新入社員の報連相研修の必要性
なぜ新入社員に報連相研修が必要になるのか、その理由を解説します。
早期から習慣化させるため
報連相研修を新入社員に受講させることで、報連相を習慣化させることができます。
ビジネスにおいてはチームで連携することが当たり前ですが、新入社員は特に多くの助言と支援が必要です。しかし業務内容の何をどう報告すればよいかがわからず、報連相ができない新入社員も少なくありません。そのため入社して早期に報連相研修を行うことで、報連相を習慣化できる効果が期待できます。報連相によって同僚からの協力を取り付けたり、上司からのアドバイスがもらえたりすることもあるでしょう。報連相で行動の良い点、悪い点がフィードバックされ、行動の最適化にもつながります。報連相が習慣になれば、周囲からの評価も高まるため、チームワークにも良い影響があります。 新入社員ほど報連相研修を受けるメリットが多く、その後の社会人人生に大きな影響があるはずです。
育成スピード向上のため
新入社員が報連相研修を受ける理由には、育成スピードを高めるためという点もあります。新入社員の多くは迷いや不安を抱えながら仕事をしており、先輩社員や上司への報告も戸惑いながら行っているケースが多いです。そのような状況では、上司や先輩社員も新入社員の悩みや不安、業務の進捗状況を把握できません。新入社員の状況を把握できなければ、何をサポートすればよいのか、どこまで手助けするべきなのか判断できない悪循環に陥ります。その結果、新入社員の成長がうまくいかず、戦力になるまでに多くの時間を費やすことになるでしょう。報連相研修を受けることで、新入社員が報連相をしっかりと行えるようになれば、上司や先輩社員もフォローしやすくなります。 そして、成長のスピードも向上することで、即戦力となることが期待できます。
報連相ができない社員の原因
報連相ができない社員が出てしまう原因は何でしょうか。 原因はいくつか考えられます。
・上司や先輩社員への配慮
・叱責されることへの不安
・担当の指導者が不在
・指導者との関係性の悪さ
・リモートワークでお互いの顔が見えない
この他にも人によってさまざまな原因があると考えられますが、大きいのがリモートワークの普及や指導者との関係性です。リモートワークの場合、上司や先輩社員の顔が見えないため、自然とコミュニケーションが少なくなります。報連相も意識的に行う必要があり、報連相の必要性を忘れやすい点が大きいです。また指導者(メンター)制度の不備や関係性の悪化があれば、新入社員は報連相をしにくくなります。そのため指導者が不在であったり、相性が悪化したりする場合も考慮して、新入社員が困った時のサポート役や相談役を設定するのがよいでしょう。
報連相の仕方
報連相は重要ですが、何もかも報連相で伝えればよいわけではありません。
業務上での疑問や重要と考えられるポイントなど、報連相にも正しい仕方があります。 報告・連絡・相談のそれぞれの正しいやし方を紹介します。
正しい報告の仕方
報告の仕方で意識すべきは、行動の成果や結果を正確に上司と先輩社員に伝えるという点です。報告する際に押さえるべきポイントは、結論を先に伝えることです。 最初に結論を話し、続けてなぜそのような結論になったのかを説明しましょう。
最初から順を追って説明し、最後に結論を話すと、聞く側の集中が逸れ、最も重要な結論部分がうまく伝わらなくなります。また先に結論を聞いておけば、上司や先輩社員も結論までのストーリーの全貌が理解しやすくなります。ストーリーが長い場合は、途中経過をメールやチャットで報告する方法もよいでしょう。そして、報告する際は報告する相手を選ぶことも大切です。上司に報告すべき内容を先輩社員に報告しても、再度上司に報告するよう指示されるだけで、お互いにとって二度手間です。逆もまた然りですから、誰に報告するのかという順番も意識してください。
正しい連絡の仕方
連絡とは、自分のスケジュールや行動の予定、業務に関する情報を上司や先輩社員に伝え、状況を把握してもらうことです。連絡の正しい仕方は、正確な情報を過不足なく、スピーディーに伝えることです。 そもそも連絡は客観的な内容のみを伝えるべきで、主観的な意見や憶測は必要ありません。そのため「〇月×日△時に会議があります」のように、簡潔に要点だけを伝えるのが正しい連絡の方法です。ただし、連絡の方法によっては意識すべき点も異なります。
例えば口頭で伝える場合は簡潔に要点を伝えること、一度に伝える情報量を少なくすることが大切です。メールやチャット・文書で共有する場合は、カレンダーに記載したり、現状で把握できている予定をまとめて伝えたりするのがよいでしょう。連絡の方法に応じて、柔軟に対応する能力を身につけることを意識してください。
