リフレクションの意味とは?手段やメリット、企業における取り入れ方や効果を解説!

  • 公開日:2023.11.01

    更新日:2023.11.01

    リフレクションとは、ある出来事について自分の行動や考え方を整理し分析することです。 ビジネスにも役立つとして、リフレクションは注目を集めつつあります。この記事では、リフレクションの意味や実施するメリットを解説します。企業への効果や導入方法も解説するので、ぜひ参考にしてください。

リフレクションの基本を解説

リフレクションとは主に下記を意味します。

  • ・ビジネスにおける「リフレクション」とは、自分の行動を振り返る、考え方を見つめ直すといった意味
  • ・「リフレクション」と似た言葉に「反省」と「フィードバック」があるが、実際には意味が異なる
  • ・「反省」は同じ失敗をしないようにすること
  • ・「フィードバック」は他人からの評価や指摘のこと

リフレクションの意味

リフレクション(reflection)は直訳すると「反射」や「反映」、「反響」といった意味です。ビジネスシーンでは、自分の行動を振り返る、考え方を見つめ直すといった意味で使われることが多いです。近年では、ビジネスにおいてリフレクションの効果が注目されつつあり、導入を検討している企業も増加しています。

反省・フィードバックとの違い

リフレクションと混同しがちな言葉として、反省やフィードバックがあります。反省とは、自分の行動などの悪かった部分を自覚し、同じ失敗を繰り返さないように意識することです。フィードバックとは、自分の行動に対する他人からの評価や指摘のことです。一方、リフレクションは自分の行動のいい点や悪い点を客観的に振り返り、見つめ直すことを指します。

リフレクションを実施するメリット

リフレクションを実施することで、3つのメリットが得られます。ここでは、それぞれのメリットを詳しく解説します。

  • ・リフレクションできる人は他者から指摘されなくても、自分の言動を改善できる
  • ・自分自身で効率化を考えるなど、スキルアップや業務の改善が見込める
  • ・従業員が自分自身で行動を見直し改善できるようになる

リーダーシップを発揮できる人材が育ちやすい

リフレクションを実施することで、リーダーシップを発揮できる人材が育ちやすくなります。 リフレクションとは、自分の行動を振り返り、自分自身を見つめ直すものです。そのため、他者から指摘されなくても、自分の言動を改善していくことができます。
行動を振り返る訓練を積むことで、自分自身だけでなく他者も客観的に見られるようになり、的確な指示ができるようになるなど、リーダーシップが鍛えられます。

生産性向上につながる

リフレクションを実施することで、従業員が自分自身で行動を見直し、改善できるようになります。他者から指摘されるのではなく自分自身で考えて行動することで、考える力が鍛えられ、業務スキルの向上が期待できるでしょう。

各従業員が客観的に自分の行動を振り返り、改善することで継続的に成長できるため、結果的に企業全体で生産性がアップして、利益の向上が期待できます。

従業員自身の成長につながる

リフレクションの実施は、従業員自身の成長にもつながります。リフレクションを行っていない場合、自分で考える力が身につかない、指示待ちで仕事をしてしまうなど、従業員が成長できる機会を逃してしまいます。

一方、リフレクションを実施していると、自分の行動を自分自身で振り返ることができるため、仕事の質を把握できます。自分自身で効率化を考えるなど、スキルアップや業務の改善が見込めるでしょう。従業員の意識改革も可能になるため、効率的な成長につながります。

リフレクションに使う主なフレームワーク

リフレクションに使う主なフレームワークは5つです。

  • ・ORIMD
  • ・KDA
  • ・リフレクション・ミーティング
  • ・KPT法
  • ・YWT経

ここでは、各フレームワークについて解説します。

ORIMD

ORIMD、はリフレクションに役立つフレームワークの1つです。ORIMDは以下の5つの要素で構成されています。

  • ・Objective Question(事実)
  • ・Reflective Question(感情)
  • ・Interpretative Question(解釈)
  • ・Meaning Question(意味)
  • ・Decisional Question(決定)

まずは、OからⅮまでを自分自身に問い、思考を深めます。過去に何があったのかという客観的事実から感情、解釈、意味づけ、決定というように過去からの学習プロセスを振り返ることで内省が可能です。

