通関士は独学で合格可能?勉強方法や難易度を詳しく紹介
- 更新日:2023/06/20
通関士は、貿易のスペシャリストであり、資格を取得することで自身のキャリアアップにもつながる資格です。実際に資格の取得を考えたときには、どのように勉強すればいいか悩む人もいるでしょう。
この記事では、通関士とはどういう仕事か、独学で合格するためのポイント、独学のメリット・デメリットを詳しく紹介します。ぜひ試験勉強に役立ててください。
このページを簡潔にまとめると・・・
- 通関士とは、税関に申告する輸出入貨物の通関手続きを行う人で、国家資格。
- 独学で合格するポイントは、「勉強時間の確保」「苦手な科目の克服」「問題形式への慣れ」。
- 独学で目指すデメリットは「疑問の解決が難しい」「モチベーションが保ちづらい」「法改正情報の入手が難しい」。
通関士とは?
通関士とは、税関に申告する輸出入貨物の通関手続きを行う人で、国家資格になります。企業がビジネスにおいて物を輸出入する際には、税関の許可をとらなければいけません。しかし、税関の手続きを自社ですべて行うと大きな負担になります。そこで、通関士が輸出入業者に代わって、書類の作成や審査を行うのです。
通関士試験は、独学で合格できる?
通関士の試験は、各科目・項目で満点の60%以上の点数を獲得することで合格できるといわれています。法律の知識がある人や物流・貿易関連の仕事で実務経験がある人なら、独学での合格も可能でしょう。しかし、未経験者には理解が難しい法律についての知識も必要です。そのため、独学での合格難易度は高くなってしまいます。
通関士試験とは?
ここでは、通関士試験の概要や日程などを詳しく説明していきます。勉強のスケジュールを立てる際の参考にしてください。
試験概要
通関士試験は、受験資格不要で誰でも受験可能です。「通関業法」「関税法等」「通関実務」の3科目から出題されます。
通関業法は20問出題され、試験時間は9時30分~10時20分です。また、関税法等は30問の出題で、試験時間は11時~12時40分になります。通関実務の問題数は17問で、13時50分~15時30分が試験時間です。
それぞれの出題科目においては、択一式、選択式、計算式があるので、事前に特徴を把握しておくことが大切です。
試験日程
通関士試験は、例年10月の第1日曜日に実施されることが多く、11月下旬~12月上旬に合否が発表されます。願書受付は7月下旬から開始され、8月上旬が期限になります。札幌から那覇まで全国各地で試験が実施されているので、日程とともに事前に確認しておきましょう。
合格率
先程も触れたように、各科目・項目で60%以上の得点が必要です。通関士試験の合格率は、平均で15.4%です。しかし、年によっては10%を切ることもあるため、全体的に合格率は低いと言えるでしょう。
難易度
通関士試験は簡単に受かる試験とはいえません。出題される3科目すべてをしっかり勉強することが合格のカギです。3科目のなかでも「通関実務」は難易度が高く、合格基準点の獲得が難しいといわれています。そのため、スケジュールを立てて十分な勉強時間を確保することが大切です。
通関士試験に独学で合格するポイントとは?
次に、通関士に独学で合格するためのポイントを3つ紹介します。試験の合格を目指す際に、ぜひ参考にしてください。
勉強時間をしっかりと確保する
通関士試験は出題範囲が広いため、すべての範囲を理解するには十分な勉強時間が必要です。一般的に6カ月程度の勉強が必要で、知識が全くない状態から始めるとさらに時間がかかる場合もあります。確実に勉強時間を確保するには、仕事や自身の生活を鑑みてスケジュールを立てることが大切です。
苦手な科目をつくらない
試験に合格するには、苦手な科目をつくらないことです。とはいえ、基準点をクリアすれば合格できるので、完璧に理解する必要はありません。ポイントは、基準点以下になってしまうような科目をつくらないことです。そのためには、まず、暗記が必要なものはしっかりと暗記して基礎を固めておきます。基礎的な力がついてから、難易度の高い通関実務の勉強をしていきましょう。
問題形式に慣れる
試験には時間制限があるので、事前に問題形式にも慣れておき、スムーズに解答できるようにしておきましょう。問題形式に慣れるには、過去問に何度も取り組む方法がおすすめです。繰り返し解くことで、知識を定着させることができます。本番の試験に対応するためには、マークシート形式にも慣れておくといいでしょう。
通関士を独学で目指すメリットとは?