正しい相談の仕方
相談とは、業務上でのトラブルや疑問・質問、不安な点を上司や先輩社員に話し、アドバイスやサポートを受けることです。相談の正しい仕方は、何を相談したいのか明確にしてから相談することです。例えば「顧客へのアポイントメントの取り方」「自分の成果への不安」「人間関係の不満」など、要点を整理しましょう。要点がまとまらないまま相談しても、相談を受けた先輩社員や上司は何を相談したいのか把握するまでに時間がかかります。また相談する際は相手の予定を確認し、相手の都合に合わせたスケジュール調整をすることも大切です。 相談は短くても30分、長ければ1〜2時間を要します。その間の仕事が滞ることから、双方に負担とならない時間調整を意識しましょう。
報連相研修のプログラム例
報連相研修は新入社員向け研修として、多くの企業で取り入れられています。
その中でも、多くの企業が実施しているプログラムの例として以下のものがあります。
・報告・相談の基本
・報告・相談の判断基準
・報告・相談のタイミング
・報告・相談のコツとポイント
・具体的な報告・相談の方法
・コミュニケーションのポイント
・実践ロールプレイング
上記は一例ですが、報連相の基本からスタートし、報告・相談の判断基準やタイミング、伝える際のコツ、より実践的な方法などを学びます。また連絡にはコミュニケーションスキルも必要ですから、相手に伝わるコミュニケーションのポイントもプログラムに盛り込まれます。そして研修の最後には実践的な報連相のロールプレイングで、それまでの成果を確認するという流れです。プログラムの一例ではありますが、多くの報連相研修は上記の内容で行います。報連相は社会人の基本ですから、多くの時間をかけて学習します。
外部の専門サービスに研修を依頼する際は、集合研修だけでなく、eラーニングでも実施できるサービスを選びましょう。
報連相を定着させるためのポイント
報連相を定着させるためには、2つのポイントを押さえることが重要です。
・Bad News Firstで取り組む
・タイミングを意識する
2つのポイントについて詳しく紹介します。
Bad News Firstで取り組む
ビジネスにおける報連相では、Bad News Firstで伝えるのが基本です。
Bad News Firstとは、悪いニュースを先に伝え、良いニュースはその後に伝えるという報連相の手法です。Bad News(悪い内容)を上司や先輩社員にいち早く伝えることで、早期に対策を打つことが可能になります。新入社員はBad Newsを報告する際、上司や先輩社員の顔色を伺ったり、気後れしたりすることもあるでしょう。しかし問題発生時に早期対処するためにも、報連相ではBad News Firstを意識するように教育に取り組んでください。
タイミングを意識する
報連相を定着させるには、タイミングを意識することも重要です。報告・連絡・相談には、それぞれ行うべきタイミングがあります。まず相談は業務を始めた早期の段階に行い、アドバイスや支援を受けながら業務を進めていくことが適切です。相談せずに業務を進め、後になって報告してからでは修正が困難になり、新入社員にも周囲の社員にも大きな負担となります。次に連絡は業務の中間地点や重要なポイントが完了した時、現在の状況を伝えるために行いましょう。連絡することで上司や先輩社員は現在の状況を把握し、どのようなサポートを行うのかを決定し、自分の業務との兼ね合いを調整できるからです。最後の報告については、業務の完了が見えたタイミングや完了した時に、結果を伝えるのがよいでしょう。報告を受けた上司や先輩社員が仕事内容を最終確認し、問題なければ次の業務へと移行するからです。新入社員は報連相のタイミングを理解し、チームで仕事をしている意識を持つことを重視してください。
報連相研修を実施する際のポイント
上司を対象とした報連相研修を行う際は、以下の点に注意しましょう。
・声をかけやすい雰囲気づくりをする
・相手の顔を見て話す・聞く
報連相研修を実施する際、成功するために押さえておきたいポイントは次のものです。
・目的を伝える
・正しい伝え方を覚えさせる
・テンプレートを取り入れる
・ワークショップなどで実践する
4つのポイントを押さえて、報連相研修の効果を高めましょう。
目的を伝える