次は、反対にDからOまでの順番で自分自身に問いかけ思考を深めましょう。次のステップに至る決定から意味づけ、解釈、感情、事実と未来からの学習プロセスによって思考を深めることができ、将来の出来事を現在に引き寄せられます。

KDA

KDA、はK(Keep)、D(Discard)、A(Add)という3つの単語の頭文字を取った言葉です。それぞれの単語の意味は以下のとおりです。

  • ・Keep:維持
  • ・Discard:破棄
  • ・Add:追加

KDAは、簡単にいうと「続けること」「やめること」「新しく始めること」という3つのポイントを判断する方法です。まずは、上記の3点を思いつくままに書き出していきましょう。

たとえば、チームのなかで冷静に意見を主張できた場合、K(続けること)に該当するといった形です。逆に、主張するタイミングで感情的になりすぎてしまった、他者の意見を受け付けず意見を押し付けてしまったといった場合は、Ⅾ(やめること)に該当します。記憶が鮮明なうちに振り返りを行うといいでしょう。

リフレクション・ミーティング

リフレクション・ミーティングは、リフレクションのプロセスや結果を発表する会議のことです。 リフレクションは基本的に個人で行うものですが、結果を共有することで分析が深まります。
また、共有することで他者からのフィードバックが受けられるため、より内省が深まることが期待できます。人は固定観念や環境などによって、客観的に思考することが難しい場合もありますが、フィードバックを受けることで、より公正な判断がしやすくなるでしょう。

リフレクション・ミーティングでは、他者の内省を聞くことも効果的です。自分自身で経験していない出来事でも、他者のリフレクションを聞くことで自分のこととして考えを深められたり、参考にできたりするため、行動の分析などがしやすくなるでしょう。

KPT法

KPTは、K(Keep)、P(Problem)、T(Try)の頭文字を取った言葉です。各単語の意味は以下のとおりです。

  • ・Keep:継続
  • ・Problem:問題・課題
  • ・Try:挑戦を指す

Keepは「続けたいこと」、Problemは「業務における課題」、Tryは「課題の解決策」のことで、KPT法ではこれらの3点を分析して行動に反映していくフレームワークになります。たとえば「作業時間が短縮できた」などはK、「納品がギリギリになった」はPというように、書き出したうえで分析します。

YWT経

YWT経とは、Yは「やったこと」、Wは「わかったこと」、Tは「次にやること」の3つのポイントを振り返るフレームワークです。上記の3点を分析して、次のアクションにつなげます。

たとえば、意思決定のために意見を募った場合を例にとってみます。チームメンバー内でコミュニケーションをとり、意見を集めたことでさまざまな考えを把握することができたが、一方で、意見が多すぎてまとまらないといった問題が発生します。そのため、次からは集める意見の数を限定するというように、ある出来事から得た経験をもとに次の行動を考えるのがYWT経です。

リフレクションの実施に役立つ学習モデル

リフレクションの実施に役立つ学習モデルは3つあります。ここでは、各学習モデルを解説します。

  • ・ジョハリの窓
  • ・クリス・アージリスのダブルループ学習
  • ・デービッド・コルブの経験学習モデル

ジョハリの窓

ジョハリの窓とは、心理学モデルの1つです。人が認知していることを以下の4つの窓に分けて考えることが特徴です。

  • ・開放の窓
  • ・盲点の窓
  • ・秘密の窓
  • ・未知の窓

対話によって、これらの窓の領域を拡張することを目指すのがジョハリの窓です。開放の窓とは、自分も他人もわかっていることで、自分と他者とで見えている自分の姿が一致している部分です。

盲点の窓とは、自分では気づかずに他者が知っている部分を指します。秘密の窓とは、他者は知らずに自分だけが知っている部分です。未知の窓とは、自分も他者も知らない部分のことです。

クリス・アージリスのダブルループ学習

ダブルループ学習とは、ハーバード大学ビジネススクールの研究者、クリス・アージリスによって提唱された手法です。ダブルループ手法では、成果につながった行動だけに注目するのではなく、行動がどのような前提によって行われたのかを分析します。

