アンラーニングとは?リスキングとの違い、メリット、注意点、導入手順を解説

  • アンラーニングとは?リスキングとの違い、メリット、注意点、導入手順を解説

    公開日:2024.05.30

    更新日:2024.05.30

    アンラーニングは日本語で「学習棄却」の意味があり、従業員の過去の経験や価値観、知識、スキルなどを取捨選択し、時代に合わせて学びなおすことを指します。この記事ではアンラーニングの意図や重要性、リスキリングとの違い、メリットと注意点などを解説しています。

アンラーニングとは?

アンラーニングという言葉には「学習棄却」という意味があり、既存の知識や学びを全て捨てることと思われがちですが、 全てを捨てるわけではなく、時代に合わせ、これまで学んできた知識を取捨選択し、新しく学び直すことを指します。 企業の存続、従業員が絶えず成長を続けていくには、アンラーニングの効果的な活用が不可欠です。そこでアンラーニングと経験学習、リスキリングとの違いについて紹介します。

アンラーニングと経験学習の関係

アンラーニングとは、自分自身の経験や価値観を取捨選択し、正確な知識で自分の力に変化させることです。過去の経験からの学びや成功体験は一旦忘れ、現時点で必要なスキルや成長のための学びを進めます。多くの方はこれまでの経験による学びから、成功体験や決まったやり方を継続しようとする傾向があります。 アンラーニングの本質は状況に応じ、スキルや知識を見直し改善するなど自分自身をアップデートし、新たなビジネス環境に適応していくことです。 従業員が経験学習に基づくアンラーニングに成功すれば、企業の生産性や業務効率の改善だけでなく、イノベーションにもつながる可能性があります。

アンラーニングとリスキリングは何が違う?

アンラーニングと似た意味で使われる言葉に「リスキリング」があります。リスキリングにも、スキルの再習得や学びなおしを意味があり、アンラーニングと共通する部分がありますが、リスキリングは「新たな業務に対応するために、新しいスキルや知識を習得を目指す」ことに重点をおいているという点が違います。 アンラーニングは過去の経験や古い知識を見直し、取捨選択するのに対し、リスキリングは知識や経験ゼロの状態からスキルを学び直します。 アンラーニングとリスキリングには明確な違いがあり、混同して使用しないように注意しましょう。

アンラーニングとリスキリングは性質的に近い部分があるため、両方を組み合わせて活用することで、学習をより効果的に進められるでしょう。

アンラーニングが重要視されている理由

アンラーニングが重要視される理由には、VUCA時代や加速度的な技術進歩があります。

コロナウイルス流行以降、国内外でオンラインでの働き方が普及し、労働環境やビジネスモデルも急速に変化してきています。従来のやり方を継続するだけでは、変化の激しい時代の流れについていくのは困難です。そこで注目されているのがアンラーニングです。

既存の知識や経験、技術の中から新しい時代でも必要なものを洗い出し、時代に合わせて変化させていくことが求められています。また、ビジネスにおいては常に変化が求められ、新しい取り組みや価値観が重視される傾向もあります。企業と従業員が時代の流れに乗り、絶えず成長を続けるにはアンラーニングが重要といえるでしょう。

アンラーニングを推進するメリット

アンラーニングを推進することで、企業には次のメリットがあります。

・従業員の成長につながる
・業務効率が改善できる
・時代の変化に適応できる

従業員の成長につながる

アンラーニングを推進すると、従業員の自律と成長につながる効果が期待できます。従業員は過去のやり方に固執することなく、新しいスキルや知識を積極的に学ぶことを可能にします。経験の長い従業員ほど過去の経験を重視し、変化を避けようとする傾向があります。しかし変化の激しい時代についていくには、今までのやり方に縛られず、新しいやり方や知識にも適応していかなけばなりません。アンラーニングを推進・支援することで、全従業員に新たな学びを促す効果が期待できます。 注意すべき点としては、ベテラン社員はこれまでの知識やスキルで既存の業務に対応できるため学習の必要性がないという考えがあり、急激な変化を前にすると不安を感じやすく、最悪の場合は離職率増加につながることです。アンラーニングの必要性を説明するとともに、従業員の不安を緩和できるように対策を進めましょう。

業務効率が改善できる

アンラーニングのメリットには、従業員の業務効率を改善する効果もあります。従来のやり方を踏襲しているうちに、業務内容が時代遅れになっているという事態はいつでも起こりえます。例えば、会計業務をすべて紙ベースで行っている場合、会計ソフトやオンライン会計アプリを利用すれば、業務効率を大幅に向上できるでしょう。アンラーニングは従来のやり方を変えるだけでなく、より時代に合った効率的なものへ変化するように促す効果があります。従業員が変化に慣れるまでに一定の期間は必要になりますが、業務効率の良さは、生産性を向上させることにもなるので、業績にもよい影響を与えます。

