マインドセットとは?ビジネスにおける重要性や意味・種類を解説

  • 公開日:2023.11.01

    更新日:2023.11.01

    マインドセットは、企業の成長に欠かせない要素として注目されています。マインドセットという言葉自体は知っているものの、「従業員のマインドセットをいい方向に促すにはどうすればいいか」「どのように研修に取り入れるか」と悩んでいる人事担当者は多いでしょう。

    この記事では、マインドセットの重要性やその意味に加え、従業員のスキルアップや組織の生産性向上を促すための、マインドセット教育方法について解説します。

マインドセットとは?

マインドセットとは、それぞれの性格や生まれ育った環境によって形成された、個人が持つ考え方や価値観などを指します。 これまでの経験や学習環境、社会情勢、生まれ持った性質は、個人で異なります。

そのため、人によって困難な状況に陥った時の考え方や捉え方は異なり、成長につながるのか、あきらめてそこで立ち止まってしまうのかに分かれます。どのようなマインドセットを持っているかによって、状況による対応力や適応力に差が出てしまいます。

ビジネスシーンでは、従業員1人ひとりのマインドセットが、能力向上や企業を成長させるカギになっているといっても過言ではありません。

心理学におけるマインドセット

ビジネスシーンにおいて、「マインドセット」が使われるようになりました。もとは心理学の専門用語であり、以下の2種類に分けて考えられます。

  • ・成長型マインドセット
  • ・固定型マインドセット

成長型マインドセット

成長型マインドセットとは、何か新しいことに挑戦するときや困難に陥ったときなどに、「自分は努力すれば成長できる」「これを乗り越えれば成長できる」と捉える考え方です。意欲的に新しい挑戦や学習に取り組めるため、世の中の成功者と呼ばれる人に多いマインドセットと言われています。

成長型マインドセットを持っている人は、学習や挑戦による成長を大事にでき、どんな状況でも前向きに努力できるため、ビジネスにおいても重要視されています。

固定型マインドセット

固定型マインドセットは、成長型マインドセットは逆で、人が持つ能力は個人によって決まっているため、努力したとしても伸びないという考え方です。「これ以上成長するわけない」「現状に不満はない」という考えから、意欲的に学習や挑戦には臨めないため、ビジネスシーンではあまりいい状態ではないマインドセットです。

固定型マインドセットは、誰もが持つネガティブな要素で、失敗したくないと思う傾向にあり、成長よりも現状維持を望むため、新たな学習や挑戦などは避けてしまいます。

個人と企業におけるマインドセット

マインドセットは、個人、企業に存在します。それぞれのマインドセットについて、以下で詳しく解説します。

個人のマインドセット

個人が持つマインドセットには、その人のこれまでの経験や価値観、家庭環境、時代などが影響します。

これまでに努力して結果につながった経験や、成長を応援してもらえる環境にあった場合、成長型マインドセットが強い傾向にあります。逆に、ミスや失敗の経験が多かったり、固定概念の強い環境で育ったりした場合は、固定型マインドセットが強くなるでしょう。

ただ、個人のマインドセットは、成長型マインドセット・固定型マインドセットのどちらも持っているケースがほとんどです。自分の好きな物事に対しては成長型マインドセットで挑めるが、苦手な物事には固定型マインドセットに陥りがちという人は多くいます。

特に、失敗に遭遇した場合に、個人のマインドセットの傾向が出やすくなります。 成長型マインドセットの傾向が強い場合、失敗をしっかり受け止め、解決できるように改善点や対策を考え、実行できるでしょう。

一方、固定型マインドセットの傾向が強い人は、失敗を受け入れられず、自己保身に走ってしまい、「これ以上自分にできることはない」「他にも失敗している人がいる」などと、問題解決にならない考え、言動になってしまいます。

企業にとっていい影響を与える従業員を増やすためには、成長型マインドセットを強く持って業務に挑んでもらえるように、個人のマインドセット改善の取り組みが必要です。

企業のマインドセット

マインドセットは、個人が持つものだけではなく、企業などの組織も持っています。企業のマインドセットには、企業理念や方針、ビジネスモデル、事業戦略、実績や経験、取り扱う製品、社風などが影響します。