最初の振り返りでは解決できない問題もあるものの、再度見直すことで誤りを発見できる場合もあります。行動がどのような前提に基づいて行われたのか、前提に間違いがないかなどと検証を行い、より深く出来事を分析することが重要です。シングルループ学習と比較して、より隠れた前提に気づきやすくなるといったメリットがあります。

デービッド・コルブの経験学習モデル

経験学習モデルとは、デービッド・コルブにより提唱された学習モデルです。経験学習モデルでは「具体的経験」「省察」「概念化」「新たな試み」という4つのステップから経験を振り返ります。経験を分析して、次の行動につなげることが主な目的です。

具体的経験とは、自分が実際に経験した出来事のことです。この経験を省察(省察的観察)することで、具体的経験を学習に変化させ、一般的な言葉として整理し概念に落とし込みます。こうして考案したモデルを新しい試みとして実践することが、経験学習モデルです。

ビジネスにおけるリフレクションの必要性

ビジネスではリフレクションに注目が集まりつつあります。ビジネスにおけるリフレクションの主な必要性は下記の2つです。

  • ・ビジネス環境の目まぐるしい変化により意思決定の精度を高める必要がある
  • ・ビジネスでは失敗の機会が増えやすくなったが、行動のいい点を認識したうえで、失敗した理由や改善点も把握できる

変化が目まぐるしい時代への適応

ビジネス環境の変化は加速化しており、目まぐるしい速度で変わっていっています。変化の多い時代に対応するには、スピードが重要です。

リフレクションによって自分の行動を整理できるため、改善につながり次の意思決定に活かすことが可能です。また、スピーディな意思決定だけでなく、リフレクションによって意思決定の精度を高めることもできるため、重要性が高まっています。

失敗を恐れない社風の醸成

前述したように、ビジネス環境の変化は加速化しており、さまざまな変化が起こっています。このような状況でのビジネスでは失敗の機会が増えがちです。

失敗することで落ち込んだり、仕事に対してネガティブになったりするケースもあるでしょう。失敗を恐れて行動できなくなるリスクもあります。しかし、リフレクションを実践すると行動のいい点を認識できるうえに、失敗した理由や改善点も把握することができ、次につなげやすくなります。

リフレクションの手順

リフレクションを実施する際には、まずトラブルや些細な出来事など、具体的な内容を書き出してみましょう。自分がどう対応したのか、そのときにどのようなことを思ったのかなどを振り返り、事実と感情に分けて記載することがポイントです。事実と感情を混同してしまうと、事実が捻じ曲がる可能性があるため注意しましょう。

次に、その出来事を詳しく分解して見直し、新しく気づいたことを書き出します。他に似たような経験がないかを考えて、類似した出来事と比較するなどして共通項や法則などを見つけます。

主に下記の手順で実施します。

  • 1.リフレクションの対象を選ぶ
  • 2.対象を細分化する
  • 3.良かった点・悪かった点を挙げる
  • 4.振り返りを言語化する
  • 5.プロセスを構築し直す

1.リフレクションの対象を選ぶ

まずは、リフレクションを実施する対象をピックアップしましょう。この際、あまりに前の出来事だと記憶が薄れている可能性が高いです。事実や感情の整理がうまくできないため、リフレクションには向きません。できるだけ直近の出来事を選んでリフレクションを実施しましょう。

また、一度に複数の出来事を対象にしてしまうと、感情や事実の分析がしにくくなるため失敗しやすくなります。 リフレクションを実施する際は、1つの出来事に絞り込んでじっくりとリフレクションすることで、より深い内省につながります。

2.対象を細分化する

リフレクションでは、結果のみに注目するのではなく、その前のプロセスの分析が重要です。そのため、出来事を分解してプロセスごとに分けて振り返っていきましょう。分解してリフレクションすることにより、次に同じような出来事が起こった場合でも、リフレクションを反映して対処しやすくなります。

たとえば、案件受注に関してリフレクションするとしましょう。この場合は、受注した要因ではなく、出来事の冒頭から受注までの流れを細分化し、課題のヒアリング方法や課題の提案方法など要素を細かく分けて振り返ります。

3.良かった点・悪かった点を挙げる

対象を細分化したら、それらの要素について良かった点や悪かった点を挙げていきましょう。悪かった点の例としては、当初想定していたよりも業務に時間や工程をかけてしまった、打ちあわせ回数は2回を予定していたが倍の4回になってしまったなどです。

