ISOとは?種類、仕組み、効果、JISとの違いを分かりやすく解説

  • ISOとは?種類、仕組み、効果、JISとの違いを分かりやすく解説

    公開日:2024.04.26

    更新日:2024.06.06

    ISOとは国際標準化機構(International Organization for Standardization)の略称であり、ISOの基準に適合する製品やサービスは「ISO認証」を受けられます。 ISO規格は世界共通の規格であり、認証を受ければ国際基準に適合していることの証明になります。この記事の内容は、ISOの概要とJISとの違い、規格の種類、認証の効果、ISOマネジメントシステム認証が及ぼす効果についてまとめたものです。

ISOとは何か

ISOとはInternational Organization for Standardization(国際標準化機構)の略称です。ISOが定めた規格をISO規格と呼び、製品やサービス、システムなどの国際的な規格として認定されています。ISOに認定されると「ISO○○(数字)」を名乗ることができ、世界の標準レベルを満たした製品として信頼性が高まります。

JISとは何か

JISとはJapanese Industrial Standardsの略称です。ISOの規格を基に、日本国内の製品の企画や測定法をまとめた国家規格です。JISも文字コードやプログラムコード、サービスなどさまざまな規格があります。JISは経済活動の利便性や生産効率、公正性の確保、安全と健康の保持などが目的です。一例として、生活に身近なトイレットペーパーも中心の空洞部分が38㎜、直径は120㎜以下と定められています。規格を定めることでどこのメーカーでも同じように使用でき、商品による取り付け方法の差が生じないようにしています。

・ISOとJISの違い

ISOとJISには規格そのものの違いはありません。違いとしては、ISOの規格を日本語に訳したものがJISであり、国内向けにわかりやすくしたものである点です。日本ではJISですが、世界各国でISOを基にした規格名が使用されています。また、 ISOとしての国際規格が既に存在する製品やサービスについては、JISがISOとの整合性を取ることも協定で義務付けられています。

ISO規格の2つの種類


ISO規格には次の2種類があります。
・モノの規格
・マネジメントシステム規格
それぞれの違いについて紹介します。

モノの規格

モノの規格とは、製品の品質や安全性に関する企画です。世の中にある製品の品質・安全性を保障しています。クレジットカードを例にするとわかりやすいでしょう。クレジットカードは国が違ってもカードサイズや機能性、安全性などはどこでも同じで、世界各国で利用できます。これは国の違いでクレジットカードの機能性が変わると、決済や取引で支障が出てしまうからです。そこでISOでもクレジットカードの国際規格を設定し、決済や取引の標準化を図っています。この他にもさまざまな製品がISOで標準規格として設定されており、広く世界中で利用されています。

マネジメントシステムの規格

マネジメントシステムの規格とは、組織マネジメントや団体の経営に関する国際規格です。モノの規格とは異なり、組織のマネジメントの規格であり、業務の効率化するための国際標準のルールとされています。国際的には、ISO9001(品質マネジメントシステム)やISO14001(環境マネジメントシステム)、ISO27001(情報セキュリティ)などが有名です。また、 マネジメントシステム規格には、規格を適用するうえで組織が守るべき要求事項や基本要件も含まれており、認定されるにはこの基準を満たさなければなりません。

・組織への社会的信頼
・第三者視点からの課題発見
・基準に沿った継続的な改善

・マネジメントシステムの例

ISOのマネジメントシステムの例には以下のものがあります。 

規格名 

項目 

ISO9001 

品質マネジメントシステム 

ISO14001 

環境マネジメントシステム 

ISO39001 

道路交通安全 

ISO27001 

情報セキュリティ 

ISO22000 

食品安全 

ISO20000 

ITサービス 

ISO22301 

事業継続 

ISO17025 

試験・校正機関 

ISO50001 

エネルギー 

ISOマネジメントシステム認証とは何か

ISOマネジメントシステム認証とは、組織や団体で活用されているマネジメントシステムがISO規格に適合していることを審査、認証することです。なぜISOマネジメントシステム認証が広まったのか、日本で定着した理由を紹介します。

ISOマネジメントシステム認証が広まった背景

ISOマネジメントシステム認証が広まった背景には、国内市場での高い信頼性があります。ISOという組織について詳しく知らなくても、国際標準規格として広く認知されていることから、企業としての信頼性を高める効果が期待できます。 特に近年は、コンプライアンス意識の高まりもあり、マネジメントシステム認証がより重要視されるようになっています。 日本企業では1990年代から広がりを見せ、大企業から中小企業、製造業からサービス業、IT業界にまで広がりました。その結果、企業の製品やサービスの質が向上し、国内外での信頼性を高め、現在でも多くの会社でISOマネジメントシステム認証が導入されるようになりました。

・日本に定着した理由

ISOマネジメントシステム認証は欧米で発展した規格であり、日本企業にとって、グローバル企業との市場競争においては、避けて通れない国際規格です。日本は国際的にもモノづくりの国といわれていますが、外国で製品への信頼を得るには国際規格の認定が最も効果的です。その点、ISOマネジメントシステム認証は品質保証と品質管理の両方を兼ねており、輸出を行いたい日本企業にとって重要な規格といえます。また国内向けにも顧客の信頼を高め、組織の生産性向上と活性化につなげる良い材料になります。日本企業や一般消費者は権威性を重要視する傾向があるため、ISOマネジメントシステム認証は権威性という点でも有効です。国内外での信頼獲得と組織の生産性向上、輸出面で有利な材料になる点などもあり、メリットの多いISOマネジメントシステム認証は日本でも広く定着しました。 