例えば健康に関する製品やサービスを取り扱っている企業の場合、社内でも健康に気遣ったり、残業をできるだけ減らす施策や福利厚生を充実させたりするなど、健康的に働ける方法を考えるようになるでしょう。

また、ベンチャー企業では、従業員自身が自ら考えて動くことが求められます。上層部の指示のもと動く大手企業とは、価値観が異なります。その企業が取り扱う製品や事業戦略は、企業のマインドセットに影響を与えています。

企業の実績や経験も、マインドセットに重要な要素です。当初予測していた客層や成果に変化があった場合や、失敗や不祥事などを経験している場合は、マインドセットに大きく影響している可能性があります。

原価をかけて質の高い製品を販売し、高級志向の顧客獲得を目指していた企業がうまくいかず、原価を抑えてそれなりの製品を販売するようになった場合などは、事業実績がマインドセットに影響したといえるでしょう。また、失敗や不祥事を経験している企業は、更なるトラブルを防止するために、新たな挑戦を避けるようになるかもしれません。

企業の成長には、自社のマインドセットにどんな傾向があるのかを把握するのも重要です。 企業のマインドセットが成長につながるものであれば、従業員のマインドセットにもいい影響を与えるでしょう。

企業がマインドセット教育を行うメリット

上記のようにマインドセットは、個人・企業のビジネスに対する姿勢に影響する重要な考え方です。そのため、多くの企業はマインドセット教育に注目するようになりました。マインドセット教育には3つのメリットがあります。

  • ・従業員の意欲が向上し、自信を持ちやすく、モチベーションの向上につながる
  • ・成長型マインドセットが強いと、責任を伴う業務でも自分の成長やキャリアアップに対しても前向きになれる
  • ・従業員に成長型マインドセットが広がることで、社内で成長につながる学習や新たな物事に対する挑戦が活発化する

従業員の意欲向上や自信につながる

マインドセット教育により、成長型マインドセットが強くなれば、従業員の意欲が向上し、自信を持ちやすくなるでしょう。マインドセット教育で、努力は成長につながり、スキルアップできる思えるようになれば、仕事に対する姿勢も変わります。

自信をもって仕事に取り組めると、目標達成のために前向きに努力できるようになり、成果につなげられます。成果を出せると、さらに自信が付き、モチベーションも向上するでしょう。マインドセット教育を社内で実施し、従業員に成長型マインドセットを持ってもらえれば、社内の活性化につながります。

キャリアに対して前向きになれる

従業員が成長型マインドセットを持てるようになると、前向きにキャリア形成について考えるられるようになります。管理職などへのキャリアアップには、責任や業務負担の増加も考えなければならず、固定型マインドセットが強いとなかなか進んで目指せません。

しかし、成長型マインドセットが強い傾向にあれば、責任を伴う業務でも自分の成長のために積極的に取り組め、キャリアアップに対しても前向きに考えられます。管理職不足に悩む企業では、マインドセット教育の実施により、人材育成の視点からも効果が期待できるでしょう。

組織全体の生産性向上につながる

マインドセット教育により、従業員に成長型マインドセットが広まれば、社内で成長につながる学習や新たな物事に対する挑戦が活発になります。従業員それぞれが自分の考えで行動でき、能力アップが目指せます。

従業員のほとんどが成長を求められるようになれば、仕事に対するモチベーションが上がり、生産性向上につながるでしょう。従業員や企業全体のマインドセットは、企業の利益にも大きく影響する重要な要素です。

マインドセットを変える方法について

マインドセットは、これまでの経験や環境、価値観などが影響すると述べましたが、自分の意志で変えることができます。変えるにはどのような方法があるのでしょうか。マインドセットを変えるには、以下の5つのポイントを押さえる必要があります。

  • ・自分のマインドセットの傾向を知る
  • ・目標を言語化する
  • ・環境・人間関係を見直す
  • ・すぐに行動に移す
  • ・PDCAサイクルをまわす

