ラテラルシンキングとは? ロジカルシンキングとの違いやビジネスへの活かし方・鍛え方を徹底解説

  • 公開日:2023.06.07

    更新日:2023.06.07

    近年、ラテラルシンキングと呼ばれる思考法が注目され、ビジネスへの活用が重要視されています。この記事では、ラテラルシンキングをビジネスに取り入れたいと考えている方に向けて、ラテラルシンキングの特徴やビジネスへの取り入れ方、鍛え方などについて解説します。ラテラルシンキングの具体的な練習方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

ラテラルシンキングとはどんな思考法か?

ラテラルシンキングとは、固定観念や既成概念にとらわれない、水平思考による物事の考え方です。ロジカルシンキングやクリティカルシンキングの手法と組み合わせることで、より広い視野での思考が可能になります。

ラテラルシンキングの意味

ラテラルシンキングの日本語訳は「水平思考」です。ラテラルは「水平・側面」といった意味を持ち、シンキングは「思考する・考える」などを意味します。マルタ共和国の医師であり、心理学者でもあるエドワード・デボノ博士が提唱した考え方です。

水平思考とは?

水平思考とは、客観的・否定的・肯定的・創造的・感情的・管理的などのさまざまな視点で物事をとらえ、考えや判断を広げる思考法です。水平思考は、既成概念や常識を無視した斬新な発想を生み出し、イノベーションやユニークなアイデアの創出につながることが期待されています。

ロジカルシンキングとの違い

ロジカルシンキングは、筋道を立てて論理的に思考する方法です。合理的な結論を導き出す手法であるため、多くの場合、ひとつの結論へたどり着きます。一方で、ラテラルシンキングで物事をとらえた場合、答えはひとつとは限りません。既成概念にとらわれず、自由な発想で問題解決を目指すため、さまざまなアイデアが生まれます。

クリティカルシンキングとの違い

クリティカルシンキングは、論理構成や前提条件などを客観的に検証しながら、問題解決を目指す思考法です。結論や考え方を批判的に評価することで、正確な結論を導き出すことにつながります。一方で、ラテラルシンキングは創造的で柔軟な思考を促すことで、正確さよりも新しい視点やアイデアを生み出すことを重視しています。

ラテラルシンキングが注目されている理由

ここでは、ラテラルシンキングが注目されている理由について解説します。理由は、以下の2つです。

  • ・既成概念が通用しなくなっている
  • ・新しいアイデアの創出が求められている

既成概念が通用しなくなっている

近年、何が起こるかわからない世の中へと変化しつつあり、既成概念が通用しないケースが増加しています。今まで当たり前であったことが覆る可能性もあります。未来が不確実で、予測が困難な時代において、自由な発想で問題解決を目指すラテラルシンキングが注目されています。

新しいアイデアの創出が求められている

競争の激しい現代のビジネス環境で生き残るためには、アイデアを創出する力が重要です。既存のものではなく、新たな商品やサービスを考え出すことで、競合他社と差別化をはかり、競争に勝ち続けなければなりません。新しいビジネスアイデアを先取りし、価値を創出していくためには、既成概念にとらわれず、自由に発想するラテラルシンキングが有効です。

ラテラルシンキングを使った問題の解決例

ここでは、ラテラルシンキングを活用した問題解決における、3つの例を紹介します。

  • ・13個のオレンジを3人に分ける方法
  • ・300gのマカロニの測り方
  • ・アイスクリームのカップ回収問題

13個のオレンジを3人に分ける方法

木村尚義氏の『ずるさで勝る水平思考トレーニング』の中に、13個のオレンジを3人の子どもに分ける方法を考えるという課題があります。一般的な回答例としては、4つずつ分配し、余った1つを3等分するといった方法が挙げられます。

一方、ラテラルシンキングを活用すると、ジュースにして分ける方法や、種を植えて将来分配するというアイデアなどが生まれます。目の前に存在する形や量にこだわらない、斬新な発想といえます。