報連相研修を実施する際に押さえておきたい点は、最初に研修の目的を伝えることです。 新入社員になぜ報連相研修を受ける必要があるのか、会社としての目的を伝えることで、受講者が能動的に取り組みやすくなります。研修は「会社にやらされている」と感じる社員も珍しくなく、義務感で研修を受ける社員は一定数います。報連相研修も同様で、何のために報連相研修を行うのかという目的が伝わっていないと、義務感だけが先行しやすいです。チーム内のコミュニケーションが活発になること、成長につながり、上司から評価されやすくなることを伝えれば、モチベーションアップになるでしょう。また実際に研修内容を業務中に実践し、役立っている実感が得られれば、研修を主体的に受けようとする意欲も高まります。最初に研修目的を伝えることで、新入社員は社会人として大きく成長するでしょう。
正しい伝え方を覚えさせる
報連相研修を成功させるには、単に報連相が行えるようになるだけではなく、正確に伝える方法を覚えてもらうことも重要です。報連相研修を行うことで頻繁に報連相を実施するようになっても、意味のない情報を伝えるようでは本末転倒です。そのため新入社員に研修を実施する際は、どのような情報を伝えるべきか、うまく伝えるには何を意識すべきか理解してもらいましょう。さらに要点を簡潔に伝えるために、ロジカルシンキングを身につけてもらえる内容を設定してください。ロジカルシンキングは物事を順序立てて、矛盾がないようにまとめる思考法です。ロジカルシンキングスキルを高めると、報連相でも精度の高い情報を伝える技術が磨けます。
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テンプレートを取り入れる
報連相研修を実施する際は、報連相のテンプレートを取り入れ、実践してもらうことも大切です。テンプレートを身につければ、必要な情報を抜粋して整理し、上司や先輩社員に伝える技術が高まります。報連相のテンプレートを身につけるには、次のものを取り入れるとよいでしょう。
・伝えたいことの結論は何か
・伝えたいことの現状はどうなっているのか
・相談して自分はどうしてほしいのか
・自分の行動でどのような結果になったのか
このようなテンプレートを取り入れることで、まとまった内容の報連相になります。
考えなくてもテンプレートが活用できるように、日頃の業務でも実践してもらうことが重要です。
ワークショップなどで実践する
報連相研修を実施して高い効果を得るには、ワークショップや実践的なシミュレーションを行いましょう。要領の良い報連相を行うには、知識だけでなく実践で試すことが大切だからです。ワークショップやシミュレーションは、実際の業務のワンシーンを想定して報連相を行うことから、アウトプットの訓練にもなります。また同じ立場の社員と交流も生まれるため、自然と改善点や他者の報連相からの学びを得ることもできます。自分が上司役になって報連相を受けることで、わかりやすい伝え方を考える機会にもなるでしょう。
ワークショップなどのプログラムは、会話の中から自然と報連相が身につき、情報を受け取る立場のことも考えられる社員を育成するのにおすすめです。
【育成者(上司)向け】報連相研修の注意点
上司を対象とした報連相研修を行う際は、以下の点に注意しましょう。
・声をかけやすい雰囲気づくりをする
・相手の顔を見て話す・聞く
・自分からも声をかける
声をかけやすい雰囲気づくりをする
上司向け報連相研修で注意すべき点として、声をかけやすい雰囲気づくりを意識的に行いましょう。新入社員にとって上司や先輩社員に話しかけることは、少なからず不安を感じるものです。しかし上司がイライラした様子を見せて、声をかけづらい雰囲気を出していたら、新入社員は萎縮して声をかけられないでしょう。新入社員にスムーズに報連相を行ってもらうには、上司が普段から声をかけやすい雰囲気を作ることが大切です。例えば朝のミーティングで上司から新入社員に声をかける、業務の様子や顔色を見て進捗状況を聞くなどの配慮です。上司とのコミュニケーションが少なくなるほど、部下から上司に声をかけるのは難しくなります。業務内容だけでなく、ちょっとした雑談でも、上司が普段から部下を気遣う姿勢を見せることが重要です。
相手の顔を見て話す・聞く
コミュニケーションの基本は、相手の顔を見て会話することです。
しかし自分の仕事が忙しいと作業に集中するあまり、相手の顔を見ずに会話してしまう上司もいます。この状態では部下も「忙しいのに声をかけてしまった」「話しかけてはいけなかった」「真剣に聞いてもらえていない」と感じるでしょう。
自分の仕事が忙しくても、報連相の対応をする際は相手の顔を見て、真剣に話を聴く姿勢を見せることが大切です。 上司が自分の仕事ばかりに集中していると受け取られると、部下からの信頼を失う可能性もあります。
自分からも声をかける