業務における理想や当初の想定と乖離していた点を見直しましょう。ただし、リフレクションでは反省するだけではなく、良かった点を挙げることもポイントです。たとえば、受注数が当初の想定より増えたなど、良かった点を見つけましょう。また、悪かった点を挙げる際には他責思考に陥らないように注意が必要です。

4.振り返りを言語化する

リフレクションによる振り返りは、はっきりと言語化しましょう。この際、自分だけで振り返るのではなく、第三者に発表することもおすすめです。第三者に伝わるような形でリフレクションの内容を整理することで、自分のなかで理解を深めることにもつながります。

また、第三者にリフレクションを発表することで、フィードバックを受けられることもポイントです。第三者からの客観的な視点が得られるため、今後の参考にもなるうえ、内省を深めたり新たな気づきを得られます。

5.プロセスを構築し直す

リフレクションは実施するだけではなく、次の行動につなげることが重要です。リフレクションの対象とした出来事のプロセスを構築し直しましょう。しっかりと再構築しておくことで、類似した出来事が起こった場合でも適切な行動がしやすくなります。

また、プロセスの再構築を行う際には、リフレクションを発表した際のフィードバックも参考にするといいでしょう。第三者からの視点や指摘を取り入れることで、解決策が見つかる可能性もあります。リフレクションを実施し、プロセスの再構築を行ない、もう一度リフレクションを実施するというような流れを繰り返すことで、理想の状態に近づくことが可能です。

リフレクション実施の注意点

リフレクションを実施する際には、注意したいポイントが4つあります。ここでは、各注意点を詳しく解説します。

  • ・目標と現実のバランスをしっかりと考える
  • ・結果を正しく認識することで、自分の強みや長所、足りないスキルを把握できる
  • ・事実と感情を混同せずに、客観的な事実として受け取る
  • ・反省点だけでなく成功点に着目することも重要で、成功したポイントが分かればプラスになる行動を継続できる

目標と現実のバランスを考える

リフレクションでは、目標と現実のバランスをしっかりと考えることが大切です。目標を高く設定しすぎると従業員のモチベーションが低下し、業務効率や生産性などが下がってしまう恐れがあります。

そのため、実績や経験、実際の成果などを考慮しながら、適切な目標を設定できているのか確認しましょう。実力や経験などに見合った目標を設定することで、努力の結果が把握しやすくなりモチベーションの維持につながります。

結果を正しく認識する

リフレクションでは、結果を正しく理解することが重要です。結果を正しく認識することで、自分の強みや長所、足りないスキルを把握しやすくなります。そのためには、客観視する姿勢が大切です。

たとえば、契約成立数が思ったように伸びないという場合には、営業トークやコミュニケーション能力などの営業スキル不足が考えられます。ここから、解決のために必要な教育を検討することが可能です。

事実を客観的に受け止める

リフレクションでは、事実を客観的に受け止めなければいけません。リフレクションを実施する際、事実と感情を混同してしまうと、感情によって事実が曲がってしまう可能性があります。客観的な事実として受け止めて適切なリフレクションを実施するためにも、事実と感情を混同ぜずに事実をまっすぐに見つめましょう。

事実と感情を混ぜずに受け止めることは難しいため、事実を客観的に受け止めるための訓練として、講師がリフレクションに立ち会うことも効果的です。

成功点にも注目する

リフレクションでは、自分の行動を振り返ることになりますが、反省点にばかり目がいってしまう場合もあります。しかし、リフレクションは反省点だけでなく、成功点に目を向けることも重要です。反省点ばかり気にしてしまうと、モチベーションが下がって効果的な振り返りができないケースもあります。

そのため、成功点にも着目しましょう。成功したポイントを見つけることで、プラスになる行動を継続でき、モチベーションの向上にもつながります。

まとめ

リフレクションとは、自分の行動や考え方などを客観的に振り返り、改善をしていくことです。 リフレクションを実施することで、リーダーシップを発揮できる人材が育ちやすくなったり、生産性向上につながったりします。リフレクションの手順を把握して、注意点を押さえながら実施しましょう。

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