300gのマカロニの測り方

次の事例は、木村尚義氏の「実践! ラテラルシンキング塾」の問題です。袋に500gのマカロニが入っており、そのうち300gを利用します。1kgまで計れる秤がありますが、秤の皿が小さく、マカロニを100g分までしか載せられません。この条件下で、マカロニ300gの効率的な測り方を考える課題です。

ラテラルシンキングによる回答例は、マカロニを袋ごと秤に載せ、200gになるまで取り出すというアイデアです。利用分ではなく、不使用分を測るという常識にとらわれない考え方です。

アイスクリームのカップ回収問題

次の問題は、アイスクリームのカップ回収問題についてです。昔、ある店舗で、アイスクリームの売れ行きは好調であったものの、その容器の未返却が問題となっていました。カップを回収するための改善策を考えるという課題です。

ラテラルシンキングを活用した解答例は、カップそのものも食べられるようにするというアイデアです。この課題によって、アイスクリームのコーンが生まれたという説もあります。そもそもカップを使わないという発想に切り替えた好事例です。

ラテラルシンキングのメリット

ここでは、ラテラルシンキングのメリットについて解説します。メリットは、以下の3つです。

  • ・前例のない結論が出せる
  • ・結論を導き出すための時間が短い
  • ・複数の結論が生み出せる

前例のない結論が出せる

ラテラルシンキングを活用すると、前例のない結論を導き出せます。ラテラルシンキングは、既成概念とは異なる、新しい発想を生み出すための思考法です。例えば、ある問題に対して、従来の解決策がなかった場合でも、過去の実績や既成事実にとらわれない新しい解決策を導き出すことができます。

結論を導き出すための時間が短い

ラテラルシンキングには、結論を導き出すための時間が短いというメリットがあります。ラテラルシンキングは、ロジカルシンキングとは異なり、過去の実績・常識などにとらわれずに発想します。既存の思考パターンに頼らず、直感的な判断や、論理の飛躍を活用するため、結論に達する時間を短縮できます。

複数の結論が生み出せる

複数の結論を生み出せることも、ラテラルシンキングのメリットです。さまざまな視点から物事を考える思考法のため、異なるアプローチによって複数の結論が生まれる可能性があります。結論に至らない場合もありますが、その思考プロセスの中で、多くのアイデアを生み出せます。

ラテラルシンキングのデメリット

ここでは、ラテラルシンキングのデメリットについて解説します。デメリットは、以下の2つです。

  • ・課題とかけ離れた結論が出ることがある
  • ・出された結論が問題解決につながる確証がない

課題とかけ離れた結論が出ることがある

ラテラルシンキングによって導いた結論は、当初の課題とかけ離れている場合があります。自由に発想する思考法であるため、焦点が定まらず、課題解決につながらない結論に至る可能性があります。問題解決に役立てるということを意識しながら、思考を進めることが重要です。

出された結論が問題解決につながる確証がない

結論が問題解決につながる確証を持てないことも、ラテラルシンキングのデメリットとして挙げられます。ラテラルシンキングによる結論には、論理的な解釈が困難で、問題解決につながるか明確でないものも含まれます。アイデアや結論を、ロジカルシンキングによって評価し、実行可能性を判断することが大切です。

ビジネスにおけるラテラルシンキングの活用方法

ここでは、ビジネスにおけるラテラルシンキングの2つの活用方法について解説します。

  • ・他社にはない商品・サービスを生み出す
  • ・新しい発想をすることで課題を成功へと導く

他社にはない商品・サービスを生み出す

ラテラルシンキングは、他社にはない商品やサービスを生み出すことに活用できます。現代のビジネス環境は、商品やサービスがあふれています。新しい視点や多様な切り口で思考することは、競合他社との差別化や自社の強みの確立につながります。

新しい発想をすることで課題を成功へと導く

ラテラルシンキングは、課題から成功を導く有効なツールとなります。商品やサービスに対する顧客の不満や要望を、柔軟な発想でブラッシュアップできれば、課題の改善や新規開発に活かせます。課題が強みへと変わり、企業の競争力が高まります。

