組織マネジメントとはなにか
組織マネジメントとは、組織のスムーズな運営や目標達成のための仕組みをつくり、計画を実行・管理するマネジメント手法です。「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の4つの経営資源を有効活用し、パフォーマンスを最大化させます。組織マネジメントは、経営者や管理職といった組織を管理する人に求められます。
「マネジメント」と「リーダーシップ」の違い
マネジメントとリーダーシップは、組織の目標達成のために行動する点は同じですが、異なる能力を指します。マネジメントは、組織の目標・目的達成に向けた手法や戦略を考え、組織を円滑に管理する能力、リーダーシップは率先してメンバーを導く能力です。組織マネジメントを行う際は、どちらの要素も欠かせません。
マネジメントとリーダーシップについては、以下の記事も参考にしてください。
※参考:マネジメントとは?|ユーキャンの法人向け人材教育サービス
※参考:リーダーシップとは?|ユーキャンの法人向け人材教育サービス
なぜ組織マネジメントは必要なのか
組織マネジメントが重要視される背景には、企業競争の激化があります。近年、経済のグローバル化やイノベーション化の加速と、少子高齢化による人手不足が影響し、従来よりも効率的な組織運営が求められています。業務効率化によりパフォーマンスを最大化しなければ、企業競争を勝ち抜けません。組織マネジメントは、企業間競争を有利にするために必要です。
組織マネジメントで解決できる課題・メリット
組織マネジメントで解決できる課題・メリットは、以下の4つです。
- ・人材流出の防止
- ・管理職にかかる負担の軽減
- ・個々に合ったマネジメントの実現
- ・組織の生産性の向上
それぞれについて解説します。
人材流出の防止
組織マネジメントを行えば、人材流出を防止できます。現在は働き方が多様化しており、働きやすい職場をつくることが欠かせません。人材育成や適性に合った配置など、さまざまなマネジメントができれば、居心地のいい職場になり、働きやすい環境を求めて人材が流出することはなくなります。
管理職にかかる負担の軽減
組織マネジメントが確立すれば、管理職の負担を軽減できます。プレイングマネジャーをする管理職も多く、業務は多岐にわたります。組織マネジメントでは、部下の適性に合う環境に活躍の場を与えることで能力を発揮させます。1人ひとりが効率よく仕事をこなすことができれば、。結果として管理職の負担が軽くなり、自身の業務に集中できます。
個々に合ったマネジメントの実現
組織マネジメントの実施により、メンバー1人ひとりに合わせたマネジメントが可能になります。近年は非正規社員、業務委託、時短勤務などの働き方が多様化し、きめ細やかな対応が求められています。1人ひとりの価値観や志向、適性を理解して仕事の割り振りやサポートを行えば、柔軟性のある組織運営が実現します。
組織の生産性の向上
組織マネジメントによって、組織全体の生産性が高まります。「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」がスムーズに動くようになることで、現場レベルから管理職レベルまで、自分の強みを活かした働き方が可能になります。業務が効率化し、結果的に全体の生産性が向上します。
組織マネジメントで管理職に求められる能力・スキルは?
組織マネジメントで管理職に求められる能力・スキルは以下の6つです。
- ・目標設定力・計画力
- ・人材マネジメント能力
- ・2種類のコミュニケーション能力
- ・計画遂行力・実行力
- ・リスク回避力
- ・評価力
それぞれについて解説します。
目標設定力・計画力
組織が達成すべき目標を把握し、具体的な計画・施策を立案する能力です。目標達成のための最適な人材配置も重要です。目標設定では、達成可能かどうか際どいラインの設定にする、大目標・小目標を設定するといった点がやる気や達成感を引き出すポイントです。
目標設定力を身につける講座として、ユーキャンの「目標設定講座」が有効です。部署全体で目標達成が実現できる組織をつくるための目標設定のポイントが学べます。
目標設定講座(eラーニング)|ユーキャンの法人向け人材教育サービス
人材マネジメント能力
個々の能力や適性を見極め、適材適所への配置や指導を行う能力です。部下1人ひとりが最大のパフォーマンスを発揮できるように、モチベーションを上げることや、自発的な行動を引き出す支援や指導も大切です。
管理職は口頭で指導するのではなく、自ら率先して手本を見せることを意識すると、メンバーのやる気や自発性を引き出せます。また、モチベーションの高低にはこだわらず、モチベーションが低くても成果を出せる仕組みづくりも重要です。
2種類のコミュニケーション能力
管理職には、以下の2つのコミュニケーション能力が求められます。
- ・上位管理職、経営者とのコミュニケーション
- ・部下とのコミュニケーション
ビジネスコミュニケーション講座(eラーニング)|ユーキャンの法人向け人材教育サービス
計画遂行力・実行力
設定した目標達成のために、計画を完遂させる能力です。目標を達成するためには、その過程を考え逆算する能力や、時間に制約があるなかで重点管理対象を選択する判断力が必要です。