ISOマネジメントシステム認証を取得する効果

ISOマネジメントシステム認証を取得すると、次の効果が得られます。
・組織への社会的信頼
・第三者視点からの課題発見
・基準に沿った継続的な改善

組織への社会的信頼

ISOマネジメントシステム認証を取得すると、組織への社会的信頼が高まりやすくなります。ISOは国際的な認証機関であり、国際標準を満たしているか審査するものです。
認証取得によって国際標準を満たしたことが証明され、組織・企業に対する社会的信頼につながります。

第三者視点からの課題発見

ISOマネジメントシステム認証の取得は、国際的な認証機関からの審査を通過した証明であり、第三者視点から高品質のマネジメントという太鼓判を押してもらうことです。したがって、第三者視点からマネジメントシステムが評価され、課題発見と改善がなされている証明でもあります。本来、組織の管理はどの企業や団体でも行われているものであり、特別な審査や認証は必要としません。しかし、 ISOマネジメントシステム認証を取得したということは、閉鎖的になりやすい企業内部のシステムに対し、外部機関によるチェックを経たことになります。内部の視点だけでは発見できない課題も、第三者機関なら発見しやすく、適切な改善策の実施につなげることが可能になります。組織のマネジメントに課題を感じている企業ほど、ISOマネジメントシステム認証を取得する意義は大きいといえるでしょう。

基準に沿った継続的な改善

ISOマネジメントシステム認証は一度取得すれば終わりではなく、毎年認証の審査を受けなければなりません。マネジメントシステムは次々にスタンダードが生まれており、基準も頻繁に変更されているからです。組織としてしっかりとしたマネジメントシステムを構築し、質の高いサービス・製品を提供し続けるには、継続的な改善も必要です。そのため、ISOマネジメントシステム認証を取得するには、常に組織の改善が必要となり、社員にも緊張感を持って働いてもらう効果が期待できます。

マネジメントシステムを構築する際のPDCAサイクル

マネジメントシステムを構築する際は、PDCAサイクルで課題の洗い出しと対策の提言、実施を行う必要があります。PDCAサイクルはPlan(計画)、Do(実施)、Check(見直し)、Act(改善)の4つのプロセスを繰り返し行うことです。マネジメントシステムは会社の規模や人員、業種などさまざまな要因により、最適なシステムはそれぞれ異なります。PDCAサイクルは組織にとって最適なマネジメントシステムを構築するために、重要な解決方法になるでしょう。

マネジメントシステム構築の例

マネジメントシステムの構築は、次の手順で進めるのが一般的です。

1.現状の把握・課題の洗い出し
2.目標・方針の決定
3.社内文書の作成・構築
4.帳簿・帳票の整備
5.運用および記録
6.監査
7.評価・改善

このような手順でPDCAサイクルを回すことで、マネジメントシステムを常に最適な状態で運用することができます。すでに課題が明確な場合や目標が定まっている場合は、先の段階へ進んでも問題はありません。重要なことは、「監査」「評価・改善」をしっかり行い、マネジメントシステムを最適化していくことです。これらの機能や工程が不十分だと、マネジメントシステムの運用の効果は低くなりがちなので、注意が必要です。

第三者認証とは

第三者認証とは、自社の基準による運営だけでなく、第三者視点から基準に適合しているかを判断・認証してもらう仕組みのことです。国際基準のISO、国内基準のJISやJASなどさまざまな標準規格があります。第三者認証を取得することで、国内・国外の適合性にも認定されたことの証明になり、製品やサービスの信頼性向上につながります。

ISOマネジメントシステム認証も一般消費者に役立つ

ISOマネジメントシステム認証は組織のマネジメントシステムに関する認証ですが、一般消費者の購買行動にも役立ちます。例えば、ISOマネジメントシステム認証を受けたA社の製品と、認証を受けていないB社の製品が並んでおり、どちらも同じ価格・機能性と仮定しましょう。この場合、ISOマネジメントシステム認証というものを詳しく知らなくても、認証を受けたA社の製品のほうが消費者からの信頼は高くなります。また、近年は一般消費者も環境やエネルギー問題への意識が高まっているため、製品購入の判断材料の1つとしても指標になるでしょう。 ISOマネジメントシステム認証は組織の管理を最適化するだけでなく、一般消費者にとっても購入の判断や製品への信頼のための材料になっています。

第三者認証のメリット

第三者認証には次のメリットがあります。

・消費者や取引先からの信頼が高まる
・他社との差別化になる
・コンプライアンス意識の高さをアピールできる
・セキュリティ対策が適切になされていることの証明になる

第三者認証は社外の機関から適合性の承認を受けるものです。そのため、客観的で合理的な基準に基づいた判断がされており、顧客からの信頼の獲得・向上が期待できます。ISOマネジメントシステム認証を受けた場合、組織としてのコンプライアンス意識やセキュリティ対策も十分であるという証明にもなります。組織や企業の社会的な信頼度を高める意味でも、第三者認証を積極的に取得するのがよいでしょう。

まとめ

今回はISOとマネジメントシステム認証、認証取得による効果やメリットなどを解説しました。 ISO認証取得は企業にとって大きなメリットであり、社会的な信頼と知名度を高める点でも効果が期待できます。 一方で、マネジメントシステムの整備には時間とコストもかかるため、デメリットも理解したうえで認証を目指すべきです。企業の規模や業界、人員によっても最適な第三者認証の基準は異なるため、個別の状況を判断して取得を目指しましょう。

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