も欠かせません。
目標を達成するためのコツ
目標を達成するには重要なコツを押さえつつ、従業員にとってやりやすい方法を定着させるのがポイントです。どのようなコツが重要なのか紹介します。
・目標に期限を設定する
・中間目標で細分化する
・仲間からサポートを受ける
・目標達成に必要なノルマを設定する
・目標の進捗状況を見える化する
・自分にご褒美を用意する
・上手くやろうとしない
・すべきことを明確化する
・モチベーションを高めるルーティンを身につける
目標に期限を設定する
目標を設定する際はあらかじめ期限を決めておくと、モチベーションを維持しやすくなります。 期限を決めずに目標だけを設定すると、続けるうちに「まだ期間は残っているから大丈夫」という先延ばしの考えが生まれます。その結果、行動が遅くなり、決断力も鈍ってしまうでしょう。しかし目標達成までの期限を決めておけば、特定の期日までに一定の目標を達成する必要があるため、計画的に行動できます。具体的なアクションプランも立てやすくなり、自分のすべきことを明確化できる効果もあります。目標をただ設定するだけでなく、意識的に達成しようとするためにも期日は必要です。
中間目標で細分化する
目標を設定したら、ゴールに至るまでの中間目標をいくつかに細分化していくのもコツです。最終的に大きな目標達成を目指すとしても、途中に小さな目標がないと道筋を見失いやすく、モチベーションの低下につながりやすいからです。目標を細分化していくことで、その都度達成感を得ることができ、モチベーションアップにもつながります。また自分のすべき行動が明確化できるため、すべきことと省略してもよいことが判断できるようになります。効率的に目標達成を目指す意味でも、目標の細分化は必要なステップです。
仲間からサポートを受ける
目標を周囲の同僚やチームと共有し、サポートを受けることも達成の可能性を高めます。周囲にも自分の目標を知ってもらうことで、次の効果が期待できます。
・目標に対する責任感が強くなる
・自分と仲間のモチベーションが高まる
・周囲からの応援やアドバイスを受けやすくなる
こうした効果を見込めることから、目標の共有と仲間からの支援は目標達成には重要となります。また仲間と一緒に目標達成を目指すことでお互いの励みとなり、成長を続ける原動力にもなるでしょう。
目標達成に必要なノルマを設定する
目標を設定した際は、達成するまでに必要なノルマも合わせて決めましょう。ノルマを決める際は目標に関係しているもので、かつ、日々の業務とも関係するものがよいでしょう。例えば営業のテレアポの件数、書類作成の枚数など、定量的に測れるものがわかりやすいです。ノルマがあると日々の仕事でも目標ができ、モチベーションアップにつながります。
目標の進捗状況を見える化する
日々の活動や行動を記録し、目標の進捗状況を見える化するのも効果的なポイントです。目標の進捗状況が目視できれば、スムーズに進んでいるか、それとも遅れているかが客観的に把握できます。達成状況がわかると努力が結果につながっているか、もっと改善すべき点があるかも理解できます。また達成状況を確認すると成果が目に見えるため、モチベーションアップにもなるでしょう。進捗状況を可視化することで、高いモチベーションを維持したまま、目標へ向けて進む行動指針ができるはずです。
自分にご褒美を用意する
自身の目標を達成するには、日々の行動と長期間の努力が必要です。高いモチベーションを維持するためにも、自分へのご褒美を大事にしましょう。ご褒美は何でも構いませんから、細分化した目標を達成したときなど、成果が実ったタイミングにリフレッシュの時間を設けるのがおすすめです。仕事の目標達成だけを目指していると、気を緩める時間がなくなり、知らぬ間にストレスを抱え込むことがあります。頑張った自分へのご褒美があれば、次の仕事や目標にも前向きに取り組めるでしょう。
上手くやろうとしない
目標を達成するために、仕事を「上手くこなそう」と考える方は多いかと思います。しかし人はいきなり成長するわけではなく、日々の積み重ねが経験とスキルを磨きます。仕事も最初から上手くこなそうとするのではなく、できることから始め、今より上手くなることを目標にすることが大事です。目標を達成するためには、新しいことばかりに挑戦するのではなく、日々の業務から上手くなることを意識しましょう。そして上手くなることで次の目標が生まれ、仕事へのやりがいやモチベーションも高まります。他人のペースに惑わされず、自分にできることから目標達成を目指すことが大切です。
すべきことを明確化する
