従業員満足度(ES)とは何か?意味や向上させるメリット、改善方法を解説

  • 従業員満足度(ES)とは何か?意味や向上させるメリット、改善方法を解説

    公開日:2024.08.26

    更新日:

    従業員満足度(ES)とは「Employee Satisfaction」の頭文字を取ったもので、従業員の会社に対する満足度を意味します。従業員満足度は企業の離職率や生産性、組織の活性化にも関係する重要な項目です。この記事では従業員満足度の概要やメリット、向上のための効果的な取り組みなどを解説します。

従業員満足度(ES)とは何か?

従業員満足度とは「Employee Satisfaction」の頭文字を取ったもので「ES」呼ばれ、職場環境や仕事のやりがい、待遇、人間関係、給与などへの従業員の満足度を示しています。従業員満足度の低い企業では従業員の生産性が低く、離職率が高くなりやすいとされています。また従業員満足度が低いと仕事へのやりがいも感じにくいため、顧客からの信頼も得にくく、企業イメージの低下を招く可能性も高いです。そのため近年は日本企業でも従業員満足を高めるため、働きやすさや成果と評価が結びついた制度設計など、多くの改革が取り入れられています。

従業員エンゲージメントとの違い

従業員満足度に近い意味を持つ言葉に「従業員エンゲージメント」があります。従業員と会社との関係性に基づく点は同じですが、従業員満足度は従業員が会社を一方的に評価することを表すもので、現状の会社に満足しているかどうかの指標です。会社から与えられた環境や給与、待遇に満足できていれば、従業員満足度は高くなります。一方で従業員エンゲージメントは会社と従業員双方の深いつながりや信頼関係を表すもので、企業理念に共感し、会社に貢献したいと思う気持ちの度合いをはかる指標です。従業員エンゲージメントは単に従業員に待遇を良くすれば上がるわけではなく、会社に対して信頼感を持てているかが重要になります。

関連リンク:エンゲージメントとは?ビジネス上の意味を分かりやすく解説!

従業員満足度を向上させることのメリット

従業員満足度を向上させると、企業にどんなメリットがあるのか紹介します。

生産性の向上が期待できる

従業員満足度が高い企業では、従業員の仕事に対する意欲が高く、自主的に仕事へ取り組み、業務効率を考えた行動を実践できています。業務効率を向上できれば、組織としての生産性も高まり会社の業績アップにつながります。また、従業員満足度の高さは従業員同士の人間関係に良い影響を与えます。従業員同士・部署間でのコミュニケーションがうまくいけば組織全体が活性化します。
さらに、従業員満足度の高い企業の従業員は、会社へ貢献しようと気持ちが強く、新規事業や新商品開発など、イノベーションの創出にもつながります。結果として、従業員の成長につながり、仕事へのモチベーションも高まります。このような好循環を促すためにも従業員満足度の把握と向上は企業にとって重要な施策です。

人材の確保と定着率向上につながる

従業員満足度の高さは優秀な人材の確保と、会社への人材定着率向上の効果もあります。先述のとおり、従業員満足度と従業員エンゲージメントは違うものですが、従業員エンゲージメントの高い企業では、従業員満足度も高い傾向にあります。従業員満足度の高い企業では従業員の会社への貢献意欲が高く、人材が定着しやすい傾向があります。そのため企業に貢献する優秀な人材が多く集まり、人材育成が成功しやすくなります。優秀な人材が会社に定着すれば、人材育成と採用のコストを抑えることができ、企業の利益アップにもつながるでしょう。また、離職率が低くなることで、会社の対外的なイメージアップにもなります。人材の定着率の高い企業はホワイト企業と捉えられることも多く、さらに人材の確保がしやすくなります。

関連リンク:離職率とは?計算方法や業界の平均、離職率が低い企業の特徴を徹底解説

顧客満足度が向上する

従業員満足度の高い企業では、従業員の仕事の質とサービスが向上しやすくなります。仕事の質とサービスが向上すれば、顧客からの信頼が高まり、顧客満足度の向上につながります。また顧客満足度の向上は企業イメージが良くなるだけでなく、リピーターを生み出すことにもなるでしょう。企業のブランドイメージ向上という観点でも、従業員満足度の改善には一定の効果があります。

従業員満足度向上のための取り組みアイデア・具体例

従業員満足度を向上させるための効果的な取り組みや具体例を紹介します。

職場環境の見直し

従業員満足度を向上させるため職場環境の改善は必須です。具体的には次のポイントを見直すのがよいでしょう。

・人員配置の見直し
・オフィスレイアウトの効率化
・残業や休日出勤の削減
・多様な働き方の導入
・会議時間の短縮

職場環境の改善に取り組むことで、従業員は自分は尊重されている、組織の一員であるという帰属意識が生まれます。従業員満足度を改善するには、まず働く環境の整備を検討しましょう。

人事評価制度の改善

適切な人事評価制度の有無も、従業員満足度の向上に関係します。人事評価が上司の主観的な情報で行われている場合、従業員の不公平感や不信感を招きます。そのため 人事評価制度には客観的な評価項目・基準を盛り込み、どの従業員に対しても公平な評価ができる仕組みづくりを進めるべきです。成果や能力に応じた評価をされることで、従業員の不平不満はなくなり、従業員満足度の向上につながります。従業員のキャリア開発が積極的に行えるように、わかりやすく公平公正な人事評価制度を作りましょう。