ここでは、通関士を独学で目指すメリットを解説します。勉強方法で悩んでいる場合は、参考にしてください。
コストがかからない
独学の場合、勉強にかかるコストを抑えられることがメリットです。実際にかかるコストは参考書代だけになり、参考書も自分が必要だと思ったものを必要な分だけ選ぶことができます。
場所や時間の制限なく勉強できる
独学では、自分の好きな場所で好きな時間に勉強ができます。そのため、仕事で忙しい社会人や主婦でも勉強に取り組みやすいです。主婦なら家事や育児の隙間時間、社会人なら通勤時間や休日を活用できます。
通関士を独学で目指すデメリットとは?
独学にはデメリットもあります。独学で勉強を始める前に、デメリットも確認しておきましょう。
疑問を自力で解決するのが難しい
独学で勉強をしているなかでわからないことが出てきた場合、自力で解決するのが難しいこともあります。疑問を解決するのに、時間がかかってしまうことがデメリットです。さらに、どれだけ理解できているのか客観的に判断できないため、自分のレベルがどれくらいなのか不安に感じることもあります。
モチベーションが保ちづらい
長期間の勉強スケジュールを一人でこなすのは難しいです。わからないことが出てくると、スケジュール通りに勉強が進まないこともあります。そうなってくると、勉強に対するモチベーションも下がってしまいます。自分でモチベーションを維持するのが難しい場合は、別の勉強方法を選んだほうがいいでしょう。
法改正情報の入手が難しい
通関士試験では、法律について勉強する必要があります。法律は改正されることがあり、そういった新しい情報を自分で探さなければなりません。法律に詳しくない人にとっては、時間がかかり、難易度が高いです。正確に新しい情報を入手できないと、試験で点をとることが難しくなってしまいます。
独学のほかに通関士を目指す方法とは?
通関士試験は独学でも合格は可能です。しかし、確実に試験に合格するには独学以外の勉強方法がおすすめです。ここでは、独学以外の勉強方法を紹介します。
通学講座
通学講座では、ほかの受講生と同じ目標を持って一緒に授業が受けられるため、モチベーションを保ちやすいことがメリットです。また、わからないことがあれば講師にすぐに質問ができます。
しかし、通学講座は費用が高額なケースが多いです。また、勉強のスケジュールや場所も決められていることから自由度が低く、忙しい社会人には通うのが難しいというデメリットがあります。
通信講座
通信講座 通信講座では、充実したテキストで効率よく勉強できます。質問もできるので、疑問をスムーズに解決することが可能です。また、勉強する場所や時間が自由なので、スケジュールが立てやすいでしょう。費用は独学よりもかかりますが、通学講座よりは抑えられます。通関士の知識があまりない人にも取り組みやすいので、おすすめの勉強方法です。
まとめ
通関士試験は難易度が高いため、十分な勉強時間を確保して知識を身につける必要があります。独学の場合は、スケジュールをしっかり管理することが重要です。独学での勉強に不安がある人には、効率よく勉強できる通信講座がおすすめです。
ユーキャンの通関士講座は、通関士試験に精通したプロが作成したテキストで勉強できます。難易度が高い通関実務は、専用テキストとDVDで重要ポイントを押さえられます。これから通関士試験合格を目指す人は、ぜひご活用ください。
- この記事の監修者は生涯学習のユーキャン
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1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。
よくある質問
- 通関士の合格に必要な勉強時間は?
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通関士試験の合格には、400時間程度の勉強時間が必要です。300時間程度で合格する人もいますが、その場合は、すでに法律や貿易に関する知識があるケースが多いです。法律、貿易分野の勉強が初めての場合は、最低でも400時間は必要だと考えましょう。
- 通関士試験の難易度は?
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通関士試験は、例年の合格率が10~20%と難易度が高めの国家資格です。
- 通関士の年収は?
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通関士の平均年収は540万円程度、月々の給料に換算すると約38万円です。これはあくまで平均であり、勤務先や年齢、スキルなどによって500万~1,200万円と差があります。
国境を越えてモノのやりとりをするには、税関に申告して検査や審査を受けなければなりません。通関士は、通関手続きの代行や提出書類の作成を一手に引き受ける貿易のスペシャリストです。通関業者では原則として各営業所ごとに通関士を置く義務があるため、ニーズは安定しています。また、資格取得によって、輸出入に関連した企業、通関業を兼業している倉庫業や航空会社の貨物部門、運送・物流会社など、専門性の高い部署への就職・転職やキャリアアップにも役立ちます。通関士は貿易関係の唯一の国家資格であり、受験制限はありません。輸出入手続きを担う存在として日本経済の発展に貢献できる、将来性の高い注目の資格です。
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