目標を達成するうえで意識すべきことの1つとして、自分のすべきことを明確にするという点が挙げられます。例えば、仕事をしていて「ちょっとくらいならいいか」と考え、手を抜いて失敗してしまうケースです。この場合、なぜ手を抜いてしまう自分がいるのか考え、どうすれば改善できるかを考えるべきです。そのうえで、目標達成に向けて自分に足りない部分、何をすべきかを明確にして、悪い習慣から抜け出しましょう。
モチベーションを高めるルーティンを身につける
プロアスリートの多くが試合中に特定の行動を取ることで、精神面の安定のパフォーマンスの最大化を意識しています。いわゆる「ルーティン」と呼ばれるもので、ビジネスにおいてもルーティンは高いパフォーマンスを発揮するために必要です。日々の業務をする中で「これをしたら上手くいった」「こうしたら調子が良かった」という経験は、これまでにされてきた方もいるかと思います。目標達成を目指すうえで、ルーティンを活用して自己コントロールの術を身につけ、モチベーションを維持しましょう。
目標達成ができる人・できない人の特徴
目標達成ができる人とできない人には、共通する特徴や傾向があります。紹介する特徴を確認し、自分や部下、メンバーがどちらに当てはまるかチェックしましょう。
目標達成ができる人の特徴
目標達成ができる人・達成に向けて動ける人の特徴からみていきましょう。
・自分の行動や目標に責任感がある
・目標達成のために前向きに行動できる
・自主的に行動できる
・目標達成に必要なアクションを論理的に考えられる
・ゴールまでのビジョンやプロセスを明確にもっている
目標達成ができる人に共通する価値観として、自分の行動や目標、立場に対して責任感をもっている点が挙げられます。目標達成に向けて自主性を発揮し、たとえ失敗しても原因を追求して次につなげられるタイプの人です。また、この特徴がある人は前向きな行動ができる人が多く、後悔するよりも反省して成長を続けられる傾向があります。目標達成に向けて自主的に行動できる人、論理的に考えて行動できる人も同様です。目標達成に必要なアクションやプロセスを洗い出し、ゴールまでの道筋を導き出せるという特徴があります。5つの特徴に当てはまる人なら、自らの考えや行動で目標達成できる可能性が高いです。
目標達成ができない人の特徴
続いて、目標達成ができない人・失敗しやすい人によくある特徴もみていきましょう。
・適切な目標が立てられない
・具体的な計画を立てずに実行している
・ゴールまでの道筋を考えていない
・自分のスキルや経験を高く見積もっている
目標達成できない人・失敗しやすい人に多い特徴として、適切な目標が立てられないという点があります。人にはそれぞれ長所・短所、適性、スキルといった個性があります。自分の個性を理解しないまま目標を設定すれば、能力に見合わない目標となり、達成が困難になるでしょう。また目標設定が適切であっても、その後の行動計画をしっかり立てないまま業務を行うと目標達成は難しくなります。 目標達成に必要な工程や評価のタイミングを逆算することで、目標達成が近づきます加えて、ゴールまでの道筋をできるだけ具体的に考えることも重要です。目標達成ができない人は、自分の現在地がわかっていないパターンが多いです。適切な道筋が描けていれば、進捗状況と目標達成に不足しているものが把握しやすくなります。そして、自身の能力と経験を客観的に判断し、過大評価しないことも大切です。4つの特徴に当てはまる人は、目標達成に必要な行動を見直し、適切な目標と行動計画を立案しましょう。
目標達成シート(マンダラシート)とは
目標達成シート(マンダラシート)とは、目標達成に必要なポイントや方法の洗い出しに使用するシートのことです。マンダラシートは縦9マス×横9マスの合計81マスから成り立っており、マスの中央に達成したい目標を記入します。達成したい目標の周囲には重要なポイントや要素、方法などを記載し、そこからさらに具体的な行動を記入します。目標達成シートは目標を明確化し、目標達成までの道筋を具体化することが主な目的です。上手く活用すればアクションプランも立てやすくなるため、積極的に使っていきましょう。
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まとめ
今回は目標達成の方法や原因、できる人・できない人の特徴、達成するためのコツなどを解説しました。 仕事における目標とは、働くためのモチベーションであり、従業員の行動指針にもなる重要な要素です。 従業員のレベルや階層に合わせて、適切な目標設定・行動計画を策定することで、成長を促すことにつながります。しかし中には目標設定が上手くいかず、思うように実力を発揮できない人も出てくるでしょう。会社として従業員が適切な目標設定できるよう支援し、やりがいをもって働ける環境を用意することが大切です。