時代の変化に適応できる

時代の変化は企業の業種や従業員の意思とは無関係に訪れるため、組織は流れについていく必要があります。アンラーニングを通して時代の変化にも対応できます。企業の成長には、変化に対応する力や競合に打ち勝つ力が欠かせません。新たな学びに成功すれば、従業員のモチベーションは高まり、チャレンジ精神や自発性も高まるでしょう。

アンラーニングを推進する際の注意点

アンラーニングを推進する際は、メリットだけでなく注意点も意識すべきです。
以下の注意点も踏まえながら、アンラーニングを推進しましょう。
・モチベーションが低下するリスクがある
・チームまたは部署単位で行う

モチベーションが低下するリスクがある

アンラーニングを推進するうえで注意すべき点の1つ目は、進め方によってはモチベーションが低下するリスクがあることです。アンラーニングは従業員がこれまで培ってきた経験やスキル・価値観を一旦捨て、新しい知識やスキルを積極的に取り入れることを指します。従業員によっては従来のやり方が変わる不安や、これまでの自分の経験を否定された気持ちになることもあるでしょう。また、新しいやり方や学びに対して抵抗感を持ち、導入初期に業務効率が低下することもあります。そして、業務効率の低下は従業員のモチベーションを低下させ、放置すれば離職率上昇のリスクになります。モチベーション低下を避ける対策として、従業員全体にアンラーニングの目的と必要性を説明し、理解を深めてもらうことです。人が不安やネガティブな感情を抱くのは、自分に理解できない事態が発生したときです。アンラーニングも同様で、 必要性や目的を理解できなければ、従業員の不安をあおることになります。そのため、従業員向けに説明会を開いたり、部下へのフォローを丁寧に行うなど理解を促すことが重要です。

チームまたは部署単位で行う

アンラーニングを推進する際は、個人に対してではなくチームまたは部署といった単位で行うことも重要です。従業員個人でアンラーニングを行っても、周囲との連携が取れないからです。チームや部署単位でアンラーニングを進めれば、どの部分を今後も活用できるのか、社会醸成から優先度の低いものは何かなどを相談できます。また、従業員同士で情報を共有することで、アンラーニングの効果を高められるでしょう。ただし、アンラーニングを進めるには上司が指揮し、部下全員が積極的に取り組める雰囲気を作ることも大切です。従業員のモチベーションを高めるのは難しいですが、できることから少しずつ変えていきましょう。

アンラーニングを推進する手順

アンラーニングを推進する際は、以下の手順で行います。

・内省を促す
・取捨選択を行う
・学びを進める

省を促す

アンラーニングを進める際は、まず従業員の内省を促すことが大切です。過去にどのような経験があり、どんな学びがあったのか、人生における価値観、磨いてきたスキルなどを振り返ることから始めましょう。新しい学びを得るための阻害要因はないか、どんな知識・スキルが今後も活用できるか自己認識してもらいます。ただし、いきなりアンラーニングを推進しても、内省を1人で行えない従業員もいるでしょう。そこで上司との面談やグループワークやワークショップ、他部署との交流会なども利用します。他者からの学びや意見をもらうことで、内省が進みやすくなります。

取捨選択を行う

内省により認知した自分の経験・価値観・スキルから、必要なものと不要なものを取捨選択します。

従業員は年代によってさまざまな価値観を持っていますが、時代に合わない価値観は視野を狭め、時代に逆行している可能性があります。上司やチームメンバーとも共有し、お互いにフィードバックを行いながら、変えるべき部分を選択しましょう。

学びを進める

取捨選択ができたら、次は実際に学びを進めていく段階です。上司やチームメンバーとのグループワークのほか、異業種との交流会、ワークショップ、コーチングなどさまざまな機会を活用しましょう。何度も参加して学ぶ中で内省と取捨選択が繰り返され、新しい気付きを得られます。また新しい学びの機会を得ることで、従業員のモチベーションアップにもなります。高いモチベーションを維持できるように、組織としてもアンラーニングを支援していくことが大切です。

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まとめ

アンラーニングは時代の変化に対応できるよう、既存の業務、修得した知識・スキルを見直して、ニーズのあった価値観やスキルを新しく学びなおす手法です。 しかし従業員個人で内省、取捨選択、学びを進めることは容易ではありません。組織が時代の流れについていくためには、従業員のアンラーニングを積極的に進める必要があるでしょう。人材育成の手法の1つとして、アンラーニングを活用することも検討してみてください。

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