報連相研修を行った後は、上司が自分から部下に声をかけることも重要です。 新入社員や部下にとって、自分から上司に声をかけるのは心理面の抵抗感があります。 業務上の報告ではBad News Firstの原則もあるため、余計に声をかけづらいでしょう。逆に上司が自分から声をかけ、業務の進捗状況や報告すべき事項、困っていることなどを訊きに行けば、部下は気楽に話しやすくなります。もちろん気軽に話しかけるとしても一定の上下関係は意識すべきですが、心理的なバリアを取り除くという点では自分から声をかけるのが効果的です。
報連相研修ならユーキャン
組織内の報連相に課題を感じているなら、ユーキャンにおまかせください。
報連相はビジネスの基本ですが、体系的に学習しなければ、本当に伝えるべき情報を正しく伝えるスキルは身につきません。 報連相のスキルは人によっても大きな差が生じやすく、同じ情報でも伝わり方が全く違うことがあります。ユーキャンの報連相研修を受講すれば、組織全体の報連相の質が高まり、スムーズな情報伝達が実現できます。新入社員を多く採用している企業の場合、上司への報連相で戸惑う新人やうまく情報伝達できない新人も珍しくありません。 そのような社員を対象にユーキャンの報連相研修を実施すれば、情報の伝え方が上達し、成長スピードも向上できます。報連相研修の内容やカリキュラムでお困りなら、ユーキャンまでお問い合わせください。
報連相研修の成功事例3選
報連相研修の成功例を3つ紹介します。
報連相のテンプレートを身につけた事例
1つ目は報連相のテンプレートを身につけた事例です。 企業規模が小さくても、日々の業務が多ければ多いほど報連相の機会や情報量も多くなります。報連相研修を実施した企業でも、社員が報連相の伝達方法のテンプレートを身につけられておらず、業務中のコミュニケーションで認識の行き違いが起こりやすい状態でした。そこで報連相研修で伝達方法のテンプレートを学んだことで、チームで連携する意識を高め、要領の良い報告ができるようになりました。日々の報告は起こったことを伝えるだけでなく、その際に自分が取った行動やどのように考えたかもわかりやすく伝えられるようになりました。その結果、報連相の内容がまとまっただけでなく、チーム内でのコミュニケーションの活発化にもつながったケースです。報連相を漫然と行うのではなく、誰に何を伝えたいのか、どの部分が重要になるのかをテンプレートとして取り入れることで、報連相の質は大幅に向上します。
ビジネスコミュニケーション活用事例
2つ目の事例は、リモートでのコミュニケーションに課題を感じていたことから、リモート研修を利用して意思疎通を試みた事例です。医療・介護施設でもオンライン面会やオンライン診療が普及する中、患者・利用者やその家族と、どのようにコミュニケーションを取るかを課題に感じる施設は少なくありません。そこで実際に自分たちの受ける研修をリモートで実施することで、リモートでもスムーズにコミュニケーションを取ることができる職場環境の確立に成功しました。研修を実施するまでは、対面での研修のように「研修独自の空気感や講師のニュアンスが伝わらないのではないか」といった不安を抱える職員もいました。しかし、研修を受けてみるとリモートでも対面での研修と大きな違いがなく、むしろさまざまな方と関わる機会となり、職員にとっても学びのある内容となったそうです。また、リモート研修を通して、オンラインでのコミュニケーションや報連相も具体的にイメージしやすくなった点も大きいです。オンラインへの抵抗感がなくなり、より広い業種と地域で交流が生まれました。
報連相の基本を学んだ事例
報連相はビジネスにおける基本です。しかし実際にはきちんと報連相の方法を学んでいない社員もいるため、現場での報連相の質にはバラつきが出ることもあります。
そこで報告・連絡・相談の質を高めるために、報連相研修を通して基本を学んでもらった事例も紹介します。企業の報連相でよくある課題が、報連相の頻度ばかりを増やして、伝わる情報の内容が薄くなりがちなことです。 報連相は必要な情報を正確に、過不足なく伝えることが最も重要です。 報連相のうまくいっていない企業やチームでは、社員が情報の取捨選択を適切にできておらず、不要な情報まで伝えているパターンがあります。
そこで報連相研修で基本を学んだことで、本当に重要な情報を抽出し、自分の考えも加えて伝える技術が身につきました。
まとめ
今回は報連相研修について、必要性や上手くいかない原因、研修実施のポイントなどを解説しました。報連相はビジネスの基本ですから、入社後早期にスキルを磨くことがポイントです。また報連相を受け取る上司や先輩社員が話しやすい雰囲気を作ることで、報連相研修の効果は倍増するでしょう。報連相研修で伝え方の基本を学べば、仕事の効率化にもなり、社員の成長にもつながります。研修を活用し、新入社員が成長できる環境を提供しましょう。