従業員の意見を経営に取り入れる

業員満足度を上げるには、従業員も企業に貢献し、経営に参加できているという意識をもってもらうことが大切です。従そのためには従業員の意見を経営に反映できるように、匿名のアイデアボックスや意見箱を設置する方法もおすすめです。現場を知っている従業員だからこそ、会社の改善すべき点を発見しやすい立場にあります。経営者の視座とは違うため、業務効率化につながる画期的なアイデアが出されることもあるでしょう。そして、どのような意見が出されたか公表するとともに、実際に反映していくことで従業員の前進への意欲につながります。

従業員満足度の調査方法

ーによる方法が一般的です。調査を行う際は、次の基本的な調査項目を含めて行うことが重要です。

・仕事への満足度
・業務負担
・上司や同僚との人間関係
・会社の風土やビジョンへの共感
・適正な処遇や人事評価
・コンプライアンスへの意識

上記の項目を基本として、全社員や部署・男女・役職別に調査を行い、データの分析を行います。

従業員満足度の調査で入れるべき項目

従業員満足度を調査する際は、効果的な調査になるような質問項目を入れる必要があります。まず基本項目として、回答者の年代・性別、部署、勤続年数、役職などを記載してもらい、満足度の現状を的確に把握できる項目を入れましょう。

仕事について

従業員満足度を測定するには、従業員が仕事に対してどのような考えをもっているか、働きがいややりがいを感じているかを知ることが重要です。

・仕事へのやりがい
・成長への意欲
・キャリアビジョン
・権限の過不足
・業務負担
・ワークライフバランス
・メンタルヘルス

上記の内容を質問項目に入れることで、従業員が仕事に満足しているか、会社への不満を抱いていないかを把握できるでしょう。

企業風土・理念について

従業員がやりがいをもって働くには、企業風土や理念、行動指針の共有、共感も必要です。企業風土や理念についての質問項目には、次のような内容を入れるのがよいでしょう。

・企業風土や理念への共感、貢献への意欲
・経営への満足度
・経営層、管理者への信頼
・意見やアイデアを自由に発言できる環境か
・成長しやすい環境・風土であるか

従業員が企業と経営者を信頼できてこそ、仕事への意欲と会社に対する満足度も向上します。従業員が会社をどのように評価しているか、的確に分析できる項目を設定しましょう。

処遇・人事について

従業員満足度に直結しやすい内容として、従業員の待遇や人事評価などもあります。待遇や評価に満足できているか調査するには、次の質問項目がおすすめです。

・業務内容に対して給与や評価が適切か
・ワークライフバランスが取れているか
・育児や介護での休暇を取得しやすいか
・成長の機会が提供されているか
・福利厚生に満足しているか

待遇、評価に不満を感じている場合、従業員満足度は低くなります。調査した結果は、現在の給与制度、福利厚生など社内の制度を見直すきっかけになるでしょう。

人間関係について

従業員の離職率を高めてしまう大きな要因に、人間関係があります。離職率が高ければ、人材が定着しません。職場内の人間関係について調査することで、離職率低下の原因の把握し、人間関係による離職を回避できるでしょう。

・コミュニケーションを取りやすい環境であるか
・職場の人間関係は良好か
・従業員や部署間の情報共有がスムーズに行われている
・業務の合間でもリラックスできる時間と場所がある
・従業員が気軽に交流できる場所がある

職場の人間関係に問題があると、従業員のモチベーションと生産性は低下します。適材適所の人員配置ができているか調査し、問題の根本原因を分析することが重要です。

コンプライアンス意識について

従業員満足度はもちろん、企業の信頼にも関わる重要な課題がコンプライアンス意識です。コンプライアンス意識が不十分な環境では、従業員にも多大なストレスがかかりやすいため注意しましょう。従業員へのコンプライアンス意識の調査では、次の内容を取り入れるのがよいでしょう。

・業務プロセスは法令を遵守できていると感じるか
・職場のコンプライアンス意識は十分だと感じるか
・ハラスメント行為が起こっていないか
・ハラスメント対策は十分か
・企業秘密の漏洩防止策が取られているか

コンプライアンス違反は、企業イメージも損なう重要な問題です。従業員満足度にも影響を与えますから、社員がどのように感じているか知ることは重要になります。社内でコンプライアンス研修を行い、リスクを未然に防ぐのも得策です。

組織マネジメントのことならユーキャンへ

人材の定着は企業が成長を続ける原動力であり、組織マネジメントを進めるうえでも人材育成は定着率に関係します。優秀な人材を企業に定着させるには、従業員が仕事にやりがいを感じ、会社に貢献しようとする前向きな気持ちが必要になります。その際、管理職に欠かせないのが組織マネジメントのスキルであり、従業員へのマネジメントに対する理解です。従業員の成長を組織の成長へとつなげ、組織活性化と従業員満足度の向上を図るなら、人材育成に豊富な実績があるユーキャンにおまかせください。

まとめ

従業員満足度向上の重要性やメリット、具体的な施策などについて解説しました。従業員満足を測定する定期的な調査により、次の施策に取り組むことができます。従業員が本来の実力を発揮し、やりがいをもって働けるようにすることが従業員満足度を調査する目的です。 従業員満足度の測定方法には明確なルールこそありませんが、どんな目的で調査を行うのかを最初に明確化しておくと従業員に不安を与えることなく、協力してもらえるでしょう。従業員満足度の低さは離職率の増加や生産性低下の原因となり、会社にとって悪い影響がもたらされるでしょう。即効性のある対策は多くありませんが、定期的に調査を実施し、長期的な視点で企業と従業員の満足度と定着率アップを目指しましょう。

お気軽にお問合わせください

ページトップに戻る