また、メンバー1人ひとりが実際に動いてくれなければ、計画は実行できません。実行力を高めるためには、自発的に動きたい・貢献したいという気持ちになるように、指示の伝え方や叱り方に注意しながら接する必要があります。
リスク回避力
管理職には、あらかじめリスクを予測し、回避するリスク回避能力が求められます。ビジネスでは、社内・社外に関わらず常に変化があり、リスクはつきものであるためです。
起こりうるリスクを予測し、発生率や被害の大きさによって、優先度の高いリスクから対策を立てることが必要です。実際にリスク回避をする機会があれば、その後で業務フローの変更やトラブル時の対応マニュアルを作成しましょう。次回のトラブル時の参考になります。
評価力
成果を上げた部下に対し、適切に評価する評価力も必要です。成果を認められない環境、評価に納得できない状況は、モチベーションの低下を招いてしまいます。優秀な成果を上げた部下には、報奨や役職を与えましょう。成果に応じて評価することで、評価された本人だけでなく、周りのメンバーも刺激されてモチベーションが上がります。適切な評価は、チームワーク強化にもつながります。
組織マネジメント実施前に押さえておきたいフレームワーク「組織の7S」
「組織の7S」は、マッキンゼー・アンド・カンパニー社が提唱したフレームワークです。組織マネジメントを実施する際の、組織の現状分析で役立ちます。組織の7Sは、以下の7つのSから始まる項目から構成されます。
- ・【ハード3S】戦略(Strategy)
- ・【ハード3S】組織(Structure)
- ・【ハード3S】システム(System)
- ・【ソフト4S】スキル(Skill)
- ・【ソフト4S】人材(Staff)
- ・【ソフト4S】スタイル(Style)
- ・【ソフト4S】価値観(Shared Value)
それぞれについて解説します。
【ハード3S】戦略(Strategy)
7つのSのうち、3つは組織構造に関する要素を示すハードに分類されます。
戦略(Strategy)とは、目標達成のための計画立案、方向性を表します。目標を達成するには、自社の強みや弱みを分析することが大切です。企業戦略、事業戦略、機能戦略の順に決めます。
【ハード3S】組織(Structure)
組織(Structure)とは、組織構造、組織の仕組みのことです。組織構造によって、権限や指揮命令系統、メンバー同士のコミュニケーションに違いが出ます。組織構造は、主に以下の3つに分類されます。
- ・機能別組織 仕事の種類ごとに組織をつくる
- ・事業部制組織 独立した各事業部が決定権を持つ
- ・プロジェクト組織 特定のプロジェクトチームに分け、チームで事業を動かす
【ハード3S】システム(System)
システム(System)とは、組織を円滑に動かすための仕組み、制度です。社内ルールや人事制度、業務フロー、人事考課制度、目標管理システムなどがあげられます。ITシステムだけではなく、仕事や会議の進め方といった組織における一定のパターンも含まれます。
【ソフト4S】スキル(Skill)
ハードに対してソフトは、人に関する4つの要素がまとめられています。
スキル(Skill)は、組織が持つ技術や知識、ノウハウです。「ヒト」の能力だけでなく、組織の商品開発力や営業力、マーケティング力なども含まれます。現時点で足りないスキルを洗い出し、足りないスキルを補うことが重要です。
【ソフト4S】人材(Staff)
人材(Staff)とは、組織のメンバー、従業員を表します。人材は経営資源にとって欠かすことのできない要素です。メンバー個々が力を発揮できる環境を用意するためには、その人のスキルや適性、仕事へのモチベーション、企業理念の理解度といった本質の部分まで確認することが大切です。
【ソフト4S】スタイル(Style)
スタイル(Style)とは、社風や企業カラー、職場環境などを指します。社内で暗黙の了解とされる独自のルールも含まれます。スタイルは、メンバーのモチベーションに大きな影響を与える要素で、企業を形づくるものです。分析する際は、戦略に合った社風、企業風土になっているかを確認しましょう。
【ソフト4S】価値観(Shared Value)
価値観(Shared Value)とは、企業理念、企業ビジョンなど基本となる考え方を指します。経営陣から現場のメンバー1人ひとりが同じ方向に向かうには、組織における意思決定の軸となる、共通の価値観を持つことが大切です。分析する際は、外部の第三者からの客観的な意見をもらうことが有効です。
組織マネジメントを成功させるためのポイント
組織マネジメントを成功させるポイントは、以下の4つです。
- ・メンバー1人ひとりと対話し、仕事への考え方、特性を理解する
- ・対話を通じ、組織やチームの目標を共有する
- ・現状の課題だけでなく、数年後の課題も予測する
- ・組織の課題とメンバー個人の目標設定を紐づける
対話によりメンバー1人ひとりの意識の変化が、組織の目標達成につながることを理解してもらうことが重要です。
まとめ
組織マネジメントとは、組織の目標達成やスムーズな運営を目指す手法です。組織マネジメントを確立すれば、優秀な人材の流出の防止、管理職の負担軽減といったメリットが得られます。実施する際は「組織の7S」を活用して、現状分析を進めましょう。
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