ラテラルシンキングの進め方

ここでは、ラテラルシンキングの進め方について解説します。以下の1~4のサイクルを、繰り返し行うことが大切です。

  • 1. 現状の不満に気づく
  • 2. 不満が生じる原因をさぐる
  • 3. 解決策としての理想像を描く
  • 4. 理想の実現方法を見つけ出す

1.現状の不満に気づく

日頃から不満を感じていることや変だと思うこと、不便なことなどを洗い出し、リスト化します。現状の不満に気づき、問題を可視化することによって、解決したいというモチベーションが生まれます。

2.不満が生じる原因をさぐる

不満や不便さの原因をさぐります。現状感じていることに注目し、疑問を持つことが、ラテラルシンキングを加速させる大切なポイントです。既成概念や常識にとらわれずに原因を考えることで、魅力あるアイデアにつながります。

3.解決策としての理想像を描く

不満の原因を解消するための解決策を考えます。答えはひとつではありません。実現しにくいと思われる方法も含め、できるだけ多くの解決策を洗い出します。視野を拡大し、創造的なアイデアや直感を取り入れましょう。

4.理想の実現方法を見つけ出す

考え出した複数の解決策を精査し、実現可能性の高い方法を選定します。選出した解決策に対して、問題解決につながる根拠を補足したり、解決策の具体的な進め方を検討することで、理想の実現方法へとブラッシュアップします。

ラテラルシンキングを身につける方法

ここでは、ラテラルシンキングを身につける方法について解説します。以下の3つの方法を、日頃から意識することが大切です。

  • ・複数の視点から考える
  • ・思考方法を変えてみる
  • ・ラテラルシンキングを意識してみる

複数の視点から考える

固定観念を取り払い、いつもと異なる視点から物事を見る練習をしましょう。普段の思考のクセや、想像の枠組みにとらわれないことが大切です。自分、相手、第三者の3つの視点から考えることをおすすめします。

思考方法を変えてみる

思考方法を変えてみることも効果的です。客観的な考え方・否定的な考え方・肯定的な考え方など、さまざまな思考方法があります。例えば、ロジカルシンキングが得意な人であれば、既存事実にとらわれず、直感的に考えてみることをおすすめします。

ラテラルシンキングを意識してみる

ラテラルシンキングを日常生活にも取り入れ、日々の疑問に対して、ラテラルシンキングで解決策を考えるように努めましょう。習慣化して取り組むことで、効果的にラテラルシンキングを身につけられます。

ラテラルシンキング獲得のための練習方法

ここでは、ラテラルシンキングを身につけるための具体的な練習方法について解説します。代表的な練習方法は、以下の3つです。

  • ・6色シンキングハット
  • ・オズボーンのチェックリスト
  • ・ラテラルシンキングの例題を解く

6色シンキングハット

6色シンキングハットとは、6つの思考タイプを表現する6色の帽子を使い分け、該当する思考方法でグループディスカッションを行うことです。さまざまな視点での考え方を身につけ、思考方法を切り替える力を高める効果があります。

オズボーンのチェックリスト

オズボーンのチェックリストとは、9つの観点でアイデアを生み出すブレインストーミングの手法です。転用・応用・変更・拡大・縮小・代用・再配置・逆転・結合の観点があり、創造性を高める効果があります。

ラテラルシンキングの例題を解く

「クイズ問題」や「シチュエーションパズル」などのラテラルシンキングの例題を解くことも、効果的な練習方法です。思考を繰り返すなかで、ラテラルシンキングのコツをつかむことが可能です。

まとめ

ラテラルシンキングは、従来の枠組みや固定観念にとらわれず、さまざまな視点からアプローチする思考法です。トレーニングを通じて、ラテラルシンキングを身につければ、新しいビジネスアイデアの発掘や問題解決に役立てることが可能です。

ユーキャンはこれまで多くの企業様へ、研修やeラーニングを提案・実施してまいりました。社員研修をご検討の際は、ユーキャンをぜひご活用ください。ユーキャンの法人向け人材教育サービスでは、丁寧なヒアリングで企業にフィットするご提案をいたします。

お気軽にお問合わせください

ページトップに戻る