ここからは、それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。

自分のマインドセットの傾向を知る

まずは、自分が、どのような傾向のマインドセットを持っているのかを認知する必要があります。前述したとおり成長型と固定型のどちらの傾向も持っているケースがほとんどなので、どのような場面でその傾向が強くなるか知ることが重要です。

特に、成長には向いていない固定型マインドセットは、苦手とする場面に出やすい傾向にあります。自分がどのような場面で固定型マインドセットになっているのかを明確化するには、業務内容を書き出し、各業務に対するマインドセットについて確認していくといいでしょう。

目標を言語化する

マインドセットについて自覚したら、今後の目標を明確化しましょう。具体的に想像・理解でき、定着化するように言語化するのがおすすめです。

目標にたどり着くためには、何をどのようにしなければならないのか、いつまでにどこまで達成しなければならないのかなど、具体的な計画を立てるといいでしょう。

今何をすればいいのか明確になれば、どの業務や施策に成長型マインドセットをもって挑むべきなのかがわかります。

環境・人間関係を見直す

個人や企業のマインドセットは、環境や人間関係の影響を受けて変化します。そのため、企業のマインドセット教育では、職場環境や職場内の人間関係の見直しも必要です。

固定型マインドセットを持つ人が集まると、現状維持の志向が強く、成長につながる行動を起こしにくい環境になり、また個人もその影響を受けてしまいます。そのため、成長型マインドを持つ人と交流の場を持つことが大事です。

チーム編成や講習会の実施など、新しい考え方に出会える機会を企業がつくったり、個人で生活習慣を変えてみたりすることで、成長型マインドセットを持ちやすくなるでしょう。

すぐに行動に移す

人の成長には、改善点や問題を把握し、解決策を考え、素早く実行することが大事です。すぐに行動できる癖をつければ成功につながりやすく、成功体験や自身の成長を実感しやすくなるため、成長型マインドへの変化が図れます。

PDCAサイクルをまわす

ビジネスの多くの場面で重要となる「PDCA」(計画・実行・評価・改善)は、マインドセット教育でも重要です。PDCAサイクルを生かして、少しずつマインドセットを変化させる必要があります。

ビジネスシーンでは成長型マインドセットが理想ですが、固定型マインドセットの傾向が強い人は、なかなか変化についていけません。そのため、 行動が固定型に偏ってしまっているときには、周りに指摘してもらったり、自分で評価・改善して、少しずつ変化を促していく必要があります。

マインドセット教育における注意点

ここからは、マインドセット教育で注意したい点について解説します。主に下記のポイントに気をつけましょう。

  • ・結果によって挫折したり、自信を失ったりしやすい傾向があるため「過程」を評価する
  • ・マインドセットは簡単には変化しないため、手の届く範囲で目標を立て、1つずつ達成していく必要がある
  • ・長期的な目線でミッションやビジョンを共有することで、マインドセットの習慣化を狙える

「結果」ではなく「過程」を評価する

固定型マインドセットの傾向が強い人は、結果によって挫折したり、自信を失ったりしやすい傾向にあります。たとえ失敗しても、結果を出すための戦略や行動を評価し、その過程でよかった点を具体的に褒めて伸ばすことを意識しましょう。

時間をかけて教育する

マインドセット教育は、成果が出るのに時間がかかります。個人や企業がこれまでに多くの経験や実績、知識、環境などから形成してきたマインドセットを変化させるのは簡単ではありません。いきなり大きな目標を立てるのではなく、手の届く範囲で目標を立て、1つずつ達成していく必要があります。

また、変化させたマインドセットを定着化させるには、PDCAサイクルを回していき、成功体験を積み重ね、自信をつけていくことが大事です。

ミッション・ビジョンを意識する

マインドセット教育によって、変化してきたマインドセットを定着・促進するには、ミッションやビジョンの意識づけが重要です。長期的な目線でミッションやビジョンを共有し、目指す目標を細かく掲示すれば、目標を意識しながらマインドセットを習慣化できます。

まとめ

ビジネスシーンでは、成長型マインドセットがより成果が出やすく企業の利益につながりやすくなります。そのため、さまざまな企業で、 マインドセット教育に取り組むようになりました
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